法令・告示・通達

瀬戸内海環境保全基本計画

  • 公布日:平成12年12月27日
  • 総理府告示71号

第1 序説

 1 計画策定の意義

   瀬戸内海が、我が国のみならず世界においても比類のない美しさを誇る景勝の地として、また、国民にとって貴重な漁業資源の宝庫として、その恵沢を国民が等しく享受し、後代の国民に継承すべきものであるという認識に立って、それにふさわしい環境を確保し維持すること及びこれまでの開発等に伴い失われた良好な環境を回復することを目途として、環境保全に係る施策を総合的かつ計画的に推進するためこの計画を策定するものである。

 2 計画の性格

   この計画は、国民に対して瀬戸内海の環境保全の目標を示し、その理解と協力を得て、国、地方公共団体及びその他の者がその目標を達成するために講ずべき施策等の基本的方向を明示するものであり、瀬戸内海の環境保全に関連する諸計画に反映させるとともに、諸施策の実施に当たって指針となるべきものである。

 3 計画の範囲

   この計画は、瀬戸内海(瀬戸内海環境保全特別措置法第2条第1項に規定する瀬戸内海をいう。)における水質の保全、海面及びこれと一体をなす陸域における自然景観の保全並びにこれらの保全と密接に関連する動植物の生育環境等の保全について定める。

第2 計画の目標

  この計画の目標については、自然的要素と人文的要素が一体となって形成された内海多島海景観ともいうべき特有の自然景観を有し、貴重な漁業資源の宝庫である瀬戸内海がその周辺に産業及び人口が集中し、海上交通もふくそうする閉鎖生水域であり、その利用も多岐にわたる海域であるなどの特性を踏まえ、次のとおり定める。

 1 水質保全等に関する目標

  1.   (1) 瀬戸内海において水質環境基準が未達成の海域については、可及的速やかに達成に努めるとともに、達成された海域については、これが維持されていること。
  2.   (2) 瀬戸内海において、赤潮の発生がみられ、漁業被害が発生している現状にかんがみ、赤潮発生の機構の解明に努めるとともに、その発生の人為的要因となるものを極力少なくすることを目途とすること。
  3.   (3) 水銀、PCB等の人の健康に有害と定められた物質を国が定めた除去基準以上含む底質が存在しないこと。
        また、その他有機物の堆積等に起因する悪臭の発生、水質の悪化等により生活環境に影響を及ぼす底質については、必要に応じ、その悪影響を防止するための措置が講ぜられていること。
  4.   (4) 特に魚介類の産卵生育の場となっている藻場及び魚介類、鳥類等の生態系を維持するうえで重要な役割を果たすとされている干潟等、瀬戸内海の水質浄化や生物多様性の確保、環境教育・環境学習の場等としても重要な役割を果たしている浅海域が減少する傾向にあることにかんがみ、水産資源保全上必要な藻場及び干潟並びに鳥類の渡来地、採餌場として重要な干潟が保全されているとともに、その他の藻場及び干潟等についても、それが現状よりできるだけ減少することのないよう適正に保全されていること。
        また、これまでに失われた藻場及び干潟等については、必要に応じ、その回復のための措置が講ぜられていること。
  5.   (5) 海水浴場、潮干狩場等の自然とのふれあいの場等として多くの人々に親しまれている自然海浜等が、できるだけその利用に好適な状態で保全されていること。

 2 自然景観の保全に関する目標

  1.   (1) 瀬戸内海の自然景観の核心的な地域は、その態様に応じて国立公園、国定公園、県立自然公園又は自然環境保全地域等として指定され、瀬戸内海特有の優れた自然景観が失われないようにすることを主眼として、適正に保全されていること。
  2.   (2) 瀬戸内海の島しょ部及び海岸部における草木の緑は、瀬戸内海の景観を構成する重要な要素であることにかんがみ、保安林、緑地保全地区等の制度の活用等により現状の緑を極力維持するのみならず、積極的にこれを育てる方向で適正に保護管理されていること。
  3.   (3) 瀬戸内海において、海面と一体となり優れた景観を構成する自然海岸については、それが現状よりもできるだけ減少することのないよう、適正に保全されていること。
        また、これまでに失われた自然海岸については、必要に応じ、その回復のための措置が講ぜられていること。
  4.   (4) 海面及び海岸が清浄に保持され、景観を損傷するようなごみ、汚物、油等が海面に浮遊し、あるいは海岸に漂着し、又は投棄されていないこと。
  5.   (5) 瀬戸内海の自然景観と一体をなしている史跡、名勝、天然記念物等の文化財が適正に保全されていること。

第3 目標達成のための基本的な施策

  これらの計画の目標を実現するため、既に得られた知見と技術を最大限に活用し、現在残されている自然環境の保全、発生負荷の抑制等規制を中心とする保全型施策の充実に加え、これまでの開発等に伴い失われた良好な環境を回復させる施策の展開及び施策の実施に当たっての幅広い連携と参加の推進を基本的な考え方として、各種の施策の積極的な実施に努めるものとする。
  基本的な施策は次のとおりである。

 1 水質汚濁の防止

  (1) 水質総量規制制度等の実施

    瀬戸内海における水質の汚濁の防止及び富栄養化による生活環境に係る被害発生の防止を図るため、水質総量規制制度等に基づき、生活排水対策、産業排水対策及びその他の排水対策等を推進することにより、化学的酸素要求量により表示される汚濁負荷量並びに富栄養化の主要な原因物質である窒素及び燐の汚濁負荷量の計画的かつ総合的な削減対策を講ずるものとする。
    これらの対策を推進するに当たっては、特に次の施策を総合的に講ずるものとする。

  1.    (ア) 生活排水については、汚濁負荷量の削減を図るため、下水道の整備を一層促進するほか、生活様式や地域の実情に応じ、コミュニティプラント、農業集落排水施設、浄化槽(合併処理浄化槽)等の各種生活排水処理施設の整備を一層促進する。また、窒素及び燐の除去性能の向上を含めた高度処理の積極的な導入を図る。
  2.    (イ) 産業排水については、汚濁負荷量の削減のため、処理施設等の改善整備及び維持管理の適正化に努める。
  3.    (ウ) 持続的養殖生産確保法に基づき魚介類の養殖漁場の底質の悪化を通じて富栄養化が生じないよう漁場管理の適正化に努める。また、持続性の高い農業生産方式の導入の促進に関する法律等の活用を通じて化学肥料の使用の低減を図ることにより、農業排水中の窒素及び燐の負荷量の軽減に努めるとともに、家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律に基づき家畜排せつ物の適正処理に努める。
  4.    (エ) 河川等の直接浄化を推進するとともに、自然環境が有する水質浄化機能の積極的な活用を図る。また、底質の改善を推進する。
  5.    (オ) 洗剤中の燐の削減及び使用量の適正化に努める。また、富栄養化防止に係る普及啓発を推進するとともに、排水処理技術の開発等に関する調査研究を引き続き進める。

  (2) 有害化学物質等の規制及び把握等

    特定施設の設置等の許可制の適切な運用等により、水質環境基準の達成維持を図るものとする。特に、ダイオキシン類については、ダイオキシン類対策特別措置法に基づく排出規制を推進するものとする。また、有害性のある化学物質については、特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律に基づき排出量の把握、管理を促進するものとする。

  (3) 油等による汚染の防止

    瀬戸内海は閉鎖性海域であり、大規模な油流出事故が発生した場合、被害が甚大になることが予想されることから、事故による海洋汚染の未然防止を図るためコンビナート等の保安体制の整備、海難の防止のための指導取締りの強化等必要な措置を講ずるものとする。また、これまでの大規模な油流出事故の際に得られた知見を活用しつつ、油回収船、オイルフェンス等の防除資材の配備等により排出油防除体制の整備を図るものとする。さらに船舶からの廃棄物の排出を極力抑制するとともに、その受入施設の整備に努めるものとする。
    この他、事故発生時における自然環境等の保全対象、保全方策等についての検討並びに環境への影響の少ない新たな油防除技術及び微生物を利用した環境修復技術の調査研究を推進するとともに、油流出による自然環境等に及ぼす影響及び事故後の回復状況を評価するため、平常時の自然環境等の観測データの蓄積に努めるものとする。

  (4) その他の措置

    瀬戸内海の水質保全については、上記のほか、個別海域の特性に応じ、国の排水基準の設定されていない項目について、必要な措置を講ずるものとする。
    特に、富栄養化の程度が他の湾灘に比べて相当高い大阪湾奥部の水質保全に十分留意するよう努めるものとする。
    さらに、他の海域から入り込む魚介類や微生物等が瀬戸内海の特性によりその水質や生態系、漁業資源等に大きな影響を及ぼすおそれがあることから、それらに対して十分留意するよう努めるものとする。

 2 自然景観の保全

  (1) 自然公園等の保全

    瀬戸内海全域について調査を行い、国立公園及び国定公園の区域等の見直しを行うとともに、必要に応じ、県立自然公園の指定及び見直し並びに自然環境保全地域等の指定を進め、これらの保全すべき区域において保護のための規制の強化等に努め、民有地買上げ制度等の現行制度の活用を図るものとする。

  (2) 緑地等の保全

    良好な自然景観を有する沿岸地域及び島しょにおける林地の開発に係る規制の適正な運用及び土石の採取に係る規制の運用の強化を図るとともに、沿岸都市地域においては、都市公園及び港湾の緑地の整備並びに緑地保全地区、風致地区等の指定を進めるものとする。
    また、適切な処置による森林病害虫等の防除、保安林の整備、造林及び治山事業の実施等適正な森林、林業施策の実施により、健全な森林の保護育成に努めるものとする。
    なお、開発等によりやむを得ず緑が損なわれる場合においては、植栽等の修景措置により緑を確保するよう努めるものとする。

  (3) 史跡、名勝、天然記念物等の保全

    瀬戸内海の自然景観と一体をなしている史跡、名勝、天然記念物等については、その指定、管理等に係る制度の適正な運用等によりできるだけ良好な状態で保全するよう努めるものとする。

  (4) 散乱ごみ、油等の除去

    海上に浮遊し、あるいは海浜に漂着するごみ、油等については、海面、海浜における投棄に対する取締りの強化及び清掃事業の実施を図るとともに、住民等への広報活動、清掃活動への住民参加の推進等を通じ海面、海浜の美化意識の向上に努めるものとする。また、瀬戸内海に流入する河川流域における清掃等の実施にも努めるものとする。
    さらに、廃プラスチック等の浮遊、漂着ごみについては、汚染の実態把握及び防止対策に努めるものとする。

  (5) その他の措置

    開発等により、自然海岸が減少し、海岸の景観が損なわれている場合もあることにかんがみ、これらの実施に当たっては、景観の保全について十分配慮するものとする。また、海面及び沿岸部等において、施設を設置する場合においても、景観の保全について十分配慮するとともに、これまでに失われた自然海岸については、必要に応じ、その回復のための措置を講ずるよう努めるものとする。
    さらに、瀬戸内海各地に点在する漁港、段々畑、町並みなどの自然景観と一体となって重層的にそれぞれの地域の個性を反映している人文的な景観についても、適切に保全されるよう配慮するものとする。

 3 浅海域の保全等

  (1) 藻場及び干潟等の保全等

    藻場及び干潟等水質の保全、自然景観の保全に密接に関連する動植物の生育環境に関する科学的知見の向上を図るとともに、水産資源保全上必要な藻場及び干潟並びに鳥類の渡来地及び採餌場として重要な干潟について、保護水面の指定、鳥獣保護区の設定等により極力保全するよう努めるものとする。
    また、その他の藻場及び干潟等についても、水質浄化や生物多様性の確保、環境教育・環境学習の場等として重要な役割を果たしていることから、できるだけ保全するよう努めるものとする。
    なお、他方、水産資源増殖の見地から積極的に魚介類の幼稚仔育成場の整備の施策を推進するとともに、これまでに失われた藻場及び干潟等については、必要に応じ、その回復のための措置を講ずるよう努めるものとする。

  (2) 自然海浜の保全等

    海水浴場、潮干狩場、海辺の自然観察の場等の自然とのふれあいの場や地域住民のいこいの場として多くの人々に利用されている自然海浜については、その隣接海面を含めて自然公園や自然海浜保全地区等の指定を行うこと等により、できるだけその利用に好適な状態で保全し、また、養浜等により海浜環境を整備するように努めるものとする。

 4 海砂利採取に当たっての環境保全に対する配慮

   海砂利採取については、代替材の確保に伴い自然環境への影響等環境問題発生のおそれがあること等から、海砂利の採取が当面避けられない府県にあっては、採取による当該及び周辺海域の環境等への影響が相対的に小さい海域での最小限の採取に留めるものとする。
   このため、海砂利の採取について検討する場合には、あらかじめ当該海域の海砂利の資源量や採取による当該及び周辺海域の環境等への影響を調査し、それらの結果等を十分踏まえ対応するとともに、採取を行う場合にあっても、最小限の採取量並びに影響を及ぼすことの少ない位置、面積、期間及び方法等とするよう努めるものとする。また、採取後の状況についてモニタリングを行うよう努めるものとする。
   さらに、統一的な調査手法の確立に努めつつ海砂利の採取が海域環境に及ぼす影響の定量的な究明を推進するとともに、環境への影響のより小さい採取方法の開発を促進するものとする。また、海砂利に代わる骨材等の研究開発を促進するものとする。
   なお、河口域の砂利採取にあっても、動植物の生息・生育環境等の保全及び海岸の侵食防止等に十分留意するものとする。

 5 埋立てに当たっての環境保全に対する配慮

   公有水面埋立法に基づく埋立ての免許又は承認に当たっては、瀬戸内海環境保全特別措置法第13条第1項の埋立てについての規定の運用に関する同条第2項の基本方針に沿って、引き続き環境保全に十分配慮するものとする。
   また、環境影響評価法及び府県の環境影響評価条例に基づく環境影響評価に当たっては、環境への影響の回避・低減を検討するとともに、必要に応じ適切な代償措置を検討するものとする。その際、地域住民の意見が適切に反映されるよう努めるものとする。
   これらの検討に際しては特に浅海域の藻場・干潟等は、一般に生物生産性が高く、底生生物や魚介類の生息、海水浄化等において重要な場であることを考慮するものとする。

 6 廃棄物の処理施設の整備及び処分地の確保

   大量生産・大量消費・大量廃棄型の社会からの転換を図るため、循環型社会形成推進基本法の趣旨を踏まえ、廃棄物の発生抑制、再使用、再生利用の促進、処理施設の整備等の総合的施策を推進することにより、廃棄物としての要最終処分量の減少等を図るものとする。また、廃棄物の海面埋立処分によらざるを得ない場合においても、環境保全と廃棄物の適正な処理の両面に十分配慮し、このような観点から整合性を保った廃棄物処理計画及び埋立地の造成計画によって行うものとする。

 7 健全な水循環機能の維持・回復

   健全な水循環機能の維持・回復を図るため、海域と陸域の連続性に留意して、海域においては藻場・干潟等の浅海域の保全及び自然浄化能力の回復に資する人工干潟等の適切な整備を図るものとする。陸域においては森林や農地の適切な維持管理、河川や湖沼等における自然浄化能力の維持・回復、地下水の涵養、下水処理水の再利用等に努めるものとする。また、これらの施策の推進に当たっては、流域を単位とした関係者間の連携の強化に努めるものとする。

 8 失われた良好な環境の回復

   瀬戸内海にふさわしい多様な環境を確保するため、開発等に伴い既に失われた藻場、干潟、自然海浜等の良好な環境を回復させる施策の展開を図るものとする。
   これらの施策の推進に当たっては、開発等に伴いかつての良好な自然環境が消失した地域を対象とすることを基本とし、国及び地方公共団体が先導的役割を果たしつつ、事業者、住民及び民間団体と連携した取組に努めるものとする。
   なお、施策の実施に当たっては、計画的な取組に努めるものとする。

 9 島しょ部の環境の保全

   島しょ部では限られた環境資源を利用した生活が営まれており、その環境保全は住民生活や社会経済のあり方に直結する課題であることにかんがみ、環境容量の小さな島しょにおいては、特に環境保全の取組に努めるものとする。

 10 下水道等の整備の促進

   瀬戸内海の特性等にかんがみ、水質総量規制制度の実施、富栄養化対策の推進等汚濁負荷量の削減の見地から特に重要な役割を有する下水道につき重点的な投資を図ること等により引き続きその整備の促進に努めるものとする。また、地域の実情に応じ、同様な役割を有するコミュニティプラント、農業集落排水施設、浄化槽(合併処理浄化槽)等の各種生活排水処理施設についても、重点的な投資を図ること等によりその整備の促進に努めるものとする。
   さらに、窒素及び燐の除去性能の向上を含めた高度処理の積極的な導入を図るものとする。

 11 海底及び河床の汚泥の除去等

   水銀又はPCB等人の健康に有害な物質を含む汚泥の堆積による底質の悪化を防止するとともに、これらの物質につき国が定めた除去基準を上回る底質の除去等の促進を図るものとする。
   また、その他有機物の堆積等に起因する悪臭の発生、水質の悪化等により生活環境に影響を及ぼす底質については、所要の調査研究を進めるとともに、必要に応じ、除去等の適切な措置を講ずるよう努めるものとする。

 12 水質等の監視測定

   水質総量規制制度の実施及びダイオキシン類対策特別措置法の施行等に伴い、水質の監視測定施設、設備の整備及び監視測定体制の拡充に努めるとともに、引き続き水質等の保全のための監視測定技術の向上等について検討を進めるものとする。

 13 環境保全に関する調査研究及び技術の開発等

   国、地方公共団体、事業者、民間団体等の連携の下に、海象等の基礎的研究、瀬戸内海の特性に対応した大規模浄化事業に関する調査検討、赤潮の発生及び貧酸素水塊の形成のメカニズムの解明並びにそれらの防除技術の向上、環境影響評価手法の向上に関する調査研究等を推進するものとする。
   また、瀬戸内海の環境を保全し回復させる観点から、生態系の構造や各種機能の評価、景観等の評価手法と指標の開発、生態系等の効果的な環境モニタリング手法、生態系への化学物質の影響等に関する調査研究並びに藻場及び干潟の造成、廃棄物等の再利用等に関する技術開発を促進するものとする。
   さらに、瀬戸内海に関する環境情報や調査研究、技術開発の成果等のデータベースを整備し、情報の共有化、情報収集の効率化に努めるものとする。

 14 環境保全思想の普及及び住民参加の推進

   瀬戸内海の環境保全対策を推進するに当たっては、生活排水や廃棄物等も含めた総合的な対策が必要である。
   その実効を期するため、国、地方公共団体、事業者等がその責務を果たすことはもちろんのこと、瀬戸内海地域の住民や民間団体及び瀬戸内海を利用する人々の正しい理解と協力が不可欠であり、瀬戸内海の環境保全に関する思想の普及及び意識の高揚を図るものとする。また、汚濁負荷量の削減、廃棄物の排出抑制、環境保全への理解、行政の施策策定への参加等の観点から、住民参加の推進に努めるものとする。
   このため、公益法人等の民間団体による環境ボランティアの養成等への取組の支援に努めるものとする。また、環境保全施策の策定に当たっての住民意見の反映方策についての検討に努めるものとする。

 15 環境教育・環境学習の推進

   瀬戸内海の環境保全に対する理解や環境保全活動に参加する意識及び自然に対する感性や自然を大切に思う心を育むため、地域の自然及びそれと一体的な歴史的、文化的要素を積極的に活用しつつ、国、地方公共団体、事業者、民間団体の連携の下、環境教育・環境学習を推進するものとする。このため、海とのふれあいを確保し、その健全な利用を促進する施設の整備や、理解促進のためのプログラム等の整備等に努めるものとする。
   また、国立公園等を活用した自然観察会等地域の特性を生かした体験的学習機会の提供やボランティア等の人材育成及び民間団体の活動に対する支援等に努めるものとする。

 16 情報提供、広報の充実

   住民参加、環境教育・環境学習、調査研究等を推進するため、多様な情報に関するデータベースの整備等により広く情報を提供するシステムの構築等を進めるとともに、広報誌等を通じて、瀬戸内海の環境の現状及び負荷量削減、廃棄物の排出抑制への取組等の広報に努めるものとする。

 17 広域的な連携の強化等

   瀬戸内海は13府県が関係する広範な海域であることから、環境保全施策の推進のため、各地域間の広域的な連携の一層の強化を図るものとする。
   健全な水循環機能の維持・回復のための取組の推進、住民参加の推進、環境教育・環境学習の充実を図るため、流域を単位とした関係者間の連携の強化に努めるとともに、各地方公共団体の環境保全の取組の実施においても連携の強化に努めるものとする。
   さらに、瀬戸内海の自然的、社会的条件から、環境保全のための施策の策定に当たっては、住民や事業者等の幅広い意見を調整し、施策に反映するための適切な仕組みの検討に努めるものとする。

 18 海外の閉鎖性海域との連携

   海外の閉鎖性海域における環境保全に関する取組との連携を強化し、瀬戸内海の環境保全の一層の推進を図るとともに、海外における取組に積極的に貢献するため、閉鎖性海域に関する国際会議等の開催や支援、積極的な参加、人的交流、情報の発信及び交換等に努めるものとする。

 19 国の援助措置

   国は、この計画に基づき地方公共団体等が実施する事業について、その円滑かつ着実な遂行を確保するため必要な援助措置を講ずるよう努めるものとする。

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