法令・告示・通達

大気汚染防止法に基づくばいじんの排出基準の改正について

  • 公布日:昭和57年5月31日
  • 環大規191号

環境庁大気保全局長から各都道府県知事・各政令市市長あて
 昭和57年5月28日付けをもつて、大気汚染防止法施行規則の一部を改正する総理府令(昭和57年総理府令第24号。以下「改正府令」という。)が制定、公布された。
 改正府令の内容は、ばい煙発生施設から排出されるばいじんの排出規制の拡充等である。その考え方、改正府令の要点、留意すべき事項等は次のとおりであるので、法令の施行に遺憾なきを期されたい。

第1 今回の改正の背景と骨子

  ばい煙発生施設に対するばいじんに係る排出規制については、昭和46年6月に強化を行つて以来およそ11年を経過している。
  今回のばいじんの排出基準の改正は、近年の石炭転換等のエレルギー情勢の変化への対応と大気中の粒子状の物質に対する対策の推進に資することをねらいとして、この間におけるばいじん対策に係る技術進歩とその実情を踏まえ、実施したものである。
  なお、今回の改正の骨子は次のとおりである。

  1.  1 大気汚染防止法(以下「法」という。)第3条第1項の規定によるばいじんの排出基準(以下「一般排出基準」という。)及び同条第3項の規定によるばいじんの排出基準(以下「特別排出基準」という。)を強化した。
  2.  2 大気汚染防止法施行令(以下「令」という。)別表第1の20の項に掲げる電解炉、同表の28の項に掲げるコークス炉等の7種類の施設について、新たにばいじんの排出基準を設定した。
  3.  3 標準酸素濃度によりばいじん濃度を補正する方式(以下「標準酸素濃度補正方式」という。)を導入した。

第2 改正の内容

 1 改正府令の要点

  (1) 一般排出基準及び特別排出基準の強化

    法第3条第1項及び第3項の規定に基づき、ばいじんの一般排出基準及び特別排出基準を強化した(大気汚染防止法施行規則(以下「規則」という。)別表第2の改正)。

  (2) ばい煙量等測定記録表の様式の改正

    標準酸素濃度補正方式の導入に伴つて、法第16条に基づきばい煙量等測定記録表の様式の改正を行つた。
    なお、従来より標準酸素濃度補正方式を採用してきた窒素酸化物及び塩化水素の欄についても所要の改正を行つた(規則様式第7の改正)。

  (3) 施行期日及び経過措置等

  1.    ア 改正府令は、昭和57年6月1日から施行することとした(附則第1項)。
  2.    イ 昭和57年6月1日において現に設置されている施設(設置の工事がされているものを含むこととし、以下「既設施設」という。)については、改正後の別表第2の規定は、昭和59年6月30日までは適用せず、なお従前の例によることとした(附則第2項)。
  3.    ウ その他所要の経過措置等を設けることとした(附則第3項から附則第11項まで)。

 2 規制対象施設の拡大等

   次のばい煙発生施設を新たに規制対象とし、排出基準を設定した。

  1.   (1) 令別表第1の18の項に掲げる反応炉
  2.   (2) 令別表第1の20の項に掲げる電解炉
  3.   (3) 令別表第1の21の項に掲げる焼成炉
  4.   (4) 令別表第1の21の項に掲げる溶解炉
  5.   (5) 令別表第1の23の項に掲げる焼成炉
  6.   (6) 令別表第1の26の項に掲げる反射炉
  7.   (7) 令別表第1の28の項に掲げるコークス炉

   なお、従来より規制対象とされていたばい煙発生施設について、現時点における当該施設に係るばいじんの排出実態、対策技術の状況等を踏まえ、規則別表第2の施設の種類及び規模の区分を変更したものがある。

 3 改正された排出基準による規制の水準

  1.   (1) 一般排出基準は、全国一律の施設単位の排出基準であることにかんがみ、全国の施設の種類ごとの排出実態、対策の状況等を踏まえ、原則として、現状の通常のばいじんの排出防除技術を採用すること等により達成される水準とした。
  2.   (2) 特別排出基準は、規則別表第5に掲げる区域に新たに設置されるばい煙発生施設に適用されるものであり、改正前の特別排出基準の適用を受けていた施設の排出実態、対策の状況等を踏まえ、原則として、現在の高度のレベルの対策技術を導入すること等により達成される水準とした。

 4 標準酸素濃度補正方式の導入について

  1.   (1) 標準酸素濃度補正方式は、ばい煙発生施設のばいじんの発生機構に照らして、排出ガスを希釈して基準適合を図ることを防止し、施設間の公平な規制を期するための方策として、適切であると認められる施設について導入した。
        なお、一部の施設については、ばいじんの排出実態及び対策技術の見通し等を踏まえ、適用猶予期間を設けた。
  2.   (2) 次に示す要件に該当するようなばい煙発生施設については、標準酸素濃度補正方式を導入することは、必ずしも適切ではないと考えられ、本方式の導入の対象から除外した。
    1.    ア 熱源として電気を使用するばい煙発生施設
    2.    イ 燃焼工程とは別の工程(当該燃焼工程と密接かつ不可分な関連を有するものに限る。)からもばいじんが発生するため、排出ガスの希釈の状態を残存酸素濃度により評価することが困難であると認められるばい煙発生施設
    3.    ウ ばいじんは燃焼工程から発生するものであるが、当該ばいじんの成分の大半が原料に起因するものであり、かつ、個別の工程や施設ごとに燃焼温度、空気比等の燃焼条件が異なり、排出ガス中の残存酸素濃度に個別の施設ごとに差異があることが一般的であると認められるため、原料に起因するばいじんも含めて排出ガスの希釈の状態を残存酸素濃度により評価することが困難であると認められるばい煙発生施設

 5 ばいじん濃度及び残存酸素濃度の測定について

  1.   (1) ばいじん濃度の測定に際しての測定値の取扱い、試料の採取方法等については、従前どおり「大気汚染防止法の一部を改正する法律の施行について」(昭和46年8月25日付け環大企第5号本職通達)の第3の2及び第4の1から4までによる。
        なお、今回の改正に伴い、低濃度領域におけるばいじん濃度の測定値の取扱いについては、特に慎重を期されたい。
  2.   (2) 残存酸素濃度の測定は、オルザツトガス分析装置を用いる吸収法又はこれと同等の測定値が得られる酸素濃度分析装置を用いる。
        なお、残存酸素濃度の測定位置は、ばいじん濃度を測定するための試料採取口と同一位置又はこれに極めて近い位置とする。
  3.   (3) ばいじん濃度を測定するための試料に係る残存酸素濃度の測定に際しては、当該試料の採取時間における平均的な値を把握する。ただし、ばいじんに係る試料の採取中に残存酸素濃度に係る試料の採取が困難であると認められる場合には、残存酸素濃度に係る試料の採取は、ばいじんに係る各1回の測定の前後において行い、それらの平均値を当該残存酸素濃度とする。

 6 ばい煙量等の測定記録表の様式の改正について

   ばい煙量等の測定記録表の様式の改正により、ばいじん、塩化水素及び窒素酸化物については、それぞれの測定値に係る排出ガス中の酸素の濃度の測定データの平均値を記載することとした。

 7 経過措置等について

  1.   (1) 既設施設に係る経過措置等については、第2の1の(3)のイによることとするほか、以下の(2)から(4)まで、(6)及び(7)によることとする。
  2.   (2) 既設施設のうち附則別表の第2欄に掲げるもの(改正前に特別排出基準の適用を受けていたものを除く。)については、当設施設に係る附則別表の第4欄に掲げる数値を一般排出基準の値とする(附則第3項)。
        ただし、次に掲げる施設については、短期間における対応の困難性等から、特に約3年の適用猶予期間を設けるとともに、あわせて、当該期間内において適用される一般排出基準の値を定めた(附則第3項ただし書)。
    1.    ア 附則別表の3の項に掲げるボイラー(主たる燃料として低硫黄石炭を使用するものであつて、排出ガス量が20万Nm3/h以上のものに限る。)
    2.    イ 附則別表の6の項に掲げる煆焼炉のうち石油コークスの製造の用に供するもの(排出ガス量が4万Nm3/h以上のものに限る。)
           なお、アについては、硫黄含有率が0.5%未満である石炭の使用量が、当該施設において使用される燃料の合計量の8割(発熱量換算)を超えるものを対象とすることとして取り扱うこととされたい。
  3.   (3) 既設施設であつて、令別表第1の1の項に掲げるボイラーのうち石炭(1kg当たり発熱量5,000kcal以下のものに限る。)を燃焼させるものに係る一般排出基準については、別に適用すべき基準値を設けるとともに、標準酸素濃度補正方式の適用を猶予した(附則第4項)。
  4.   (4) 既設施設のうち改正前に特別排出基準の適用を受けていたものについては、原則として改正後の一般排出基準(以下「新一般排出基準」という。)が適用されるが、そうした場合、規制レベルが低下するおそれがあるものがあるため、これを是正すべく次のとおり取り扱うこととした。
    1.    ア 標準酸素濃度補正方式を導入しなかつた施設であつて、当該施設に係る改正前の特別排出基準(以下「旧特別排出基準」という)の値が新一般排出基準の値よりも小さいものについては、旧特別排出基準を適用することとする(附則第5項)。
    2.    イ 標準酸素濃度補正方式を導入した施設であつて、当該施設に係る旧特別排出基準の値が新一般排出基準の値よりも小さいか又は等しいものについては、当該施設に係る旧特別排出基準又は新一般排出基準のいずれか厳しい方の排出基準を適用することとする(附則第6項)。
           この場合において、いずれの排出基準の方が厳しいかの判断に当たつては、当該施設の残存酸素濃度が一定の値以上であるか又は未満であるかに応じてそれぞれ新一般排出基準又は旧特別排出基準の方が厳しくなるものであることに留意した上で、個々のばい煙発生施設についての法第6条等に基づく残存酸素濃度の届出値又は残存酸素濃度の測定値の実態をめやすとされたい。
           また、現に当該施設を設置している者がいずれか厳しい方の排出基準を遵守することを確保するためには、日頃から当該施設の残存酸素濃度の実情を把握しておくことが重要であるので、その旨指導されるとともに、あわせて、遵守すべき排出基準を把握した上で所要の対策を講ずるよう指導されたい。なお、実際上は、旧特別排出基準及び新一般排出基準の両者を遵守するよう指導されることも差し支えない。
  5.   (5) 令別表第1の10の項に掲げる反応炉のうち活性炭の製造の用に供するもの(排出ガス量が1万Nm3/h未満のものに限る。)に係る特別排出基準については、対策技術の実情及び見通しにかんがみ、別に適用すべき基準値を設けた(附則第7項)。
  6.   (6) 別表第2の2の項のボイラー(排出ガス量が1万Nm3/h未満のものに限る。)、6の項のボイラー、18の項の加熱炉、26の項の焼成炉、30の項の施設、36の項の連続炉及び37の項の廃棄物焼却炉については、現時点におけるばいじんの排出実態及び対策の実情等にかんがみ、標準酸素濃度補正方式の適用を猶予した(附則第8項)。
        なお、当庁としては、これらの施設については、今後ともその排出実態の把握を行う等所要の対策の推進に努めていくこととしている。
  7.   (7) 次に掲げる施設については、短期間における対応の困難性等から、標準酸素濃度補正方式について特に約3年の適用猶予期間を設けた(附則第9項及び第10項)。現にこれらの施設を設置している者に対しては、この趣旨を十分周知徹底されるとともに、所要の対策が当該期間中に計画的かつ円滑に行われるよう格別の指導をされたい。
    1.    ア 別表第2の2の項のボイラー(排出ガス量が1万Nm3/h以上4万Nm3/h未満のものに限り、イに掲げるものを除く。)
    2.    イ 既設施設のうち別表第2の2の項のボイラー(排出ガス量が1万Nm3/h以上20万Nm3/h未満のものに限る。)

第3 留意すべき事項

  1.  1 改正後の排出基準は、新設施設については昭和57年6月1日から適用されるものであることから、既に法第6条の規定に基づく設置の届出が行われ現在届出事項についての審査が行われている施設等、昭和57年6月1日以降に設置の工事が行われる予定となつている施設については、審査に当たり慎重に検討を行い、改正後の排出基準の適用につき遺憾なきを期されたい。
  2.  2 既設施設のうち、今回、新たに規制対象とし、排出基準を設定したものについては、法第26条に基づく報告を求めること等により、当該施設のばいじんの排出状況の把握に努められたい。
  3.  3 既設施設のうち標準酸素濃度補正方式を導入したものについては、法第26条に基づく報告を求める等により、当該施設の排出ガス中の残存酸素濃度の状況の把握に努められたい。なお、残存酸素濃度の状況については、通常のばいじん濃度の測定のための位置におけるものを把握する必要があるものである。
  4.  4 法第4条第1項の規定に基づく排出基準については、今回の改正の趣旨を十分に踏まえ、適切なものとするよう配慮することとし、標準酸素濃度補正方式の導入については、ばいじん濃度及び残存酸素濃度の実情、ばい煙発生施設の種類ごとのばいじんの発生機構の差異等を適切に把握することが必要であり機械的に行うことがないよう配慮されたい。
  5.  5 規則別表第2の2の項に掲げるボイラー(排出ガス量が20万Nm3/h以上のものに限る。)であつて、通常高炉ガスを燃焼させるものについては、高炉ガスの供給が停止した時のばいじん濃度の値は、排出基準の適合状況の評価に当たつては、除外することとされたい。
  6.  6 「令別表第1の1の項に掲げるボイラーのうち同表の8の項の中欄に掲げる触媒再生塔に附属するもの」とは、令別表第1の8の項の中欄に掲げる触媒再生塔において生成するガスを燃焼させるボイラーである。
  7.  7 「令別表第1の10の項に掲げる反応炉のうち活性炭の製造の用に供するもの」とは、活性炭の製造の用に供する反応炉であつて、令別表第1の18の項に掲げる反応炉以外のものである。
  8.  8 規則別表第2の備考に規定する「直接熱風乾燥炉」とは、燃焼室からの排出ガスが乾燥室に導入されて、排出ガスと乾燥される物が直接接触する構造を有する乾燥炉である。
  9.  9 附則別表の17の項に規定する「気流搬送型」乾燥炉とは、銅等の選鉱後の精鉱の乾燥の用に供するものであり、粉砕機で粉砕された粉体状の精鉱を気流により搬送しながら乾燥するものである。
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