法令・告示・通達

漁業系廃棄物の処理について

  • 公布日:平成3年12月26日
  • 衛産74号

(厚生省生活衛生局水道環境部長から各都道府県・各政令市廃棄物行政担当部(局)長あて)
 廃棄物行政については、かねてから種々御尽力をいただいているところであるが、今般、漁業生産活動に伴って生ずる廃棄物(以下「漁業系廃棄物」という。)の適正処理の確保を図るため、「漁業系廃棄物処理ガイドライン」を別添えのとおり取りまとめたので、貴職におかれては、本ガイドラインを関係者に周知するとともに、本ガイドラインに沿った漁業系廃棄物の適正な処理の確保につき関係者への指導の徹底に努められたい。
 なお、水産行政の立場で漁業系廃棄物の対策の進め方については、平成三年五月一〇日付け三水研第二八八号各都道府県知事あて水産庁長官通知が発せられているところであるので、参考にされたい。

別表

   漁業系廃棄物処理ガイドライン

  Ⅰ 漁業系廃棄物の現状

1 漁業系廃棄物の定義

 1.1 用語の定義

  本ガイドラインにおける用語の意味は以下のとおりである。

  1. (1) 「漁業」とは、水産動植物の採捕又は養殖の事業をいう。
  2. (2) 「漁業者」とは、漁業を営む者をいう。
  3. (3) 「漁業系廃棄物」とは、漁業生産活動に伴って生じる廃棄物をいう。
  4. (4) 「廃棄物」とは、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(以下、「廃棄物処理法」という。)で定める、ごみ、粗大ごみ、燃えがら、汚でい、ふん尿、廃油、廃酸、廃アルカリ、動物の死体その他の汚物または不要物であって、固形状または液状のもの(放射性物質及びこれによって汚染されたものを除く)をいう。
  5. (5) 「一般廃棄物」とは、産業廃棄物以外の廃棄物をいう。
  6. (6) 「産業廃棄物」とは、事業活動に伴って生じた廃棄物のうち、燃えがら、汚でい、廃油、廃酸、廃アルカリ、廃プラスチック類その他政令で定める19種類の廃棄物をいう。
  7. (7) 「排出事業者」とは、漁業生産活動に伴って漁業系廃棄物を排出する漁業者等をいう。
  8. (8) 「再生利用」とは、廃棄物より有用物を得てそれを利用することをいう。

 1.2 漁業系廃棄物の種類
 漁業系廃棄物はその種類に応じた処理基準に従い適正に処理しなければならない。

〔解説〕

  廃棄物処理法は、廃棄物の種類に対応した処理基準を定めており、廃棄物を処理する者はこの処理基準を遵守しなければならない。 したがって、まず漁業系廃棄物の種類を正しく識別する必要がある。
  漁業系廃棄物における一般廃棄物と産業廃棄物の種類及び具体的内容を以下に示す。
図:1.1 漁業系廃棄物の種類(例)
  図―1.1 漁業系廃棄物の種類(例)

2 漁業系廃棄物の発生量・予測量 〔略〕

3 漁業系廃棄物の問題点 〔略〕

  Ⅱ 漁業系廃棄物対策の現状

1 水産庁における漁業系廃棄物対策(漁業系廃棄物処理計画策定指針) 〔略〕

2 漁業系廃棄物処理計画と地方公共団体の廃棄物処理計画 〔略〕

3 漁業系廃棄物処理ガイドラインの目的と適用範囲

 3.1 目的
 本ガイドラインは、漁業生産活動に伴って生じる漁業系廃棄物について、廃棄物処理法に従った具体的処理手順等を示すことにより、漁業系廃棄物処理計画の実施を通じた適正処理を確保し、生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図ることを目的とする。

〔解説〕

  本ガイドラインは、漁業系廃棄物を適正に処理するために必要な一連の処理である分別・保管、収集・運搬、自己処理、委託処理及び再生利用の手順並びに不適正処理の防止に関する方策等を示したものである。

 3.2 適用範囲
  1. 1 本ガイドラインは、漁業系廃棄物について適用する。
  2. 2 本ガイドラインは、漁業系廃棄物の排出事業者である漁業者、漁業者から委託を受けて処理する地方公共団体、処理業者及び漁業系廃棄物を取り扱うメーカー等を対象とする。

〔解説〕
  1.  (1) 漁業系廃棄物には、一般廃棄物と産業廃棄物があり、産業廃棄物のみならず、一般廃棄物も、事業活動である漁業生産活動に伴って生じた廃棄物であることから、事業者自らの責任において適正に処理されなければならない。
  2.  (2) 廃棄物処理法改正案は10月5日に公布されたところであり、公布後9か月以内に改正法が施行されることとされている。施行後は改正法及び政省令に従った処理を行わなければならないので留意されたい。

  Ⅲ 漁業系廃棄物の処理方法

1 処理計画の早期策定とその円滑な実施への協力

  1. (1) 漁業系廃棄物処理計画は各都道府県協議会において早期に策定されるよう努めなければならない。
  2. (2) 各漁業者及び関係者は、漁業系廃棄物処理計画の円滑な実施に努め、生活環境の保全上、支障が生じないようにする。

〔解説〕
  1.  (1) 漁業者及び関係者については、漁業系廃棄物対策協議会の構成員とその役割を参照のこと。
  2.  (2) 漁業系廃棄物処理計画は、都道府県単位で県漁連を中心に構成された漁業系廃棄物対策協議会によって作成された、漁業系廃棄物の処理方法、実施主体、施設整備計画等について規定する廃棄物処理計画である。これは、排出事業者が自ら関係者との協議を踏まえて作成した処理計画という点で、我が国でも新しい試みである。このような処理計画の策定は、今日の廃棄物処理問題解決の上で効果が期待できるものであり、同計画が早期に各都道府県において策定されるよう努める必要がある。
  3.  (3) 漁業者及び関係者は、漁業系廃棄物処理計画に従って、漁業系廃棄物が分別・保管、収集・運搬、自己処理、委託処理及び再生利用が行われ、その適正処理が確保されるよう努め、生活環境の保全上支障が生じないようにする。
  表―3.1 漁業系廃棄物処理計画の概要
  1. 1 事業の目的と方針
  2. 2 地域実態
    1.  (1) 地域概況調査
      1.   ① 自然条件
      2.   ② 産業構造
    2.  (2) 漁業概況調査
      1.   ① 漁協構成及び要覧
      2.   ② 漁業就業者構造
      3.   ③ 漁業生産概況
      4.   ④ 漁船概況
      5.   ⑤ 漁港概況
    3.  (3) 漁業系廃棄物発生の将来予測
    4.  (4) 漁業系廃棄物処理の将来予測
  3. 3 前提条件の検討
    1.  (1) 対象廃棄物の種類、量
    2.  (2) 処理地域分類
    3.  (3) 適用法令及び準拠基準
    4.  (4) 処理方法
    5.  (5) 集積方法
  1.  (6) 積算単価
  2.  (7) その他
  1. 4 処理システム
    1.  (1) 処理システム
    2.  (2) 既存施設処理計画
    3.  (3) 新システム処理計画
  2. 5 経済性の検討
    1.  (1) 処理費用
    2.  (2) 資金計画
  3. 6 処理計画
    1.  (1) 事業概要
    2.  (2) 事業主体
    3.  (3) 事業実施体制、要員
    4.  (4) 事業化のスケジュール
    5.  (5) 事業管理・運営
    6.  (6) 事業収支
    7.  (7) 事業化への問題点


2 分別・保管

 2.1 分別
排出事業者は、漁業系廃棄物の排出に当たり、漁業系廃棄物処理計画に基づき処理方法別に分別する。

〔解説〕
 (1) 分別の必要性
   漁業系廃棄物には処分基準の異なる各種のものがあるため、これらを混合して排出することは適切ではない。したがって、排出事業者は原則として漁港区域内等の予め定められた場所において、処理方法別に漁業系廃棄物を分別する。
 (2) 分別の方法
   売却するものを分別したうえで残りを一般廃棄物、産業廃棄物に分別し、さらに次により処理方法別に分別する。
  表―3.2 漁業系廃棄物の処理方法
 
再利用できるもの
中間処理を行うもの
埋立処分するもの
再生利用するもの
埋立処分するもの
洗浄
破砕
溶融
焼却
洗浄
破砕
安定型
管理型
一般廃棄物
木くず
木船
   
 
 
 
艤装材
             
竹竿
   
 
 
 
木製魚箱
   
     
紙くず
包装材
     
     
ダンボール
     
     
繊維くず
天然繊維ロープ類
       
     
ウエス類
       
     
魚介類残渣
貝殻
         
付着物残渣
       
     
斃死魚
 
 
     
燃えがら
一般廃棄物の焼却残渣
               
その他
日用雑貨品
       
     
産業廃棄
廃プラスチック類
FRP船
 
 
 
漁網
 
 
発泡スチロール魚箱
 
包装資材
     
   
 
フロート
   
 
 
浮子類
       
 
 
廃シート類
     
 
 
のり簀
 
   
 
 
のりひび
 
 
化繊ロープ類
       
 
 
ブイ
   
 
   
 
廃油
廃潤滑油
     
       
重油
     
       
軽油
       
       
灯油
       
       
ガソリン等の使用残渣
       
       
塗料
       
       
金属くず
鋼船
 
   
 
 
漁船艤装材
 
 
 
 
アンカー
 
   
 
 
養殖いけす用金網
 
     
 
 
廃缶類
 
   
 
廃ワイヤー類
 
   
 
 
ガラスくず及び陶磁器くず
廃ガラスフロート
 
     
 
 
たこ壺
 
     
 
 
建設廃材
コンクリートシンカー
 
     
 
 
燃えがら
産業廃棄物焼却残渣
               


(注)「洗浄」とは付着生物油等を除去することを主目的として行う。
   「管理型」には一般廃棄物最終処分場を含む。
   安定型処分場及び管理型処分場については、4.3参照。

 2.2 保管
 排出事業者は、漁業系廃棄物の保管に当たっては、廃棄物処理法に定める保管基準に従わなければならない。

〔解説〕

  保管は、漁業者が漁業系廃棄物を発生場所から搬出するまでの間において、自ら一時的に漁業系廃棄物を保管する行為をいう。
  漁業者が共同して保管施設を利用する場合には、保管責任の所在が不明確になり易いため、当該保管施設を利用する漁業者や管理者は特別な留意が必要である。

 (1) 保管基準
  1.   ① 保管施設により保管する。
  2.   ② 漁業系廃棄物が飛散し、流出するおそれのないようにする。
  3.   ③ 漁業系廃棄物並びにその保有水及び汚染水が地下に浸透するおそれのないようにする。
  4.   ④ 悪臭が発散するおそれのないようにする。
  5.   ⑤ 保管施設には、ねずみの生息及びか、はえ、その他の害虫が発生しないようにする。
 (2) その他
   以下に定める適切な保管施設において保管すること等の措置を講じることが適当である。
  (i) 保管施設の設置
  1.    ① 保管施設は、周辺の生活環境の保全が十分確保できるように設置する。
  2.    ② 保管施設の設置にあっては、以下の区分により行うことが適当である。
         船舶→廃船処理施設用地
         漁網等→一時仮置は野積場又は漁具干場
         廃油→廃油処理施設用地
  (ii) 保管施設の表示
  1.    ① 保管施設には保管施設であることを表示(保管施設表示)する。
  2.    ② 保管施設表示には、責任者(代表者)の氏名、連絡先、廃棄物の種類等を記載する。
  (iii) 種類、性状による保管
  1.    ① 液状又は流動性を呈するものは、貯留槽で保管する。また、必要に応じて流出事故を防止するための堰等を設ける。
  2.    ② 付着生物残渣等の溶出や悪臭を発散するものは、表面をシートで覆う。
  3.    ③ プラスチック類等可燃物の保管の際には消火設備を設けるなど火災時の対策を講ずる。
  4.    ④ 魚介類残渣(斃死魚等)が野犬、カラス等の補食等によって散乱することが考えられる場合には、ネットで覆う等の措置を講じる。
  (iv) 保管施設の構造上の留意事項
  1.    ① 保管施設は、屋内に設置することが望ましい。
  2.    ② 保管施設の周囲に、自重、水平荷重、地震力等に対して構造上安全な塀を設ける。
  3.    ③ 保管施設の出入口には、施錠可能な扉を設ける。
  4.    ④ 周辺環境の保全を確保するため、施設内で使用する重機等は低騒音型のものとし、粉じん防止設備や悪臭防止設備を設置する。
  5.    ⑤ 廃棄物の種類若しくは処分先別に保管場所を設け、それぞれに処分先を表示する。
  6.    ⑥ 荷降し、積込み作業を行うに充分な場所を設ける。
  7.    ⑦ 作業床は、廃棄物や土砂の飛散、流出を防止するため、コンクリート舗装を原則とし、場合によっては溜桝、堰等を設置する。
  8.    ⑧ 可燃物を保管する場合には、防火設備を設ける。
  9.    ⑨ 雨水の流入を防止するために、屋根を設けることが望ましい。

3 収集・運搬

 漁業系廃棄物の収集・運搬に当たっては、廃棄物処理法に定める基準に従わなければならない。

〔解説〕
 (1) 漁業系廃棄物の運搬に当たっては、廃棄物処理法に定める運搬基準に従わなければならない。
  1.   ① 廃棄物が飛散し、及び流出しないようにすること。
  2.   ② 運搬車、運搬容器は、廃棄物が飛散し、及び流出し、並びに悪臭が漏れるおそれのないものであること。
 (2) その他、以下の点に留意して収集・運搬を行うことが適当である。
  (i) 廃棄物の混合防止
    分別した廃棄物は、それぞれ別の車両で運搬する。ただし、やむを得ず処分方法の異なる廃棄物を同一車両に積み込む場合には、中仕切りを設けるなど処分方法の異なる廃棄物が混合することのないようにするか、それぞれ異なるコンテナーに入れて、コンテナーごと運搬する。
  (ii) 漁業系廃棄物を収集・運搬する者は、次の事項に注意する。
  1.    ① 荷こぼれのないよう荷積みの状況を確認し、運転中に飛散のおそれのないように荷台をシート等で覆う。
  2.    ② 汚水や溶出液が、運転中に荷台から漏れるおそれのないような蓋付箱型トラックを使用したり適切な措置を講じる。
  3.    ③ 廃棄物の種類によって、単位体積重量が異なるので、過積載にならないように注意する。
 (3) 漁船運搬の取扱い
   漁業系廃棄物処理計画では、廃漁船の集積・保管施設の設置は、海上からの輸送に適した場所に設けることとされていることから、漁船の運搬は、海上航行または海上曳航によることが適当である。

4 自己処理

 4.1 廃棄物毎の処理方法
 排出事業者は漁業系廃棄物の減量化及び市町村等の設置する処理施設への負荷軽減を図るために破砕、脱水、焼却等を行うとともに、適正に埋立処分を行う。

〔解説〕
 (1) 漁船
  1.   ① 鉄鋼船の再生利用を進め、FRP船、木船の破砕を容易にするために、艤装をできるかぎり解除する。
  2.   ② FRP船、木船の焼却、埋立等の処理を行うため、あらかじめ破砕し、小量化する。
  3.   ③ FRP船の焼却は、焼却設備を用いて行う。
  4.   ④ FRP船を破砕したものは安定型処分場に、木船を破砕したもの及びFRP船、木船を焼却したものは管理型処分場に埋立てする。
 (2) 漁網
  1.   ① 再生利用を容易にするために付着物を除去する。
  2.   ② 再生利用を行う漁網について屋外保管を行う場合は、紫外線による材質の劣化を防止するためにシートで覆う。
  3.   ③ 焼却は焼却設備を用いて行う。
  4.   ④ 付着物を除去した廃網はあらかじめおおむね15cm以下に裁断するなどして安定型処分場で埋立てする。
 (3) 貝殻等
  1.   ① 再生利用を容易にするために付着物を除去する。
  2.   ② 付着生物残渣は、そのまま埋立処分せず焼却することが望ましい。
 (4) 斃死魚
  1.   ① 斃死魚は、魚かす肥料等に再生利用することが望ましい。
  2.   ② 斃死魚の腐敗による悪臭の発散を防止するため、早急に処分する。
  3.   ③ 斃死魚の処分は、そのまま埋立処分せず焼却することが望ましい。
 (5) 発泡スチロール
  1.   ① 再生利用を可能ならしめるために、洗浄し、シール等をはがすこと。
  2.   ② 排出事業者は再生利用を円滑化ならしめるために、もしくは廃棄物を減量化するために溶融装置等により溶融固化することが望ましい。
  3.   ③ 焼却は焼却設備を用いて行う。
 (6) 廃油
  1.   ① エンジンオイル等の廃油は、暖房もしくはボイラー燃料や焼却炉の助燃材として利用することが望ましい。
  2.   ② 不純物等を含むおそれのある廃油は自ら処理を行わず、専門の処理業者に委託することが望ましい。
 4.2 焼却に当たっての注意
 自己処理における焼却は、中間処理施設に係る廃棄物処理法及び大気汚染防止法等の法令に適合して行わなければならない。

〔解説〕
  1.  (1) 漁業系廃棄物の自己処理における焼却では、海浜や空き地等での野焼きが行われる場合が多い。しかし、焼却する廃棄物の種類や量によっては火災の発生や煙害が生ずることがあるので焼却設備での焼却が望ましい。
       なお、廃油、廃プラスチック類の焼却を行う場合には、量の如何を問わず焼却設備を用いて焼却すること。
  2.  (2) 自己処理としての焼却炉による焼却では、漁協等が設置する共同焼却炉を利用することが多い。しかし、焼却炉によっては生活環境の保全上、支障を生ずるおそれのあるものもあることから、中間処理施設に係る廃棄物処理法、大気汚染防止法等の法令に定める基準を確認の上、設置・利用しなければならない。
  表―3.3 廃棄物処理施設届出対象施設(抜粋)
施設の種類
規模
ごみ処理施設(一般廃棄物)
処理能力が5トン/日以上のもの
廃油の焼却施設
処理能力が1m3/日を超えるもの
廃プラスチック類の焼却施設
処理能力が0.1トン/日を超えるもの
廃プラスチック類の破砕施設
処理能力が5トン/日を超えるもの

  表―3.4 大気汚染防止法規制対象施設(抜粋)
施設の種類
規模
廃棄物焼却炉
火格子面積が2m2以上、又は焼却能力が200kg/時間以上のもの

 4.3 埋立てに当たっての注意
 漁業系廃棄物は、廃棄物処理法に定める処分基準に従い、廃棄物の種類に応じて適正に埋立処分しなければならない。

〔解説〕
  1.  (1) 漁業系廃棄物はその種類に応じて定められた処分基準に従って埋立処分しなければならない。
  2.  (2) 埋立処分を一定規模以上の最終処分場で行う場合は、構造基準に従って設置し、また維持管理基準に従った管理を行わなければならない。なお、自己処理として埋立処分を行う場合であっても一定規模以上の最終処分場を設置する場合は都道府県知事に届け出なければならず、これら基準が適用される。
  表―3.5 届出が必要な最終処分場(抜粋)
種類
規模
一般廃棄物の最終処分場
埋立面積が1,000m2以上のもの
産業廃棄物のうち、廃プラスチック類、ゴムくず、金属くず、ガラスくず及び陶磁器くず、建設廃材の最終処分場(安定型最終処分場)
埋立面積が3,000m2以上のもの
上記以外(有害廃棄物を除く)の産業廃棄物の最終処分場(管理型最終処分場)
埋立面積が1,000m2以上のもの

  1.  (3) 埋立処分に当たっては、埋立量の如何を問わず次に示す埋立処分基準に従わなければならない。
    1.   ① 廃棄物が飛散、流出しないようにすること。
    2.   ② 埋立地の設置に当たっては、生活環境の保全上支障を生ずるおそれのないようにすること。
    3.   ③ 埋立処分の場所の周囲には囲いが設けられていること。
    4.   ④ 埋立処分の場所には処分の場所であることの表示を設けること。
    5.   ⑤ 埋立処分の場所からの浸出液によって公共の水域及び地下水を汚染するおそれがある場合には、そのおそれがないように必要な措置を講じること。
    6.   ⑥ 埋立地の外に悪臭が発散しないように必要な措置を講じること。
    7.   ⑦ 埋立地には、ねずみが生息し、およびか、はえ、その他の害虫が発生しないようにすること。
    8.   ⑧ その他廃棄物の種類に応じた埋立処分を行うこと。
  表―3.6 廃棄物の種類別埋立基準(抜粋)
種類
埋立基準
廃プラスチック類
あらかじめ最大径おおむね15cm以下に破砕し、切断し、もしくは溶融設備を用いて溶融加工し、または焼却設備を用いて焼却すること。(安定型、ただし焼却残渣は管理型)
廃油
埋立禁止
金属くず
そのままで埋立可(安定型)
ガラスくず及び陶磁器くず
そのままで埋立可(安定型)
建設廃材
そのままで埋立可(安定型)
燃えがら
そのままで埋立可(管理型)


図:図―3.1 安定型最終処分場
  図―3.1 安定型最終処分場
図:図―3.2 管理型最終処分場
  図―3.2 管理型最終処分場

5 委託処理

 5.1 処理業者に委託する場合の注意
  1. (1) 排出事業者は、漁業系廃棄物の処理を委託する場合には、廃棄物処理法に定める委託基準に従って事前に委託契約をしなければならない。
  2. (2) 排出事業者は、漁業系廃棄物の処理を委託する場合に、収集・運搬業者及び処分業者から許可証の提示を求める等により業の許可等を確認する。
  3. (3) 排出事業者は、収集・運搬業者及び処分業者(中間処理業者又は最終処分業者)とそれぞれ委託契約をしなければならない。
  4. (4) 排出事業者は、漁業系廃棄物の搬出時には立ち合うものとする。
  5. (5) 排出事業者は、漁業系廃棄物の処理を委託する場合にはマニフェストを使用するよう努めるものとする。


図:図―3.3 委託契約図(例)
   図―3.3 委託契約図(例)

〔解説〕
 (1) 委託基準に従った契約
   廃棄物処理法は、廃棄物を排出する事業者が自らの責任において廃棄物を適正に処理することと定めている。
   したがって、排出事業者は、漁業系廃棄物について事業系の一般廃棄物又は産業廃棄物の処理を委託する場合にあっては、各々の基準に従わなければならない。
  (一般廃棄物)
   廃棄物の種類に応じた適正な処理料金を支払って、市町村へその処理を委託するか、当該廃棄物についての収集・運搬、処分の許可を有する一般廃棄物の収集運搬業者、処分業者に委託しなければならない。
  (産業廃棄物)
   他人の産業廃棄物の収集・運搬又は処分を業として行うことができる者(許可を受けた産業廃棄物処理業者、再生利用業者等)であって、委託しようとする産業廃棄物の運搬又は処分がその事業の範囲に含まれるものに委託しなければならない。
 (2) 業の許可等の確認
   収集・運搬業者及び処分業者の業の許可等については、許可証の提示による許可項目の確認をするとともに、必要に応じ、実地調査や写真等による最終処分場等の状況(残存容量等)を確認することが望ましい。
  1.   ① 業の区分(収集運搬業か処分業か)
  2.   ② 廃棄物の種類(委託したい廃棄物を扱うことができるか)
  3.   ③ 処理の方法、内容、能力(中間処理業か埋立業か、安定型埋立処分場か管理型処分場か。委託したい廃棄物量を処理できるだけの施設を有しているか)
  4.   ④ 許可の条件及び期限(搬入時刻、処理条件に合致するか、許可が失効していないか)
  5.   ⑤ 運搬業者の場合、発生地と処分地を管轄する都道府県知事等の許可(図の場合、A県、B県両方の都道府県知事の許可を有しているか)
 (3) 直接契約
   排出事業者は、収集・運搬業者及び処分業者とそれぞれ契約しなければならない。委託契約の形態は、排出事業者と収集・運搬業者及び排出事業者と処分業者の契約による直接契約(二者契約)が望ましい。
   また、契約に当たっては以下の事項を含む委託契約を文書にし、保管する。
  1) 排出事業者と収集・運搬業者との契約
  1.    ① 廃棄物の種類
  2.    ② 運搬の方法
  3.    ③ 保管の方法
  4.    ④ 運搬先の処分業者名及び運搬先所在地
  5.    ⑤ 収集・運搬料金
  6.    ⑥ 収集・運搬料金の支払方法
  7.    ⑦ 契約に違反した場合の措置
  8.    ⑧ 契約の期間
  9.    ⑨ 運搬の完了報告の方法
  2) 排出事業者と処分業者との契約
  1.    ① 廃棄物の種類
  2.    ② 運搬業者名
  3.    ③ 処分方法及び処分場所
  4.    ④ 処分料金
  5.    ⑤ 処分料金の支払方法
  6.    ⑥ 契約に違反した場合の措置
  7.    ⑦ 契約の期間
  8.    ⑧ 処分の完了報告の方法
 (4) 立会い
   排出事業者(漁協等による共同管理の場合は漁協)は漁業系廃棄物の排出時には、立ち会うものとする。
 (5) 処理の確認
   委託の履行の確認には、マニフェストシステム(積荷目録制)が有効である。マニフェスト用紙は各都道府県産業廃棄物協会で有償頒布しているので活用されたい。
 5.2 廃棄物毎の処理方法
  (1) 漁船
  1. (1) 排出事業者は、漁船の廃船を行う場合、できるかぎりエンジン、航行計器等を艤装解除して売却し、廃棄物としての徹底した減量化並びに分別化に努める。
  2. (2) 排出事業者は、漁船の材質に応じた再生利用を極力推進する。
  3. (3) 排出事業者は、FRP船及び木船の解体・破砕、焼却等の中間処理を、適正な処理施設によって自らが行うことができない場合、廃棄物処理業者等の専門事業者に委託して処理する。
  4. (4) 埋立処分をする場合は、埋立跡地の効果的な利用を阻害しないようにするために破砕などを行う。

〔解説〕
  1.  (1) 艤装解除
       漁船は、エンジン、航行計器、金属(真鍮等)製部品等の売却が一般に行われている。しかし、これらの艤装解除が中途半端に行われると、次段階での処理(解体・破砕、再生等)に支障を生じる場合があるので、徹底した艤装解除が望まれる。
  2.  (2) 漁船の再生利用については6 再生利用の項を参照すること。
  3.  (3) 排出事業者自らの手でFRP船や木船の中間処理(解体・破砕、焼却)を行う場合、漁港域や海浜で安易に行われる場合が多く、残存油脂の流出や有毒ガスや煙、粉じんの発生が見られる。したがって、これらの処理を適正に行える処理施設を有しない排出事業者は自ら処理を行わず、専門の処理業者に委託すること。
  4.  (4) 埋立処分場の跡地を利用することが考えられることから、埋立地盤の安定化に資する埋立処分を行う必要がある。そのためにも、廃プラスチック類はあらかじめおおむね15cm以下に破砕、切断または溶融、焼却し、空隙率を減らしてから埋立てなければならない。また、木くず等も処分空間の有効利用の観点から、破砕・焼却等を行うことが望ましい。
  (2) 漁網
  1. (1) 排出事業者は、廃網を中間処理により、再生網として加工したりプラスチック原料化するなど、再生利用を極力推進する。
  2. (2) 再生利用ができないものについては、原則として焼却し、できるだけ直接埋立処分しない。
  3. (3) 漁網等の焼却は焼却施設を用いて行う。
  4. (4) 焼却を行わずに埋立処分をする場合には、埋立跡地の効果的な利用を阻害しないようにするために破砕(裁断)などを行う。

〔解説〕

  漁網の再生利用については6 再生利用の項を参照すること。

  (3) 貝殻等
  1. (1) 排出事業者は、貝殻等を中間処理により、炭酸カルシウムの原料にするなど、再生利用を極力推進する。
  2. (2) 貝殻等を埋立処分をする場合には、一般廃棄物の最終処分場でこれを処理する。
  3. (3) 付着生物残渣は、そのまま埋立処分せず、焼却することが望ましい。

〔解説〕

  貝殻等の再生利用については6 再生利用の項を参照すること。

  (4) 斃死魚
  1. (1) 排出事業者は、斃死魚を中間処理により、魚かす肥料等に加工するなど、再生利用を極力推進する。
  2. (2) 斃死魚は腐敗が速いので、焼却等の中間処理を行い、できるだけ直接埋立処分しない。
  3. (3) 埋立処分をする場合には、一般廃棄物の最終処分場でこれを処理する。

〔解説〕

  斃死魚の再生利用については6 再生利用の項を参照すること。

  (5) 発泡スチロール(魚函)
  1. (1) 排出事業者は、発泡スチロール(魚函)を中間処理により、プラスチックの原料にするなど、再生利用を極力推進する。
  2. (2) 再生利用ができないものについては、原則として焼却し、できるだけ直接埋立処分しない。
  3. (3) 発泡スチロール(魚函)の焼却は焼却施設を用いて行う。
  4. (4) 埋立処分をする場合には、埋立跡地の効果的な利用を阻害しないようにするために破砕、溶融などを行う。

〔解説〕

  発泡スチロール(魚函)の再生利用については6 再生利用の項を参照すること。

  (6) 廃油
(1) 排出事業者は、廃油等を暖房用の燃料として使用するなど、再生利用を極力推進する。
(2) 再生利用ができないものについては、焼却等の処理を行う。
(3) 廃油の放置、埋設、投棄は行わない。

〔解説〕

  廃油は土壌中で分解を受けにくく、油分により地下水及び公共用水域の汚染をきたすため、埋立処分を行ってはならない。

 5.3 廃棄物処理ルート
 排出事業者は、漁業系廃棄物処理計画に基づき、廃棄物の種類、地域事情に合わせた廃棄物処理ルートを設定する。

〔解説〕

  漁業系廃棄物には、一般廃棄物と産業廃棄物があり、その種類も多岐にわたる。また、問題となる状況も地域によって大きな違いがあるので、それぞれの条件にあった廃棄物処理ルートを設定する。
  また、処理ルートの設定に当たっては、漁業系廃棄物処理計画を参照すること。

 (1) 民間処理業者
   漁業系廃棄物の民間処理においては、メーカー(造船所を含む)や再生利用業者の役割も大きく、これらと廃棄物処理業者との連携を含めて処理ルートを設定する。
図:図―3.4 民間処理業者による廃棄物処理ルート(例)
  図―3.4 民間処理業者による廃棄物処理ルート(例)
 (2) 市町村
   漁業系廃棄物は、貝殻等のように一般廃棄物として、また、合わせ産廃処理(*)として、市町村での処理に委ねられている場合が多い。
   しかし、産業廃棄物のみならず、一般廃棄物についても事業活動によって発生する事業系の廃棄物であるので、その処理処分の責任は排出事業者にあり、自己処理をできるかぎり推進していくことが望まれる。
   また、産業廃棄物が合わせ産廃処理として市町村で処理されている場合については、地場産業の育成といった観点から市町村が受入れを行っている場合が多いが、近年の漁業形態の変化に伴う処理困難物の排出の増加や最終処分場の残余容量の減少等から、市町村による処理が困難化してきており、適切な処理ルートの設定等総合的な対策が望まれる。
図:図―3.5 市町村処理による廃棄物処理ルート(例)
  図―3.5 市町村処理による廃棄物処理ルート(例)
   (*) 合わせ産廃処理とは、廃棄物処理法の規定に基づき、市町村が単独に、または共同して、一般廃棄物とあわせて処理することができる産業廃棄物、その他市町村が処理することが必要であると認める産業廃棄物の処理をその事務として行うことをいう。この場合、市町村は産業廃棄物の収集、運搬及び処分に要する費用を条例で定めるところにより徴収するものとされている。
 (3) 地方公社
   漁業系廃棄物処理の公共関与による適正化促進の必要性の増大と、従来の主要な処理ルートである市町村の処理・処分能力の限界化といった相反する現状において、都道府県が関与する地方公社による漁業系廃棄物処理の推進が望まれる。
図:図―3.6 地方公社処理による廃棄物処理ルート(例)
  図―3.6 地方公社処理による廃棄物処理ルート(例)   
  表―3.7 産業廃棄物処理事業を行う地方公社一覧

(平成元年4月1日現在)

所在都道府県
関与地方公共団体
事業者の名称
事業の内容
事業開始年月
北海道
札幌市
札幌市
中間処理・再生利用
昭和63年6月

樽

樽

埋立処分
昭和59年4月
宮城県
宮城県
(財)宮城県環境事業公社
埋立処分・中間処理・保管
昭和54年7月
秋田県
秋田県
秋田県環境保全センター
埋立処分・中間処理・再生利用
昭和51年10月
福島県
福島県
(財)福島県環境保全公社
埋立処分
昭和58年4月
茨城県
茨城県
(社)茨城県農業用プラスチック処理協会
収集運搬
昭和61年12月
古河市
(財)古河市クリーン・サービス公社
埋立処分
昭和62年3月
岩井市
岩井市
埋立処分
昭和62年7月
波崎町
波崎町
埋立処分
昭和63年1月
谷和原村
谷和原村
埋立処分
昭和63年5月
埼玉県
埼玉県
(財)埼玉県環境保全公社
埋立処分
昭和49年1月
千葉県
千葉県
(財)千葉県都市公社
埋立処分
昭和58年8月
東京都
東京都
東京都
埋立処分
昭和53年4月
神奈川県
横浜市
(財)横浜市廃棄物資源公社
埋立処分・中間処理・再生利用
昭和55年10月
川崎市
(財)川崎市産業廃棄物処理事業団
中間処理
昭和55年8月
新潟県
糸魚川市
糸魚川市
埋立処分
昭和55年4月
富山県
富山県
富山県産業廃棄物埋立センター
埋立処分
昭和61年10月
石川県
金沢市
金沢市
埋立処分
昭和59年1月
福井県
福井県
(財)福井県産業廃棄物処理公社
埋立処分・中間処理
昭和57年10月
山梨県
山梨県
(社)山梨県農業用廃プラスチック処理センター
再生利用
昭和51年11月
静岡県
掛川市
掛川市
埋立処分
昭和62年3月
大東町
大東町
埋立処分
昭和62年4月
袋井市
袋井市
埋立処分
昭和60年3月
舞阪町
舞阪町
埋立処分
昭和59年5月
湖西市
湖西市
埋立処分
昭和62年3月
静岡市
(財)静岡市清掃公社
収集運搬
昭和42年8月
三重県
三重県
(財)三重県環境保全事業団
埋立処分
昭和52年9月
滋賀県
大津市
(財)大津市産業廃棄物処理公社
埋立処分・中間処理
昭和58年12月
信楽町
信楽町
埋立処分
昭和62年3月
余呉町
余呉町
埋立処分
昭和63年3月
京都府
京都府
(株)京都環境保全公社
埋立処分・中間処理
昭和59年2月
京都市
     
宇治市
(財)宇治廃棄物処理公社
埋立処分
昭和53年6月
福知山市
福知山市
埋立処分
昭和63年5月
舞鶴市
舞鶴市
埋立処分
昭和60年12月
岩滝町
岩滝町
埋立処分
昭和61年7月
大阪府
大阪府
(財)大阪産業廃棄物処理公社
埋立処分・中間処理
昭和49年2月
大阪市
     
大阪府ほか
大阪湾広域環境整備センター
埋立処分・中間処理
昭和61年度
兵庫県
兵庫県
(財)兵庫県環境事業公社
埋立処分
昭和52年9月
尼崎市ほか
     
神戸市
神戸市
埋立処分
昭和47年11月
神戸市
クリーン神戸リサイクル(株)
中間処理
昭和59年4月
和歌山県
和歌山県
(財)和歌山県環境保全公社
埋立処分
昭和56年12月
和歌山市
     
岡山県
岡山県
(財)岡山県環境保全事業団
埋立処分・中間処理
昭和54年4月
広島県
広島県
(財)広島県環境保全公社
埋立処分
昭和57年7月
広島市
広島市
埋立処分
昭和49年5月
山口県
山口県
山口県東部環境保全センター
埋立処分の斡旋
昭和61年7月
香川県
香川県
(財)香川県環境保全公社
埋立処分
昭和63年6月
高知県
高知県
(社)高知県農業用廃プラスチック処理公社
再生利用
昭和49年8月
福岡県
福岡市
福岡市廃油中継所
中継
昭和49年7月
北九州市
ひびき灘開発(株)
埋立処分
昭和55年2月
長崎県
阿佐見町
阿佐見町
埋立処分
平成元年4月
瑞穂町
瑞穂町
埋立処分
昭和63年12月
大分県
大分県
(株)エキスプレス大分
埋立処分・中間処理
昭和46年8月


   (注) 法13条第2項及び第3項に基づく処理事業を実施しているものも含む。

 (4) 廃棄物処理センター*
   FRP船や漁網等の処理の困難な廃棄物の適正処理を推進していく上で、改正廃棄物処理法に規定されている「廃棄物処理センター」の設立に資金供給等により積極的に協力し、同センターによるこれら廃棄物の処理を推進していく。

6 再生利用

 6.1 再生利用の重要性
  1. (1) 排出事業者は、漁業系廃棄物の減量化及び資源化を図るために漁業系廃棄物を積極的に再生利用する。
  2. (2) 再生利用に当たっては、再生利用の指定を受けた再生利用業者を活用するほか、メーカー等にも協力を求める。
  3. (3) 再生利用に当たっては、生活環境の保全上支障が生じないようにしなければならない。

〔解説〕
  1.  (1) 漁業系廃棄物は、その種類も多岐にわたり排出時状況も一般の廃棄物と異なることから、既存の処理施設や処理体系を円滑に活用できず、適正に処理をすることが困難な場合も多いので、これら既存の処理施設等への負荷を増大させることなく適正かつ円滑に処理するための方策として、再生利用を推進する必要がある。
  2.  (2) 漁業系廃棄物の再生利用を進める方法としては以下のものがあげられる。
    1.   ① 有価で売却する。(メーカー等による下取りを含む)
    2.   ② 排出事業者が自ら利用する。
    3.   ③ 排出事業者が廃棄物を無償または再生・輸送に要する適正な費用を支払って再生利用業者に引き渡す。
  3.  (3) 再生利用の申請
       排出者が不要とした産業廃棄物を原則として無償で引き取り、再生利用することが確実な産業廃棄物のみの処理を業として行う場合には、都道府県知事等から個別指定を受けることにより、産業廃棄物処理業の許可を受けずに当該廃棄物の再生処理を行うことができる。
       産業廃棄物が、都道府県を越えて広域移動され再生利用される場合には、産業廃棄物が生ずる区域及び再生利用される区域の都道府県知事等に申請する必要がある。
  4.  (4) 再生利用に当たっては、生活環境保全上の支障が生じないよう漁業系廃棄物の性状に応じた適切な処理及び利用をしなければならない。
  5.  (5) 排出事業者は、再生利用業者との取引関係を確実なものにし、かつ、その取引関係が継続性のあるものとなるよう努める。
 6.2 廃棄物毎の再生利用

  廃棄物毎の再生利用例を以下に示す。

  表―3.8 廃棄物毎の再生利用例
廃棄物
用途
再生利用工程例
漁船
鉄鋼船
鉄くず
艤装解除→溶接解体→鉄くず
魚礁
艤装解除→一部改造→魚礁
FRP船
油脂原料
艤装解除→解体・破砕→乾留→油脂原料
カーボン原料
艤装解除→解体・破砕→乾留→カーボン原料
魚礁
艤装解除→一部改造→魚礁
木船
燃料
艤装解除→解体・破砕→燃料またはチップ
チップ
 
漁網
プラスチック原料
分別→溶融固化→プラスチック原料
防獣、防鳥用ネット
分別→縫製→防獣、防鳥用ネット
貝殻等
飼料
分別→破砕→飼料
暗きょ材
分別→破砕→加工・組立て→暗きょ材
水質浄化材
分別→破砕→加工→水質浄化材
カルシウム剤
分別→破砕→精製→カルシウム剤
斃死魚
魚粉
破砕→加工→魚粉
発泡スチロール
プラスチック原料
分別→破砕→溶融固化(ペレット他)→プラスチック原料
廃油
燃料
→燃料


7 不適正処理の防止

 7.1 放置
  1. (1) 生物付着のある漁業系廃棄物は、腐敗臭やか・はえ等の害虫が発生しやすいので、できるかぎり迅速に処理される必要がある。
  2. (2) 漁具資材、漁船等の放置は、魚港機能等及び安全上の阻害要因となるので行ってはならない。

〔解説〕
  1.  (1) 漁港区域における野積場は限られた期間内での漁具・資材等の仮置きが認められているが、これを漁業系廃棄物置場として放置状態にしてはならない。
  2.  (2) 護岸・岸壁上に漁業系廃棄物を放置してはならない。
  3.  (3) 護岸・岸壁等に漁業系廃棄物と化した漁船を放置係留してはならない。
  4.  (4) 漁業系廃棄物焼却残渣を漁港区域内等の空き地に放置してはならない。
  5.  (5) 仮置きもしくは実係留等を行う場合は、その旨が明確になるように表示することが望まれる。
    1.   ① 仮置き表示
      •    ・所有者
      •    ・連絡先(住所、連絡先)
      •    ・内容(名称、量等)
      •    ・仮置き予定期間
    2.   ② 実係留表示
          漁港管理者の承認による係留証の貼付
      •    ・所有者
      •    ・連絡先(住所、連絡先)
      •    ・船舶仕様(船籍、トン数等)
      •    ・係留許可期間
 7.2 不法投棄
 漁業系廃棄物の不法投棄を行ってはならない。

〔解説〕
  1.  (1) 何人もみだりに廃棄物を陸地又はその地先海面に捨ててはならない。
  2.  (2) 最終処分方法としては、埋立処分と海洋投入処分がある。廃棄物処理法では埋立処分を行うのに特に支障がないと認められる場合には、海洋投入処分を行わないものとされていることから、漁業系廃棄物のうち、埋立処分を行うのに特に支障がないものは埋立処分を優先する。
  3.  (3) 貝殻類の最終処分として海洋投入処分が考えられる場合の現行の取扱いは以下のとおり。
    1.   ① 水産食料品製造業を経ない貝殻は「一般廃棄物」であり、身を完全に除去しB海域で比重1.2以上の状態にして粉末にせずに廃棄物排出船を停止させて排出する。
    2.   ② 水産食料品製造業を経た貝殻は「産業廃棄物」であり、すりつぶし、油分を除去した後、C海域に廃棄物排出船の航行中に海面下に排出する。
    3.   ③ 漁労活動に伴って生じた貝殻(陸揚げする前のもの)はD海域で排出する。
  4.  (4) 貝殻を廃棄物として海洋投入処分するのではなく、「水質保全」、「漁場造成」のため、海洋に投入される措置が取られた例がある。しかし、この場合にも、現場の取締りサイドと協議の上、当該貝殻が「廃棄物」ではないことを明確にする必要がある。
       このため、水産庁振興部振興課長から運輸省運輸政策局環境課長に確認を求めた際の回答は以下のとおりであるが、その取扱いは慎重に行うべきである。
 物質が「海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律」(以下、「海防法」という。)上、廃棄物であるか否かの区別は、例えば「汚物=廃棄物」というように物の属性として本来的に定まっているものではなく、物質を海洋に排出する時点において当該物が、不用物としての性格を有していることが客観的に判断されるかどうかによって個別的に定まるものである。したがって、ある時点で一般に廃棄物に該当するものであっても、海洋に投入される時点で当該物が施行者側における充分な管理の下に積極的に材料等として使用される場合は、海防法上は廃棄物とならないと解される。

 7.3 罰則等
  1. (1) みだりに廃棄物を捨てると罰則の適用がある。
  2. (2) 廃棄物の処理基準に適合しない廃棄物の処分が行われ、生活環境の保全上重大な支障が生じ、又は生ずるおそれがあると認められるときは、市町村長又は都道府県知事は当該処分を行った者(委任基準に違反して委託した排出事業者を含む。)に対し、その支障の除去等必要な措置を講ずべきことを命ずることができる。
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