法令・告示・通達

ごみ処理に係るダイオキシン等の問題について

  • 公布日:昭和59年5月24日
  • 環整68号

(各都道府県知事あて厚生省環境衛生局水道環境部長通知)

 我が国のごみ焼却施設の焼却灰又は集じん灰から、微量のダイオキシン等が検出されたとの報道により、標記について住民の不安等社会的な関心が高まるとともに、一部の市町村において、ごみ処理の円滑な実施に支障が生ずる等の状況がみられたことにかんがみ、昨年一二月より、「廃棄物処理に係るダイオキシン等専門家会議」を開催し、ごみ焼却施設において検出されたダイオキシン等に関する評価、今後の対応について検討を行つてきたところであるが、今般、同専門家会議の報告が、別添のとおり取りまとめられた。
 ついては、左記事項について、貴管下市町村に対するその周知方を含み、よろしく取り計られたい。

1 「廃棄物処理に係るダイオキシン等専門家会議」の報告について

  本報告は、国内外の文献をレビューした結果から得られた知見を基礎とし、これに各専門家が専門的観点から検討を加えて次のようにまとめられたものであり、今後取り組むべき方向が示されている。

  1.  (1) ごみの焼却処理に伴う一般住民及びごみ焼却施設内の作業に従事する職員への影響については、四塩化ジベンゾ―p―ジオキシン(TCDDS)の考えられる最大曝露量を仮定しても、現段階では、健康影響が見出せないレベルであつたこと。
  2.  (2) ごみの焼却に伴つて発生する焼却灰及び集じん灰(以下「焼却灰等」という。)の埋立処分に関しては、当面覆土等により焼却灰等の飛散、流出を防止すること及び排水中の懸濁物質を適切に除去すること等現行法令の基準に従い適切に実施することが必要であること。
  3.  (3) ごみ焼却施設の排出ガス、焼却灰等及び排出水中のポリ塩化ジベンゾ―p―ジオキシン(PCDDS)を分析する方法を取りまとめるとともに、併せて分析に当たつてのPCDDSの取り扱いに関する事項を示したこと。
  4.  (4) 今後の課題として、ダイオキシンに関する総合的な知見の集積を早急に行う必要があり、幅広い取り組みが望まれること。また、ごみ処理の分野において、ダイオキシンの発生と制御、普及、応用が可能な分析方法等、モニタリング方法、ダイオキシン類似物質に関する調査研究に取り組むことが必要であること。

   なお、これらの課題に取り組むに当たつては、実施体制の整備を図るとともに、実験者本人の安全の確保、PCDDSの標準物資の厳正な管理、実験に伴つて発生するPCDDSを含む廃液等の適正な管理などに十分留意することが必要であること。

2 留意すべき事項について

  本報告に沿つて、今後、ごみ処理に係るダイオキシン問題に関しては、特に次の点に十分留意されたい。

  1.  (1) ごみ焼却処理及び焼却灰等の埋立処分にあつては、廃棄物の処理及び清掃に関する法律に規定する基準の遵守を徹底すること。特に、焼却灰等の最終処分場から外部への飛散、流出の防止及び浸出液等の適正な処理について万全を期すること。
  2.  (2) 「廃棄物処理に係るダイオキシン等専門家会議」の報告を受けて、当面、ごみ処理に伴うダイオキシンの発生等の実態に関する調査の実施を含め、今後実施すべき調査研究について検討を行つているところであるが、地方公共団体が独自にダイオキシンに関する調査研究を実施しようとするときは、現時点では十分な設備能力を有する研究機関が多くないこと、安全性等の確保の観点から、万全の措置を講じる必要があること等から、厚生省と密接な連絡調整を図ること。

   廃棄物処理に係るダイオキシン等の問題について(要旨)

  1. 1 昭和五八年一一月、我が国のごみ焼却施設の焼却灰や集じん灰(以下「焼却灰等」という。)からダイオキシン等が検出されたとの報道により、廃棄物処理に伴うダイオキシン等の問題が指摘され、この問題を検討するため、昭和五八年一二月八日本専門家会議が設置された。
      本専門家会議は、国内外の文献をレビューした結果から得られた知見を基礎とし、これに各専門家が専門的観点から検討を加えて、報告書を取りまとめた。
  2. 2 本専門家会議は、ポリ塩化ジベンゾ―p―ダイオキシン(PCDDS)の中で、最も強い毒性を示す二・三・七・八―四塩化ジベンゾ―p―ダイオキシン(二・三・七・八―TCDD)に絞り、ごみ焼却施設からの排出ガス、ごみ焼却施設内の作業環境、焼却灰等の最終処分場の問題を検討の対象とし、評価考察を行つた。
  3. 3 本専門家会議は、可能な限り文献を収集し、その内容を検討して、廃棄物処理に係るダイオキシン問題を評価、考察したところ、ごみの焼却処理に伴う一般住民及びごみ焼却施設内の作業に従事する職員への影響については、四塩化ジベンゾ―p―ダイオキシン(TCDDS)の考えられる最大曝露量を仮定しても、現段階では、健康影響が見出せないレベルであつた。
  4. 4 ごみの焼却に伴つて発生する焼却灰等の埋立処分に関しては、米国環境保護庁の土壌中におけるPCDDSの挙動に関する報告に基づいて考察すると、当面覆土等により焼却灰等の飛散、流出を防止すること、また、排出水中の懸濁物質を適切に除去すること等現行法令の基準に従い適切に実施することが必要である。
  5. 5 ごみ焼却施設の排出ガス、焼却灰等及び排出水中のPCDDSを分析する方法を取りまとめるとともに、併せて分析に当たつてのPCDDSの取り扱いに関する事項を示した。
  6. 6 現在、我が国においては、ダイオキシンに関する知見は著しく乏しい。ダイオキシンの中には、既知の化学物質の中でも極めて強い毒性を有するものであること、問題となる分野が廃棄物のみに留まらないこと、ダイオキシンの生成等がこれ自体を目的として行われるものではないことなどから、ダイオキシンに関する総合的な知見の集積を早急に行う必要がある。
  7. 7 本専門家会議が検討した今後取り組むべき課題は、
    1.  ① PCDDS発生と制御
    2.  ② 普及・応用が可能なPCDDS分析方法等
    3.  ③ PCDDS、PCDFS等類似物質の検討
     についてである。
      なお、これらの課題に取り組むに当たつては、実施体制の整備を図るとともに、
    1.  ① 実験者本人の安全の確保
    2.  ② PCDDSの標準物質の厳正な管理
    3.  ③ 実験に伴つて発生するPCDDSを含む廃液等の適正な管理などに十分留意することが必要である。

    廃棄物処理に係るダイオキシン等専門家会議

(座長)鈴木武夫 国立公衆衛生院院長
    合田健 国立公害研究所水質土壌環境部長
        前国立公衆衛生院衛生工学部長
    竹下隆三 国立公衆衛生院衛生薬学部分析室長
    立川涼 愛媛大学農学部教授
    田中勝 国立公衆衛生院衛生工学部廃棄物処理室長
    平山直道 東京都立大学工学部長
    増田義人 第一薬科大学物理分析学教授
    山口誠哉 筑波大学社会医学系教授

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