法令・告示・通達

運輸業に係る特定地域における自動車排出窒素酸化物の排出の抑制を図るための指針

  • 公布日:平成5年2月9日
  • 運輸省告示102号

一 貨物自動車運送事業者等に係る指針

  貨物自動車運送事業法の貨物自動車運送事業者及び貨物運送取扱事業法の貨物運送取扱事業者(貨物自動車運送事業者の行う運送に係る第一種利用運送事業若しくは運送取次事業又は第二種利用運送事業を行う者に限る。以下同じ。)は、特定地域における自動車から排出される窒素酸化物による大気汚染を防止し、二酸化窒素に係る大気環境基準(昭和五十三年環境庁告示第三十八号。以下同じ。)を平成十二年度までに概ね達成するため、その事業活動において以下の措置を講ずるよう努めるものとする。

 1 車両一台当たりの窒素酸化物排出量の削減

   貨物自動車運送事業者及び第二種利用運送事業者であって貨物自動車を使用して自ら貨物の集配を行う者にあっては、車両一台当たりの窒素酸化物排出量を削減するため、以下の措置を講ずる。

  (1) 窒素酸化物排出量がより少ない車両への転換

    現に保有する車両の窒素酸化物排出量の把握を行い、使用実態等を考慮しつつ、窒素酸化物排出量がより少ない車両への積極的な代替計画を策定し、自動車から排出される窒素酸化物の特定地域における総量の削減等に関する特別措置法(以下「特別措置法」という。)第十条第一項の特定自動車排出基準に適合する車への転換を強力に推進する。

  (2) 低公害車の積極的導入

    窒素酸化物排出量が少ないメタノール自動車、CNG(圧縮天然ガス)自動車、ハイブリッド自動車等の低公害車の開発状況等の十分な把握に努め、その導入を積極的に進める。

  (3) 適正運転の実施等

    自動車の使用に際しては、空ぶかし、急加速等の排除や駐停車時のアイドリングの削減等適正運転の実施の徹底を図るとともに、使用車両の窒素酸化物削減に対応した点検・整備等の着実な励行を図るため、適正運転及び点検・整備に関するマニュアル等を事業者団体等と連携をとって作成し、これらのマニュアル等を通じ、自動車運転者等に対し、運転状況等に対応した窒素酸化物削減効果に関する知識の普及と意識の向上を図る。

 2 車両走行量の削減

  (1) 車両の有効利用の促進

   ① 共同輸配送、積合せ輸送等の推進

     自社内努力により、又は他の貨物自動車運送事業者、貨物運送取扱事業者及び荷主等と連携しつつ、複数の事業者が個別に処理していた物資の集荷、仕分け、配送等の業務を共同で行い、若しくは車両及び貨物を相互融通すること等により、積載効率、輸送効率の向上及び輸送距離、使用車両等の削減を促進する。また、輸送需要の的確な把握を行い、積合せ輸送の推進、定時・定ルート配送の確立等を図る。

   ② 営業用トラックの利用促進のための環境の醸成

     自家用トラックに比較して、輸送効率の面で上回る営業用トラックへの転換を促進するため、転換の可能性の高い貨物の見極め及び自家用トラック利用者の営業用トラックへの転換意向の把握に努めるとともに、営業用トラックとしての専門的ノウハウに関する情報や技能等の蓄積及び人材の育成を図る。また、利用者のニーズを的確に反映した新輸送商品の開発や商品管理、流通加工、配送を一貫して行う総合物流サービスの提供等トラック輸送の高付加価値化を図る。

   ③ ジャスト・イン・タイムサービス、道路混雑時の輸配送の見直し等

     輸送効率の向上を図るため、荷主等との協議を十分に行い、行き過ぎた多頻度少量輸送、ジャスト・イン・タイムサービス等の見直し、改善を行うとともに、道路混雑時の輸配送の見直しによる輸配送の円滑化や積載効率が比較的低い土曜日・日曜日における車両使用の削減等の対策を講ずる。その際、物流のサービスレベルに応じたきめ細かな運賃・料金体系の導入により、物流コストと輸送効率の調和が図られ物流効率化が推進されることから、荷主等の理解と協力を得ながらこれを積極的に推進する。

  (2) モーダルシフトの推進

    トラック輸送と比較してより環境に対する負荷が少なく輸送効率のよい鉄道及び海運の利用を図っていくモーダルシフトを推進するため、輸送機関の選択に際し、貨物の大口化等を通じて鉄道及び海運の積極的な利用を図るよう努める。

  (3) 情報化の推進

    輸送効率の向上を図るうえにおいては、貨物自動車運送事業者及び貨物運送取扱事業者を中心とした情報ネットワーク化等の推進が必要であることから、事業者団体あるいは荷主等と連携をとり、次に掲げるシステム等の積極的な開発導入に努める。

  1.    ① ネットワークKIT事業をはじめとする相互融通、帰り荷斡旋システム等協同組合等を中心とした輸送システム
  2.    ② 車両の運行状況や輸配送を管理するMCA無線(多チャンネル通信システムを利用した陸上移動通信)やAVMシステム(車両位置等自動表示システム)等を活用した移動体通信情報システム
  3.    ③ 貨物運送取扱事業者と鉄道運送事業者の間の鉄道貨物の予約・受託情報や貨物の追跡情報等の円滑な交換を図るための情報システム
  4.    ④ 荷主や同業者等とのオンライン化による情報交換システム

  (4) 物流施設の高度化、物流拠点の整備等

    既存施設について、機械化・自動化及び流通加工、保管等の機能の付加による高度化・複合化を推進するとともに、共同輸配送、新輸送商品の開発に対応するため、施設間の適正配置・集約化や荷受け、仕分け等の効率化に配慮しつつ、物流拠点の整備を図る。
    また、宅配便事業等にみられる再配達削減策としての宅配用ロッカー等の一時保管施設の整備を図るとともに、オフィスビル周辺等の交通流の円滑化に資するため、路上駐停車の自粛と併せ、荷捌き場についても荷主等との協議を行って整備を図るよう努める。

 3 環境対策の計画的な実行及び関係者との連携・協議体制の充実等

  (1) 自主的な環境対策の策定と計画的な実行

    上記1及び2の諸施策を推進していくためには、自動車を使用又は利用して事業を行う者としての社会的責任を十分認識し、諸施策の遂行に積極的に取り組むことが不可欠である。この点を踏まえ、各企業において自主的に窒素酸化物排出量の削減目標の設定、車両代替や輸送効率化のための対策等を盛り込んだ環境対策の策定及びその諸対策の円滑な遂行、定期的な達成状況の把握等を行う。

  (2) 事業者団体を中心とした自主的な取組み

    事業者団体を中心として、以下の事項をはじめとした施策に自主的に取組み、自己啓発及び荷主等関係者との相互理解、啓発を図る。

   ① 自動車排出窒素酸化物削減ハンドブック等の作成

     自動車排出窒素酸化物削減ハンドブックや窒素酸化物の排出がより少ない車両への代替方法、具体的車種の選定方法に関するマニュアル等を作成し、自己啓発及び荷主等関係者との相互理解、啓発を図る。

   ② 調査研究体制等の確立

     窒素酸化物排出量の削減を図るための代替対象車種及びその開発状況等の把握並びに的確な導入計画の策定方策の調査研究、荷役時間の省力化を含む輸送の効率化に資するパレット、梱包材等の設備又はウイング車等輸送機材の関発のための調査研究などの調査研究体制の整備及び充実を図り、開発メーカー等に対し、事業者としての立場からの提言等を行う。

  (3) 荷主等関係者との連携・協議体制の構築とこれへの積極的な参画

    窒素酸化物排出量の削減、自動車使用の合理化には、自動車の使用者のみならず、荷主等物流を発生させる者の理解、協力及び相互の連携が不可欠であることから、自主的な環境対策の計画的な実施、荷主等のパートナーとしての高度なサービスの提供、自らの資質向上等に努めるとともに、荷主等に対しても物流の効率化等窒素酸化物排出量の削減を推進するための施策に対する理解を求め、十分な協力体制をとってもらうことが必要である。このため、事業者団体との連携を図りつつ、定例的な荷主懇談会、物流効率化のための検討会等の設置など関係者の連携・協議体制の構築を図り、これに積極的に参画する。

 4 その他配慮すべき事項

  (1) 助成制度等の積極的活用

    諸施策の確実な遂行のための資金需要等に関しては、政府関係金融機関、事業者団体等の融資、助成制度及び税制優遇制度の積極的な活用を図る。

  (2) 中小企業に係る諸施策の推進体制の強化等

    貨物自動車運送事業者及び貨物運送取扱事業者の大部分を占める中小企業者は、上記のような諸施策を講じる体制を強化する観点から、中小企業近代化のために現在実施している経営戦略化構造改善事業及び今後実施される構造改善事業に積極的に参画して事業の集約化を進め、物流拠点の共同建設や共同保管、共同荷役等の共同事業等の推進を図る。
    また、中小企業流通業務効率化促進法(平成四年法律第六十五号)を活用し、流通業務の共同化を図るよう努める。

  (3) 特定地域への流入車に関する車両の転換促進

    特定地域における大気汚染防止の見地からは、特定地域に流入する自動車についても、できる限り窒素酸化物排出量の少ない車両が使用されることが望ましい。このため、特定地域外に自動車の使用の本拠を有するものの、主に特定地域内に自動車を運行させている貨物自動車運送事業者及び第二種利用運送事業者であって貨物自動車を使用して自ら貨物の集配を行う者についても、当該使用車両に関して、特別措置法第十条第一項の特定自動車排出基準に準じて窒素酸化物排出量がより少ない車両への転換を促進するよう努める。

二 旅客自動車運送事業者に係る指針

  道路運送法の旅客自動車運送事業者(一般乗用旅客自動車運送事業者を除く。以下同じ。)は、特定地域における自動車排出窒素酸化物による大気汚染を防止し、二酸化窒素に係る大気環境基準を平成十二年度までに概ね達成するため、その事業活動において以下の措置を講じるよう努めるものとする。

 1 車両一台当たりの窒素酸化物排出量の削減

  (1) 窒素酸化物排出量がより少ない車両への転換

    現に保有する車両の窒素酸化物排出量の把握を行い、使用実態等を考慮しつつ、窒素酸化物排出量がより少ない車両への積極的な代替計画を策定し、特定措置法第十条第一項の特定自動車排出基準に適合する車両への転換を強力に推進する。

  (2) 低公害車の積極的導入

    窒素酸化物排出量が少ないメタノール自動車、CNG(圧縮天然ガス)自動車、ハイブリッド自動車等の低公害車の開発状況等の十分な把握に努め、その導入を積極的に進める。

  (3) 適正運転の実施等

    自動車の使用に際しては、空ぶかし、急加速等の排除や駐停車時のアイドリングの削減等適正運転の実施の徹底を図るとともに、使用車両の窒素酸化物削減に対応した点検・整備等の着実な励行を図るため、適正運転及び点検・整備に関するマニュアル等を事業者団体等と連携をとって作成し、これらのマニュアル等を通じ、自動車運転者等に対し、運転状況等に対応した窒素酸化物削減効果に関する知識の普及と意識の向上を図る。

 2 バスの利用促進

   道路交通においては、公共輸送機関である乗合バスを活用することにより、環境に対する負荷をより少なくすることができることから、自家用乗用車から営業用バスへの需要の誘導を促進することが望ましい。このため、一般乗合旅客自動車運送事業者においては、次のような施策を推進する。

  (1) バス輸送サービスの改善

    バスを魅力ある交通機関とし自家用車からバスへの誘導を図っていくため、乗り継ぎ施設の整備・改善、低床・広ドアバス車両、停留所におけるバスシェルター、バス情報システム、カードシステム、都市新バスシステム等の導入及び設置、需要に応じた輸送力の整備等により、輸送サービスの改善を図る。

  (2) 走行環境の改善

    大都市圏等におけるバスの利用促進のためには、利用者利便を向上させるとともに、バス専用レーン、優先レーン等の設置、違法駐車の排除等のバス走行環境の改善を図ることが有効である。このため、バス事業者は、事業者団体と連携を図りつつ、地方公共団体、地方運輸局、都道府県警察本部、道路管理者等から成る各都道府県ごとの「バス活性化委員会」等を活用し、走行環境の改善策の実現に向けたこれら関係者との連携の強化に努める。

 3 環境対策の計画的な実行等

  (1) 自主的な環境対策の策定と計画的な実行

    上記1及び2の諸施策を推進していくためには、旅客自動車運送事業者が自動車を使用して事業を行う者としての社会的責任を十分認識し、諸施策の遂行に積極的に取り組むことが不可欠である。この点を踏まえ、各企業において自主的に窒素酸化物排出量の削減目標の設定、車両代替や輸送効率化のための対策等を盛り込んだ環境対策の策定及びその諸対策の円滑な遂行、定期的な達成状況の把握等を行う。

  (2) 事業者団体を中心とした自主的な取組み

    事業者団体を中心として、以下の事項をはじめとした施策に自主的に取組み、自己啓発及び関係者との相互理解、啓発を図る。

   ① 自動車排出窒素酸化物削減ハンドブック等の作成

     自動車排出窒素酸化物削減ハンドブックや窒素酸化物の排出がより少ない車両への代替方法・具体的車種の選定方法に関するマニュアル等を作成し、自己啓発及び関係者との相互理解、啓発を図る。

   ② 調査研究体制等の確立

     窒素酸化物排出量の削減を図るための代替対象車種及びその開発状況等の把握並びに的確な導入計画の策定方策の調査研究、輸送サービス改善に資するシステムの開発のための調査研究等調査研究体制の整備、充実を図り、開発メーカー等に対し、旅客自動車運送事業者としての立場からの提言等を行う。

 4 その他配慮すべき事項

   諸施策の確実な遂行のための資金需要等に関しては、バス活性化システム整備費等補助金をはじめとした助成制度、融資制度、税制優遇制度等の積極的な活用を図る。

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