法令・告示・通達

浄化槽法の一部を改正する法律の施行について

公布日:平成17年11月14日
環廃対発051114001号

(環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長から各都道府県知事・各政令市市長あて)

 浄化槽法の一部を改正する法律(平成17年法律第47号)は、平成17年5月20日に公布され、その一部を除いて平成18年2月1日から施行されることになっている。これに伴い、環境省関係浄化槽法施行規則の一部を改正する省令(平成17年環境省令第29号)が平成17年9月26日に公布され、平成18年2月1日から施行されることとなったところである。
 ついては、その改正の趣旨及び内容は下記のとおりであるので、十分御了知の上、施行に遺憾なきを期されたい。

第1 改正の趣旨

  浄化槽法の一部を改正する法律(平成12年法律第106号。以下「平成12年改正法」という。)により、浄化槽の定義から単独処理浄化槽が削除されたが、同法による改正後の浄化槽法(昭和58年法律第43号)の規定の多くは依然として単独処理浄化槽を前提としており、合併処理浄化槽を前提とした水環境の保全という観点に資する規定の整備が求められていた。
  また、浄化槽は適正な維持管理がなされて初めて本来の処理性能を発揮するものであるが、定期検査の実施率が低い状況にあるなど、適正な維持管理の徹底が課題となっている。
  今般の改正は、このような状況を踏まえ、公共用水域等の水質の保全等の観点から浄化槽によるし尿及び雑排水の適正な処理を図るため、所要の改正を行うものである。

第2 改正の内容

 1.目的の明確化

   近年における浄化槽の位置付けの変化を踏まえ、浄化槽法の目的に「公共用水域等の水質の保全」を明示するとともに、「し尿等」を「し尿及び雑排水」に改めたこと。

 2.浄化槽からの放流水の水質基準の創設

   浄化槽からの放流水の水質を担保するため、環境大臣は、浄化槽からの放流水の水質について技術上の基準を定めることとし、当該基準として、生物化学的酸素要求量(以下「BOD」という。)が20mg/L以下であること及びBOD除去率が90%以上であることとしたこと。
   ただし、浄化槽法第3条の2第2項若しくは平成12年改正法附則第2条の規定により浄化槽とみなされたもの又は今般の改正が施行されるまでに既に設置されている浄化槽については、当該基準は適用しないこととしたこと。
   なお、基準値は、日間平均値であり、消毒槽等に入る直前の処理水を採取し、日本工業規格K0102の21に掲げる器具及び試験操作方法に基づき測定するものであること。
   また、検査結果の判定に関しては、平成7年6月20日付け衛浄第34号厚生省生活衛生局水道環境部環境整備課浄化槽対策室長通知の記の第4のとおり、外観検査、水質検査及び書類検査の結果を総合的に勘案し、「適正」、「おおむね適正」又は「不適正」のいずれに該当するかを判定するものであること。

 3.浄化槽設置後等の水質検査の検査期間の見直し

   浄化槽の処理技術や管理技術の進歩により浄化槽の機能が安定化するまでの期間が変わることに柔軟に対応できるよう、浄化槽設置後等の水質検査の検査期間を環境省令で定めることとするとともに、環境省令で定める期間として、浄化槽の使用開始後3か月を経過した日から5か月間としたこと。
   ただし、今般の改正が施行されるまでに浄化槽法第5条第1項の規定による届出がされている浄化槽又は今般の改正が施行されるまでに浄化槽の設置等につき建築基準法(昭和25年法律第201号)第6条第1項若しくは第18条第3項の規定による確認済証の交付を受けている浄化槽については、浄化槽設置後等の水質検査の検査期間は従前どおりとしたこと。
   なお、浄化槽の設置等の時期や設置後等の使用実態によって浄化槽の機能が安定化する時期が異なることを考慮して適正な時期に当該検査を実施するよう、指定検査機関に指導されるとともに、今般の改正に適切に対応できるよう指定検査機関等との連携を図られたいこと。

 4.浄化槽の維持管理に対する都道府県の監督規定の強化

 (1)浄化槽の水質に関する検査についての勧告及び命令等

    浄化槽設置後等の水質検査及び定期検査の受検率を向上させ、適正な維持管理を徹底するため、都道府県知事は、当該検査を受けることを確保するために必要な指導及び助言をすることができることとしたこと。
    また、都道府県知事は、浄化槽管理者が当該検査を受けていないと認める場合においては、生活環境の保全及び公衆衛生上必要があると認めるときは、当該浄化槽管理者に対し、当該検査を受けるべき旨の勧告をすることができることとするとともに、当該勧告を受けた浄化槽管理者が、正当な理由がなくてその勧告に係る措置をとらなかったときは、当該浄化槽管理者に対し、その勧告に係る措置をとるべきことを命ずることができることとしたこと。さらに、当該命令に違反した者は、30万円以下の過料に処することとしたこと。

 (2)指定検査機関から都道府県への検査結果の報告

    都道府県が浄化槽の維持管理に対して適正かつ効率的に指導監督が行えるようにするため、指定検査機関は、毎月末までにその前月中に実施した検査について、当該検査を行った年月日、浄化槽管理者の氏名又は名称及び住所、浄化槽の設置場所、浄化槽の製造業者名及び型式名、浄化槽の工事・保守点検・清掃を行った業者名並びに検査の結果(検査の結果が「不適正」の場合はその原因を含む。)を都道府県知事に報告しなければならないこととしたこと。
    なお、省令で定める報告事項については、都道府県が浄化槽の維持管理に対して適正かつ効率的に指導監督が行える必要最低限のものを定めたものであり、必要に応じて追加して差し支えないこと。

 (3)浄化槽の使用の廃止の届出

    浄化槽の設置状況の確実な把握を図るため、浄化槽管理者は、浄化槽の使用を廃止したときは、その日から30日以内に、当該浄化槽管理者の氏名又は名称及び住所、浄化槽の設置場所、使用廃止の年月日、当該浄化槽の種類並びに廃止の理由を環境省令で定める様式により都道府県知事に届け出なければならないこととしたこと。また、浄化槽の使用の廃止の届出をせず、又は虚偽の届出をした者は、5万円以下の過料に処することとしたこと。
    なお、浄化槽の使用の廃止の届出に併せて、浄化槽の設置状況を確実に把握するため、浄化槽の設置に係る台帳を整備するよう努められたいこと。また、今般の改正が施行されるまでに既に廃止されている浄化槽及び設置の届出がなされていない浄化槽についても、指定検査機関等との連携の下、その把握に努められたいこと。

 5.報告徴収及び立入検査に係る規定の整備

   行政庁が行う報告徴収の対象に、浄化槽管理者から委託を受けた浄化槽の保守点検を業とする者及び浄化槽管理士を追加したこと。また、行政庁が行う立入検査の対象に、浄化槽製造業者並びに浄化槽管理者から委託を受けた浄化槽の保守点検を業とする者及び浄化槽管理士を追加したこと。