法令・告示・通達

特定建設作業に伴って発生する騒音の規制に関する基準の一部改正について

公布日:昭和63年12月16日
環大特140号

[改定]

平成5年11月18日 環大企第488号・環大特第123号・環大自第102号

(環境庁大気保全局長から各都道府県知事・各指定都市市長あて)

 昭和63年11月21日をもって、「特定建設作業に伴って発生する騒音の規制に関する基準の一部改正」(環境庁告示第65号)が告示されたが、その施行に当たっては、下記の事項に留意のうえ、遣憾なきようにされたい。

第1 改正の要点

 1 改正の主たる内容について

  1.   (1) 第1号の基準(音量に関する基準)について、「特定建設作業の騒音が、特定建設作業の場所の敷地の境界線から30mの地点において、(特定建設作業の種類に応じ)85~75デシベルを超える大きさのものでないこと」を「特定建設作業の騒音が、特定建設作業の場所の敷地の境界線において、(特定建設作業の種類にかかわらず一律に)85デシベルを超える大きさのものでないこと」に改めたこと。
  2.   (2) 第2号の基準(作業時刻に関する基準)について、第1号区域にあっては、「特定建設作業の騒音が、(特定建設作業の種類に応じ)午後7時から翌日の午前7時まで又は午後9時から翌日の午前6時までの時間内において行われる特定建設作業に伴って発生するものでないこと」を「特定建設作業の騒音が、(特定建設作業の種類にかかわらず一律に)午後7時から翌日の午前7時までの時間内において行われる特定建設作業に伴って発生するものでないこと」に改めたこと。
  3.   (3) 第4号の基準(作業期間に関する基準)について、「特定建設作業の騒音が、(特定建設作業の種類に応じ)連続して6日又は1月(第1号区域(第2号区域にあっては2月))を超えて行われる特定建設作業に伴って発生するものでないこと」を「特定建設作業の騒音が、(特定建設作業の種類にかかわらず一律に)連続して6日を超えて行われる特定建設作業に伴って発生するものでないこと」に改めたこと。
  4.   (4) 基準の適用について、「第1号の基準(音量に関する基準)は、特定建設作業の作業時間の変更に係る基準としては適用しない」を「第1号の基準を超える大きさの騒音を発生する特定建設作業について勧告、命令を行うに当たり、特定建設作業の作業時間を変更すること(第3号本文の規定にかかわらず、1日における作業時間を第1号区域にあっては10時間(第2号区域にあっては14時間)未満4時間以上の間において短縮させること)を妨げない」に改めたこと。
  5.   (5) 削除

 2 施行期日について

   改正基準は、昭和64年4月1日から施行すること。

第2 留意すべき事項

 1 本基準に関する指導等について

  1.   (1) 本基準の施行に関する事務の大部分は、市町村長が執行することとなっているので、都道府県知事にあっては、本基準及び本通知の趣旨に沿って、市町村長を指導されたいこと。
  2.   (2) 建設工事の施工者等に対して広く指導啓発を行い、本基準の趣旨の周知徹底を図ることにより、本基準の円滑な実施を図られたいこと。

 2 基準の適用等について

   特定建設作業の騒音が第1号の基準(音量に関する基準)を超える場合には、一義的には騒音の防止の方法について改善されるべきであることは従前どおりであるが、告示本文ただし書は、法第15条に基づく改善勧告又は改善命令を行うに当たって、技術的困難性等の理由から騒音の防止の方法の改善によっては生活環境が著しく損われる事態を除去することが困難な場合においては、住民の生活環境に対する影響を軽減するため、1日当たりの作業時間を4時間まで短縮させることもできることとされたものであり、その運用については実態に即して適切に行われたいこと。
   なお、さく岩機を使用する作業で、コンクリート圧砕機、静的破砕剤等の低騒音工法を併用する場合には、当分の間、ただし書の「4時間」は「6時間」と解されるものであること。

 3 改善勧告及び改善命令について

  1.   (1) 基準に適合しない場合に行われる改善勧告の内容と基準各号との対応については、別表を参照されたいこと。
  2.   (2) 公共性のある施設又は工作物に係る建設工事として行われる特定建設作業に関して、法第15条に基づく改善勧告又は改善命令を行うに当たっては、その内容をより円滑に実施するため、事前に当該建設工事の発注者に通知されたいこと。

 4 条例との関係について

地方公共団体が、建設作業に伴って発生する騒音を規制する条例を制定又は改廃しようとする場合には、その規制の方法、内容等について、本基準に定める規制の程度と均衡を失することのないようにされたいこと。
   その場合においては、騒音対策工法・機械及び騒音防止技術の開発普及状況、代替工法の有無、現場における騒音対策の実態等を十分考慮したうえで行われたいこと。

 5 その他

   敷地の境界付近で行われる特定建設作業に伴って発生する騒音の測定を行うに際しては、特定建設作業に使用されている機械から危険防止に必要な距離だけ離れて測定するなど、測定者の安全の確保に十分配慮されたいこと。

第3 その他

  騒音規制法の施行については、既に通知されている「騒音規制法の施行について」(昭和44年1月30日付厚生省環第30号・44農経C第229号・44企第678号・官開第35号・建設省計建発第2号厚生事務次官・農林事務次官・通商産業事務次官・運輸事務次官・建設事務次官から各都道府県知事あて)、「騒音規制法の一部を改正する法律の施行について」(昭和46年8月19日付環大特第2号環境事務次官から各都道府県知事あて)等によられているところであるが、本基準の一部改正に伴い、以下の事項に留意願いたいこと。

  1.   (1) 法第15条第1項の改善勧告の要件としては、特定建設作業に伴って発生する騒音が基準に適合しないことのみではなく、それによって周辺の生活環境が著しく損なわれると市町村長が認めることが必要であり、周辺の生活環境が著しく損なわれるかどうかは特定建設作業の周辺の生活環境の実態、空地、道路等の存在、暗騒音などの状況に即して判断されたいこと。
  2.   (2) 改善勧告及び改善命令の内容は、騒音の防止の方法の改善又は特定建設作業の作業時間の変更であって、工法の変更及び建設工事の中止は含まれないものであること。
  3.   (3) 改善勧告又は改善命令を行うに当たっては、その事態を除去するために必要な限度においてするものとし、過剰な規制とならないようにされたいこと。また、その内容は、その目的達成のため技術的経済的にも最も合理的なものとし、事業者に選択の余地を認めることとされたいこと。

別表

 特定建設作業に伴って発生する騒音の規制に関する基準(昭和43年11月厚生省・建設省告示第1号)に規定する勧告に係る基準とこれに適合しない場合に行われる改善勧告との対応事例一覧表

 
改善勧告の内容
騒音防止の方法の改善勧告
作業時間の変更勧告
第1号に適合しない場合
(騒音の大きさ)
  1. 1 くい打機、くい抜機、くい打くい抜機を使用する作業
    機械に遮音板、消音装置(エンジンマフラー)等をとりつけること。
  2. 2 さく岩機を使用する作業
    作業場所に遮音塀を設置すること。
  3. 3 空気圧縮機を使用する作業
    機械に遮音板をつける、機械を上屋で囲う、機械の設置位置をかえること。
  4. 4 コンクリートプラント、アスファルトプラントを設けて行う作業
    機械の設置位置をかえること。(原則として設置前のみ)
  5. 5 1~4の作業
    注油等機械の点検整備をすること。
1日の作業時間を10時間または14時間未満4時間以上の間において短縮すること。
第2号に適合しない場合
(夜間作業)
第1号に適合しない場合と同様の改善勧告が考えられるが、更に夜間にわたる作業を休止することが実際的に不可能であってその作業期間が長期にわたる場合には、例えば空気圧縮機を使用する場合には空気圧縮機をコンクリートブロックで囲うことを勧告するなど、受忍できる程度まで騒音を軽減する措置を講ずること。
夜間にわたる部分の作業を休止すること。
第3号に適合しない場合
(1日の作業時間)
第1号に適合しない場合と同様の改善勧告が考えられる。
10時間または14時間をこえる部分の作業を休止すること。
第4号に適合しない場合
(作業期間)
第2号に適合しない場合と同様の改善勧告が考えられる。
作業時間の中間に休止日(日曜日その他の休日を含む。)を設けること。
第5号に適合しない場合
(日曜日その他の休日作業)
第1号に適合しない場合と同様の改善勧告が考えられる。
作業日を日曜日その他の休日以外の日に変更すること。