法令・告示・通達

処理が困難な廃棄物対策について

  • 公布日:昭和60年7月24日
  • 衛環102号

(各都道府県一般廃棄物処理行政担当部(局)長あて厚生省生活衛生局水道環境部環境整備課長通知)

 標記については、かねてより御尽力願つているところであるが、今般、生活環境審議会廃棄物処理部会適正処理専門委員会から、別添一のとおり報告書が提出されたところである。
 厚生省としては、今後、この報告書の提言に沿つて必要な措置を講ずることとしているので、参考に供されたく送付する。なお、使用済み乾電池対策については、左記に関し、貴管下市町村に対する周知指導方よろしく取り図らわれたい。

一 使用済み乾電池対策に関する専門委員会報告の要旨

 (一) 使用済み乾電池対策に関する基本的考え方

  1.   ア 一般廃棄物中に含有される使用済み乾電池は、他のごみと合わせて処理しても、生活環境保全上特に問題となる状況にはないこと。また、アルカリ乾電池中の水銀含有量の低減、ボタン形水銀電池の回収・処理等により、生活環境の保全の確保が一層図られる見通しであること。したがつて、生活環境保全の観点からは、現行法制度の遵守が図られれば、特段の措置を講ずる必要性は認められないこと。
  2.   イ より快適かつより安全な生活環境を求める社会的なニーズの高まりに対応するため、関係者がそれぞれの立場からこれに可能な範囲で取り組むことが求められるが、ごみ中の水銀含有量を低減することを基本とする事業者における措置が最も妥当であると考えられること。
  3.   ウ 市町村において、各種の事由により、筒形乾電池の分別回収等の措置が講じられてきた事情は理解されるが、今後は、事業者による措置を踏まえつつ、市町村は分別回収等の必要性を自主的に判断すること。

 (二) 関係者が講ずべき措置

  1.   ア 乾電池中の水銀含有量の低減化等の推進
        使用済み乾電池対策の基本として、事業者において次の措置を講ずるものとすること。
    1.    (ア) 水銀電池の回収強化等
           水銀電池の回収に関する普及啓発活動の強化による回収率の向上及び新規用途の拡大の抑制を図ること。また、水銀電池の代替電池の開発及び代替電池への切り替えを推進すること。
    2.    (イ) アルカリ乾電池の水銀含有量の低減化
           現在市販されているアルカリ乾電池の水銀含有量は、従来のものの三分の一となつているが、さらに、これを昭和六二年九月頃を目途に、従来のものの六分の一とすること。
    3.    (ウ) アルカリ乾電池の識別容易化
           アルカリ乾電池について、他の乾電池と識別できるよう色分け等に努めること。
  2.   イ 使用済みアルカリ乾電池等の広域的な回収・処理の実施
        廃棄物処理事業の円滑な推進等種々の事由によつて、多くの市町村が筒形乾電池の回収等の措置を講じてきた事情を勘案し、事業者における措置が実現するまでの間の経過的措置として、これらの市町村においては次のような措置を講ずるものとすること。
    1.    (ア) 使用済みアルカリ乾電池等の広域的な回収・処理体制の整備
           回収された使用済みアルカリ乾電池等は、当該市町村がその処理・処分に当たることを基本とし、広域的な回収・処理体制を整備すること。
    2.    (イ) 広域的な回収・処理の推進のための組織的対応
           広域的な回収・処理の振興を目的とした市町村を中心とする全国的な組織を整備すること。
    3.    (ウ) 事業者の積極的な協力
           特に製造業者は、(ア)及び(イ)について、財政的な側面から協力を行うこと。
  3.   ウ 水銀等の排出に関するモニタリングの強化
        一般廃棄物処理施設からの排出水及び排ガスに含有される水銀等のモニタリングの実施を一層強化すること。

二 使用済み乾電池対策に関する留意事項

  市町村は、使用済み乾電池対策について、次の事項に留意しつつ、専門委員会報告に沿つて必要な措置を講じられたいこと。

 (一) ごみ処理に伴う水銀による環境影響

   専門委員会報告において、使用済み乾電池を他のごみと合わせて処理しても、生活環境保全上問題ないとされているが、厚生省の調査においても別添二のとおり、特段問題が認められないこと。

 (二) 使用済み乾電池の適正処理の推進を援助する組織体制の整備

   分別・保管された使用済み乾電池の市町村による広域的な回収・処理を推進するため、可及的速やかに(社)全国都市清掃会議の中に、これを援助する組織体制を整備することとしていること。
   なお、使用済み乾電池について、市町村が、広域的な回収・処理によらず独自に取り組む場合、その処理技術としては、水銀を回収する方法及びコンクリート固型化する方法があるが、廃棄物処理法等の諸規定の趣旨を踏まえ、生活環境の保全に万全を期すること。

 (三) モニタリングの実施

   水銀等の排出に関するモニタリングを強化するため、市町村においてはごみ焼却施設からの排出水及び排ガス、最終処分場からの放流水及び最終処分場の覆土等のモニタリングを実施すること。なお、この場合の方法については、昭和五二年一一月四日付け環整第九五号本職通知の定めるところに準ずること。

別表
  適正処理専門委員会報告書

〔昭和60年7月〕
〔生活環境審議会廃棄物処理部会適正処理専門委員会〕

  目次

  1. 1 はじめに
  2. 2 いわゆる適正処理困難物問題とその検討に当たつての視点
    1.  (1) 問題の内容とその所在
    2.  (2) 問題の解決への基本姿勢
  3. 3 適正処理困難物の概念と関係者の役割
    1.  (1) 適正処理困難物の概念と廃棄物の発生に関する基本的な考え方
      1.   ア 廃棄物処理の制度と廃棄物処理法第3条第2項の規定の趣旨
      2.   イ 適正処理困難物の概念
    2.  (2) 関係者の責務及び役割
  4. 4 今後講ずべき方策等
    1.  (1) 製品等の処理困難性に係る自己評価の実施
    2.  (2) 関係者による協議体制の確立
    3.  (3) 財政面からの検討
    4.  (4) 技術・システム開発の推進
    5.  (5) 既存の製品等に係る廃棄物に関する当面の措置
      1.   ア 使用済み乾電池対策
      2.   イ 廃家電製品対策
      3.   ウ プラスチックごみ対策
      4.   エ 卓上ガスボンベ等
    6.  (6) その他

  1.  1 生活環境審議会答申(抄)(昭和58年11月)
  2.  2 使用済み乾電池対策の基本的方向について

1 はじめに

  昭和55年11月、ますます多様化、複雑化する廃棄物問題に対処するため、生活環境審議会は、今後の廃棄物処理行政の基本的方策について、厚生大臣から諮問された。同審議会は、その審議を廃棄物処理部会に付託し、同部会は、専門的事項を検討するため、他の2専門委員会のほかに、昭和57年3月、適正処理専門委員会(石丸隆治委員長)を設置した。
  同専門委員会では、廃棄物の適正処理対策等について審議を行い、その検討内容は、昭和58年11月の生活環境審議会答申「今後の廃棄物処理行政の基本的方策について」に盛り込まれた(別添1)が、その中で、処理が困難な廃棄物対策について、処理困難性の尺度の設定方法、処理困難性の評価、関係者の役割分担等を更に検討する必要がある旨指摘した。
  これを受けて、当専門委員会は、昭和59年6月より、その検討を開始した。当専門委員会では、市町村において適正処理が困難とされる廃棄物について、市町村、都道府県、事業者等からのヒアリングを行うとともに、その対策の考え方について検討を行うなど、合計13回に及ぶ討議を経て、以下の結論を取りまとめた。

2 いわゆる適正処理困難物問題とその検討に当たつての視点

 (1) 問題の内容とその所在

   廃棄物は、人間の活動に伴つて必然的に発生するものであり、その適正な処理の確保は、生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図る上で最も基本的な要件の一つである。一般廃棄物の発生から処分までの制度は、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(以下、「廃棄物処理法」と略称する。)によつて定められており、その発生の管理については、発生者である一般国民にその責務があることは当然であるが、事業者も、物の製造、加工、販売等に際して、その製造、加工、販売等に係る製品、容器等が廃棄物となつた場合においてその適正な処理が困難となることのないようにしなければならない(廃棄物処理法第3条第2項)とされている。また、その処理については、排出者の協力を得つつ、原則として市町村が行うものとされている。
   しかしながら、近年、国民生活の向上及び多様化並びに産業社会の変化に伴つて、一般廃棄物も多様化してきており、廃棄物によつては、その適正な処理の困難性が議論されるようになつてきている。現在、市町村において適正な処理が困難とされる廃棄物の問題が生じているのは、① その処理困難性を排除するよう市町村から業界へ要請が行われたり、処理施設の整備改善が行われてきたが、なお、廃棄物処理法第3条第2項の規定が抽象的、訓示的であるため、事業者の責務が必ずしも適切に行われたとは言い難いこと、② 市町村における廃棄物処理技術又はシステムが、社会的要請や廃棄物の質的、量的変化に十分に対応できていないこと、③ 廃棄物の種類によつては、その廃棄物となる前姿の製品等の流通等の実態的な面及び経済的又は社会的な側面から、その処理責任を市町村が負うことについて、市町村の合意が得にくいものも生じていることなどによるものと考えられる。

 (2) 問題の解決への基本姿勢

   この問題の解決を図つていくために、まず現行の廃棄物処理法及び同法の下での処理技術の向上、設備の高度化、財政面の強化等を踏まえ、また、問題の社会的背景を配慮しつつ、次のような方向で検討を行うこととする。

  1.   ア 現在、適正な処理が困難と指摘されている廃棄物について、廃棄物処理法に基づく事業者の責務が適切に遂行されたか、また、行政的措置が適切に行われてきたかなど、関係者の責任の所在を特定して明確化することが困難であることから、むしろ関係者がその実際的解決に向けてどこまで取り組むことが可能であるかを中心に検討すること。
  2.   イ 今後において問題の発生を予防することが最も重要であり、この視点から、当面の措置として現行法制度の下で発生予防のための具体的なしくみを検討すること。
  3.   ウ 一般廃棄物処理事業の内容は、地域の実状を勘案して市町村の判断によつて決定されるものであるから、適正な処理が困難な廃棄物の問題は、全国的な状況に配慮しつつ、個々の市町村の状況に即して検討されるべきものである。その際、通常、製造及び加工活動が相当な広域的広がりを持つて行われることに対し、販売活動は当該市町村において行われるものであることから、市町村レベルでは、事業者のうち、製品等の製造者及び加工者に加えて販売者の責務の遂行如何が、直接、この問題と関わるものであることに留意すること。

3 適正処理困難物の概念と関係者の役割

 (1) 適正処理困難物の概念と廃棄物の発生に関する基本的な考え方
  1.   ア 廃棄物処理の制度と廃棄物処理法第3条第2項の規定の趣旨
        適正な処理が困難とされている廃棄物の問題の検討に当たつては、現行の廃棄物処理法第3条第2項に規定される事業者の責務及びその廃棄物処理制度における意義、並びに第4条、第6条及び第7条に規定される市町村、都道府県、国、一般国民の責務、役割などを十分踏まえることが必要である。
        廃棄物が適正に処理されるとは、究極的には、排出された廃棄物が、生活環境の保全及び公衆衛生の向上に支障なく生活空間から迅速に排除され、処理・処分(資源化を含む。)されることであり、廃棄物処理法は、その処理責任を市町村に課している。これは、発生した廃棄物は、基本的には排出者が処理するとの考え方に立つが、家庭系廃棄物の場合、排出者が一般国民であり、個々人での処理が困難であること、衛生規制を背景とした行政手法の沿革などを踏まえ、また、このサービスを民間セクターの自由競争下に置くと価格競争の結果、サービス内容の格差が生ずるなどにより廃棄物の不適正処理の増大が懸念されることなどから、市町村や市町村長から許可を受けた処理業者が一般国民に代わつて処理することとしている。
        また、廃棄物処理法では、排出後の処理・処分にとどまらず、言わば廃棄物の発生の管理から規定している。すなわち、廃棄物処理法第3条第2項の規定は、すべての事業者に対して、あらゆる製品等が廃棄物となることを予定し、物の製造、加工、販売等に際して、廃棄物となつた段階で適正な処理が困難となることのないよう事前に評価し、これに伴つて、適切な対策を実施することを求めており、これにより、適正な処理が困難となる製品等は、製造、加工、販売等が行われないことが期待されるものである。
  2.   イ 適正処理困難物の概念
        したがつて、このような事業者の責務が適切に果たされず、すなわち製品等の製造、加工、販売等に際して、技術的、設備的又は経済的な観点から、廃棄物処理に与える影響をあらかじめチェックし、また、適正な措置を講じていないために、それが廃棄物となつた場合に適正な処理が困難となるものが、一般に、「適正処理困難物」といわれる廃棄物であると定義できる。
        ここで、「適正な処理が困難」とは、誰にとつて、いつの時点を指して、そしてどのような状態であるかを考察することが必要である。
        廃棄物処理法では、市町村は、一般国民に代わつて一般廃棄物を処理する役割を担うとともに、処理計画を策定するなど、一般廃棄物の発生から処分まで、監視、監督等も含めて、いわば廃棄物の管理を行う役割も担つている。したがつて、誰にとつて「適正な処理が困難」となるかは、市町村を始めとする処理に当たる者ということができる。
        次に、「適正な処理が困難」であるかどうか判断する場合、処理のしくみや、これを構成する技術、要求されるサービス水準などが時代とともに変化することを踏まえなければならないため、事業者が廃棄物処理法第3条第2項に基づいてその責務を果たすために行う評価については、いつの時点を想定して行うかが重要である。事業者において、処理のしくみ等の変化を自ら予測することは極めて困難であるが、現時点の処理のしくみ等を把握することは容易であり、またその動向についても市町村における長期的な廃棄物処理の見通し等、関係者から情報を収集することによりおおむねの把握は可能であることから、現時点のみならず、見通すことができる将来時点ということができる。
        さらに、「適正な処理が困難」とは、どのような状態がこれに該当するかについては、適正な処理が技術的、設備的又は経済的にも実質的に不可能である場合と、適正な処理は可能だが困難を伴う場合とに大別できる。もちろん、「適正な」のレベル又は内容について、なお検討しなければならないが、前者は明らかに「適正な処理が困難」と認識できる。後者の場合は、その困難性について、技術的、設備的又は経済的な要素を勘案しつつ、市町村、委託業者、許可業者及び事業者のそれぞれの役割を踏まえ、分析した上で判断されるものである。
 (2) 関係者の責務及び役割

   事業者は、製品等の製造、販売等に際して製品等の廃棄後、生活環境の保全や公衆衛生の向上の観点から問題を生じないようあらかじめ十分に検討し、必要に応じ対策を講ずる責務を有している。この場合の事業者には、製品等の製造業者のみならず、加工業者、販売業者までも含まれるものであり、それぞれその活動の範囲に応じて、検討を行うことが必要である。例えば、一般に製品等の製造業者は、全国的規模で事業活動を行うため、全国的に行われている処理の状況を考慮する必要があり、また、販売業者は、通常は地域単位で事業活動を行うため、特に市町村単位での処理の状況を踏まえる必要がある。
   また、製品等の製造、加工、販売量の増大が、その適正な処理を確保できなくすることも考えられるので、事業者は、常時、廃棄物処理の状況を注視する必要がある。
   市町村は、一般廃棄物の適正な処理の確保を管理する責務及び一般国民に代わつて一般廃棄物を処理する責務を有している。前者の責務は、具体的には、一般廃棄物の発生の管理に関する事業者(多くの場合、販売業者)の責務の遂行状況の監視、不法投棄の監視、処理業の許可などである。
   都道府県は、市町村の責務が十分に果たされるように必要な技術的援助を行うものであり、特に、当該廃棄物問題が当該都道府県の市町村に共通し、都道府県内の問題として位置付けられる場合には、事業者、市町村等におけるそれぞれの責務の遂行について把握し、必要な調整等を行う責務を有する。
   国は、廃棄物処理における市町村の責務が十分に果たされるよう必要な技術的及び財政的援助を行うとともに、法の施行に責任を持つ立場から、事業者、市町村等におけるそれぞれの責務の遂行状況について把握し、指導、監督を行う責務を有する。
   一般国民は、一般廃棄物の発生者として、その発生の管理及び処理につき、本来的な責務を有するものであり、生活環境保全上支障のない方法で容易に処分することができる一般廃棄物をなるべく自ら処分するように努めるとともに、自ら処分しない一般廃棄物については、市町村が行う処理に協力する責務を有している。
   以上のような、廃棄物処理全般に関する各関係者の責務を踏まえ、適正処理が困難な廃棄物の問題を考えると、特に事業者及び市町村については、それぞれ次のような役割が要請されるであろう。
   まず、事業者は、その製品等の廃棄物処理が困難とならないよう、製品等の製造から販売までの適当な段階で、現行の廃棄物処理のしくみ及びその動向を踏まえつつ、当該製品等が廃棄物処理に与えるインパクトを予測、評価し、影響が大きいと判断した場合には、技術開発の推進及び開発された技術の定着、処理業者への援助及び自主的な処理体制の整備など、当該製品等が廃棄物となつた場合における対策をあらかじめ準備することが必要である。また、それにもかかわらず、このような事業者の責務が果たされずに発生した廃棄物については、製造から販売までに関係する事業者全体が、市町村等の指導の下で回収、処分すべきものである。なお、この事業者間の分担に関する調整は、多くの困難を伴うものと考えられるが、この調整の促進が図られるよう何らかの措置を講ずる必要がある。
   次に、市町村は、一般廃棄物を処理するに際して、要求されるサービス水準や経済情勢などが時代とともに変化するので、これに見合つた技術の導入や財政的措置を講じ、その適正処理を確保しなければならない。また、処理の信頼性、安全性や安定性といつた観点から、市町村による処理が望まれるが、手数料徴収に対する市町村としての行政的配慮、高度な技術力の積極的な導入、受益と負担の明確化などの観点から、許可業者の活用も考えられ、この場合、市町村は、一般国民の経済的負担の妥当性に配慮しつつ廃棄物の適正処理が確保されることを確認するとともに、その実施につき監視等を行うことが必要である。

4 今後講ずべき方策等

  適正処理困難物問題の解決に向けて今後講ずべき方策は、適正な処理が困難となる廃棄物の発生を未然に防止することを基本とし、製品等が廃棄物として排出された後、当該廃棄物が適正に処理されているかどうかを常時注視し、必要に応じ処理状況の調査、関係者の責務と役割の遂行状況の調査及び是正措置の審議等を行う体制を整備するとともに、市町村廃棄物処理事業の強化を図ることである。
  具体的には、次の措置が講じられるべきである。

 (1) 製品等の処理困難性に係る自己評価の実施

   事業者は、その製品等について廃棄物処理の観点からの的確な自己評価を実施することが必要であり、当該評価においてその処理が困難となることが予想されるならば、その処理が困難とならないよう、適切な処理体制の整備、処理技術の開発及び当該製品の製造方法等における変更、改善等並びにこれに伴う処理困難性の評価を繰り返す努力が求められる。
   従来から事業者においては、製品等の製造等に際して、当該製品等の目的、機能を中心に、効率性、安全性、衛生性、経済性等に関する評価は実施されてきたものの、一般に、廃棄物処理困難性については、十分には評価されてきておらず、したがつて、処理困難性の低下を目的とした製品等の改善もほとんど行われてこなかつたと思われる。しかし、廃棄物となつた場合の処理困難性が社会的に問題とされたこと等により、その処理困難性の評価に立ち、技術開発、処理体制の整備、製品等の改善等が行われた場合には、その廃棄物の処理においてそれに見合つた効果が得られている。
   以上の観点から、廃棄物処理法第3条第2項の規定の趣旨を踏まえて、これをより機能させるために、事業者による廃棄物処理困難性の自己評価の実施を推進することが重要であり、その実施を容易にするよう、事業者が処理困難性を評価する際の方法についてガイドラインを策定し、その定着化を図るべきである。評価の際の方法の選択等は、基本的には事業者自らが、その必要に応じて決定すべきものであるが、このガイドラインは、事業者による評価の円滑な実施と評価水準の確保の観点から、評価項目、評価のための調査方法、評価尺度の設定方法などの項目について定められるべきである。
   なお、事業者がガイドラインに沿つて自己評価を行うためには、廃棄物処理に係る各種の情報、特に市町村における長期的、総合的な廃棄物処理の計画についての情報が必要であり、また、高度かつ専門的な情報の収集、加工、提供等が可能な体制の整備が必要である。

 (2) 関係者による協議体制の確立

   (1)に延べた事業者による製品等の廃棄物処理困難性の自己評価が行われ、また、必要に応じ、その処理対策が講じられたとしても、当該製品等が廃棄物として排出された後処理主体の中心である市町村を始めとした関係者から、当該廃棄物を適正に処理することが困難であると指摘され、関係者の責務と役割を巡る議論が生じ、その解決が必要とされることも考えられる。また、事業者における製品等の処理困難性評価の実施の一層の実効性を上げるとともに、その円滑な実施を援助するため、必要に応じ、廃棄物処理に係る各層の関係者による協議が望まれる。これらへの対応は、国及び必要に応じ市町村等において行われるべきものであり、そのために学識経験者、市町村、関係業界、消費者代表等より構成される調査会(仮称)を設置することが適当である。
   したがつて、この調査会は、① 事業者による製品等の廃棄物処理性の自己評価の実施後に生じた廃棄物の適正処理に係る問題について処理する機能をもつとともに、② 事業者における評価の円滑な実施を援助する機能をもつべきである。
   すなわち、①の機能については、当該調査会において、事業者における自己評価の実施後に生じた廃棄物の適正処理に係る問題の実態を随時調査し、事業者によつて行われた自己評価につき、その対象となつた製品等について、当該製品等に対する消費者ニーズ等を踏まえつつ、その生産・流通の形態、量、形状、性状、組成、用途、製造方法等の一般的情報及び調査審議に必要な情報の提供を求めるとともに、当該事業者を含む関係者間で情報交換及び意見交換を行い、その時点における科学的知見に基づき、事業者による自己評価内容すなわち廃棄物の処理困難性を審議し、法令に基づき、適正処理が困難か否かを判断する。その結果、例えば、適正処理が何人によつても困難と判断されれば製造等の取り止め等を行い、また、市町村にとつて適正処理が不可能ではないにしても困難と判断されれば、その内容、程度等に応じて、適切な処理の受け皿作り、技術開発、製品等の改善等につき、各関係者間の合意に立つた対策を講じていくこととなる。
   また、②の機能についての調査会の活動は、事業者による製品等の自己評価に際しての情報提供及び当該評価結果に対して助言を行うことであり、これを重点的かつ効果的に行う観点から、希望する製造業者等を対象とし、新規に製造、加工、販売等される製品等のうち、廃棄物となつた場合に、

  1.   (ア) 除去、無害化の困難な有害物質、環境汚染物質又はその原因物質を含有しているなどの主として化学的、生物学的な性状
  2.   (イ) 総重量が極めて重い、容積、体積が極めて大きい、圧縮、破砕が極めて困難であるなどの主として物理的な性状
  3.   (ウ) 爆発性を有する等の処理施設を損傷する、又は作業従事者の安全衛生を損うおそれ

  を有するものなど、その廃棄物処理性につき留意すべきものに当面限定することが適当である。
   このような調査会の活動を支えるためには、多くの新しい専門的な情報が必要とされることから、廃棄物処理に関して総合的な調査、研究、情報管理等を実施できる組織が必要である。

 (3) 財政面からの検討

   事業者による処理困難性の自己評価及び関係者による調査審議を経た製品等の廃棄物処理経費については、その評価結果又は調査結果に応じ、市町村等による手数料徴収又は一般財源としての税金徴収を中心としつつ、関係者間の合意に立つた費用負担でまかなわれるべきものである。
   なお、廃棄物の処理困難性を構成する要素の中には、処理コストが相当大きな因子となつている場合があるため、当該廃棄物の処理の財源が確保されれば、問題が解決する場合がある。したがつて、処理に困難が伴うが技術的には不可能ではなく、また、必要に応じ、事業者の協力を得つつ市町村が処理すべきものとなつた廃棄物の処理については、それが当該市町村の廃棄物処理事業上、新たな財政的負担となる場合には、事業の能率化等による財源確保を進めることはもとより、一般財源又は手数料徴収による財源確保を図る必要がある。特に、現下の地方財政事情等にかんがみ、一般財源による対応が困難ならば、手数料の徴収についても、関係者の合意の可能性を踏まえつつ、検討を行う必要がある。
   また、廃棄物の質的多様化の進展に伴い、従来の焼却、破砕などの包括的な処理方法に加え、製品単位での廃棄物の種類ごとにその特性に応じた特別な処理方法を導入することが要請されてきていることから、この観点に立つた新たな財源確保が必要となつてきている。このため、このような個々の製品等の種類に応じた廃棄物処理に要する財源確保の方式についても、新たな視点からの検討が必要である。

 (4) 技術・システム開発の推進

   有害物質、環境汚染物質を使用しない製品等の開発など、廃棄物となつた場合の処理性を高めるための技術開発及びこれらの製品等を必要としない、又はその利用を抑制するシステムの開発並びに資源化や有害物質等のリスクマネジメントなどの観点に立つた廃棄物処理システムの可能性に関する研究開発などが、国、地方公共団体、事業者等の各層において進められるべきである。
   特に、廃棄物処理の実務を担当する市町村における研究体制は、現状では皆無に等しく、処理困難性の評価、処理対策の検討等のいずれにおいても実施体制に欠ける部分が大きい。このため市町村の立場での全国的な研究機関の整備が緊要であり、早急に取り組む必要がある。

 (5) 既存の製品等に係る廃棄物に関する当面の措置

   既存の製品等に係る廃棄物については、前述の調査会における調査審議の対象となりうるものであるが、現在、処理が困難な廃棄物として社会的に議論されている二、三の例につき、現実的な対応の可能性を勘案しつつ、当面の措置を示すと以下のようになる。なお、その具体策については、一層の検討が必要である。
   また、これら以外の同様の廃棄物についても、関係者の合意に立つた適切な対策が実施されるべきである。なお、これらの廃棄物の適正な処理が不可能となつた場合においてはその回収等が必要となるので、その場合のルール作りも進められるべきである。

  1.   ア 使用済み乾電池対策
        使用済み乾電池の対策については、全国の市町村及び総人口の約7割が、分別等を実施済み又は計画中であるが、その処理は、ほとんどが保管にとどまつており、その適正な処理について、消費者、販売業者、製造業者及び市町村、国等関係者の責務と役割を踏まえた上で、効果的な対策を可及的速やかに講じる必要がある。
  2.   イ 廃家電製品対策
        家電製品のうち、特に大型のものについては、収集・運搬上の困難性、埋立容積の大きさ、埋立地盤の非安定性等が廃棄物処理上の問題と考えられる。これらについては、製品自体又はその部品が再利用可能である場合が多く、安全性に配慮しつつ、資源化・再利用のルートに乗せることが、現にある程度行われているように効果的である。
        このような廃家電製品については、国、市町村、再生資源業者、家電製品業界等が、それぞれの立場で、最も効果的かつ安全に資源化・再利用を進められる方法を検討すべきである。
        また、資源化・再利用になじまないものについても、その廃棄物としての発生の頻度、場所、処理のために要する施設等を勘案し、必要に応じ広域的な処理体制を構成する必要がある。
  3.   ウ プラスチックごみ対策
        プラスチックごみは、廃棄物処理上、焼却炉の損傷、排ガス問題、収集効率の低下等が問題とされる。今後とも、プラスチック利用に伴う消費者の便益の確保との調和を図りつつ、関係者は、意見交換を行い、市町村を中心とするプラスチックごみの処理・資源化体制の整備、プラスチックごみの排出抑制等、プラスチックごみの処理・資源化技術の開発、散乱防止について、各自の立場で努力する必要がある。
  4.   エ 卓上ガスボンベ等
        卓上ガスボンベ等は、それが他の廃棄物とともに、焼却処理、破砕処理等を行われた場合に、爆発して作業従事者の安全衛生を損なつたり、処理施設を損傷するおそれを有している。
        したがつて、爆発しない状態にしてから他の廃棄物とともに排出されるが、他の廃棄物とは分けられて処理(資源化回収を含む。)されなければならない。
        排出段階での穴あけ等による非爆発物化については、その作業面での安全性等からその実施には、自ずから限界があるものと思われるが、なお製品の構造や表示方法の改善、普及啓発活動の徹底等を検討すべきである。このため、国、市町村、製造業者、販売業者間等で早急に協議を進めるべきである。
 (6) その他

   処理が不可能ではないとしても困難を伴うような廃棄物については、先述のように、その処理困難性の評価に立ち、関係者の合意により対策を推進することとなるが、場合によつては、既存の廃棄物処理体系では現在のところあまり採用されていないシステムの採用についても積極的に検討されるべきである。例えば、資源性が大きい等の廃棄物については、その回収性を高めるための経済的なインセンティブ等についても検討する必要があろう。

  生活環境審議会答申(抄)

(昭和58年11月)

3 今後の廃棄物処理行政の基本的方策

  1.  ② 基本的方策
    1.   1) 適正処理の推進
      1.    ② 処理が困難な廃棄物対策
             近年、排出される廃棄物が多様化し、処理施設を損傷する可能性のある廃棄物又は作業従事者の安全衛生を損なう可能性のある廃棄物、除去・無害化が困難な有害性物質等を含む廃棄物等、その性状、排出量、排出形態等によつては、現行の処理施設・システムでは処理が困難な廃棄物が出現してきている。
             このような廃棄物の処理技術・システムの開発を推進するとともに、処理困難性の尺度の設定方法、処理困難性の評価、関係者の役割分担等を明確にしつつ、その処理の在り方を検討すべきである。
             また、市町村における処理が困難であり、生産者等における処理が適当な廃棄物については、代替品の利用及び使用、排出の抑制のほか、例えば広域的な回収・処理体制についても検討すべきである。

  使用済み乾電池対策の基本的方向について

1 使用済み乾電池問題と事業者及び市町村の対応状況

  使用済み乾電池は、他のごみと一緒に処理しても、環境保全上、現在直ちに問題となる状況にあるとは認められないが、水銀含有量の多いアルカリ乾電池の消費量の増大等により、ごみの中に含まれる水銀の量が増大し、焼却、埋立というごみ処理の過程で水銀による環境汚染が惹起されるのではないかという指摘があり、国民の間に不安が生じた。
  その結果、環境保全に係る各種の規制に適合しているにもかかわらず、施設整備に対する理解と協力を得ることに多くの困難が生ずるなど、市町村のごみ処理事業の円滑な推進に支障を生じつつある。
  また、国民のより快適な環境、より安全で安心できる生活環境を求めるニーズの高まりを背景に、水銀などの有害物質の環境への排出を抑制する方向を指向すべきであるとの考えが、これを加速するとともに、使用済み乾電池の処理に要する費用の負担を生産、利用、流通に関与する事業者に求める声も増大しつつある。
  このような問題に対処するため、乾電池の製造業者は、将来における環境汚染の未然防止の観点から、水銀電池を対象として、その回収、処理を行うとともに、水銀電池の新規の用途への使用を抑制し、また水銀含有量の多いアルカリ乾電池(大部分は筒形)に含有される水銀量を1/3に削減するための研究を実施してきている。水銀電池の回収、処理は、販売量の15%と低い状況にあり、当初の見通しどおりに推移していないが、いわゆる低水銀のアルカリ乾電池の開発は、極めて順調に進んでおり、既に当初の1/2は達成され、当初目標とした1/3の水銀含有量の乾電池も既に発売されている。さらに、水銀含有量の低減化へ向けての実用化の研究を推進している。また、販売業者は、製造業者が行う水銀電池の回収の実行者として協力をしてきている。
  一方、市町村においては、昭和58年秋以降、使用済み乾電池を一般のごみと別途に取り扱うところが増加してきており、その状況は下表のとおりとなつている。

  表 市町村における対策実施状況
昭和59年9月現在
1 対策実施市町村数
2,186
67.2%
2 対策実施市町村数 人口(千人)
81,801
68.7%
3 対策開始時期
1 58年7月以前
(市町村数) 50
2%
2 58年8月~59年3月
293
13%
3 59年4月以降
1,278
59%
4 計画中(1年以内)
565
26%
4 対策の内容(複数回答)
分別
排出時
排出後
1 分別収集
(市町村数) 1,273
58%
2 回収箱設置
877
40%
3 報償金
10
1%
4 収集後選別
328
15%
その他
5 その他
27
1%
5 分別後の処理処分方法
1 保管
(市町村数) 1,964
90%
2 水銀回収工場へ搬入
105
5%
3 コンクリート固化
47
2%
4 その他
63
3%


  この対策は、筒形乾電池のすべてを対象とし、水銀含有量の多いアルカリ乾電池のみでなく、水銀含有量が極めて低いマンガン乾電池もその対象としている。
  市町村における現在までの対策では、回収率は概して高くなく、また回収した乾電池も保管しているものが多い。これは、多分に緊急的に開始されたことによるとともに、一般国民が要求する対策は有害物質をできる限り少なくする方向であるが、現状の水銀排出量を抑制することが環境保全上絶対的に必要であるかどうか、市民生活や事業活動における乾電池の有用性と普及の状況を踏まえつつ、より快適な環境の創出等の観点から水銀の環境への排出量の削減についての努力をどこまでするべきであるか、また、その努力を市町村のみが行うべきものであるかどうかといつた問題が背景となつて、市町村としては、その努力につき、ある種のためらいを持たざるを得ない状況にあるためである。また、国内における使用済み乾電池の処理施設の現状は、一部で体制の整備が図られているが、問題の拡大が急速であつたため、十分な状況とはなつていない。

2 使用済み乾電池対策に関する基本的考え方

  現在の水銀問題に対する世論の動向及び今後の市町村及び事業者における対応などを踏まえつつ、使用済み乾電池対策に関する基本的な考え方をまとめることとする。
  使用済み乾電池の問題に関する今後の動向は、次のように推移するものと考えられる。

  1.  ア 廃棄物処理を通じて有害物質が環境へ排出されることをできる限り抑制すべきであるとの考えは、より快適かつより安全な生活環境に対する社会的なニーズの高まりを背景に、今後益々強まるものと予想される。このため、有害物質を含む製品の有用性を勘案しつつ、できる限りその使用を抑制することや、廃棄物という複合物質を扱う市町村廃棄物処理事業において、有害物質対策に取り組むことが今まで以上に求められると考えられる。
  2.  イ アルカリ乾電池中の水銀含有量は、本年6月以降には、昭和58年当時の1/3となり、その後も水銀含有量の低減化の努力が行われている。その結果、乾電池の消費速度が現状と同様に推移すると考えても、アルカリ乾電池に使用される総水銀が、現状のレベルに至るには相当の期間を要するものと考えられる。
  3.  ウ 補聴器に関しては、空気亜鉛電池の普及、あるいは水銀電池以外の電池の活用研究が実施されるとともに、水銀電池の使用抑制及び回収の確実なルート作り等が行われる。
  4.  エ 使用済み筒形乾電池の分別収集を行う市町村のうち、低水銀含有アルカリ乾電池の普及により、その分別収集を取り止める市町村が出現することが予想される。
  5.  オ 個々の市町村における使用済み乾電池の発生量が少ないため、市町村ごとに処理することは効率性の観点から適切でなく、広域的な対応が求められる。
  6.  カ 市町村が行う回収、処理については、関係者の役割分担の明確化が求められる。このような動向を踏まえつつ、かつ、市町村廃棄物処理事業が市町村の判断によつて行われることを勘案し、使用済み乾電池対策については次のような基本的な考え方で取り組むべきである。
    1.   (1) 一般廃棄物中に含有される使用済み乾電池は、他のごみと合わせて処理しても、一般廃棄物処理施設からの排出水中の水銀は廃棄物処理法及び水質汚濁防止法によつて既に規制されていること、また、ごみ焼却施設からの排ガス中の水銀濃度は現在の一般環境大気中の水銀濃度及び当該排ガスの大気拡散からみて特に問題となる状況ではないことから、生活環境保全上支障ない。また、アルカリ乾電池中の水銀含有量は急速に低減化する方向にあること、及びボタン形水銀電池の回収・処理が実施されていることなどから、このことは一層確保される見通しである。したがつて、生活環境保全の観点からは、現行法制度の遵守が図られれば、特段の措置を講ずる必要性は認められない。
    2.   (2) より快適かつより安全な生活環境を求める社会的なニーズの高まりに対応するため、関係者がそれぞれの考えでこれに可能な範囲で取り組むことが求められるが、この場合においては、乾電池の有用性や普及の状況を踏まえつつ、関係者において実施可能かつ合理的な対策でなければならない。この観点から、アルカリ乾電池中の水銀含有量の低減化等、ごみ中の水銀含有量を低減することを基本とする事業者における措置が、現行廃棄物処理法の趣旨に照らし、また効率性の観点から、最も妥当であると考えられる。
    3.   (3) 多くの市町村において、各種の事由により、筒形乾電池の分別回収等の措置が講じられてきた事情は理解されるが、今後は(2)の事業者における措置を踏まえた上で、市町村は分別回収等の実施の必要性を自主的に判断し、当該市町村が必要に応じて講ずる措置は当該市町村の責任の下で行われるものと理解すべきである。
    4.   (4) 事業者における実施可能な措置が講じられるまでの間において講じられる市町村の措置は、経過的なものとして理解すべきである。
3 今後講ずべき措置
 (1) 乾電池中の水銀含有量の低減化等の推進

   使用済み乾電池対策の基本として、事業者において次の措置を講ずるものとする。

  1.   ア 水銀電池等の回収強化
        水銀電池の回収率が15%程度と低いため、市町村等の協力を得つつ普及啓発活動を強化し、回収率を向上させるものとする。また、水銀電池の新規用途の拡大は厳に行わず、特に乾電池の使用機器の設計・製造に当たつて、この点に留意するものとする。
        また、水銀電池の代替電池の開発を推進するとともに、代替電池への切り替えを推進する方向で努力するものとする。
  2.   イ アルカリ乾電池の水銀含有量の低減化
        アルカリ乾電池の水銀含有量の低減化については、昭和59年12月末に従来の1/2の水銀含有量のものが開発され、また、本年6月には従来の1/3の水銀含有量のものが販売されており、事業者における当初の努力目標は達成できた。
        今後、従来の1/3の水銀含有量のアルカリ乾電池をできる限り速やかに普及させるとともに、実施可能なレベルとして昭和62年秋頃を目途にアルカリ乾電池の水銀含有量を従来のものの1/6とすることに努めるものとする。
  3.   ウ アルカリ乾電池の識別の容易化
        事業者は、アルカリ乾電池につき、他の乾電池と識別できるよう色分け等に努めるものとする。
 (2) 使用済みアルカリ乾電池等の広域的な回収・処理の実施

   使用済み乾電池の水銀による生活環境保全上の問題は、現状においても、また、事業者が講ずる措置により将来においても、生じないものと考えられるので、環境汚染の防止という観点から、市町村において特段の措置を講ずる必要はない。しかし、より快適かつより安全な生活環境を求める社会的なニーズに対し、関係者がそれぞれの考えで自主的にこれに取り組むことが求められるが、いわゆる発生源対策として実施する(1)の事業者における措置が最も妥当なものと考えられるので、市町村においては、当該市町村の考えによつて、かつ、当該市町村の責任の下で必要に応じて取り組む場合には、これを十分踏まえる必要がある。
   なお、廃棄物処理事業の円滑な推進等種々の事由によつて、多くの市町村が筒形乾電池の回収等の措置を講じてきた事情を勘案し、事業者における措置が実現するまでの間の経過的措置として、これらの市町村においては次のような措置を講ずるものとする。

  1.   ア 使用済みアルカリ乾電池等の広域的回収・処理体制の整備
        回収された使用済みアルカリ乾電池等は、当該市町村がその処理・処分に当たることを基本とし、処理の効率性、確実性及び資源化の観点から、市町村において広域的な回収・処理体制を整備するものとする。具体的には、回収・処理の実施については、市民、販売業者等の協力を得て市町村が乾電池を分別収集し、収集した乾電池を水銀を回収する方法又はコンクリート固型化する方法によつて広域的に処理する。処理の実施は、既存の水銀又は水銀化合物製造業者、非鉄金属再生業者、廃棄物処理業者などの施設、技術力を利用し、これを広域的な回収・処理センターとする。この回収・処理センターは、乾電池の輸送費及び処理のスケールメリット等の面から、回収量に留意しつつ、全国的なものとして数か所とすることが妥当である。
  2.   イ 広域的な回収・処理の推進のための組織的対応
        アの広域的な回収・処理の推進は、個々の市町村の努力では多くの困難を伴うので、国の強力な指導の下、市町村が共同で対応する必要がある。このため、広域的な回収・処理の振興を目的とし、市町村を中心とする全国的な組織体制を整備するものとする。
  3.   ウ 事業者等の積極的な協力
        市民及び販売店は役務を提供することを通じて、市町村が行う広域的な回収・処理に積極的に協力し、製造業者は、ア及びイについて、財政的な側面から協力を行うものとする。
 (3) 水銀等の排出に関するモニタリングの強化

   一般廃棄物の処理に伴つて環境へ排出される水銀等の動向を把握するため、市町村においては、一般廃棄物中の乾電池並びに一般廃棄物処理施設からの排出水及び排ガスに含有される水銀等についてのモニタリングの実施を一層強化するものとする。

 (4) 関係者間における連絡調整の実施

   国においては、事業者及び市町村において講ずる措置に関する連絡調整が図られるよう必要な措置を講ずるものとする。

  生活環境審議会廃棄物処理部会適正処理専門委員会委員名簿
委員氏名
所属
備考
石田嘉堆
広島市環境事業局長
 
大隅周一郎
大阪市環境事業局長
60.4.1~
木村辰雄
東京都清掃局長
 
草刈隆
兵庫県保健環境部長
 
佐藤真也
(社)日本乾電池工業会専務理事
 
島田昭三
大阪市環境事業局長
~60.3.31
末石冨太郎
大阪大学工学部教授
 
田島義博
学習院大学経済学部教授
 
中津喜三郎
全日本自治団体労働組合大阪府本部副執行委員長
 
野村好弘
東京都立大学法学部教授
 
平山直道
東京都立大学工学部長
 
藤田賢二
東京大学工学部教授
 
藤本和男
(財)家電製品協会専務理事
 
本永秀彦
(社)プラスチック処理促進協会専務理事
 
森本三男
青山学院大学国際政治経済学部教授
 
山中和
環境衛生金融公庫理事
委員長

  ごみ処理に伴う水銀問題について

〔昭和60年7月〕
〔厚生省生活衛生局水道環境部環境整備課〕

  目次

  1. 1 廃棄物処理施設における水銀対策のしくみ
    1.  (1) 廃棄物処理施設からの水銀に係る排出基準等
    2.  (2) 水銀に関する環境基準等
  2. 2 廃棄物処理施設からの排出実態
    1.  (1) 総水銀
      1.   ア 焼却施設
        1.    (ア) 排ガス中の総水銀濃度
        2.    (イ) 焼却灰中の総水銀濃度
        3.    (ウ) 集じん灰中の総水銀濃度
      2.   イ 最終処分場
        1.    (ア) 放流水中の総水銀濃度
        2.    (イ) 浸出液中の総水銀濃度
        3.    (ウ) 埋立地表土中の総水銀濃度
    2.  (2) 有機水銀
  3. 3 廃棄物処理施設周辺等の環境実態
    1.  (1) 大気質
    2.  (2) 水質
      1.   ア 一般廃棄物最終処分場周辺地下水中の水銀濃度
      2.   イ 公共用水域の水銀測定結果
  4. 4 評価と考察
    1.  (1) 大気質
    2.  (2) 水質
    3.  (3) 土壌
  5. 5 まとめ

 (注) 参考文献等

1 廃棄物処理施設における水銀対策のしくみ
 (1) 廃棄物処理施設からの水銀に係る排出基準等

   家庭等において使用された乾電池は、主として市町村の行う一般廃棄物処理事業において、ごみとして処理されてきた。
   ごみの収集、運搬、処理、処分に当たつては、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(以下「廃棄物処理法」という。)等に定める基準に従うこととされている。
   使用済み乾電池を含むごみの流れは、大別すると

  1.   (ア) 収集 → 焼却処理 → (残さ) → 埋立
  2.   (イ) 収集 → 埋立

  のいずれかである。
   ごみの焼却処理施設からの排出水については、水質汚濁防止法の規制を受け、水銀については
   水銀及びアルキル水銀その他の水銀化合物......0.005mg/1
   アルキル水銀化合物......検出されないこと(定量限界0.0005mg/1)
  の基準値が定められている。
   埋立は、周辺環境の汚染を生じないよう、最終処分場において行うように定められ、そこからの浸出液については、廃棄物処理法において、前出の水質汚濁防止法と同じ基準値を満たすよう、浸出液処理設備により汚濁物質を除去することが求められている。
   さらに、埋立について、廃棄物処理法では、公共用水域及び地下水の汚染を防止するため、しや水工等の措置を講ずるものとされており、廃棄物の飛散・流出を防止するため覆土を行うものとされている。
   ごみ焼却施設からの排ガスについては、大気汚染防止法の規制を受けているが、現在、水銀は規制項目に入つていない。これについて、環境庁は、一般環境大気中の水銀濃度についての現在までの測定値からみて、規制措置を講ずる段階には至つていないとの判断を示している。

 (2) 水銀に関する環境基準等

   水銀に関する環境基準は、「水質汚濁に係る環境基準」においてのみ定められており、総水銀は0.0005mg/1以下、アルキル水銀化合物は検出されないこと(定量限界0.0005mg/1)となつている。
   大気中の水銀濃度については、WHO(世界保健機関)が、環境保健クライテリアにおける一般環境濃度のガイドラインとして15μg/m3の値を定めている(注1)。
   なお、土壌中の水銀濃度については、環境基準等はない。

2 廃棄物処理施設からの排出実態
  1.  (1) 総水銀
    1.   ア 焼却施設
      1.    (ア) 排ガス中の総水銀濃度
             厚生省が昭和59年度に実施した測定(以下「厚生省調査」という。)(注2))結果では、30施設の排ガスについて、濃度範囲は20~300μg/Nm3(平均120μg/Nm3)である。
             ごみ焼却施設の排ガス中に含まれる総水銀濃度については、過去にいくつかの測定値が公表されている(表1)。
             これらは、試料採取方法、分析方法等がまちまちなので一概に比較することは困難だが、濃度範囲は、十数μg/Nm3~数百μg/Nm3である。
                 表1 ごみ焼却施設排ガス中の総水銀濃度測定例
        濃度範囲(μg/Nm3)
        試料数
        平均濃度(μg/Nm3)
        出典
        230
        1
        230
        佐藤ら(1976)(注3)
        16~130
        4
        59
        松下ら(1982)(注4)
         
        4
        190
           
        岩崎ら(1982)(注5)
         
        4
        150
         
        3
        600
         
        3
        450
         
        3
        380
           
         
        4
        270
           
        谷川ら(1983)(注6)
         
        4
        350
         
        4
        380
           
        20~450
        9
        273
        安田ら(1983)(注7)
        50~150
           
        岩崎ら(1983)(注8)
        60~140
        4
        90
        塚田ら(1984)(注9)
        50~390
        78
        178
        都清掃局(1985)(注10)
      2.    (イ) 焼却灰中の総水銀濃度
             ごみ焼却施設の焼却灰(bottom ash)中に含まれる総水銀濃度についての厚生省調査結果では、31施設について、濃度範囲は4~12,000μg/乾kg(平均930μg/乾kg)である。
             また、田中らによる測定値は5,398.5μg/乾kg(注11)及び101~349μg/乾kg(注12)である。
      3.    (ウ) 集じん灰中の総水銀濃度
             ごみ焼却施設の燃焼ガス中のばいじん(fly ash)を集じん器で集めたもの(集じん灰)の中に含まれる総水銀濃度についての厚生省調査結果では、33施設について、濃度範囲は230~15,000μg/乾kg(平均4,900μg/乾kg)である。
             また、岩崎らによる測定値は690~6,500μg/乾kg(注5)であり、田中らによる測定値は3,068.5μg/乾kg(注11)及び1,100μg/乾kg(注12)である。
    2.   イ 最終処分場
      1.    (ア) 放流水中の総水銀濃度
             厚生省調査結果では、16施設の浸出液処理設備からの放流水のいずれからも総水銀は検出されていない(定量限界0.5μg/1)。
      2.    (イ) 浸出液中の総水銀濃度
             厚生省調査結果では、16施設の浸出液のいずれからも総水銀は検出されていない(定量限界0.5μg/1)。
      3.    (ウ) 埋立地表土中の総水銀濃度
             厚生省調査結果では、17施設の埋立地表土について、濃度範囲は8~1,400μg/乾kg(0.008~1.4ppm)、平均濃度は310μg/乾kg(0.31ppm)である(注13)。
  2.  (2) 有機水銀
       (1)の厚生省調査においては、焼却施設関係では焼却灰及び集じん灰、最終処分場関係では放流水、浸出液、地下水及び表土の約1割の試料について有機水銀を測定しているが、その結果を表2に示す。
      表2 一般廃棄物処理における有機水銀濃度
    項目
    焼却施設
    最終処分場
    試料
    焼却灰
    μg/乾kg
    集じん灰
    μg/乾kg
    放流水
    μg/1
    浸出液
    μg/1
    地下水
    μg/1
    表土
    μg/乾kg
    試料数
    3
    4
    2
    2
    2
    2
    総水銀
    180―280
    270―6,600
    ND
    ND
    ND
    160~790
    有機水銀
    ND
    ND―2.3
    ND
    ND
    ND
    ND

       これによると、焼却施設からの集じん灰の1試料において2.3μg/乾kgが検出された以外は、いずれも検出されていない(定量限界は、水質については0.5μg/1、その他については2μg/乾kg)。
3 廃棄物処理施設周辺等の環境実態
 (1) 大気質

   安田(注14)は、焼却施設から0.83~4.66kmの地点における総水銀濃度の範囲は0.003~0.0086μg/m3であると報告しており、伊瀬ら(注15)は、焼却施設から約150~830mの地点において測定した結果、風下で最高0.003μg/m3程度の濃度の上昇が認められ、ごみ焼却施設の寄与を裏付けているとしている。
   また、環境庁が昭和57年度に全国185地点で実施した一般環境大気中の水銀濃度は表3のとおりであり(注16)、その濃度範囲はND~0.32μg/m3である(定量限界は、おおむね0.001~0.002μg/m3)。なお、この調査結果では、全データと、ごみ焼却施設が5km以内に存在している地点のデータは、いずれも同程度のレベルであつたとされている。

  表3 水銀の季節別・地域別測定値の範囲
(測定値の単位:μg/m3)
物資
季節
地域別
全地域
工場地帯近傍
大都市地域
中小都市地域
田園地域
項目
水銀
検体数
921
285
277
289
70
測定値の範囲
ND―0.320
ND―0.181
ND―0.320
ND―0.220
ND―0.012
中央値(μg/m3)
0.003
0.003
0.003
0.002
0.002
平均値(μg/m3)
0.0054
0.0066
0.0056
0.0048
0.0027
検体数
915
281
278
286
70
測定値の範囲
ND―0.047
ND―0.031
ND―0.032
ND―0.047
ND―0.013
中央値(μg/m3)
0.002
0.002
0.002
0.002
0.002
平均値(μg/m3)
0.0030
0.0032
0.0031
0.0029
0.0025

 環境庁;有害物質全国総点検調査結果報告書(注16)より
  (2) 水質
  1.    ア 一般廃棄物最終処分場周辺地下水中の水銀濃度
         厚生省調査結果では、9施設について総水銀、有機水銀のいずれも検出されていない。
  2.    イ 公共用水域の水銀測定結果
         環境庁は、毎年度、全国の都道府県等が実施した公共用水域の水質測定結果を集計、公表(注17)しているが、水銀については表4に示すとおりであり、近年すべての地点において環境基準が達成されている。
      表4 公共用水域における総水銀の環境基準の達成状況の推移
    調査年度
    調査検体数
    0.0005mg/1を越える検体数
    環境基準を越える検体数
    49年度
    25,901
    50
    0
    50年度
    29,879
    74
    0
    51年度
    30,091
    56
    0
    52年度
    30,997
    54
    0
    53年度
    31,467
    43
    0
    54年度
    30,341
    25
    0
    55年度
    31,157
    21
    0
    56年度
    31,023
    29
    0
    57年度
    30,930
    18
    0
    58年度
    29,978
    13
    0

 環境庁;昭和58年度公共用水域水質測定結果について(注17)より
4 評価と考察
 (1) 大気質

   3(1)に記したとおり、焼却施設周辺及び一般環境大気中の水銀濃度は、おおむね0.01μg/m3以下であるが、これはWHOの環境保健クライテリアにおける一般環境濃度のガイドライン値15μg/m3に対し、その1,500分の1以下となり、十分安全な値である。なお、3(1)に記した焼却施設周辺及び一般環境大気中の水銀濃度の最高値(0.32μg/m3)についても、このガイドライン値の約47分の1であり、安全な値である。

 (2) 水質

   2(1)イ、2(2)及び3(2)に記したとおり、浸出液処理後の放流水、周辺地下水のいずれにおいても水銀は検出されず、しかも、処理前の浸出液もすべて排出基準値を満足(大部分は、検出されず。)しており、水質汚濁については特段の問題は生じていない。

 (3) 土壌

   先述のように、土壌中の水銀濃度については、環境基準等の評価尺度がないので、他の土壌中の水銀濃度と比較することとする。
   土壌中の水銀含有量は、降水量、pH、腐植土の濃度等の要因に支配されている。我が国の土壌中の水銀含有量については、昭和48年に、日本全国の一般地域土壌を選んで水銀分析したものがあり、その結果は表5のとおりである(注18)。

  表5 日本における一般地域土壌中の水銀含有量※
(Hgとして)
土壌など
検体数
範囲(ppm)
平均(ppm)
96
ND~5.4
0.33
樹園土壌
89
ND~1.8
0.28
山林原野土
85
ND~4.8
0.18
水田土壌
199
ND~2.9
0.33

 藤井による(注18)
  • ※都道府県それぞれ2~4地区(一般地域)を選定、土壌1kgを採取混合検体について水銀分析(乾重量)したもの。本調査は昭和48年度のものである。
       また、昭和47年に長野県において行われた調査結果(注19)を表6に示す。
  表6 長野県下土壌別水銀含有量調査結果※
(乾重量)
土壌区分
検体数
表層中水銀(ppm)(平均)
下層中水銀(ppm)(平均)
水田
43
0.056~0.59(0.27)
0.033~0.48(0.16)
61
0.065~1.82(0.24)
0.011~1.24(0.16)
果樹園
8
0.12~0.44(0.27)
0.012~0.24(0.12)
山林
32
0.028~0.27(0.15)
0.020~0.28(0.097)
原野
15
0.074~0.43(0.17)
0.016~0.21(0.10)
 長瀬らによる(注19)
  • ※県下、5万分の1地図分割1~3点を選び土壌採取分析したもの。
      表層(0~5cm)、下層(30~40cm)の採取点は一致している。
       2(1)イ(ウ)に記したとおり、今回の厚生省調査結果では、埋立地表土中の水銀濃度は、その大部分がppmオーダー以下であるとともに、最大値が1.4ppmであり、表5~6に照らして有意の差があるとは認められない。
5 まとめ

  ごみ処理に伴う大気系及び水系における水銀については、焼却施設及び最終処分場における排水基準の遵守、最終処分場におけるしや水対策等により、現時点において環境汚染等の問題はなく、また、最終処分場の表土についても、現在、その水銀濃度は自然環境における水銀濃度と比較して、特段問題となるものではないと思われる。さらに、アルカリ乾電池中の水銀含有量の低減、ボタン形水銀電池の回収・処理により、このことは一層確保されると思われる。
  以上を踏まえつつ、ごみ処理に伴う水銀汚染を防止するためには、覆土の実施、一般廃棄物処理施設からの排出水の処理等に当たつて、廃棄物処理法等に基づく諸基準を遵守するとともに、最終処分場における水銀汚染対策の一環として、必要に応じ、その覆土中の水銀についてモニタリングを実施することが適当である。

 (注) 参考文献等
  1.   (1) WHO;Environmental Health Criteria 1、Mercury、P.121、(1976)
  2.   (2) このデータは、「微量有害物質環境汚染緊急実態調査」の水銀関係部分を取り急ぎまとめたものである。
  3.   (3) 佐藤民雄、栗田秀実;固定発生源から排出されるばいじん中の金属成分、長野県衛生公害研究所研究報告、1、P.70~73、(1976)
  4.   (4) 松下数男、伊藤泰治、伊藤俊、児玉学;廃棄物焼却炉から排出される重金属について、第23回大気汚染学会講演要旨集、P.283、(1982)
  5.   (5) 岩崎好陽、中浦久雄、谷川昇、矢島恒広、石黒辰吉;清掃工場における乾式HCI除去対策について、東京都公害研究所年報、P.3~9、(1982)
  6.   (6) 谷川昇、岩崎好陽、中浦久雄、泉川碩雄、朝来野国彦;流動床式都市ごみ焼却炉から排出される大気汚染物質、第24回大気汚染学会講演要旨集、P.571(1983)
  7.   (7) 安田憲二、大塚幸雄、金子幹宏;廃棄物の焼却に伴う重金属の排出挙動(Ⅰ)、大気汚染学会誌、18(3)、P.221~225、(1983)
  8.   (8) 岩崎好陽、中浦久雄、谷川昇、朝来野国彦;ゴミ焼却炉からの水銀の連続測定結果について、第24回大気汚染学会講演要旨集、P.570、(1983)
  9.   (9) 塚田進、前川徳昭;ごみ焼却炉から排出される重金属について、第25回大気汚染学会講演要旨集、P.607、(1984)
  10.   (10) 東京都清掃局、清掃工場排ガス中の水銀3月測定分(7工場)の結果について、(参考)測定結果一覧表、(1985.5.27)
  11.   (11) 田中勝、池口孝、竹下隆三、花嶋正孝、山崎惟義、松藤康司;廃棄物の処理・処分に伴う微量有害物質の挙動に関する研究、環境保全研究成果集、環境庁企画調整局研究調整課、(1983)
  12.   (12) 田中勝、池口孝、竹下隆三、花嶋正孝、山崎惟義、松藤康司;廃棄物の処理・処分に伴う微量有害物質の挙動に関する研究、環境保全研究成果集、環境庁企画調整局研究調整課、(1984)
  13.   (13) 当初測定結果における最高値(3,800μg/乾kg)については、他のデータに比べ異常に高かつたので、再検査を行い、その結果(270μg/乾kg)に置き換えている。
  14.   (14) 安田憲二;都市ごみ焼却場周辺における大気中の水銀濃度について、第25回大気汚染学会講演要旨集、P.252、(1984)
  15.   (15) 伊瀬洋昭、渡辺武春、小野塚春吉、朝来野国彦;大気中水銀の分布と動態に関する調査(1)、東京都公害研究所年報、P.57~64、(1984)
  16.   (16) 環境庁大気保全局大気規制課;有害物質全国総点検調査結果報告書、P.10、(1984.3)
  17.   (17) 環境庁水質保全局;昭和58年度公共用水域水質測定結果について、(1984.12)
  18.   (18) 藤井正美;地園、水園および気圏中の水銀の分布、水銀、P.113、講談社(1976)
  19.   (19) 長瀬叶彦他;長野県衛公研調査研究報告、NO.113、(1973)
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