法令・告示・通達

「農薬取締法第三条第一項第四号から第七号までに掲げる場合に該当するかどうかの基準を定める等の件の一部を改正する件」について

  • 公布日:平成17年8月1日
  • 環水土発第050801002号

(環境省環境管理局水環境部長から農薬工業会会長あて)

 「農薬取締法第3条第1項第4号から第7号までに掲げる場合に該当するかどうかの基準を定める等の件の一部を改正する件」(平成15年環境省告示第37号。以下「告示」という。)は、平成15年3月28日に告示され、平成17年4月1日から施行されたところである。
 告示は、農薬登録段階でのリスク管理措置である、農薬取締法(昭和23年法律第82号)第3条第2項の規定に基づき環境大臣が定める基準のうち水産動植物に対する毒性に係るもの(以下本通知において「登録保留基準」という。)を、生態系への影響を評価する視点を取り入れて改定したものである。
 貴職におかれては、告示が厳正に施行されその実効が確保されるよう、下記の事項に十分御留意の上、格段の御協力をお願いするとともに、貴会会員に対する本通知の周知方お願いしたい。

第1 背景

  第2次環境基本計画(平成12年12月22日閣議決定)では、持続可能な社会の構築のために、すべての社会経済活動は、生態系の構造と機能を維持できるような範囲内で、またその価値を将来にわたって減ずることのないように行われる必要があるとしており、また、農薬を含めた様々な化学物質による生態系に対する影響の適切な評価と管理を視野に入れて化学物質対策を推進する必要があるとしている。
  このことを踏まえ、環境省では、我が国における農薬生態影響評価の在り方について検討を行った。その結果、農薬の環境リスクの評価・管理制度の中に生態系の保全を視野に入れた取組を強化することは喫緊の課題であり、具体化できるところから一部でも早く具体化していくことが重要であるとの認識に立って、当面の具体的な施策として、技術的手法が確立している水域生態系について、登録段階でのリスク管理措置である登録保留基準を改定することとした。
  なお、化学物質による生態系への影響の評価と管理に関しては、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(昭和48年法律第117号)について、平成15年5月28日、環境中の動植物への影響に着目した審査・規制制度の導入を旨とする改正法が公布され、平成16年4月1日より施行されている。また、水質汚濁に係る環境基準について(昭和46年環境庁告示第59号)においても、水生生物の保全に係る水質環境基準が導入され、平成15年11月5日、亜鉛に関する基準が定められたところである。

第2 登録保留基準改定の基本的考え方

  農薬の水域生態系への影響を未然に防止する観点から、より注意深く登録段階での評価を行う必要があるため、登録保留基準について、新たに生態系への影響を評価する視点を取り入れることとした。この基本的考え方は以下のとおりである。

 1.生態系保全の目標及び評価の基本的考え方

   農薬の生態系への影響の程度を実環境において定量的に分離・特定することが困難な現状においては、少なくとも河川等の公共用水域の水質環境基準点のあるような地点においては、農薬取締法が保全対象としている水産動植物への影響が出ないように現状の評価手法を改善することによって、農薬による生態系への影響の可能性を現状より小さくすることを当面の目標とするものである。

 2.評価手法等

  1.   (1) 農薬取締法第3条第1項第6号に掲げる、「水産動植物の被害が発生し、かつ、その被害が著しいものとなるおそれがあるとき」の判断は、当面、現行の登録保留基準と同様、急性毒性に着目して行うこととする。
  2.   (2) 評価対象生物種は、藻類、甲殻類等及び魚類それぞれの代表種とする。
  3.   (3) 水田使用農薬の他、畑や果樹で使用される農薬についても評価対象とする。
  4.   (4) 水産動植物に対する毒性値と曝露量を比較する評価方法を導入する。すなわち、一定の環境モデルのもとで農薬を農地等に単回散布し公共用水域に流出又は飛散した場合の公共用水域中での当該農薬の環境中予測濃度(Predicted Environmental Concentration。以下「PEC」という。)と、藻類、甲殻類等及び魚類の代表種の急性毒性試験から得られた急性影響濃度(Acute Effect Concentration)とを比較することによりリスク評価を行うこととする。
  5.   (5) 登録保留基準値は、農薬の成分ごとに急性影響濃度をもとにして、今後、環境大臣が定めてこれを告示する予定である。
  6.   (6) PECの算定は、試験及び評価のコストの効率化を図るため、段階制を採用する。なお、既登録農薬については、PECに代えてモニタリング調査の結果を活用できることとする。
  7.   (7) リスク評価の結果、PECが登録保留基準値を上回る場合には登録を保留する。

第3 登録保留基準改定の内容等

 1.登録保留基準値の設定

   登録保留基準値は、魚類、甲殻類等及び藻類の3生物群をそれぞれ代表する種類の生物に関する毒性試験結果から導かれる急性毒性値を、種類差を考慮して設定する不確実係数で除した値の中で、最も低い値を用いて定める。
   具体的には、標準的な急性毒性試験法として、魚類についてはコイ又はヒメダカの96h-LC50を、甲殻類等についてはオオミジンコの48h-EC50を、及び藻類については緑藻の72h-EC50を算出する試験(以下「標準試験」という。)を行い、これらのうち、魚類及び甲殻類等については、得られたエンドポイントに対して通常10の不確実係数を適用して、生物群毎の急性影響濃度を算定し、それらの最小値を当該農薬に係る登録保留基準値とする。
   これらの試験法に加えて、より実環境に近い試験系による、国際的に整合が取れた試験法として、a)追加生物種試験(生物種間の感受性差評価)、b)異なる成長段階での試験(異なる成長段階の感受性差評価)及びc)フミン酸を含む水での試験(環境中有機物質影響評価)の3種類の試験(以下「追加試験」という。)を導入することとし、追加試験の結果は、不確実係数の設定及び急性影響濃度の補正に用いる。
   標準試験及び追加試験の方法については、「農薬の登録申請に係る試験成績について」(平成12年11月24日付け12農産第8147号農林水産省農産園芸局長通知。)に定められている。

 2.PECの算出方法

   PECの具体的な算出方法については、「農薬の登録申請書等に添付する資料等について」(平成14年1月10日付け13生産第3987号農林水産省生産局長通知。)に定められている。

 3.登録時のリスク評価結果を踏まえたリスク管理

   PECが登録保留基準値を下回る場合であっても、必要に応じて、使用方法や使用場所の制限といった注意事項のラベル表示への反映によるリスク管理措置を実施することとする。

 4.登録後のリスク管理

   登録後においても、環境モニタリングの結果等を踏まえ、必要に応じて、適切なリスク管理措置を講ずることとする。
環水土発第050801002号


平成17年8月1日
農薬工業会以外の製造者、輸入者 殿
環境省環境管理局水環境部長   

「農薬取締法第3条第1項第4号から第7号までに掲げる場合に該当
するかどうかの基準を定める等の件の一部を改正する件」について

 「農薬取締法第3条第1項第4号から第7号までに掲げる場合に該当するかどうかの基準を定める等の件の一部を改正する件」(平成15年環境省告示第37号。以下「告示」という。)は、平成15年3月28日に告示され、平成17年4月1日から施行されたところである。
 告示は、農薬登録段階でのリスク管理措置である、農薬取締法(昭和23年法律第82号)第3条第2項の規定に基づき環境大臣が定める基準のうち水産動植物に対する毒性に係るもの(以下本通知において「登録保留基準」という。)を、生態系への影響を評価する視点を取り入れて改定したものである。
 貴職におかれては、告示が厳正に施行されその実効が確保されるよう、下記の事項に十分御留意の上、格段の御協力をお願いする。

第1 背景

  第2次環境基本計画(平成12年12月22日閣議決定)では、持続可能な社会の構築のために、すべての社会経済活動は、生態系の構造と機能を維持できるような範囲内で、またその価値を将来にわたって減ずることのないように行われる必要があるとしており、また、農薬を含めた様々な化学物質による生態系に対する影響の適切な評価と管理を視野に入れて化学物質対策を推進する必要があるとしている。
  このことを踏まえ、環境省では、我が国における農薬生態影響評価の在り方について検討を行った。その結果、農薬の環境リスクの評価・管理制度の中に生態系の保全を視野に入れた取組を強化することは喫緊の課題であり、具体化できるところから一部でも早く具体化していくことが重要であるとの認識に立って、当面の具体的な施策として、技術的手法が確立している水域生態系について、登録段階でのリスク管理措置である登録保留基準を改定することとした。
  なお、化学物質による生態系への影響の評価と管理に関しては、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(昭和48年法律第117号)について、平成15年5月28日、環境中の動植物への影響に着目した審査・規制制度の導入を旨とする改正法が公布され、平成16年4月1日より施行されている。また、水質汚濁に係る環境基準について(昭和46年環境庁告示第59号)においても、水生生物の保全に係る水質環境基準が導入され、平成15年11月5日、亜鉛に関する基準が定められたところである。

第2 登録保留基準改定の基本的考え方

  農薬の水域生態系への影響を未然に防止する観点から、より注意深く登録段階での評価を行う必要があるため、登録保留基準について、新たに生態系への影響を評価する視点を取り入れることとした。この基本的考え方は以下のとおりである。

 1.生態系保全の目標及び評価の基本的考え方

   農薬の生態系への影響の程度を実環境において定量的に分離・特定することが困難な現状においては、少なくとも河川等の公共用水域の水質環境基準点のあるような地点においては、農薬取締法が保全対象としている水産動植物への影響が出ないように現状の評価手法を改善することによって、農薬による生態系への影響の可能性を現状より小さくすることを当面の目標とするものである。

 2.評価手法等
  1.   (1) 農薬取締法第3条第1項第6号に掲げる、「水産動植物の被害が発生し、かつ、その被害が著しいものとなるおそれがあるとき」の判断は、当面、現行の登録保留基準と同様、急性毒性に着目して行うこととする。
  2.   (2) 評価対象生物種は、藻類、甲殻類等及び魚類それぞれの代表種とする。
  3.   (3) 水田使用農薬の他、畑や果樹で使用される農薬についても評価対象とする。
  4.   (4) 水産動植物に対する毒性値と曝露量を比較する評価方法を導入する。すなわち、一定の環境モデルのもとで農薬を農地等に単回散布し公共用水域に流出又は飛散した場合の公共用水域中での当該農薬の環境中予測濃度(Predicted Environmental Concentration。以下「PEC」という。)と、藻類、甲殻類等及び魚類の代表種の急性毒性試験から得られた急性影響濃度(Acute Effect Concentration)とを比較することによりリスク評価を行うこととする。
  5.   (5) 登録保留基準値は、農薬の成分ごとに急性影響濃度をもとにして、今後、環境大臣が定めてこれを告示する予定である。
  6.   (6) PECの算定は、試験及び評価のコストの効率化を図るため、段階制を採用する。なお、既登録農薬については、PECに代えてモニタリング調査の結果を活用できることとする。
  7.   (7) リスク評価の結果、PECが登録保留基準値を上回る場合には登録を保留する。

第3 登録保留基準改定の内容等

 1.登録保留基準値の設定

   登録保留基準値は、魚類、甲殻類等及び藻類の3生物群をそれぞれ代表する種類の生物に関する毒性試験結果から導かれる急性毒性値を、種類差を考慮して設定する不確実係数で除した値の中で、最も低い値を用いて定める。
   具体的には、標準的な急性毒性試験法として、魚類についてはコイ又はヒメダカの96h-LC50を、甲殻類等についてはオオミジンコの48h-EC50を、及び藻類については緑藻の72h-EC50を算出する試験(以下「標準試験」という。)を行い、これらのうち、魚類及び甲殻類等については、得られたエンドポイントに対して通常10の不確実係数を適用して、生物群毎の急性影響濃度を算定し、それらの最小値を当該農薬に係る登録保留基準値とする。
   これらの試験法に加えて、より実環境に近い試験系による、国際的に整合が取れた試験法として、a)追加生物種試験(生物種間の感受性差評価)、b)異なる成長段階での試験(異なる成長段階の感受性差評価)及びc)フミン酸を含む水での試験(環境中有機物質影響評価)の3種類の試験(以下「追加試験」という。)を導入することとし、追加試験の結果は、不確実係数の設定及び急性影響濃度の補正に用いる。
   標準試験及び追加試験の方法については、「農薬の登録申請に係る試験成績について」(平成12年11月24日付け12農産第8147号農林水産省農産園芸局長通知。)に定められている。

 2.PECの算出方法

   PECの具体的な算出方法については、「農薬の登録申請書等に添付する資料等について」(平成14年1月10日付け13生産第3987号農林水産省生産局長通知。)に定められている。

 3.登録時のリスク評価結果を踏まえたリスク管理

   PECが登録保留基準値を下回る場合であっても、必要に応じて、使用方法や使用場所の制限といった注意事項のラベル表示への反映によるリスク管理措置を実施することとする。

 4.登録後のリスク管理

   登録後においても、環境モニタリングの結果等を踏まえ、必要に応じて、適切なリスク管理措置を講ずることとする。

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