法令・告示・通達

廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令の一部改正等について

公布日:平成1年09月18日
衛産34号

(各都道府県知事・各政令市市長あて厚生省生活衛生局水道環境部長通知)

 廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令及び海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律施行令の一部を改正する政令(平成元年政令第一○三号)及び廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則の一部を改正する省令(平成元年厚生省令第四○号)は、それぞれ平成元年四月四日及び九月一八日に別添1のとおり公布され、平成元年一○月一日から施行されることとなつた。ついては、下記事項に留意の上、その運用に遺憾なきを期されたく通知する。

第一 改正の趣旨

  今回の改正は、近年、トリクロロエチレン又はテトラクロロエチレン(以下「トリクロロエチレン等」という。)による環境への影響が懸念されていることから、環境汚染の未然防止を図るためこれらを含む汚でい、廃酸、廃アルカリ等について必要な管理体制の整備等を行つたものであること。

第二 トリクロロエチレン等を含む産業廃棄物の処分の委託の基準について

  1.  1 事業者は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令(以下「令」という。)別表第二の一三項の若しくは一四の項の中欄に掲げる施設を有する工場若しくは事業場において生じた汚でい若しくは指定下水汚でい又はこれらの汚でいを処分するために処理したものであつて総理府で定める判定基準を超えてトリクロロエチレン等を含むもの、令別表第二の一三の項及び一四の項の中欄に掲げる施設を有する工場若しくは事業場において生じた廃酸若しくは廃アルカリであつて厚生省令で定める判定基準を超えてトリクロロエチレン等を含むもの又は廃溶剤(トリクロロエチレン等に限る。)の処分を他人に委託する場合は、有害な産業廃棄物である旨並びに産業廃棄物の種類及び数量を記載した文書の交付を行うこととしたこと。
  2.  2 1に示す廃酸、廃アルカリに係る厚生省で定める判定基準を、トリクロロエチレンについて0.3mg/l、テトラクロロエチレンについて0.1mg/lとしたこと。
       また、判定基準に係る検定方法は、別添2のとおり日本工業規格K○一二五の五に定める方法としたこと。

第三 トリクロロエチレン等を含む産業廃棄物を生ずる事業場の管理体制について

  1.  1 令別表第三の九の項又は一○の項の第二欄に掲げる物質をそれぞれ含む当該各項の第三欄に掲げる産業廃棄物を生ずる第四欄に掲げる施設が設置されている事業場を設置している事業者(本項、2及び3において「事業者」という。)は、事業場ごとに産業廃棄物処理責任者を置かなければならないこととしたこと。
       また、事業者は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則(以下「規則」という。)第一四条第三項の規定により、産業廃棄物処理責任者を置き、又は変更したときは当該事業場を管轄する都道府県知事(保健所を設置する市にあつては市長。以下同じ。)に報告書を提出しなければならないこと。
  2.  2 事業者は、事業場ごとに帳簿を備え、トリクロロエチレン等を含む産業廃棄物等の処理について種類ごとの処分年月日、処分量等を記載し、保存しなければならないこととしたこと。
  3.  3 事業者は、規則第一四条第四項の規定により、毎年度、当該事業場におけるトリクロロエチレン等を含む産業廃棄物等の処理に関する報告書を当該事業場の所在地を管轄する都道府県知事に提出しなければならないこととしたこと。

第四 トリクロロエチレン等を含む産業廃棄物の処分方法についてトリクロロエチレン等を含む汚でいの最終処分に関する基準が定められ、埋立処分に係る判定基準を超えてトリクロロエチレン等を含む汚でいの埋立処分を行う場合は、原則として焼却処理を行うこと。

第五 その他

  1.  1 トリクロロエチレン等を含む産業廃棄物の適正処理を確保するため、トリクロロエチレン等を含む物を取り扱う事業場を設置する事業者に対し、事業場から排出される産業廃棄物の処理状況について十分に把握すること等必要な指導に努められたいこと。
  2.  2 最終処分の基準については別途示された環境庁水質保全局長通知(平成元年九月一八日付け水企第二二四号)を参照されたいこと。



別表
 略

   廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令第六条及び海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律施行令第五条に規定する廃棄物の処分の基準等の改正について
(平成元年九月一八日環水企第二二四号)
(各都道府県知事・各政令市市長あて環境庁水質保全局長通知)
 廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令及び海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律施行令の一部を改正する政令(平成元年政令第一○三号)が、平成元年四月四日に公布され、平成元年一○月一日から施行されることとなつた。
 本政令においては、トリクロロエチレン及びテトラクロロエチレン(以下「トリクロロエチレン等」という。)による環境汚染の未然防止を図ることを目的として、これらの物質を含む汚でい、廃酸、廃アルカリについて最終処分の基準を整備する等のため廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令(昭和四六年政令第三○○号。以下「廃棄物処理令」という。)第六条に規定する廃棄物の処分の基準を改正するとともに、海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律施行令(昭和四六年政令第二○一号。以下「海洋汚染防止令」という。)第五条に規定する埋立場所等に排出する廃棄物の排出方法に関する基準を改正したところである。
 また、これに伴い、金属等を含む産業廃棄物に係る判定基準を定める総理府令及び海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律施行令第五条第一項に規定する埋立場所等に排出しようとする金属等を含む廃棄物に係る判定基準を定める総理府令の一部を改正する総理府令(平成元年総理府令第四九号)及び産業廃棄物に含まれる金属等の検定方法(平成元年九月環境庁告示第四三号)並びに海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律施行令第五条第一項に規定する埋立場所等に排出しようとする廃棄物に含まれる金属等の検定方法の一部を改正する告示(平成元年九月環境庁告示第四四号)が、平成元年九月一八日に公布され、平成元年一○月一日から施行されることとなつた。
 これらの改正により、埋立処分を行う場合に浸出液中のトリクロロエチレン等の含有量が水質汚濁防止法の排水基準を超える汚でいについては、原則として焼却処理を行い、トリクロロエチレン等を無害化した上で埋立処分すること、また、トリクロロエチレン等の含有量が水質汚濁防止法の排水基準を超える廃酸及び廃アルカリは埋立処分を行つてはならないこととされた。
 ついては、左記の事項に留意され、これらの円滑かつ適正な運用を図られたい。

第一 廃棄物の最終処分基準の改正(廃棄物処理令関係)

 1 汚でいの最終処分基準(埋立処分)について

   廃棄物処理令別表第二(以下「別表第二」という。)の一三の項若しくは一四の項の中欄に掲げる施設を有する工場若しくは事業場において生じた汚でい若しくは指定下水汚でい又はこれらの汚でいを処分するために処理したもの(トリクロロエチレン等以外の別表第二下欄に掲げる物質を含まないもの。以下同じ。)については、従来、廃棄物処理令第六条第一号ホにより含水率八五パーセント以下にした状態で埋立処分(水面埋立処分を除く。)することが可能とされていたが、今般、これらの汚でい等のうち総理府令で定める基準を超えてトリクロロエチレン等を含むものについては、原則として焼却処理を行い(廃棄物処理令第六条第一号ホによる)、無害化した上で埋立処分することとし、焼却処理を行わずに埋立処分する場合には、改正後の廃棄物処理令第六条第一号チにより、溶出試験を行つたときの溶出液中のトリクロロエチレン等の含有量が判定基準に適合する状態にして埋立処分することとしたこと。

 2 トリクロロエチレン等を含む廃棄物を排出する施設を定める廃棄物処理令別表第二について

  1.   イ 別表第二の一三の項又は一四の項の中欄に掲げる施設として、水質汚濁防止法施行令(昭和四六年政令第一八八号)別表第一に掲げる紡績業又は繊維製品の製造業若しくは加工業の用に供する染色施設等が定められたこと。
  2.   ロ 石油製品製造業の用に供する蒸留施設(トリクロロエチレン等の回収を行うものに限る。)及び廃油の蒸留施設(トリクロロエチレン等の回収を行うものに限る。)とは、ともにトリクロロエチレン等を含む使用済みの油を蒸留してトリクロロエチレン等を回収する施設であつて、前者は廃棄物に該当しないものとして扱われるものを、後者は産業廃棄物として扱われるものをそれぞれ対象とする施設を指すものであること。
  3.   ハ トルクロロエチレン等による表面処理施設とは、各種金属、合金、プラスチック等の素材を表面処理する工程に供される施設を指すものであり、具体的にはめつき、塗装洗浄、脱脂、研磨等の工程に供される施設があること。

 3 その他

   トリクロロエチレン等を含む廃油、廃酸及び廃アルカリについては改正後の廃棄物処理令第六条第一号リ及びヌ並びに同条第二号により従来どおりの規制が行われるものであること。また、トリクロロエチレン等を含む汚でい、廃酸及び廃アルカリの海洋投入処分については、廃棄物処理令第六条第三号により従来どおりの有機塩素化合物を含む廃棄物に関する規制が行われるものであること。

第二 船舶から埋立場所等に排出する廃棄物の排出方法に関する基準の改正(海洋汚染防止令関係)

 1 汚でいの船舶から埋立場所等への排出方法に関する基準について

   第一に規定する汚でい等については、従来、海洋汚染防止令第五条第一項により同項第二号に規定される埋立場所等に排出することが可能とされていたが、今般、これらの汚でい等のうち総理府令で定める基準を超えてトリクロロエチレン等を含むものについては、第一と同様原則として焼却処理を行い、無害化した上で排出することとし、焼却処理を行わずに埋立処分する場合には、海洋汚染防止令第五条第一項第六号により溶出試験を行つたときの溶出液中のトリクロロエチレン等の含有量が判定基準に適合する状態にして埋立処分することとしたこと。

 2 廃酸及び廃アルカリの船舶から埋立場所等への排出方法に関する基準について

   廃棄物処理令別表表二の一三の項若しくは一四の項の中欄に掲げる施設を有する工場若しくは事業場において生じたトリクロロエチレン等を含む廃酸又は廃アルカリを排出する場合には、海洋汚染防止令第五条第一項第八号によりトリクロロエチレン等の含有量が判定基準に適合する状態にして排出することとしたこと。

 3 その他

   トリクロロエチレン等を含む廃油は油性廃棄物として、改正後の海洋汚染防止令第五条第四号により、従来どおり焼却して熱しやく減量一五パーセント以下の状態にして排出しなければならないこと。

第三 トリクロロエチレン等を含む廃棄物の判定基準等(総理府令関係)

  汚でいに係る溶出試験を行つたときの溶出液及び廃酸、廃アルカリに含まれるトリクロロエチレン等の含有量に係る判定基準は改正後の水質汚濁防止法に基づく排水基準の値と同等のものとし、トリクロロエチレンについて0.3mg/l′テトラクロロエチレエンについて0.1mg/lとしたこと。