法令・告示・通達

スパイクタイヤ粉じんの発生の防止に関する法律の施行について

  • 公布日:平成2年7月3日
  • 環大自84号

環境庁大気保全局長から各都道府県知事あて
 標記については、平成2年7月3日付け環大自第83号をもって環境事務次官より通達したところであるが、同通達において別途通達することとされている事項及びその他の事項については、下記により運用することとされたい。

第1 スパイクタイヤ粉じんの発生の防止に関する施策に関する事項

  スパイクタイヤ粉じんの発生の防止に関する法律(以下「法」という。)第4条第2項において、地方公共団体は、当該地域の自然的、社会的条件に応じたスパイクタイヤ粉じんの発生の防止に関する施策の実施に努めなければならないとしているが、施策の具体例を挙げると次のとおりである。

 (1) スパイクタイヤ粉じんの発生の防止に関する啓発及び知識の普及

  1.   ① 法の趣旨及び内容についての周知(指定地域の周知を含む。)
  2.   ② スパイクタイヤ粉じんによる健康影響に関する知識の普及
  3.   ③ スパイクタイヤに代替するタイヤ等の普及を促進するために行う広報活動

 (2) 冬期における道路の環境の整備

  1.   ① 「積雪寒冷特別地域における道路交通の確保に関する特別措置法」(昭和31年法律第72号)に基づく事業
  2.   ② 越冬汚泥除去等の道路清掃
  3.   ③ 路面状態に関する情報の提供

 (3) 冬期における自動車の安全な運転のための教育

  1.   ① 法定講習等における冬道教育の充実
  2.   ② 冬道教育を効果的に実施するための安全運転教育施設等の整備
  3.   ③ 地域、企業単位を中心とした安全な運転のための教育の実施

 (4) その他

  1.   ① 街頭におけるドライバーに対する脱スパイクタイヤの指導
  2.   ② 関連団体、個別企業に対する脱スパイクタイヤの指導
  3.   ③ スパイクタイヤ装着率の調査
  4.   ④ 降下ばいじん及び浮遊粒子状物質の測定による環境影響の監視

  なお、以上の施策は、地方公共団体の各執行機関において従来からそれぞれの制度に基づいて実施されているものであるが、スパイクタイヤ粉じんの発生の防止に関する施策としても効果があることから特に掲げたものである。

第2 指定の要件に関する事項

  法第5条第1項の地域指定にかかわる要件についての判断は、当面下記の1及び2に基づいて行うものとする。

 1 「住居が集合している地域その他の地域」については、次のような地域をいう。

  1.   (1) 「住居が集合している地域」とは、市街地やその周辺はもとより、その地域においてスパイクタイヤ使用規制を厳格に適用しないと住民の健康を保護し、生活環境を保全することができないと認められる程度に住居が集合している地域は全て該当する。具体的には、人口集中地区(DID、市町村の区域内で人口密度の高い地区が相互に隣接し、その人口が5,000人以上となる地区。国勢調査の結果から設定される。)又は都市計画法(昭和43年法律第100号)第7条に規定する市街化区域はもとより、これら以外の町村の集落であっても上記に該当するものは含まれるものである。
  2.   (2) 「その他の地域」とは、「住居が集合している地域」と自然条件、社会条件等からみて一体であると判断される地域をいう。「住居が集合している地域」以外の同一市町村内の地域及び当該市町村と隣接する市町村(住居が集合している地域を含む市町村を除く。)等の地域が該当する。

 2 「住民の健康を保護するとともに生活環境を保全することが特に必要な地域」については、環境庁長官が1の「住居が集合している地域」に関して次のような事項について総合的に判断して、住民の健康の保護及び生活環境の保全の観点から特に必要と認めた地域とする。

  1.   (1) 当該地域におけるスパイクタイヤ粉じんによる住民の健康影響又は生活環境影響について次のような具体的な事例が過去にあった、又は現にあること。
      (健康影響)
    1.    ① 住民の健康影響がある、又はそのおそれがあると認められる疫学調査結果
    2.    ② 住民の健康影響がある、又はそのおそれがあるとの保健所、研究所、医療機関、大学等による指摘
    3.    ③ 保健環境部局が、住民の健康影響がある、又はそのおそれがあると判断できるような住民の訴え
      (生活環境影響)
    1.    ① 住民の生活環境影響がある、又はそのおそれがあると認められるアンケート等による調査結果
    2.    ② 保健環境部局が、住民の生活環境影響がある、又はそのおそれがあると判断できるような住民の訴え
  2.   (2) 沿道で測定された冬期の降下ばいじん量が、過去若しくは現在、概ね次の値を超えるような状況にある、又は将来そのおそれがあること。
         20トン/km2/月
        (ただし、デポジットゲージで測定した場合は、10~14トン/km2/月)
  3.   (3) 過去又は現在の自動車交通量(午前7時から午後7時までの12時間交通量をいう。)及びスパイクタイヤ装着率から算出したスパイクタイヤ装着車交通量から推定する降下ばいじん量が、過去若しくは現在(2)の値を超えるような状況にある、又は将来そのおそれがあること。ただし、当該地域における過去又は現在のスパイクタイヤ装着率が不明な場合は、降雪量及び気温が同様な他の地域の過去又は現在のスパイクタイヤ装着率を用いて推定することとする。

第3 指定の手続に関する事項

 1 地域の指定の申出及び意見の聴取に関する事項

   都道府県知事が、法第5条第2項に基づき、環境庁長官に対して指定地域の要件に該当すると認められる地域がある旨の申出をするとき、又は法第5条第3項に基づき、環境庁長官に対して指定地域についての意見を述べるときは、別途通達する様式によることとする。

 2 関係市町村の範囲

   法第5条第4項の関係市町村長とは、指定地域として指定される予定の地域を含む市町村の長とするのが基本であるが、一体的な対策を行う必要がある等との観点から、当該市町村の周辺市町村又はその他の市町村の長にも意見を聴いても差し支えない。
   同条第6項の関係市町村長も同様である。

第4 スパイクタイヤの使用禁止の対象について

  規制対象となる「道路の積雪又は凍結の状態にない部分」とは、自動車が移動するときにタイヤが接する道路の路面の部分に着目し、その部分が雪又は氷に覆われていない状態にある場合が該当する。したがって、道路の路肩や中央分離帯付近等の車線(車両通行帯)の端の部分又は車線の中央部分に少し氷や雪が残っていたとしても、自動車のタイヤが接する部分に雪や氷がない場合に自動車を移動させ、スパイクタイヤが路面接したときには構成要件に該当し、スパイクタイヤの使用が禁止される。
  また、道路の片側に複数の車線がある場合、一の車線に雪や氷があっても別の車線に「道路の積雪又は凍結の状態にない部分」があれば、その部分においてスパイクタイヤ粉じんが発生するため、スパイクタイヤの使用は禁止される。したがって、複数の車線がある道路では、車線毎に「道路の積雪又は凍結の状態にない部分」であるか否かについて判断するものである。
  さらに、「道路の積雪又は凍結の状態にない部分」とそうでない部分とが繰り返し現れるいわゆる混在道路においては、「道路の積雪又は凍結の状態にない部分」でのスパイクタイヤの使用が禁止されるため、また、路面の状況が時間の経過とともに変化した場合でも、ある時点において「積雪又は凍結の状態にない部分」に該当するところでは、その時点でスパイクタイヤの使用は禁止されるため、指定地域内では事実上スパイクタイヤの使用が禁止されると考えて差し支えない。

第5 条例との関係に関する事項

  法は、国民の健康の保護と生活環境の保全を目的とし、その目的を達成するための手段として、①国民の責務、②行政による関連施策の推進及び実施、③指定地域におけるスパイクタイヤの使用規制を規定しており、本法が確実に実施されれば、脱スパイクタイヤは円滑に進められ、法目的は達成することができるものである。
  ただし、法は、国民の健康の保護等を確保するため、全国的な観点から必要な規制を行うものであって、規制限度法律ではない。したがって、地方公共団体がその自然的、社会的条件から判断して必要と認める場合に、当該地方公共団体が条例制定権に基づき条例で上乗せ規制等を行うことは差し支えない。

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