法令・告示・通達

特定水道利水障害の防止のための水道水源水域の水質の保全に関する基本方針

  • 公布日:平成6年5月20日
  • 総理府告示17号

第一 水道水源水域の水質の保全に関する基本的な指針

 1 指定水域及び指定地域の指定

   特定水道利水障害の防止のための水道水源水域の水質の保全に関する特別措置法(平成六年法律第九号。以下「法」という。)第四条の規定に基づく指定水域の指定に当たっては、法第四条第一項に定める要件について次に掲げる事項に配慮して行うものとする。

  1.   ① 法第四条第一項の「その水を水道原水として利用する水道水において特定水道利水障害が生ずるおそれがあると認められるもの」であることについては、水道水源水域のトリハロメタン生成能に係る水質の汚濁の状況、その水を水道原水として利用する水道水中のクロロホルム、ブロモジクロロメタン、ジブロモクロロメタン及びブロモホルム並びに総トリハロメタンに係る水質の状況、その水を水道原水として利用する水道事業者が講ずる措置の内容、指定しようとする水域及び地域における水温、気温等の自然的条件、人口、産業等の動向等の社会的条件を総合的に勘案して特定水道利水障害が生ずるおそれがあると認められるものであること。
  2.   ② 法第四条第一項の「水道事業者がその水質の汚濁の状況に応じた措置を講ずることにより特定水道利水障害を防止することが困難」であると認められることについては、水道事業者が水道水源水域の水質の汚濁の状況に応じた措置として、原則として、塩素処理の管理の適正化及び塩素注入方式の変更(前塩素処理から中間塩素処理への変更等)の措置を講じた場合であっても、特定水道利水障害を防止することが困難であると認められるものであること。
        高度浄水処理施設の整備(オゾン処理及び粒状活性炭処理等)を水道水源水域の水質の汚濁の状況に応じた措置とするかどうかは、個々のケースに応じて、技術的可能性等に基づき、浄水場の対策を最大限に行うとの観点を踏まえつつ、判断するものであること。
        なお、代替水源の確保の見込みがある場合には、水源の種別の変更という方策を水道水源水域の水質の汚濁の状況に応じた措置とするものであること。
  3.   ③ 法第四条第一項の「特定水道利水障害を防止するため水質の保全に関する施策を総合的かつ計画的に講ずる必要があると認められる」ことについては、自然系、生活系及び産業系のそれぞれの汚濁負荷量の調査等の科学的調査検討を行い、各系ごとの汚濁負荷割合を十分に考慮した上で、生活系、産業系等の均衡のとれた水質保全対策を総合的かつ計画的に講ずる必要があると認められるものであること。

 2 指定水域及び指定地域の範囲

   指定水域の範囲は、水道原水の取水地点近傍の水域及び水質の状況からみてこれと一体と考えられる水域を対象とする。
   指定地域の範囲は、特定水道利水障害の防止のために必要かつ合理的な範囲を設定することとし、基本的には集水域全体を対象とするが、上流域において人為的な発生源からの汚濁負荷割合が著しく少なく、今後ともその増加が見込まれない地域がある場合等地域を限定しても特定水道利水障害の防止を図ることができると認められる場合には、一定の地域を指定地域に含めないことができるものとする。

第二 水質保全計画の策定その他指定水域の水質の保全のための施策に関する基本的な事項

 1 水質保全計画の策定に関する基本的事項

   法第五条の規定に基づく水質保全計画は、次に定めるところにより策定するものとする。

  1.   ① 指定水域における水質の保全に関する目標については、浄水場における浄水処理方法、水温、水素イオン濃度(PH)等を考慮して、特定水道利水障害を防止するために必要な公共用水域におけるトリハロメタン生成能の濃度として水質目標を設定するとともに、水質保全対策を総合的・計画的に推進することによる効果を踏まえ、その目標達成期間を定めること。
  2.   ② 指定水域のトリハロメタン生成能に係る水質及び各種発生源からの汚濁負荷量に関する科学的調査に基づき、人口、産業等の動向を勘案して将来における汚濁負荷量の推移を推計し、これに伴う指定水域の水質への影響を予測すること。
  3.   ③ 水道事業者が指定水域の水質の汚濁の状況に応じて講じ、及び講じようとする措置を踏まえて、指定水域の特性及び生活系、産業系等の汚濁原因の負荷割合に応じた均衡ある対策を総合的かつ計画的に推進するように定めること。
       なお、指定地域に係る水道水源水域に関し流域別下水道整備総合計画が定められている場合にはこれに適合して下水道の整備に関する事項を定める等水質保全対策に関連する諸計画との整合が図られるようにするものとする。また、水質保全計画策定の早い段階から河川管理者と予備的な協議・調整を行い、河川管理者の有する知見を十分計画に反映させるものとする。

 2 指定水域の水質の保全のための施策に関する基本的な事項

  (1) 下水道、し尿処理施設及び浄化槽の整備、しゅんせつその他の水質の保全に資する事業に関する事項

    生活排水等に係る汚濁負荷の削減の見地から、下水道整備を促進するほか、地域の実情に応じ、コミュニティプラント農業集落排水施設、合併処理浄化槽等各種生活排水処理施設の整備を図るものとする。また、地域の実情に応じ、家畜ふん尿処理施設の整備等を図るものとする。
    さらに、地域の実情に応じ、河川浄化施設の整備、水質汚濁防止法に基づく生活排水対策重点地域における生活排水汚濁水路浄化施設の整備等の、河川、水路等の直接浄化事業、浄化用水導入に関する事業等の推進を図るものとする。
    また、しゅんせつについては、その効果を確認しつつ推進を図るものとする。

  (2) 指定水域の水質の汚濁の防止のための規制その他の措置に関する事項

    水道水源特定事業場である工場・事業場について、その実態を調査し、地域特性や技術的可能性を勘案しつつ、所要の排水規制を行うものとし、排水口での濃度の管理が困難な畜舎については、その規模に応じ構造等に関する規制を行うものとする。また、排水基準及び構造等基準に係る規制の対象とならない工場・事業場についても、所要の汚濁負荷の抑制に関する指導等を行うものとする。

  (3) その他指定水域の水質の保全のために必要な措置に関する事項

    生活雑排水による影響の大きな地域においては、未処理の生活雑排水対策として台所対策等の住民自ら行う対策の普及啓発の推進を図るものとする。
    面源である農地から流出する汚濁負荷については、その実態の把握に努めつつ、営農の実情に即して適切な措置を講ずるものとする。また、市街地等から降雨等に伴い流出する汚濁負荷についても、実態把握に努めつつ実施可能な対策を検討の上、必要な措置を講ずるものとする。

第三 その他水道水源水域の水質の保全に関する重要事項

 1 水質の監視測定等

   指定水域をはじめ水道水源水域における特定項目で示される水質の汚濁の状態が的確に把握されるよう測定計画を作成し、これに基づき、水質の監視測定を実施するとともに、必要に応じ監視測定施設・設備の整備を図るものとする。
   また、法第二十三条に基づき水道事業者に対し水道水の水質記録の提出を求め、水質保全計画の実施による水道水の水質の改善状況について把握するものとする。

 2 調査研究の推進と技術の開発

   国、地方公共団体その他関係研究機関の連携の下に、排水中のトリハロメタンの原因物質の除去技術の開発、個々の水質保全に資する事業の効果、森林等の自然地域における原因物質の挙動・消長等に関する調査研究を推進するものとする。

 3 知識の普及と意識の高揚

   水道水源水域の水質保全対策を推進するに当たっては、総合的・計画的な対策が必要であり、その実効を期するためには、国、地方公共団体等がその責務を果たすことはもちろんのこと、地域住民をはじめ国民の理解と協力が不可欠であり、このため水道水源水域の水質保全に関する知識の普及及び意識の高揚を図るものとする。

 4 その他の関連する対策

   有機汚濁に関する環境基準が達成されていない水道水源水域にあっては、トリハロメタン生成能の低減化対策の観点からも、その水域に係る環境基準の早期達成のための対策を総合的に推進するものとする。

 5 水道原水水質保全事業の実施の促進に関する法律との関係

   法第四条第一項の指定地域のうち、水道原水水質保全事業の実施の促進に関する法律(平成六年法律第八号。以下「事業促進法」という。)第五条又は第七条に規定する同法の事業実施区域である「対象水道原水の水質の汚濁に相当程度関係があると認められる区域」に該当する区域については、事業促進法に基づく都道府県計画又は河川管理者事業計画が策定され、これらにより事業が促進されるものであり、水質保全計画と事業促進法に基づくこれらの計画とを一体のものとして作成するよう努めるものとする。

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