法令・告示・通達

浄化槽法の施行について

公布日:昭和60年09月27日
衛環137号

(各都道府県知事・各政令市市長あて厚生省生活衛生局水道環境部長通知)

 浄化槽法(昭和五八年法律第四三号。以下「法」という。)の施行については、別途厚生省生衛第五一七号事務次官通知により指示されたところであるが、なお、左記事項に留意の上、運用に当たつては遺憾のないようにされたい。

1 浄化槽の定義

  1.  (1) 本法における浄化槽には、専らし尿を処理する単独処理浄化槽のみならず、し尿と併せて生活系雑排水を処理する合併処理浄化槽も含まれるが、公共下水道、流域下水道及び一般廃棄物処理計画に従つて市町村が設置するし尿処理施設(いわゆる地域し尿処理施設を含む。)は、それぞれ下水道法又は廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「廃掃法」という。)の適用を受けるので、浄化槽には含まれないものであることに留意されたいこと。
  2.  (2) 本法における浄化槽の定義は、本法の適用対象として必要な範囲で定めたものであるので、本法施行後においても浄化槽法以外の法律等に「し尿浄化槽」、「屎尿浄化槽」の用語は残るが、それぞれ従来どおりの概念で理解されるものであること。

2 浄化槽の設置

  1.  (1) 浄化槽の設置で建築主事への確認申請を必要としない場合は、従来どおり都道府県知事(保健所設置市にあつては市長とする。6(3)におけるものを除き、以下同じ。)に届け出るとともに、構造面の適正を確保するため、新たに当該都道府県知事を経由して特定行政庁に届け出なければならないこととされ、浄化槽の設置に関し、都道府県知事及び特定行政庁間の連携が強化されることになり、建築確認の際の建築基準法第九三条の規定と合わせて、都道府県知事と特定行政庁間の相互の連携を一層密にして、届出が確実になるよう努められたいこと。
  2.  (2) 前記届出を受理した場合において、都道府県知事は、生活環境の保全及び公衆衛生の向上の観点から改善の必要があると認めるときは必要な勧告を、また、特定行政庁は、浄化槽の構造が関係法令に適合していないと認めるときは計画の変更又は廃止の命令を、それぞれ届出受理の日から二一日(建設大臣の型式認定を受けた浄化槽にあつては一〇日)以内に行うことができることとされたので、届出内容を審査の上、適宜所要の措置を速やかに講じられたいこと。
  3.  (3) 従来、浄化槽の設置工事が適切に行われないため生活環境の保全及び公衆衛生上の障害となる例がみられたので、浄化槽工事については、追つて制定予定の厚生省・建設省令で定められる浄化槽工事の技術上の基準に従つて行われなければならないとされるとともに、設置工事の適否及び浄化槽の機能状況を確認するため、浄化槽の使用開始後六月を経過した日から二月以内に指定検査機関による水質に関する検査を受けなければならないこととされたので、周知徹底を図られたいこと。

3 浄化槽管理者の義務

  1.  (1) 浄化槽の維持管理の適正を期すため、浄化槽管理者には、前記2(3)の設置後等の水質検査の受検のほか、保守点検及び清掃の実施、水質に関する定期検査の受検、技術管理者の配置等の義務が課せられることになつたので、その周知徹底を図るとともに、必要があると認めるときは、助言、指導、勧告、改善措置命令等適宜必要な措置を講じ、適正な維持管理が行われるよう万全を期せられたいこと。
  2.  (2) 保守点検については条例に基づき登録を受けた保守点検業者又は浄化槽管理士に、清掃については浄化槽清掃業者に委託することができるとされたので、前記の保守点検及び清掃の実施に関する義務を浄化槽管理者が自ら行うことが困難な場合は、これらの者に委託し、技術上の基準に従つて、かつ、所要の回数保守点検及び清掃が行われるよう指導されたいこと。
  3.  (3) 技術管理者を置くべき浄化槽の規模が処理対象人員五〇一人以上とされたのは、廃掃法の考え方が踏襲されたものであるが、保守点検に関する国家資格として浄化槽管理士制度が創設されたことにかんがみ、技術管理者の資格については、浄化槽管理士であり、かつ、厚生大臣認定の講習会を修了していることとされ、廃掃法第二一条の技術管理者の資格とは異なるものとされたこと。ただし、制度の円滑な移行が図られるよう、廃掃法上の技術管理者資格について所要の経過措置が設けられているので留意するとともに、経過措置の所定の期間内に本法に基づく技術管理者の資格取得が図られるよう指導されたいこと。

4 浄化槽の保守点検

  都道府県は、条例で浄化槽の保守点検を業とする者の登録制度を設けることができることとされ、既に条例の準則を示したところであるので、地域の実情を勘案しつつ、これに準拠し、条例を制定されたいこと。

5 浄化槽の清掃

  1.  (1) 浄化槽清掃業については、従来どおり市町村長の許可制とするものとし、その許可基準、許可申請手続き等についてもほぼ従来通りとされ、清掃により引き出した汚泥につき、業として収集、運搬又は処分を行う場合も、従来通り廃掃法に基づく一般廃棄物処理業の許可が必要であるので留意されたいこと。
  2.  (2) 浄化槽法施行規則第一一条第四項に定める「専門的知識、技能及び相当の経験」を有する者は、厚生大臣の認定する清掃に関する講習会の課程を修了した者であつて相当の経験を有する者とすること。
  3.  (3) なお、従来(財)日本環境整備教育センター及び旧(社)日本環境整備教育センター(旧(社)日本浄化槽教育センターを含む。)が実施した浄化槽管理技術者資格認定講習会(Bコース)及び旧(社)日本浄化槽教育センターが実施した浄化槽管理技術者資格認定講習会の修了者は、(2)の厚生大臣の認定する清掃に関する講習会の課程を修了した者とみなすこと。

6 水質に関する検査及び指定検査機関

  1.  (1) 浄化槽管理者は、設置工事の適否及び浄化槽の機能状況を早い時期に確認するため、使用開始後六月を経過した日から二月以内に指定検査機関による設置後等の水質検査を、また、その後は毎年一回定期検査を受けなければならないこととされたので、周知徹底を図られたいこと。
  2.  (2) 水質に関する検査の受検手続きは、関係業者に委託できることとされたので、これの活用等により受検率の向上が図られるよう浄化槽管理者等への指導に特に努められたいこと。
  3.  (3) 指定検査機関の指定は、都道府県知事によるものを原則とするものであり、また、都道府県知事による指定に当たつては、厚生省令で定める指定基準等によるほか、都道府県ごとに一の機関を指定することが適当であるので留意されたいこと。なお、止むを得ず複数の機関を指定する場合は、機関ごとに担当区域を定めること等により、地域ごとでは検査機関の一元化が図られるよう配慮されたいこと。

7 その他

  1.  (1) 都道府県においては、環境衛生指導員その他の関係職員の確保及び研修並びに監視指導に必要な機材の確保について格段の配慮を払うとともに、浄化槽管理士、技術管理者、指定検査機関の検査員等に対する指導等を通じ、浄化槽に関する専門技術者の技術水準の向上に努められたいこと。
  2.  (2) 浄化槽法の趣旨を踏まえた体制の整備を図るには、関係業界の協力を得ることが重要であるので、関係団体の育成・強化を図られたいこと。