法令・告示・通達

海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律の一部を改正する法律等の施行について

  • 公布日:昭和63年9月26日
  • 運環66号

(各運輸局長・海運監理部長・沖縄総合事務局長あて運輸省運輸政策局長通知)
 第九八回国会において、船舶の活動に起因する海洋汚染の包括的な防止を目的とする「一九七三年の船舶による汚染の防止のための国際条約に関する一九七八年の議定書」(昭和五八年条約第三号。以下「議定書」という。)への加入が承認され、同国会において議定書の実施に伴い必要となる国内法制の整備を内容とする「海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律の一部を改正する法律」(昭和五八年法律第五八号。以下「改正法」という。)が成立した。議定書附属書Ⅰ(油による汚染の防止のための規則)及びこれに対応する改正法第一条の規定は昭和五八年一〇月二日から、附属書Ⅱ(ばら積みの有害液体物質による汚染の規制のための規則)及びこれに対応する改正法第二条の規定は昭和六二年四月六日から、それぞれ施行されているところであるが、今般、議定書のうち附属書Ⅴ(船舶からの廃物による汚染の防止のための規則)が昭和六三年一二月三一日から国際的に実施されることとなり、これに伴って、改正法第四条の規定も同日から施行されることとなる。
 また、これに伴い、次に掲げる政令、省令及び告示が公布されている。
○海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律施行令の一部を改正する政令(昭和六三年政令第二三〇号)
○海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律施行規則の一部を改正する省令(昭和六三年運輸省令第二六号)
○海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律施行規則の規定に基づく型式承認に係る検定を行う公益法人の認定に関し必要な事項を定める告示の一部を改正する告示(昭和六三年八月一三日運輸省告示第三八八号)
 ついては、海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律及び同法に基づく命令の施行に関し、左記事項に留意の上、運用に当たって遺漏なきようにされたい。
 なお、本通達中、環境庁の所管に係る事項については、環境庁と了解済みのものである。
 また、本通達中、略称は、それぞれ次の意味で用いることとする。
法:海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律(昭和四五年法律第一三六号)
令:海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律施行令(昭和四六年政令第二〇一号)
規則:海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律施行規則(昭和四六年運輸省令第三八号)
 この通達により、「海洋汚染防止法の施行について」(昭和四七年九月六日官安第二八九号)記中三及び四は廃止するものとする。

一 船舶からの廃棄物の排出の規制

  1.  (一) ふん尿等の排出の規制(法第一〇条第二項第一号)
       改正法第四条による改正後の法第一〇条第二項第一号は、ふん尿等の排出規制に関し、政令で附属書Ⅳに沿った規制を行うこととしているが、現時点では附属書Ⅳが未発効のため今回の政令改正では、従前どおりの排出規制を定めたものである。
    1.   ① 規制対象船舶
          従前どおり最大搭載人員が一〇〇人以上の船舶に限り規制の対象となる。令第二条の「最大搭載人員」とは、船舶安全法で規定する最大搭載人員であり、船舶検査証書を有する船舶にあっては、当該証書(臨時変更証を有する船舶にあっては、当該変更証)に当該船舶の最大搭載人員が表示されている。同条の「これに相当する搭載人員」とは、最大搭載人員の定めのない船舶のうち、外国船舶については、海上における人命の安全のための国際条約及び満載喫水線に関する国際条約に定められた救命設備の対象人員を、また、自衛艦にあっては、船舶の造修等に関する訓令(昭和三二年防衛庁訓令第四三号)第六条に規定する要求性能で決定された搭載人員をいうものとする。
    2.   ② 規制対象海域
          港則法(昭和二三年法律第一七四号)の港域及びその境界外一万メートル以内の海域、海岸の低潮線から一万メートル以内の海域並びに伊勢湾及び瀬戸内海である(今回の改正で「特定沿岸海域」と呼ぶこととした)。なお、東京湾、有明海及び鹿児島湾は、その全海域がこの海域に含まれるので留意されたい。
    3.   ③ 排出基準
          「粉砕」とは、当該ふん尿の原形をとどめない状態にすることをいう。
  2.  (二) 船舶内の日常生活に伴い生ずるごみ又はこれに類する廃棄物の排出の規制(法第一〇条第二項第二号)    船舶内の日常生活に伴い生ずるごみ又はこれに類する廃棄物については、従前は、沿岸付近の海域で多量に排出する場合に限り規制を加えていたが、今次改正は、附属書Ⅴの定めるところに従い、全船舶・前海域を対象とする排出規制を行うものである。
       主な規制内容は、
    1.    イ 領海の基線の外側三海里未満の海域(東京湾、伊勢湾、瀬戸内海等の内水を含む。)においては、一切の廃棄物の排出が禁止されること
    2.    ロ 領海の基線の外側三海里以遠一二海里未満の海域においては、粉砕(廃プラスチック類を除く。)又は焼却して排出すること
    3.    ハ 領海の基線の外側一二海里以遠の海域においては、排出方法は限定しないが、廃プラスチック類のみ焼却して排出すること
         である。
      1.   ① 規制対象船舶
            従前は、最大搭載人員一〇〇人以上の船舶に限って規制対象とされていたが、改正法第四条の施行により全船舶が規制対象となる。
      2.   ② 規制対象海域
            規制海域についても従前は我が国沿岸の海域に限られていたが、改正法第四条の施行により全海域に広がることとなる。特に領海の基線の外側三海里未満の海域(東京湾、伊勢湾、瀬戸内海等の内水を含む。)においては、一切の廃棄物の排出が禁じられるので留意されたい。
      3.   ③ 排出基準
        1.    イ 「プラスチック」とは、合成樹脂、合成繊維、合成ゴム等の合成高分子系化合物をいう。具体的には、食品等の容器・包装材、コップ・皿等の食器類、衣類、布などとして今日あらゆる分野で広く用いられている。
        2.    ロ 焼却して排出する場合には、灰の状態にしなければならないとされているが、「灰」とは、物の焼けつくした後に残る粉状の物質をいう。特に廃プラスチック類については、焼却して灰の状態にした場合に限り排出することができることとされている(令第四条第一項、令別表第二の二第一号)ため、排出に当たっては十分に焼却して灰になったことを確認するよう関係者を指導されたい。
        3.    ハ 粉砕して排出する場合には、規則で定める技術上の基準(規則第一二条の三の二)に適合する粉砕装置で処理して排出しなければならないこととされている。粉砕装置については、型式承認の制度が設けられている。
        4.    ニ 「海洋施設等周辺海域」とは、石油掘削船、石油ボーリングやぐら等の鉱物資源の掘採に従事している船舶又は海洋施設の周辺五〇〇メートル以内の海域をいい、同海域では、一切の廃棄物は排出することはできないこととされている。
               ただし、当該施設等が領海の基線の外側一二海里以遠にある場合にあっては、その周辺五〇〇メートル以内の海域であっても食物くずに限り粉砕式排出方法又は焼却式排出方法により排出することができる。
        5.    ホ 排出方法に関する基準を異にする二以上の廃棄物が混合している場合においては、当該二以上のそれぞれにつき、これに係る排出方法に関する基準が適用される。
  3.  (三) 船舶の通常活動に伴い生ずる廃棄物の排出の規制(法第一〇条第二項第四号)
       通常系廃棄物に関する従前の排出規制の水準は、附属書Ⅴのそれを概ね上回るものとなっており、今次改正では現行水準を維持しつつ附属書Ⅴの要請を満たしていない部分に限り、条約の規制水準に合わせた改正を行ったものである。
       主な改正点は、
    1.    イ 廃プラスチック類は、焼却して灰の状態にしなければ排出できないこと
    2.    ロ 生鮮魚以外の動物性廃棄物の排出海域を領海の基線の外側一二海里以遠の海域とすること
         の二点である。
      1.   ① 船舶の通常の活動
            「船舶の通常の活動」(令第六条)とは、貨物輸送、漁ろう、しゅんせつ、調査、観測、救難、訓練等の当該船舶において通常行われている活動(日常生活を除く。)をいう。
      2.   ② 海洋において処分することがやむを得ない廃棄物
        1.    イ 令第六条第一号に掲げる廃棄物としては、ウェス、ダンネージ、ロープ、漁網等を焼却したもの、鉄鋼輸送、石炭輸送等において生ずる鉱石荷粉、水産加工船内の作業中に生ずる金属くず等があげられる。
               同号でいう「熱しゃく減量」とは、当該分析試料(廃棄物を焼却したものをいう。)を摂氏一〇五度において四時間乾燥させた際の質量と、当該乾燥後の試料を摂氏六〇〇度において二時間熱しゃくした際の質量との減量分をパーセントで表示したものである。したがって「熱しゃく減量一五パーセント以外の状態にしたもの」とは、上記減量分が一五パーセント以下にしかならないものをいい、ほぼ完全に焼却したものである。
               なお、ロープ、漁網等に用いられた廃プラスチック類については、灰の状態にしなければならないのでその旨関係者を指導されたい。
        2.    ロ 同条第二号に掲げる廃棄物としては、木材輸送、穀物輸送等において生ずる木皮、大豆かす等の荷粉、捕鯨母船等の水産加工船内の作業中に生ずる魚肉の残さ等があげられる。なお、紙類、衣類等二次加工したものは本号で規定する廃棄物に当たらない。
        3.    ハ 同条第三号に掲げる廃棄物としては、貨物艙の洗浄水、甲板の洗浄水等があげられる。なお、船艙、甲板等に付着した程度の廃棄物を流し落とした場合に生ずるものは、本号の汚水に当たるが、船舶内にたまっている廃棄物を洗い落とした場合に生ずるものは汚水ではなく、当該廃棄物そのものである。
        4.    ニ 同条第四号に掲げる廃棄物としては、船舶によるしゅんせつ活動、海砂利採取活動、鉱石採取活動等に伴い生ずる水底土砂があげられる。
      3.   ③ 排出基準等
        1.    イ 令別表第三第四号から第六号に掲げる廃棄物は、日常活動に伴い生ずる廃棄物に対する規制と同様、海洋施設等周辺海域での排出は禁止される。この措置は、当該廃棄物が附属書Ⅴの規制の対象となることによるが、他の廃棄物についても同海域への排出はできるだけ抑制するよう関係者を指導されたい。
        2.    ロ 令別表第三第六号上欄に掲げる廃棄物としては、運送中にへい死した家畜の死体等があげられる。また、令別表第三第七号上欄に掲げる廃棄物には、いわゆる魚のみならずその他の水産動物(いか、たこ類等)から生ずる動物性の廃棄物も含まれる。
             ハ 令第七条第三項、別表第三第二号及び第三号下欄において従来集中「型」、拡散「型」とされていた排出方法の名称を、それぞれ集中「式」、拡散「式」とする改正、別表第四に掲げる焼却海域について、従来のF海域、G海域をそれぞれG海域、H海域とする改正等が行われたが、これらは形式的なものであり、その内容は従前どおりである。

二 海洋施設からの廃棄物の排出の規制

  1.  (一) ふん尿等の排出の規制(法第一八条第二項第一号)
       本号は、海洋施設からのふん尿等の排出について、同号の政令で附属書Ⅳに沿った規制を行うこととしているが、現時点では附属書Ⅳが未発効のため、今次政令では規制対象及び排出方法は定められていない。
  2.  (二) 海洋施設内の日常生活に伴い生ずるごみ又はこれに類する廃棄物の排出の規制(法第一八条第二項第二号)
       海洋施設内の日常生活に伴い生ずるごみ又はこれに類する廃棄物の排出の規制は、船舶の場合と同様である。従って全海洋施設が規制対象となるが、特に領海の基線の外側三海里未満の海域にある海洋施設においては、一切の廃棄物の排出が禁じられ陸揚げ処理する必要があるのでその旨関係者を指導されたい。
       なお、令第九条の二第一項及び別表第二の二は海洋施設から直接海洋へ排出する場合の基準であり、船舶に積み替えて捨てに行く場合の基準ではないので、留意されたい。
  3.  (三) 海洋施設の通常活動に伴い生ずる廃棄物の排出の規制(法第一八条第二項第三号)
       海洋施設の通常の活動に伴い生ずる廃棄物の海洋への排出は、従前どおり認められていない。

三 埋立場所等への廃棄物の排出

  船舶からの埋立場所等への廃棄物の排出(法第一〇条第二項第三号に規定する排出をいう。以下同じ。)に関する規制については、今次改正では変更はなく、従前どおりである。
  船舶からの埋立場所等への廃棄物の排出をすることができる廃棄物の範囲には制限がなく、すべての廃棄物が埋立処分の対象となりうる。
  この場合、埋立場所等への廃棄物の排出方法に関する基準については、専ら、本法第一〇条第二項第三号の政令(令第五条)に定めるところであり、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四五年法律第一三七号。以下「廃掃法」という。)第六条第三項及び第一二条第一項の埋立処分に関する基準(廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令(昭和四六年政令第三〇〇号)第三条第四号及び第六条第一号)は、適用されない。

四 陸上における廃棄物の処理

  1.  (一) 海洋への排出の抑制について
       法の精神は、海洋への廃棄物の排出は極力抑制するということであるから、ごみの発生量を抑える等の措置を講ずることにより、海洋への廃棄物の排出を極力抑制するよう関係者を指導されたい。
  2.  (二) 法と廃掃法との関係について
       廃掃法第二条に規定する廃棄物には、船舶及び海洋施設で生じた廃棄物は含まれない。なお、これらの廃棄物であつても、いつたん陸揚げされたものは、廃掃法第二条に規定する廃棄物に該当する。
  3.  (三) 廃棄物の陸上における処理について
       廃掃法によれば、事業活動に伴つて生じた廃棄物の処理責任は事業者すなわち船舶運航事業者にあるとされているが、今次改正により廃棄物の陸上処理の必要性が増加することに鑑み、港湾における円滑な受入体制の確立という見地から、当省港湾局より港湾管理者に、また、厚生省生活衛生局より都道府県及び市町村の廃棄物部局に対し、各々陸上の受入体制の整備に協力するよう指導がなされることとなつているので、船舶運航事業者に対し廃棄物の受入処理について港湾管理者並びに都道府県及び市町村の廃棄物部局と十分連絡・調整するよう指導されたい。
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