法令・告示・通達

農用地の土壌の汚染防止等に関する法律施行令の一部改正等について

公布日:昭和47年11月13日
環水土67号

(各都道府県知事あて環境事務次官通達)

 農用地の土壌の汚染防止等に関する法律(昭和四五年法律第一三九号。以下「法」という。)に基づく特定有害物質として、従来カドミウムおよびその化合物が指定されていたところであるが、今回、銅による土壌汚染防止対策を促進するため去る一〇月一七日に農用地の土壌の汚染防止等に関する法律施行令の一部を改正する政令(昭和四七年政令第三七五号)が公布施行され、新たに銅およびその化合物が追加指定されるとともに、銅に係る農用地土壌汚染対策地域の指定要件が定められた。また、これに伴い農用地土壌汚染対策地域の指定要件に係る銅の量の検定の方法を定める府令(昭和四七年総理府令第六六号。以下「検定府令」という。)が同月二七日に公布、施行されたので、左記事項にご留意のうえ、これら法令の適切かつ円滑な運用に遺憾のないようにされたい。
 なお、前記政令の制定に伴い、農用地土壌汚染対策地域の指定要件に係るカドミウムの量の検定の方法を定める省令(昭和四六年農林省令第四七号)の一部が改正されたので、念のため申し添える。
 以上、命により通達する。

第一 農用地土壌汚染対策地域の指定
 一 農用地土壌汚染対策地域の指定要件
  1.   (一) 農用地の土壌汚染防止等に関する法律施行令(昭和四六年政令第二〇四号。以下「令」という。)第二条第一項第三号に規定する「その地域内の農用地(田に限る。)の土壌に含まれる銅の量が土壌一キログラムにつき一二五ミリグラム以上であると認められる地域であること」とは、検定府令による検定の結果、その地域内の農用地(田に限る。)の土壌に含まれる銅が一二五ppm以上であると認められる地域であることとする。
  2.   (二) 対象農用地を「田に限る」としているが、これは銅による土壌の汚染が主としてかんがい水の汚濁を原因として発生し、その被害のほとんどは、水田においてみられていること等にかんがみて、当面水田に限定したものである。
 二 銅の量の検定の方法
   令第二条第二項の規定により、土壌に含まれる銅の量の検定の方法は、検定府令に基づいて行うこととされているが、この場合の土壌の採取は、次により行うものとする。
  1.   (一) 縮尺三、〇〇〇分の一程度の平面図をベースマツプとして、一区画がおおむね二・五ヘクタールとなるように方眼を組み、その交点を含むほ場において、水口地点、中央地点および水尻地点を結んだ線を3等分して得た線のおのおのの中央地点(三地点)を試料採取地点とする。
  2.   (二) 各試料採取地点において、地表から地表下一五センチメートルまで(耕盤等が地表下一五センチメートル以内に出現する場合にあつては、耕盤まで)の土壌を垂直に切り取り、これを十分混合して、四分法により均一な土壌約一キログラムを採取するものとする。
    この場合において、畝立等でほ場表面が不均一なときは、畝内、畝間を均一にならして採土するものとする。
第二 排水基準設定等のための措置
  法第七条の規定により、都道府県知事は、対策地域を指定し、またはその区域を変更した場合において、当該対策地域の区域内にある農用地の土壌の特定有害物質による汚染の程度、当該対策地域に係る対策計画の内容等を総合的に勘案して、人の健康をそこなうおそれがある農畜産物が生産され、または農作物等の生育が阻害されることを防止するため必要があると認めるときは、水質汚濁防止法(昭和四五年法律一三八号)または大気汚染防止法(昭和四三年法律第九七号)の規定により全国一律の排水基準等にかえて、特別の排水基準等を定めるものとされているが、銅に係る土壌の汚染防止の観点からする特別の排水基準等の設定または変更は、当面、農用地の土壌に含まれる銅の量が土壌一キログラムにつき一二五ミリグラム未満であるような状態が維持されるため必要かつ十分な程度の許容限度を定めるよう行うものとする。
第三 特別地区の指定

  今回の銅およびその化合物の特定有害物質としての指定は、農作物等の生育阻害防止の観点から行なわれたことにかんがみて、銅およびその化合物に関しては、法第八条の規定による特別地区の指定および指定農作物等の指定は行なわないものとする。