法令・告示・通達

廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令に規定する廃棄物の収集、運搬、処分等の基準及び海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律施行令に規定する埋立場所等に排出する廃棄物の排出方法に関する基準の改正について

公布日:平成4年08月31日
環水企182号

環境庁水質保全局長・厚生省生活衛生局水道環境部長から各都道府県知事・政令市長あて

 廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令に規定する廃棄物の収集、運搬、処分等の基準(以下「処理基準」という。)及び海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律施行令に規定する埋立場所等に排出する廃棄物の排出方法に関する基準の改正については、平成4年8月31日付け環水企第181号・厚生省生衛第788号により環境事務次官、厚生事務次官名で通達したところであるが、なお、下記事項に留意のうえ、これらの円滑かつ適正な運用を図られたい。

第1 廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令(以下第1において「令」という。)に規定する処理基準の改正について

 1 一般廃棄物処理基準

  (1) 収集又は運搬の基準

  1.    ア 運搬途上の積替え及び保管を適正に行わせるため、積替え及び保管の場所には、人がみだりに立ち入ることのないよう、一般廃棄物の積替え又は保管の場所であることの表示を行うこと、囲いを設けることなどの基準を定めるとともに、保管は、積替え後の運搬先があらかじめ定められており、保管量が積替えの場所において適切に保管できる量であり、かつ保管される一般廃棄物の性状に変化が生じない期間の積替えに限り認めることとした。なお、囲いの設置及び表示に関する規定は、平成7年3月31日までの間は適用しないこととしたが、可及的速やかに本規定に基づく措置が講じられるよう市町村等を指導されたい。
  2.    イ 一般廃棄物処理計画に基づいて住民等の協力により分別された一般廃棄物については、その一般廃棄物の性状等に応じた適切な処分又は再生が行われるよう、その区分に従って収集し又は運搬することとした。

  (2) 中間処理又は再生の基準

  1.    ア 悪臭、ばい煙等による生活環境の保全上支障が生じないようにするため、いわゆる野焼きを禁止し、一般廃棄物の焼却に当たっては、焼却設備を用いて行わなければならないこととした。
  2.    イ 一般廃棄物処理計画に基づいて、再生するために分別し、収集した一般廃棄物は、適正に再生することとした。
  3.    ウ し尿処理施設に係る汚泥(浄化槽に係る汚泥を含む。)の再生は、厚生大臣が定める方法によることとした。
  4.    エ 中間処理又は再生を行うための保管については(1)のアの例によることとした。

  (3) 埋立処分の基準

  1.    ア 地中にある空間を利用する方法により埋立処分を行ってはならないこととした。なお、廃棄物の処理及び清掃に関する法律及び廃棄物処理施設整備緊急措置法の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備に関する政令(平成4年政令第218号、以下「改正令」という。)の施行の日に現に地中の空間を利用して埋立処分を行っている埋立地にあっては、当該埋立地における埋立処分が終了するまでの間は、引き続き埋立処分を行うことができることとした。
  2.    イ 埋立処分を終了する場合には、生活環境の保全上支障が生じないよう埋立地の表面を土砂で覆うこととした。なお、その運用に当たっては、一般廃棄物の最終処分場及び産業廃棄物の最終処分場に係る技術上の基準を定める命令(昭和52年総理府令・厚生省令第1号、以下「共同命令」という。)第1条第2項第14号の規定を参考とされたい。
  3.    ウ 浄化槽に係る汚泥及びし尿の埋立処分(水面埋立処分を除く。)についてこれまで認められてきた消石灰を0.5%以上混入して行う埋立処分の方法を禁止することとした。なお、現にこの方法により浄化槽に係る汚泥及びし尿の処理が行われていることに鑑み、平成7年3月31日までの間は、従前の例によることができることとしたが、可及的速やかに新たな基準に適合する処分が行われるよう市町村等を指導されたい。また、し尿処理施設(焼却施設を除く。)による処理により生じた汚泥については、含水率85%以下にしなければならないこととした。
  4.    エ 特別管理一般廃棄物であるばいじんを令第4条の2第2号ロの規定に基づき厚生大臣が定める方法により処分し又は再生したことにより生じた廃棄物の埋立処分に当たっては、あらかじめ環境庁長官が定める基準に適合するものにしなければならないこととした。なお、平成4年環境庁告示第42号の第1中「金属等が溶出しない」とは、令第6条の4第3号イ(1)及び(2)に規定するばいじんを処分するために処理したものに係る金属等を含む産業廃棄物に係る判定基準を定める総理府令(昭和48年総理府令第5号、以下「総理府令」という。)で定める基準に適合することをいう。
  5.    オ 感染性一般廃棄物を令第4条の2第2号ハの規定に基づき厚生大臣が定める方法により処分し又は再生したことにより生じた廃棄物の埋立処分に当たっては、あらかじめ環境庁長官が定める基準に適合しなければならないこととした。

  (4) 海洋投入処分の基準

    特別管理一般廃棄物を(3)のエ及びオに掲げる厚生大臣が定める方法により処分し又は再生したことにより生じた廃棄物の海洋投入処分については、これらの廃棄物が可燃性の廃棄物を処分し又は再生したことにより生じたものであるので、従前のとおり、海洋投入処分は禁止されるものである。

 2 特別管理一般廃棄物処理基準

  (1) 収集又は運搬の基準

  1.    ア 特別管理一般廃棄物は、他の物と混合するおそれがないように他の物と区分して収集し、又は運搬することとした。なお、ばいじんと焼却灰を併せて令第4条の2第2号ロの規定により処分するため収集し又は運搬しようとする場合及び感染性一般廃棄物と感染性産業廃棄物を併せて収集し又は運搬しようとする場合はこの限りではない。
  2.    イ 運搬用パイプラインは特別管理一般廃棄物の収集及び運搬に用いてはならないこととした。
  3.    ウ 特別管理一般廃棄物の収集及び運搬は、特別管理一般廃棄物の種類及び当該特別管理一般廃棄物を取扱う際の注意事項が表示された容器を用いて行い、又は、これによらない場合は当該事項を記載した文書を携帯して行うこととした。
  4.    エ 感染性一般廃棄物の収集及び運搬は、密閉できることその他の構造を有する運搬容器を用いて行うこととした。
  5.    オ 特別管理一般廃棄物の積替え又は保管に当たっては、一般廃棄物の積替え又は保管の基準に加え、特別管理一般廃棄物が他の物と混合するおそれがないよう仕切りを設ける等の措置を講ずること、及び、特別管理一般廃棄物の種類に応じて、PCBを使用した部品にあっては当該部品の腐食の防止のために必要な措置、ばいじんにあっては当該ばいじんの固化の防止のために必要な措置、感染性一般廃棄物にあっては当該感染性一般廃棄物の腐食の防止のために必要な措置を講ずることとした。

  (2) 中間処理又は再生の基準

  1.    ア 特別管理一般廃棄物は、厚生大臣が定める方法により中間処理又は再生することとし、当該中間処理又は再生により生じた廃棄物については、特別管理一般廃棄物ではなく、通常の一般廃棄物として処理することとした。なお、平成4年厚生省告示第94号の1中「重金属が溶出しない」とは令第6条の4第3号イ(1)及び(2)に規定するばいじんを処分するために処理したものに係る総理府令で定める基準に適合することをいう。
  2.    イ 特別管理一般廃棄物の中間処理及び再生のための保管については、(1)のオの例によることとした。

  (3) 埋立処分の基準

    特別管理一般廃棄物の埋立処分は禁止することとした。なお、ばいじんについては、平成7年3月31日までの間は、令第3条第1号イ及びロ並びに第3号イからホまでの規定の例により行う場合には、この限りではないこととした。

  (4) 海洋投入処分の基準

    特別管理一般廃棄物の海洋投入処分は禁止することとした。

 3 産業廃棄物処理基準

  (1) 収集又は運搬の基準

    産業廃棄物の収集又は運搬の基準を強化することとした。特に、運搬途上の保管については、産業廃棄物が野積みされ、放置されること等により生活環境の保全上支障が生ずることのできないようにするため、運搬先があらかじめ定められており、適切に保管できる量であり、かつ、当該産業廃棄物の性状に変化が生じない期間の積替えに伴う保管に限り認めることとした。なお、産業廃棄物の収集又は運搬は、一般廃棄物の収集又は運搬の基準の例によることとしており、1の(1)のアを参照されたい。

  (2) 中間処理又は再生の基準

  1.    ア 悪臭、ばい煙等による生活環境の保全上支障が生じないようにするため、いわゆる野焼きを禁止し、産業廃棄物の焼却に当たっては、焼却設備を用いて行わなければならないこととした。
  2.    イ 産業廃棄物の中間処理に当たり当該産業廃棄物を保管する場合は、運搬の際に行われる保管と同様に、保管の場所に人がみだりに立ち入ることのないよう、産業廃棄物の保管の場所であることの表示を行うとともに、囲いを設けることなどの措置を講ずることとした。また、産業廃棄物の中間処理のための保管は、処理施設の能力を勘案し、その量及び期間が過大なものとならないよう指導されたい。なお、一定の産業廃棄物については、当該産業廃棄物の中間処理又は再生のための保管の期間についての基準を定めた。

  (3) 埋立処分の基準

  1.    ア 埋立処分を終了する場合の覆土については、1の(3)のイの例によることとした。
  2.    イ 廃プラスチック類、ゴムくず、金属くず、ガラスくず等、建設廃材並びにこれらの産業廃棄物に準ずるものとして環境庁長官及び厚生大臣が指定する産業廃棄物(以下「安定型産業廃棄物」という。)以外の産業廃棄物の地中にある空間を利用する方法による埋立処分は行ってはならないこととした。なお、改正令の施行の日に現に地中の空間を利用して埋立処分を行っている埋立地にあっては、当該埋立地における埋立処分が終了するまでの間は、引き続き埋立処分を行うことができることとした。
  3.    ウ 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号。以下「法」という。)第15条第1項の許可の対象となる令第7条第14号イ(遮断型最終処分場)及びハ(管理型最終処分場)並びに令第3条第3号ロに掲げる埋立地からの浸出液による公共の水域及び地下水の汚染を防止するために必要な措置が講じられている埋立地を除き、産業廃棄物の埋立処分に当たっては、安定型産業廃棄物以外の廃棄物が混入するおそれがないよう選別の徹底等必要な措置を講じることとした。
  4.    エ 感染性産業廃棄物を令第6条の4第2号ハの規定に基づき厚生大臣が定める方法により処分し又は再生したことにより生じた廃棄物の埋立処分に当たっては、あらかじめ環境庁長官を定める基準に適合するものにしなければならないこととした。
  5.    オ 廃石綿等を令第6条の4第2号ニの規定に基づき厚生大臣が定める方法により処分し又は再生したことにより生じた廃棄物の埋立処分に当たっては、あらかじめ環境庁長官が定める基準に適合するものにしなければならないこととした。

  (4) 海洋投入処分の基準

  1.    ア 有機塩素化合物、銅又はその化合物、亜鉛又はその化合物、並びに弗化物を総理府令で定める判定基準を超えて含むものの海洋投入処分の基準は、従前のとおり、産業廃棄物処理基準に規定することとした。
  2.    イ 令第7条第13号の2の規定に基づき新たに法第15条第1項の産業廃棄物処理施設の設置の許可を要することとされた産業廃棄物処理施設を令別表第4の6の項の第2欄に追加し、当該施設から生ずるばいじん又は燃え殻であって、総理府令で定める判定基準を超えて銅又はその化合物を含むものの海洋投入処分を禁止することとした。
  3.    ウ 有機性の汚泥及び水溶性の無機性の汚泥については、含有量試験によりその判定が行われることから、当該汚泥の基準を産業廃棄物処理基準に規定することとした。したがって、令第6条第4号イ(2)(ハ)から(ト)まで及び(ヌ)の規定は、有機性の汚泥及び水溶性の無機性の汚泥に限り適用される。

 4 特別管理産業廃棄物処理基準

  (1) 収集又は運搬の基準

  1.    ア 特別管理産業廃棄物は、他の物と混合するおそれがないように他の物と区分して収集し、又は運搬することとした。なお、感染性一般廃棄物と感染性産業廃棄物を併せて収集し又は運搬しようとする場合はこの限りではない。
  2.    イ 運搬用パイプラインは、特別管理産業廃棄物の収集及び運搬に用いてはならないこととした。ただし、消防法の危険物である特別管理産業廃棄物を危険物の規制に関する政令(昭和34年政令第306号)第3条第3号の移送取扱所で収集又は運搬する場合は、この限りではない。
  3.    ウ 特別管理産業廃棄物の収集及び運搬は、特別管理産業廃棄物の種類及び当該特別管理産業廃棄物を取扱う際の注意事項が表示された容器を用いて行い、又はこれによらない場合は当該事項を記載した文書を携帯して行うこととした。
  4.    エ 感染性産業廃棄物の収集及び運搬は、密閉できることその他の構造を有する運搬容器を用いて行うこととした。
  5.    オ 特別管理産業廃棄物の積替え又は保管に当たっては、産業廃棄物の積替え又は保管の基準に加え、特別管理産業廃棄物が他の物と混合するおそれがないよう仕切りを設ける等の措置を講ずることとしたほか、特別管理産業廃棄物の種類に応じて、廃油にあっては容器に入れ密封する等当該廃油の揮発の防止のために必要な措置及び当該廃油が高温にさらされないために必要な措置、PCB汚染物にあっては当該PCB汚染物の腐食の防止のために必要な措置、腐敗するおそれのある特別管理産業廃棄物にあっては容器に入れ密封する等当該特別管理産業廃棄物の腐敗の防止のために必要な措置を講ずることとした。

  (2) 中間処理又は再生の基準

  1.    ア 特別管理産業廃棄物である廃油、廃酸、廃アルカリ、感染性産業廃棄物、廃石綿等については、当該特別管理産業廃棄物による人の健康又は生活環境に係る被害が生ずるおそれをなくする方法として厚生大臣が定める方法により中間処理又は再生することとした。
  2.    イ 特別管理産業廃棄物の中間処理に伴い保管を行う場合の基準については、(1)のオの例によることとした。
  3.    ウ アに掲げる厚生大臣が定める方法による中間処理又は再生により生じた廃棄物については、特別管理産業廃棄物ではなく、通常の産業廃棄物として処理されることとした。

  (3) 埋立処分の基準

  1.    ア 令第6条の4第3号イ(1)から(6)までに掲げる特別管理産業廃棄物の埋立処分に当たっては、有害な特別管理産業廃棄物の埋立処分の場所であることの表示がなされている場所で行うこととした。なお、これに伴い、共同命令の所要の改正を行った。
  2.    イ 令第7条第13号の2の規定に基づき新たに法第15条第1項の産業廃棄物処理施設の設置の許可を要することとされた産業廃棄物処理施設を令別表第4の4及び5の項の第2欄に追加し、当該施設から生じるばいじん又は燃え殻であって、総理府令で定める基準を超えて六価クロム化合物又は砒素若しくはその化合物を含むものは、有害な特別管理産業廃棄物の埋立処分の場所であることの表示がなされている場所で埋立処分することとした。
  3.    ウ 感染性産業廃棄物の埋立処分は、禁止することとした。
  4.    エ 廃石綿等を令第6条の4第2号ニの規定による処分を行わないで埋立処分を行おうとする場合には、耐水性の材料で二重に梱包し又は固型化するとともに、許可され若しくは届出された産業廃棄物の最終処分場のうちの一定の場所において行うこととした。なお、廃石綿等の最終処分場に対する共同命令第2条第1項第1号の適用に当たっては、共同命令の様式第2中の産業廃棄物の種類の欄に「特別管理産業廃棄物(廃石綿等)」と記入することとされたい。

  (4) 海洋投入処分の基準

    令第7条第13号の2の規定に基づき新たに法第15条第1項の産業廃棄物処理施設の設置の許可を要することとされた産業廃棄物処理施設を令別表第4の4、5及び6の項の第2欄に追加し、当該施設から生じるばいじん又は燃え殻であって、総理府令で定める基準を超えて六価クロム化合物、砒素又はその化合物、又は、銅又はその化合物を含むものの海洋投入処分を禁止することとした。

 5 その他

   一般廃棄物、特別管理一般廃棄物、産業廃棄物及び特別管理産業廃棄物の処理に伴う悪臭、騒音又は振動によって生活環境の保全上支障が生じないように必要な措置を講じることとした。この運用に当たっては、悪臭、騒音又は振動の規制を行う環境担当部局と十分連絡調整をとり、地域の実情を踏まえ適切に対応されたい。

第2 海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律施行令に規定する埋立場所等に排出する廃棄物の排出方法に関する基準の改正について

  特別管理一般廃棄物であるばいじん、感染性一般廃棄物、感染性産業廃棄物及び廃石綿等について、廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令と同様の規定を設けた。