法令・告示・通達

産業廃棄物処理対策の強化について

公布日:平成2年04月26日
衛産31号

[改定]
平成10年11月13日 生衛発1631号

(各都道府県知事・各政令市市長あて厚生省生活衛生局水道環境部長通知)

 産業廃棄物処理行政の推進については、かねてより御尽力を賜つているところであるが、近時、産業廃棄物の排出量が増加する一方で、産業廃棄物の最終処分場の確保が一層困難になつている。また、産業廃棄物の不法投棄事件が相変わらず多発し、特に処理能力以上の委託を受けたことなどから不法投棄等の不適正な処理を行うという事件も発生している。  そのため、産業廃棄物の再生利用等を行うことによりその減量化を強力に推進するとともに、不法投棄等の不適正な処理の未然防止、産業廃棄物処理施設の適正な維持管理の確保等により、産業廃棄物の処理、特に最終処分場に対する信頼性を確保することとし、当面、左記の事項に留意の上、産業廃棄物処理対策の強化を図られたい。

1 産業廃棄物の再生利用等の推進について

  1.  (1) 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「法」という。)第三条第二項の規定により、事業者には産業廃棄物の再生利用等を行うことによりその減量に努めるべき責務が課されているところであり、事業者に対し、事業所における減量化・再生利用計画の策定、減量化・再生利用の推進のための協議会の設置等を指導すること。
       また、定期的に減量化・再生利用状況の報告を求めること等により、減量化・再生利用の実態の把握に努めるとともに、必要な指導を行うこと。
  2.  (2) 減量化・再生利用を推進するため、関係部局との連絡会の設置等都道府県内部での推進体制の整備、強化に配意すること。

2 事業者における適正な委託処理の確保等について

  1.  (1) 事業者が産業廃棄物の処理を処理業者に委託する場合、適切に委託されていないための不適正処理が発生していることに鑑み、処理の委託に関し、事業者に対し次の事項を指導すること。
    1.     ア 処分については、処分業者と直接契約を締結すること。
    2.     イ 委託しようとする産業廃棄物の処理がその事業の範囲に含まれることを、必ず許可証に基づき確認すること。
    3.     ウ 相当量の産業廃棄物を委託する場合には、受託する処理業者が適切な許可を有することのみでなく、運搬機材の種類と数、処理施設の能力、作業員の数、処理の実績等から、委託する産業廃棄物を実際に処理しうるだけの能力を有していることを確認すること。
    4.     エ 委託した処理業者自らが運搬等の処理を実際に行つているかを確認すること。
  2.  (2) 適正な委託処理の確保のため、講習会の実施等により法第一二条第五項に規定する産業廃棄物処理責任者に対する指導を充実させるとともに、産業廃棄物処理責任者を置くことが義務づけられていない事業者に対しても、事業者内部における産業廃棄物の処理を適正に行うべき立場にある者を指定させることにより、責任体制を確立するよう指導すること。
  3.  (3) 事業者に対する報告の徴収、立入検査を強化することにより、法上の義務の履行状況を把握すること。その際、委託基準違反等の違反事例があつた場合には、個別に指導し是正させるとともに、必要に応じ告発等の措置を積極的に講ずること。

3 産業廃棄物処理業者に対する指導監督の強化について

  1.  (1) 産業廃棄物処理業者の現実の処理能力、処理量、受託量を把握し、受託した産業廃棄物を長期間保管するなど、処理能力以上の産業廃棄物の処理を受託している業者に対しては、受託量の減少等必要な指導を行うこと。
  2.  (2) 不適正処理事例に対しては、措置命令等の活用により、生活環境保全上の支障を早期に除去するよう努めるとともに、行政処分等の措置を講ずること。
  3.  (3) 産業廃棄物処理業の許可に当たつては、申請者の行状、経歴等から業の適確な遂行が期待できるか、おそれ条項に該当しないか等につき、十分に審査すること。
       また、産業廃棄物処理業の許可の申請に当たつては、大臣認定講習会を受講するよう指導を徹底すること。
       さらに、許可に際しては、必要に応じ生活環境保全上必要な条件として、保管施設、処理施設の処理能力等の状況、取り扱う産業廃棄物の種類等を考慮した受託量、保管量の制限等を付すこと。また、使用する処理施設からの放流水に関しては、定期的な監視又はその方法等生活環境保全上必要な条件として付すべき事項の有無について審査すること。
  4.  (4) 報告の徴収、立入検査を強化することにより、法上の義務の履行状況を把握すること。その際、帳簿記載、技術管理者の設置等についての違反事例があつた場合には、指導を徹底するとともに、指導に応じない場合等には行政処分等の措置を講ずること。
  5.  (5) 特に、処理の再委託が行われないよう、その者が使用権限を有する施設・設備、その者の雇用する従業員により実際の処理が実施されているかについて監視指導を徹底すること。

4 産業廃棄物処理施設に関する監視指導の強化について

  1.  (1) 産業廃棄物処理施設の維持管理については、随時、当該施設で処理される産業廃棄物の種類、内容等を詳細に報告させ、実態を把握すること。
  2.  (2) 不適切な廃棄物の排除、洗浄等の搬入物管理を徹底させること。特に、法第二一条に規定する技術管理者を置かなければならない施設にあつては、技術管理者が搬入物管理を行うよう指導すること。また、技術管理者を置かなければならない施設以外の施設であつても、維持管理に関する技術上の業務を担当すべき者を常駐させ、その者が搬入物管理を行うよう指導すること。
       なお、技術管理者を置かなければならない施設には、専従の技術管理者が常駐していることが必要であり、その徹底を期すこと。
  3.  (3) 特に最終処分場については、しや水工の定期点検、地下水、放流水の定期的な水質検査の結果を定期的に報告させる等により、その実行を担保し、かつ、状況を把握すること。
  4.  (4) 報告徴収、立入検査を定期的に行うことにより維持管理の技術上の基準の遵守、技術管理者の配置等法上の義務の遵守状況を把握し、違反事例がある場合には、施設に係る改善命令等を行うこと。特に、浸出液処理施設の機能が不十分であるために、排水基準を超えた放流水が排出される等の事例が散見されるので、浸出液処理設備の維持管理について留意すること。

5 その他

  1.  (1) 不適正処理が行われた場合であつて他の都道府県等に関係する場合は、速やかに関係する都道府県等に連絡すること。また、連絡を受けた都道府県は当該事例の対応について協力するとともに、自県内における処理についても十分監視指導すること。
  2.  (2) 行政処分、措置命令等を行つた場合は、原則としてその旨及び内容を公表すること等によつて、法違反の個別的又は一般的な予防を図ること。