法令・告示・通達

窒素除去型小型合併処理浄化槽、膜処理型合併処理浄化槽、中・大型合併処理浄化槽、単独処理浄化槽の維持管理ガイドラインについて

  • 公布日:平成12年9月14日
  • 衛浄43号

(厚生省生活衛生局水道環境部環境整備課浄化槽対策室長から各都道府県・各政令市浄化槽行政主管部(局)長あて)
 別添のとおり、「窒素除去型小型合併処理浄化槽維持管理ガイドライン」、「膜分離型合併処理浄化槽維持管理ガイドライン」、「中・大型合併処理浄化槽維持管理ガイドライン」、「単独処理浄化槽維持管理ガイドライン」をとりまとめたので、今後の浄化槽の維持管理に関する浄化槽行政において参考にされたい。
 これらのガイドラインは、浄化槽法に基づく保守点検の技術上の基準及び清掃の技術上の基準に従って、各浄化槽の特徴に応じた適切な維持管理を確保するため、維持管理作業に際して具体的な指針を示すものである。また、これらのガイドラインにおいては、法令の基準を満足するレベルに留まらず、適切な維持管理の観点から実施することが望ましい事項についても併せて記述してあることに留意されたい。

別表

 略

 略

 略

  窒素除去型小型合併処理浄化槽維持管理ガイドライン

1 基本的な考え方

1・1 ガイドラインの対象となる浄化槽

  本ガイドラインの対象となる浄化槽は、以下のとおりである。

  1.  ① 脱窒ろ床接触ばっ気方式(屎尿浄化槽の構造方法を定める件(昭和五五年建設省告示第一二九二号、以下、新構造基準という。)第一の三)
  2.  ② 接触ばっ気・ろ過方式(新構造基準第七の一)
  3.  ③ 凝集分離方式(新構造基準第七の二)
  4.  ④ 接触ばっ気・活性炭吸着方式(新構造基準第八)
  5.  ⑤ 硝化液循環活性汚泥方式(新構造基準第九の一、第一〇の一及び第一一の一)
  6.  ⑥ 三次処理脱窒・脱燐方式(新構造基準第九の二、第一〇の二及び第一一の二)

  なお、新構造基準第一二に示されている浄化槽又は新構造基準第一三に基づき認定された浄化槽等にあっても、前記①~⑥と同様な処理原理によるものについては、本ガイドラインに準じて維持管理作業を行うことが可能である。

1・2 生物学的硝化脱窒法に関する留意事項

  生物学的硝化脱窒法(新構造基準第一の六、九の一、第一〇の一、第一一の一等)については、通常の生物処理として当然満たすべき諸条件の他に、その生物処理の原理上、以下の条件が適正に保持されていない場合、所期の処理性能が発揮されないおそれがある。

  1.  ① 槽内の水温が一三℃を下回らないこと。
  2.  ② 実流入汚水量が計画汚水量を大幅に下回らないこと。
  3.  ③ 流入汚水のBOD濃度(mg/L)は窒素濃度(mg/L)の三倍を下回らないこと。

  これらの条件については、特に計画、設計時の流入条件の設定が重要であり、水素供与体の調整等の維持管理を実施しても所期の性能が得られない場合には、計画・設計及び施工の見直しが必要となる。

1・3 保守点検回数等に関する留意事項

  脱窒ろ床接触ばっ気方式については、通常の使用状態において、処理対象人員二〇人以下のものにあっては四か月に一回以上、処理対象人員二一人以上五〇人以下のものにあっては三か月に一回以上とされているが、特に使用開始から処理機能が立ち上がるまでの間等、実態に応じて植種の実施、循環装置や空気供給量の調整等に必要な回数の保守点検を行うものとする。また、保守点検と清掃の連携を十分にとり、実態に即した維持管理を確保することが重要である。

2 各処理方式に共通する維持管理方法

2・1 使用開始直前の保守点検

  使用開始直前の保守点検においては、次の事項の確認等を行う。

  1.  1) 実施設と届出時の書類(写し)との照合
  2.  2) 浄化槽周辺の状況の確認
  3.  3) 浄化槽内の状況の確認
  4.  4) 流入汚水量の確認
  5.  5) 各単位装置及び附属機器類の作動の状況の確認
  6.  6) 流入管きょ及び放流管きょにおける水の流れ方の状況の確認
  7.  7) 臭気対策の確認
  8.  8) 浄化槽上部の利用状況の確認
  9.  9) 種汚泥添加の必要性の検討
  10.  10) 保守点検の記録の作成
  11.  11) 浄化槽管理者への報告及び使用上の注意等
  12.  12) 運転開始
2・2 通常の保守点検
  1.  1) 浄化槽の正常な機能を維持するため、次の事項を点検する。
    1.   ① 使用に関する準則の遵守の状況
    2.   ② 流入管きょと槽の接続及び放流管きょと槽の接続の状況
    3.   ③ 槽の水平の保持の状況
    4.   ④ 流入管きょにおけるし尿、雑排水等の流れ方の状況
    5.   ⑤ 単位装置及び附属機器類の設置位置の状況
    6.   ⑥ スカムの生成、汚泥等の堆積、スクリーンの目づまり、生物膜の生成その他単位装置及び附属機器類の機能の状況
  2.  2) 流入管きょ、インバート升、移流管、移流口、流出口及び放流管きょ等の異物等の付着状況を点検し、異物等が付着しないようにする。ただし、異物等を取り除く作業が通常の保守作業で容易かつ安全に行えない場合や次回の保守点検時までに異物等が再び付着し、処理機能に支障が生じるおそれのあるときは、清掃時期と判断するとともに必要な措置(例えば修理や改善工事)を講じる。
  3.  3) 原水ポンプ槽(中継ポンプ槽を含む。)が設けられている場合は、ポンプの作動状況及び汚泥等の蓄積状況を点検し、浄化槽の処理機能に支障が生じないよう流入汚水量の時間変動を調整する等必要な措置を講じる。また、スクリーンを有する原水ポンプ槽が設けられている場合は、スクリーンの異物等の付着状況を点検し、スクリーンが閉塞しないようにする。
       放流ポンプ槽が設けられている場合は、ポンプの作動状況及び汚泥等の蓄積状況を点検し、処理水が逆流しないようにする等必要な措置を講ずる。
  4.  4) 機械、電気計装設備及び計測機器は、日常の点検を的確に行うことによって故障を未然に防止し、適切な運転が可能となる。また、定期的に消耗品等の交換、補充等の保守を行う。さらに、異常の発生に対して速やかな対応が取れるように消耗品の保管や緊急時の対応マニュアル等を作成しておく。
  5.  5) 悪臭並びに騒音及び振動により周囲の生活環境を損なわないようにするため、騒音及び振動の発生状況、臭気並びに蚊、はえ等の発生状況を点検するとともに、必要な措置を講じる。
  6.  6) 消毒槽では、沈殿物の生成状況及び消毒の実施状況等を点検し、消毒剤の補充等必要な措置を講じる。ただし、沈殿物が生成し、かつ放流水に濁りが認められるときは直ちに清掃を行う必要があると判断する。
  7.  7) 流入汚水量及び循環液量並びに各単位装置流出水、接触ばっ気槽等生物反応槽内水の水質について、現場において測定をし、記録する(前:現場において測定や記録を必要に応じて実施する)ことにより、施設の稼働状況、負荷状態などを把握し、処理機能が正常に発揮されるように保守点検を行う。
       なお、測定や記録に当たっては、目的に応じた適切な精度を有する方法を用いることとする。
2・3 清掃
 (1) 流入管きょ及び放流管きょ

   付着物や沈殿物等の生成状況に応じて付着物等を引き出し、その後洗浄、掃除等を行う。なお、付着物等の引き出しを行う場合には、管きょ等の変形及び破損の有無を確認する。

 (2) 原水ポンプ槽及び放流ポンプ槽

   汚泥等の蓄積状況に応じて汚泥等を引き出す。
   なお、汚泥等の引き出しを行う場合には、内部設備等の変形及び破損の有無を確認する。

 (3) 消毒槽

   汚泥等の蓄積状況に応じてスカム、沈殿物を全量引き出す。なお、汚泥等の引き出しを行う場合には、内部設備等の変形及び破損の有無を確認し、水道水等を用いて所定の水位まで水張りを行う。

2・4 保守点検及び清掃の記録
 (1) 保守点検の記録

   保守点検の記録票としては、点検の結果に基づいて行った調整及び修理作業の内容が明らかになるような様式とする。
   その様式は、点検すべき事項をその都度考えなくてもよいように、チェックリストの様式を兼備するとともに、点検結果は集計し易いような表現とする。

 (2) 清掃の記録

   清掃の記録票としては、清掃作業の内容とあわせて内部設備の変形及び破損の有無が明らかとなるような様式とする。

3 各処理方式別の維持管理方法

脱窒ろ床接触ばっ気方式
 本方式は、従来の嫌気ろ床接触ばっ気方式と同様の生物科学的酸素要求量(以下「BOD」という。)除去機能に加えて、接触ばっ気槽の処理水を脱窒ろ床槽へ循環させることにより、生物学的に窒素の除去を行うものであり、脱窒ろ床槽、接触ばっ気槽、沈殿槽及び消毒槽をこの順序で組み合わせたものである。ここでは、本方式に採用される単位装置の維持管理について順を追って述べる。
 なお、告示区分第一三で認定された浄化槽のうち、処理対象人員一〇人以下の規模で本方式と同様な処理原理に基づき、BODと窒素の除去機能を有する処理方式については、本ガイドラインに準じて維持管理作業を行うこととする。

3・1 保守点検
 (1) 脱窒ろ床槽

   槽内の水位上昇及びその形跡の有無、スカム及び堆積汚泥の生成状況などを点検し、死水域の形成や異常な水位の上昇などが生じないよう必要な措置を講じる。
   清掃時期としては、使用開始日あるいは前回の清掃日から約一年経過する直前の時期を目安とするが、それ以外であっても流出水の浮遊物質の増加等、著しく水質が悪化し、二次処理装置の機能に支障が生じるおそれがあると認められた場合は清掃時期と判断する。
   なお、告示区分第一三で認定された浄化槽の一次処理装置(表―1を参照)、例えば、嫌気ろ床槽、「夾雑物除去槽+嫌気ろ床槽」、「固液分離槽+嫌気ろ床槽」、「混合撹拌槽+撹拌ろ床槽」についても、脱窒ろ床槽に準じて点検、措置及び清掃時期の判断を行うこととする。
  表―1 告示区分第一三で認定された窒素除去型小型合併処理浄化槽に採用されている単位装置で、告示第一第六号の脱窒ろ床槽に相当する単位装置

告示区分
単位装置名
主な処理機能
第一第六号
脱窒ろ床槽
流入水中の固形物の分離及び貯留、脱窒
第一三で認定された処理方式
嫌気ろ床槽混合撹拌槽撹拌ろ床槽等
流入水中の固形物の分離及び貯留、脱窒
夾雑物除去槽固液分離槽等
流入水中の固形物の分離及び貯留、脱窒

 (2) 接触ばっ気槽
  1.   ① 接触ばっ気槽
        溶存酸素量及び透視度などを測定するとともに生物膜の付着状況、はく離汚泥及び堆積汚泥の生成状況などを点検し、溶存酸素量が槽内均等におおむね一・〇mg/L以上に保持され、かつ死水域を生じないよう空気供給量の調整、接触材の逆洗、はく離汚泥の移送等必要な措置を講じる。ただし、生物(膜)ろ過槽にあっては、処理水槽底部の溶存酸素量を測定し、溶存酸素量が検出されること。
  2.   ② ばっ気装置
        ばっ気装置の運転状況を点検し、散気管が目づまりしないようにするとともに、散気管が水平に保持されるようにする。
        なお、告示区分第一三で認定された浄化槽の好気性生物処理装置(表―2を参照)、例えば、接触ばっ気槽、生物(膜)ろ過槽、担体流動(ばっ気)槽についても接触ばっ気槽に準じて測定、点検、措置及び清掃時期の判断を行うこととする。

  表―2 告示区分第一三で認定された窒素除去型小型合併処理浄化槽に採用されている単位装置で、告示第一第六号の接触ばっ気槽に相当する単位装置

告示区分
単位装置名
主な処理機能
第一第六号
接触ばっ気槽
好気性生物処理(BOD除去と硝化)
第一三で認定された処理方式
接触ばっ気槽担体流動(ばっ気)槽等
好気性生物処理(BOD除去と硝化)
生物(膜)ろ過槽
好気性生物処理(BOD除去と硝化)とろ過

 (3) 沈殿槽
  1.   ① 越流ぜき
        異物等の付着状況を点検し、付着が認められたときは取り除く。また、処理水の越流状況を点検し、不均等な越流状況が認められた場合は水平の調整など必要な措置を講じる。
  2.   ② スロット型沈殿槽
        スカム及び堆積汚泥の生成状況を点検し、スカムが認められたときはその全量を脱窒ろ床槽第一室に移送する等必要な措置を講じる。ただし、移送先の汚泥の貯留能力が限界に達している場合や自吸式ポンプ等を用いても容易に移送できないようなスカム等の生成状況のときは、直ちに清掃を行う必要があると判断する。
  3.   ③ ホッパー型沈殿槽
        スカム及び堆積汚泥の生成状況を点検し、スカムが認められたときはその全量を脱窒ろ床槽第一室に移送するとともに、スカムの生成及び汚泥の著しい堆積が生じないよう汚泥移送措置の運転条件を変更する等必要な措置を講じる。
  4.   ④ 流出水の水質を測定
        流出水の水質を測定し、処理性能が所期の性能を満足していないときは、循環水量の調整等、各単位装置及び付帯機器について必要な措置を講じる。
 (4) 流量調整装置

   移送水量を測定し、流量調整比が適正に保持されるように調整する。また、装置内に付着堆積した汚泥等を除去する。

 (5) 循環装置

   循環液量を測定し、循環比が適正に保持されるように調整する。また、装置内に付着堆積した汚泥等を除去する。

3・2 清掃
 (1) 脱窒ろ床槽
  1.   ① 第一室
        ろ材押さえ上部のスカム、堆積汚泥等を引き抜いた後、室内水等(壁面や流入管等の洗浄水を含む)を全量引き出すとともに、内部設備等の変形及び破損の有無を確認し、所定の水位まで水張りを行う。
  2.   ② 第二室以降の室
        スカムや汚泥の蓄積状況に応じてスカムや汚泥等を適正量引き出す。なお、汚泥等の引き出しを行う場合には、内部設備等の変形及び破損の有無を確認し、所定の水位まで水張りを行う。
        なお、告示区分第一三で認定された浄化槽の一次処理装置(表―3を参照)、例えば、嫌気ろ床槽、「夾雑物除去槽+嫌気ろ床槽」、「固液分離槽+嫌気ろ床槽」、「混合撹拌槽+撹拌ろ床槽」についても、脱窒ろ床槽に準じて清掃を行うこととする。

  表―3 告示区分第一三で認定された窒素除去型小型合併処理浄化槽に採用されている単位装置で、告示第一第六号の脱窒ろ床槽第一室及び第二室以降の室に相当する単位装置

第一第六号
告示区分第一三に相当する単位装置
脱窒ろ床槽第一室
嫌気ろ床槽第一室(ただし、固液分離槽を前置する方式では、脱窒ろ床槽第二室に相当する)、夾雑物除去槽、固液分離槽、混合撹拌槽
脱窒ろ床槽第二室以降
嫌気ろ床槽第二室、嫌気ろ床槽第一室(ただし、固液分離槽を前置する方式)、嫌気ろ床槽(夾雑物除去槽を前置する方式)、撹拌ろ床槽

 (2) 沈殿槽

   汚泥等の蓄積状況に応じて汚泥等を適正量引き出す。なお、汚泥等の引き出しを行う場合には、内部設備等の変形及び破損の有無を確認し、水道水等を用いて所定の水位まで水張りを行う。
   なお、告示区分第一三で認定された浄化槽で好気性生物処理槽に後設された単位装置(表―3を参照)、例えば、沈殿槽、処理水槽、高速固液分離槽についても沈殿槽に準じて清掃を行うこととする。

ページ先頭へ