法令・告示・通達

ゴルフ場における農薬使用の適正化について

  • 公布日:平成2年7月6日
  • 2農蚕3904号

(農林水産省農蚕園芸局長通達)

 ゴルフ場における農薬使用の適正化については、従来から、「ゴルフ場における農薬の安全使用について」(昭和六三年八月二五日付け63農蚕第五三五五号農林水産省農蚕園芸局長通達)、「ゴルフ場等非農耕地における農薬使用に伴う危被害防止の徹底について」(平成元年一二月二一日付け元農蚕第七八〇七号農林水産省農蚕園芸局長通達)のほか毎年実施している農薬危害防止運動等を通じ、必要最小限の農薬を安全かつ適正に使用するよう、その指導の徹底を図ってきたところであり、また、都道府県においても、ゴルフ場における農薬使用の適正化指導のための要綱、要領等を定めるなど、積極的な取組が行われているところである。
 しかしながら、都道府県におけるゴルフ場に対する指導の内容については都道府県によつてかなりの相違がみられることがあり、ゴルフ場における農薬使用の適正化が一層徹底されるためには、都道府県において定める要綱、要領等の内容について、一定の水準が確保されていることが望ましいものと考えられる。更に、ゴルフ場における農薬使用の適正化を確実に推進していくためには、都道府県による指導の強化を図るだけでなく、農薬使用の適正化に向けてゴルフ場事業者の自主的努力を促すための仕組みを整備することが肝要である。
 このため、今般、必要最小限の農薬を安全かつ適正に使用するよう、その指導の徹底を期するとの基本的考え方のもとに、別紙のとおり「ゴルフ場における農薬使用適正化指導要綱等策定指針」を定め、都道府県において定める要綱、要領等において含まれていることが望ましい事項を示すこととしたので、貴管下における都府県への特段の指導をお願いする。また、各都府県において既に要綱、要領等を定めて指導を行つている場合には、本通達の趣旨を踏まえ、ゴルフ場における農薬使用の一層の適正化が図られるよう、併せてその指導方をお願いする。
 なお、本通達の施行に伴い、「ゴルフ場における農薬の安全使用について」(昭和六三年八月二五日付け63農蚕第五三五五号農林水産省農蚕園芸局長通達)及び「ゴルフ場等非農耕地における農薬使用に伴う危被害防止の徹底について」(平成元年一二月二一日付け元農蚕第七八〇七号農林水産省農蚕園芸局長通達)は、廃止する。


別表
  ゴルフ場における農薬使用適正化指導要綱等策定指針

第1 都道府県知事が指導する内容

事項
内容
1 ゴルフ場事業者に対する指導
 都道府県知事は、ゴルフ場を経営し、又は直接に管理運営する者(当該ゴルフ場の造成工事が着手されたときの当該工事の発注者を含む。以下「ゴルフ場事業者」という。)に対し、ゴルフ場において、第2に掲げる事項が遵守されるよう指導するものとする。
2 防除業者に対する指導
 都道府県知事は、ゴルフ場事業者から委託を受けて防除を行う防除業者に対し、人畜、周辺環境等に害を与えることなく、安全かつ適正に農薬を使用するよう、厳正に指導するものとする。
3 販売業者に対する指導
 都道府県知事は、ゴルフ場事業者に対し、農薬取締法(以下「法」という。)第2条の登録を受けていない農薬、法第7条の表示のない農薬等の不適正な農薬を販売することのないよう、販売業者を厳正に指導するものとする。
4 市町村等との連携
 都道府県知事は、ゴルフ場における農薬使用に関する情報の交換を行うなど、市町村、関係団体等との密接な連携を図るものとする。
5 知識の普及・啓もう
 都道府県知事は、ゴルフ場事業者等の関係者に対し、ゴルフ場における農薬の安全かつ適正な使用及び管理、周辺環境の保全等についての研修会を実施するなど、農薬の安全使用に関する知識の普及・啓もうに努めるものとする。
6 立入検査等
  1. (1) 都道府県知事又は関係職員(以下「知事等」という。)は、都道府県知事の定める要綱、要領等(以下「指導要綱等」という。)の施行のため必要な限度において、検査のため必要な場所に立ち入り、農薬の使用状況又は帳簿、書類その他の必要な物件を検査するものとする。
  2. (2) 知事等は、(1)の検査のほか必要があると認めるときは、ゴルフ場事業者に対し報告を求めることができるものとする。
7 指導、勧告
  1. (1) 都道府県知事は、ゴルフ場の排出水中の農薬濃度が「ゴルフ場で使用される農薬による水質汚濁の防止に係る暫定指導指針について」(平成2年5月24日付け環水土第77号環境庁水質保全局長通達)に定められた指針値(以下「指針値」という。)を超えたとき、ゴルフ場の排水口等の下流水域に取水口を有する水道の原水中の農薬濃度が「ゴルフ場使用農薬に係る水道水の安全対策について」(平成2年5月31日付け衛水第152号厚生省生活衛生局水道環境部長通達)に定められた水質目標(以下「目標値」という。)を超えたとき等の場合には、ゴルフ場事業者に対し、農薬の使用に関し必要な措置を講じるよう指導するものとする。
  2. (2) 都道府県知事は、(1)の指導のほかゴルフ場における農薬の安全かつ適正な使用及び管理、周辺環境の保全等のため必要があると認めるときは、ゴルフ場事業者に対し、指導又は勧告を行うことができるものとする。
8 氏名等の公表
 都道府県知事は、ゴルフ場事業者が都道府県知事の指導若しくは勧告に従わないとき、検査若しくは報告を拒んだとき又はこれを妨害したときは、当該ゴルフ場事業者の氏名等を公表することができるものとする。

第2 ゴルフ場事業者が遵守すべき事項

事項
内容
1 危被害の防止
 ゴルフ場事業者は、ゴルフ場において農薬を使用するときは、気象、地形、周辺の利水状況等の環境条件に十分に配慮するものとする。特に、降雨が予想される場合には農薬の散布を控えるとともに、散布中であつても、降雨、強風等散布に不適切な状況が生じた場合には、直ちに散布を中止するものとする。また、河川、湖沼等の周辺で農薬を使用する場合には、これらの水域に農薬が直接飛散・流入することのないよう注意するものとする。
2 登録農薬の使用
 ゴルフ場事業者は、ゴルフ場において農薬を使用するときは、法第2条第1項又は第15条の2第1項の規定により農林水産大臣の登録を受けた農薬を使用しなければならないものとする。
3 使用農薬の選定
 ゴルフ場事業者は、都道府県知事の定める安全防除指針(以下「安全防除指針」という。)等に基づき、防除の効果、ゴルフ場の立地条件、周辺環境に与える影響等を十分考慮して農薬を選定するものとする。特に、当該ゴルフ場の下流水域に養魚場等の利水施設が存する場合には、魚毒性が強いもの等の使用を避けるものとする。
4 農薬表示事項の遵守
 ゴルフ場事業者は、ゴルフ場において農薬を使用するときは、法第7条の規定により表示された適用病害虫の範囲及び使用方法、貯蔵上及び使用上の注意事項等の農薬表示事項を遵守し、安全かつ適正に使用するものとする。
5 農薬の購入
 ゴルフ場事業者は、農薬を購入するときは、法第2条の規定により登録を受けた製造業者若しくは輸入業者又は法第8条の規定による届出のあつた農薬販売業者から購入しなければならないものとする。
6 防除の委託
 ゴルフ場事業者は、ゴルフ場における病害虫の防除等の作業を他人に委託するときは、法第11条の規定による届出のあつた防除業者に委託しなければならないものとする。
7 農薬等の保管、管理
 ゴルフ場事業者は、盗難、紛失、飛散、流出等を防止するため、農薬を鍵のかかる場所に保管するなど、農薬の適正な保管及び管理に努めなければならないものとする。また、使い残した農薬、空容器等は、適切に処理しなければならないものとする。
8 農薬使用管理責任者
 ゴルフ場事業者は、当該ゴルフ場の職員の中から、当該ゴルフ場における農薬の使用及び管理上の責任者(以下「農薬使用管理責任者」という。)を選任し、別記第1号様式例により、その氏名等をゴルフ場の所在地を管轄する市町村長を経由して都道府県知事に報告するものとする。報告した事項を変更したときも同様とする。
9 農薬使用管理責任者の職務
(1) 農薬使用管理責任者は、毎年度初めに、安全防除指針等に基づき、主要病害虫等、防除時期の目安、使用農薬等を内容とする防除計画を作成するものとする。
(2) 農薬使用管理責任者は、農薬の使用に係る作業日誌を作成し、農薬の名称、使用量、散布場所、散布面積、散布時間、対象病害虫及びその発生状況、使用機器、防除装備の種類、使い残した農薬、空容器及び使用器具の処理、当日の天候、事故の発生の有無及び講じた措置等を記録しておくものとする。
(3) 農薬使用管理責任者は、農薬受払簿を作成し、農薬の購入量、使用量、残量等を正確に記録しておくものとする。
10 農薬の使用計画及び使用実績の報告
 ゴルフ場事業者は、毎年3月末日までに次年度の農薬の使用計画(別記第2号様式例)を、毎年4月末日までに前年度の農薬の使用実績(別記第3号様式例)を、ゴルフ場の所在地を管轄する市町村長を経由して都道府県知事に報告するものとする。
11 水質の監視及び保全
(1) ゴルフ場事業者は、ゴルフ場の調整池に魚類を飼育するなどにより、ゴルフ場内の水質の監視を行うものとする。
(2) ゴルフ場事業者は、定期的に、ゴルフ場の区域から場外の水域に流入する地点(以下「排水口等」という。)、調整池その他必要な場所における農薬の濃度についての公的機関による測定調査を受けるものとする。
(3) ゴルフ場事業者は、ゴルフ場の排出水中の農薬濃度が指針値を超えたとき、排水口等の下流水域に取水口を有する水道の原水中の農薬濃度が目標値を超えたとき等の場合には、都道府県知事の指導を受けて、農薬の使用に関し必要な措置を講じるものとする。
12 周辺環境等に異常が認められたときの措置
 ゴルフ場事業者は、ゴルフ場若しくはその周辺環境に異常が認められ又はそのおそれがあるときは、直ちにその旨を病害虫防除所等の関係機関に報告するとともに、その原因を究明して適切な措置を講じるものとする。
13 記録等の保管
 ゴルフ場事業者は、9の(1)の防除計画、9の(2)及び(3)の記録並びに11の(2)の調査結果を、少なくとも3年間保存しておき、知事等の求めに応じていつでも閲覧に供することができるように備え付けておかなければならないものとする。
14 関係者の資質向上
 ゴルフ場事業者等の関係者は、都道府県知事の実施する研修会等に積極的に参加するものとする。また、ゴルフ場事業者は、農薬使用管理責任者その他農薬の使用に携わる者を、都道府県及び関係団体の実施する研修、講習等に積極的に参加させ、それらの者の資質向上を図るものとする。
15 調査に対する協力
 ゴルフ場事業者は、知事等が行う検査等に対し、積極的に協力しなければならないものとする。

第3 農薬の使用状況等についての認定等

事項
内容
1 認定
(1) ゴルフ場事業者は、自らが経営し、又は管理運営するゴルフ場における前年度の農薬の使用状況等について、都道府県知事の審査を受けることができるものとする。ゴルフ場事業者は、この審査を受けようとするときは、申請書(別記第4号様式例)を都道府県知事に提出するものとする。
(2) 都道府県知事は、(1)の審査において、申請に係るゴルフ場が次に掲げる要件を満たしているときは、当該ゴルフ場では農薬が適正に使用されていたものと認め、当該ゴルフ場のゴルフ場事業者に対し認定証(別記第5号様式例)を交付することができるものとする。
  1.  ① 当該ゴルフ場の農薬使用管理責任者が、植物防疫推進事業実施要領(昭和57年7月8日付け57農蚕第3880号農林水産事務次官依命通達)に基づく農薬危害防止等対策事業による特別研修又は同要領に基づく農薬適正使用緊急対策事業による専門講習を修了し、農薬に関する一定の知識を有する者として当該ゴルフ場の存する都道府県の知事により認定を受けたもの(以下「農薬管理指導士等」という。)であること。
  2.  ② 当該ゴルフ場のゴルフ場事業者により、第2の1から14までの事項を含む自主規準(以下「農薬取扱基準」という。)が定められており、かつ、それに則つて農薬が適正に使用されていること。
  3.  ③ 当該ゴルフ場において、関係法令、条例等に違反する事実が認められず、かつ、当該ゴルフ場の存する都道府県の指導要綱等が遵守されていること。
  4.  ④ その他都道府県知事が定める事項に適合していること。
2 認定事業者の義務
(1) 1の(2)の認定を受けたゴルフ場のゴルフ場事業者(以下「認定事業者」という。)は、農薬取扱基準を変更したときは、別記第6号様式例により、速やかに、都道府県知事に報告するものとする。
(2) 認定事業者は、(1)による報告のほか、都道府県知事の求めに応じて、必要な報告をしなければならないものとする。
3 指定機関
(1) 都道府県知事は、当該都道府県内の団体等を指定し、これに1及び2の事務(以下「認定等の事務」という。)を行わせることができるものとする。この団体等は、認定等の事務を公正かつ的確に実施することができるものでなければならないものとする。
(2) 1及び2は、(1)の指定を受けた機関(以下「指定機関」という。)が行う認定等の事務について準用する。この場合において、「都道府県知事」は、指定機関の長と読み替えるものとする。
(3) 指定機関の長は、(2)において準用する1の(2)による認定をしようとするときは、あらかじめ、都道府県知事に協議するものとする。
4 経過規定
 指導要綱等の施行の際、現にゴルフ場において農薬の使用及び管理上の責任者として当該ゴルフ場のゴルフ場事業者により選任された者がおり、かつ、都道府県知事が適当と認めるときは、平成3年の都道府県知事の定める日までの間は、当該ゴルフ場は、1の(2)の①の要件を満たしているものとみなすことができるものとする。



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