法令・告示・通達

ダイオキシン類を含む水底土砂の取扱いに関する指針について(通知)

  • 公布日:平成15年9月26日
  • 環地保発030926003・環水管発030926001

 /都道府県知事/政令指定都市市長/中核市市長/)殿

環境省地球環境局長
環境省環境管理局水環境部長

 ダイオキシン類を含む水底土砂の取扱いに関する法的な措置については「海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律施行令の一部を改正する政令等の施行について(通知)」(平成15年9月26日環地保発第030926002号)において、当該水底土砂に含まれるダイオキシン類の溶出濃度が検液1リットルにつき10ピコグラム(TEQ換算値)を超過する場合は、当該水底土砂及び海水が海洋に流出し、又は浸出しないよう護岸、外周仕切施設等が設けられ、埋立場所等が埋立場所等以外の海域としや断された埋立場所等以外への排出を禁止するとともに、海洋投入処分を禁止する旨通知したところである。
 一方、溶出濃度が検液1リットルにつき10ピコグラム(TEQ換算値)以下の水底土砂については、海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律(昭和45年法律第136号。以下「海防法」という。)上、海洋投入処分に際しては当該水底土砂が速やかに海底に沈降するよう船舶が運航していない状態から排出することとされているのみで、投入場所についての実質的な制約はなされていない。
 しかしながら、「ダイオキシン類による大気の汚染、水質の汚濁(水底の底質の汚染を含む。)及び土壌の汚染に係る環境基準について」(平成11年12月27日環境省告示第68号)により底質環境基準(試料1グラム中のダイオキシン類含有濃度150ピコグラム(TEQ換算値))が既に設定されていることを考慮すると、海洋投入処分においては、同基準の確保に留意した措置を講じることが必要であり、また、本改正で定めた溶出濃度基準を超過するダイオキシン類を含む水底土砂については、潜在的な環境リスクをできる限り低減していく必要性に鑑み、海防法に定める規制措置以外に追加的措置を考慮すべきである。
 以上のことから、今般、ダイオキシン類を含む水底土砂の埋立処分等の措置に関し、別添のとおり指針として取りまとめたので、各自治体におかれては、本指針の適切な運用を図られたい。

  ダイオキシン類を含む水底土砂の取扱いに関する指針

第1.総則

 1.基本的な考え方

   ダイオキシン類を含む水底土砂については、平成15年5月14日に「海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律(以下「海防法」という。)施行令の一部を改正する政令(平成15年政令第223号)」を公布し、海域における船舶からの排出に関して、環境省令で定める基準以上のものについては、一定の要件を備えた埋立場所等以外への排出を禁止するとともに、海洋投入処分を禁止する旨排出方法に関する基準を定めたところである。
    しかしながら、ダイオキシン類については、既に底質環境基準が設定されていることを考慮すると、このような法的規制措置のみにとどまらず、底質環境基準の確保等に留意した追加的措置を配慮する必要がある。
    本指針は、ダイオキシン類を含む水底土砂の適正な処理・処分の円滑な運用を図り、水底土砂の処分に起因する海洋汚染を未然に防止するため、現在の技術レベルを考慮して、埋立場所等への排出方法、埋立場所等からの外海域への流出防止措置並びにその監視等に関する基本的な条件及び留意事項等を一般的指針として示すこととしたものである。

 2.用語

   本指針で使用する用語は、次の例によるものとする。

  (1) 埋立場所

    埋立場所とは、次のいずれかに該当する水底土砂の排出先をいう。

  1.    ① 埋立場所1:水底土砂以外の廃棄物が海洋に流出しないよう必要な措置が講じられていること(海防法施行令第5条第1項第1号)。
  2.    ② 埋立場所2:廃棄物及び海水が海洋に流出しないよう必要な措置が講じられていること。余水吐きから流出する海水は、環境省令で定める基準に適合していること(海防法施行令第5条第1項第2号)。
  3.    ③ 埋立場所3:廃棄物及び海水が海洋に流出し、又は浸出しないよう護岸、外周仕切施設等を設けることにより、当該埋立場所以外の海域と遮断されていること。余水吐きから流出する海水は、環境省令で定める基準に適合していること(海防法施行令第5条第2項)。
  4.    ④ 水底土砂管理埋立場所:「埋立場所1」に分類される処理場所のうち、各種の措置を講じること等により、十分な環境汚染防止効果が確保されていること(本指針の第4)。
  (2) 無害化

    無害化とは、分解等の処理により、ダイオキシン類の含有量を相当程度低減することをいう。

第2.水底土砂の事前調査等

  底質については、しゅんせつ工事等の前に事前調査が行われる場合があるが、当該事前調査が含有濃度試験のみで実施されていた場合には、当該底質のしゅんせつ活動等により生じた水底土砂を処理・処分する際、改めて溶出濃度試験を実施する必要がある。ただし、事前調査においてダイオキシン類の含有濃度が最大値を示した試料を含む、適当な数の試料について、海防法で定める溶出濃度基準を満たしていることが確認できた場合には、当該水底土砂は基準を満足しているものと判断して差し支えない。
  また、ダイオキシン類を含む底質のしゅんせつ工事等を実施する際には、工事等にともなう土砂の攪乱、拡散による二次汚染を防止し、周辺水域への影響を最小限に抑えるよう、慎重な工事計画等に基づいてこれを実施する必要がある。
  工事及び監視の方法等に関しては、「底質の処理・処分等に関する指針」(平成14年8月30日、環水管第211号)に従うことが適当である。

第3.ダイオキシン類を含む水底土砂の取扱い

 1.ダイオキシン類を含む水底土砂に関する海防法上の取扱い

   平成15年5月に海防法施行令を改正し、ダイオキシン類を環境省令で定める基準以上に含む水底土砂については、海防法施行令第5条第2項第4号に規定する埋立場所(埋立場所3)以外への排出を禁止した。
   また、これを受け、「海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律施行令第5条第1項に規定する埋立場所等に排出しようとする金属等を含む廃棄物に係る判定基準を定める省令」(昭和48年総理府令第6号)及び「海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律施行令第5条第1項に規定する埋立場所等に排出しようとする廃棄物に含まれる金属等の検定方法」(昭和48年2月環境庁告示第14号)を改正し、判定基準とその検定方法を定めた。

 2.法的規制措置以外の必要な措置

   前述のとおり、ダイオキシン類を含む水底土砂の処理・処分については、基本的にこれまでの海防法の枠組みの中で規制することとしたが、ダイオキシン類については、底質環境基準(含有濃度基準)が設定されている状況にあり、またその他のダイオキシン類規制法令の状況等を鑑みれば、その運用に当たっては、こうした法的規制措置にとどまらず以下のような取組を担保することが必要である。

  (1) 海洋投入処分に関する追加措置

    ダイオキシン類については、底質環境基準として150pg―TEQ/gという値(含有濃度基準)が定められている。このため、海洋投入処分に関し、この基準の確保に留意した措置を講じる必要がある。
    溶出濃度が10pg―TEQ/L以下の水底土砂については、海防法上、排出方法について集中式排出方法により排出することが定められているのみで、排出海域についての制約は実質的にないことから、ダイオキシン類の溶出濃度が10pg―TEQ/L以下の水底土砂であって、なおかつ含有濃度が150pg―TEQ/gを超える水底土砂があるとすれば、それらの水底土砂の海洋投入によって、当該海域で底質環境基準を超過する状況が生じることが懸念される。従って、海防法上の措置とは別に、底質環境基準を超過する水底土砂については、その海洋投入処分を中止するものとする。

  (2) 埋立処分に関する追加措置
  1.    ア.溶出濃度が10pg―TEQ/Lを超える水底土砂の措置
         上述した海防法上の措置を講じることにより、海洋汚染は適切に防止されることとなる。しかしながら、潜在的な環境リスクをできる限り低減していくことの必要性に鑑みれば、とりわけ高濃度のダイオキシン類を含有する水底土砂については、埋立処分よりも無害化処理を優先させていくことが適切である。
         このため、溶出濃度が10pg―TEQ/Lを超える水底土砂については、上述の海防法上の措置により、「埋立場所3」への埋立が認められることとなるが、極力、無害化処理を優先させていくものとする。なお、無害化処理により、溶出濃度が10pg―TEQ/L以下まで低下したことが確認できた場合においては、2(2)イによるものとする。
         一方、ばいじん及び焼却灰については、ダイオキシン類の含有濃度が3000pg―TEQ/gを超える場合において、濃度をそれ以下とした上で、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」に定める埋立処分場に投入することを勘案し、ダイオキシン類を含有する水底土砂についても、含有濃度が3000pg―TEQ/gを超える場合においては、原則として無害化処理をするものとする。
  2.    イ.溶出濃度が10pg―TEQ/L以下かつ含有濃度が150pg―TEQ/gを超える水底土砂の措置
    1.     ① 「埋立場所2」への排出
            溶出濃度が10pg―TEQ/L以下かつ含有濃度が150pg―TEQ/gを越える水底土砂に関しては、海洋投入処分の場合と同様に、底質環境基準及び水質環境基準確保の観点から、必要な場合には追加的な措置が求められる。
            「埋立場所2」については、埋立場所が囲壁等によって海洋と遮断されており、埋立場所に投入された水底土砂が海洋に流出する心配はない。また、埋立場所内の海水は、余水吐きを通じてのみ、海洋に流出することとなっており、その余水吐きからの流出水については、すでにダイオキシン類に係る基準が設定されている。
            こうしたことから、ダイオキシン類溶出濃度が10pg―TEQ/L以下であって含有濃度が150pg―TEQ/gを越える水底土砂は、「埋立場所2」に投入することが望ましい。
    2.     ② 「水底土砂管理埋立場所」への排出
            「埋立場所1」については、海防法上、水底土砂が域外に流出してもかまわないこととなっている。また実際の構造を見ても、このタイプの埋立場所では、開口部を持ち、海洋と直接海水の交換が行われるようになっているものが一般的である。したがって、このタイプの埋立場所に底質環境基準を超えるダイオキシン類を含む水底土砂を投入し、追加的な措置を何ら講じなかった場合には、埋立場所周辺の底質が環境基準を超過してしまうおそれがある。
            さらに、開口部のある埋立場所では、大量の海水が埋立場所の内外で交換されることとなるため、ダイオキシン類の溶出濃度が10pg―TEQ/L以下であることが確保されている水底土砂であっても、これを大量に埋立処分した場合には、周辺海域の水質環境基準の確保に支障をきたすおそれがあることも否定できない。
            こうした懸念に対処するため、開口部を持つ埋立場所において、ダイオキシン類の溶出濃度が10pg―TEQ/L以下であっても、含有濃度が150pg―TEQ/g(底質環境基準)を超えている水底土砂を投入処分する際には、十分な環境汚染防止効果を有する措置の確保を求める必要がある。
            すなわち、埋立場所の開口部において、ダイオキシン類に係る水質環境基準が確保され、かつ、含有濃度が150pg―TEQ/gを超える水底土砂の外海域への流出が確実に防止される措置が講じられた「水底土砂管理埋立場所」に投入処分すべきである。
    3.     ③ その他の措置
            埋立場所への投入に先立ち、ダイオキシン類を含有する水底土砂のリスク低減措置(無害化処理やセメント固化等)を適切に行えば、海洋汚染防止上の効果が大きいと考えられることから、これらの措置を埋立場所の構造上の工夫と組み合わせることにより、上記の要件を満足することも考えられる。

第4.水底土砂管理埋立場所

 (1) 水底土砂管理埋立場所の基本的考え方

   「埋立場所1」に分類される処理場所について、十分な環境汚染防止効果を確保するため、具体的には、①埋立場所開口部において水質環境基準の確保が図られること、②底質環境基準を超過する水底土砂が埋立場所から流出しないことを必須要件として、措置を講じることとなる。ただし、埋立場所の護岸等を通して海水が流出することのないよう、護岸等に関しては、あらかじめ十分な海水流出防止措置等が講じられている処理場所であることを前提とする。
   また、この要件を確保するために、①適切な汚染防止対策、②投入前の環境影響評価、③適切な環境監視の3つの要素を適切に組合せて実施していくことが重要である。

 (2) 適切な汚染防止対策

   汚染防止対策には、様々な種類のものがある。このため、それぞれの汚染防止対策の特徴等を十分に踏まえつつ、投入が見込まれる水底土砂のダイオキシン類濃度や埋立場所の特性等をも勘案して、十分な汚染防止効果が確保できる汚染防止対策を選定することが必要である。対策は、いくつかの措置を組み合わせて講じることも可能である。
   講ずべき措置の選定においては、適宜事前の試験等を行い、その効果の程度を確認しておくことが必要である。また、汚染防止対策の効果に不確実な部分が残る場合には、安全サイドに立って、より確実な対策を講じることが求められる。
   なお、汚染防止対策の代表的な例を以下に示すが、実際には、地域の実情等に応じ、適切な対策を選定することが重要である。一般にダイオキシン類は、水中の懸濁物質への吸着性が高いことが知られており、埋立場所内における海水中の懸濁物質の濃度管理を徹底し、投入物に由来する懸濁物質濃度を低減させる措置を講ずれば、相当程度のダイオキシン類濃度の低減が可能と考えられる。

  1.   ア.流下距離・沈降時間等の確保
    •   ・開口部の位置から最も離れた区域へ投入する。
    •   ・埋立場所内部を築堤等により区画分割することにより余水の流下距離を確保し、また必要に応じてセキ等を設け沈降時間を確保するなどして、懸濁物質の自然沈降を促進させる。
  2.   イ.汚濁拡散防止対策
    •    ・埋立場所内の土砂の投入区域に、汚濁防止枠、汚濁防止膜等を設置して、土砂の拡散を最小限に止める。
  3.   ウ.凝集沈降法の適用
    •   ・埋立場所内の余水の流出経路に鋼矢板等で仕切を設けて沈殿槽を形成し、その流入点で凝集剤の注入を行うなどの措置を講じ、懸濁物質の低減を図る。

 (3) 投入前の環境影響評価

   具体的な汚染防止対策措置の候補が整理できた時点で、簡易な拡散計算等を実施し、前述した必須要件が確実に確保されることを確認する。
   なお、当然のことながら、予測計算等の結果、必須要件の確保が困難であることが明らかとなった場合には、汚染防止措置の変更、もしくは追加を検討し、再度予測計算等を実施してその確保を確認する必要がある。

 (4) 適切な環境監視

   水底土砂の投入に当たっては、あらかじめ監視計画を策定し、水底土砂の投入の事前、工事中及び工事完了後において計画的な環境監視を実施する。
   その際の監視目標は、既に述べたとおり、①埋立場所開口部において水質環境基準の確保が図られること、②底質環境基準を超過する水底土砂が埋立場所から流出しないことのふたつである。
   監視の実施により、目標の超過のおそれが明らかとなった場合、若しくは異常が認められた場合には、直ちに水底土砂の投入を中止し、そのおそれ等の程度に応じて汚濁防止膜の展張等の暫定的な汚染防止措置を講じつつ、その原因を明らかとし、適切な措置を講じる必要がある。
   なお、モニタリングの実施に当たっては、開口部における監視点以外にも、いくつかの補助監視点を設け、その目的を十分達成できるように配慮するものとする。補助監視点における監視は、開口部における水質の変化を予察し、必要に応じて中止措置を講ずる等、処分の継続の適否に関して早急に判断を下すために行うものであり、その位置は、濁度等の拡散予測等に基づいて設定する。
   測定については、必ずしも毎回ダイオキシン類を直接測定する必要はなく、事前の調査等により、ダイオキシン類濃度と懸濁物質濃度もしくは濁度等との十分な相関が得られることが確認されれば、懸濁物質濃度や濁度等によって監視を行うことができる。現場ではリアルタイムで監視を行う必要があるため、ダイオキシン類の直接測定よりも、懸濁物質濃度、濁度等での管理を行うことが有利な面もある。
   ただし、水質及び底質のダイオキシン類の濃度についても、事前、工事中、工事完了後のそれぞれについて少なくとも1回以上、工事期間等を勘案して適切に測定を行うことが必要である。

ページ先頭へ