法令・告示・通達

大気中の二酸化硫黄等の測定方法の改正について

  • 公布日:平成8年10月25日
  • 環大企346号

各都道府県知事・大気汚染防止法政令市長から環境庁大気保全局長通知

 大気の汚染に係る環境基準についての一部を改正する環境庁告示(平成8年環境庁告示第73号及び二酸化窒素に係る環境基準についての一部を改正する環境庁告示(平成8年環境庁告示第74号)が平成8年10月25日に告示され、同日から適用されることとなった。また、大気汚染防止法施行規則の一部を改正する総理府令(平成8年総理府令第50号)が平成8年10月25日に公布され、同日から施行されることとなった。

 今回の改正は、二酸化硫黄、二酸化窒素及び光化学オキシダントに係る環境基準並びに大気汚染防止法(昭和43年法律第97号)第23条第1項又は第4項の緊急時の措置に係る測定方法として、従来の方法に加え、紫外線蛍光法等のいわゆる乾式測定法を追加するものである。
 ついては、貴職におかれては、下記に留意の上、その運用に遺憾なきを期されたい。

  1. 1 改正の趣旨
      二酸化硫黄、二酸化窒素及び光化学オキシダント(以下「二酸化硫黄等」という。)に係る環境基準に係る測定法については、「大気の汚染に係る環境基準について」(昭和48年5月環境庁告示第25号)及び「二酸化窒素に係る環境基準について」(昭和53年7月環境庁告示第38号)において、また、大気汚染防止法第23条第1項又は第4項の緊急時の措置(以下単に「緊急時の措置」という。)に係る測定法については、同法施行規則第18条において、いわゆる湿式測定法により測定することとされていたが、測定技術の進展により、紫外線蛍光法等の乾式測定法に基づく自動測定機が実用段階に至った。
      乾式測定法は、吸収液を用いず、試料大気をガス状のままで測定する方法であり、測定原理上、選択性の高い測定が行えるほか、吸収液の調整・交換・廃棄の作業が不要である等測定機の維持管理も比較的容易であるとの利点があり、二酸化硫黄等に関し、世界の主流の測定法となっている。
      このような状況を踏まえ、環境庁においては、乾式測定法に基づく自動測定機の精度について調査を実施するとともに、有識者による検討会を設置して検討を進めてきたところであるが、乾式測定法は、二酸化硫黄等に関し、従来の湿式測定法と同等以上の測定値を得ることのできる測定方法であるとの結論が得られたので、環境基準等に係る測定方法として乾式測定法を追加するため、必要な環境庁告示及び大気汚染防止法施行規則の改正を行ったものである。
  2. 2 改正の要点
    1.  (1) 二酸化硫黄
         環境基準に係る測定方法として、溶液導電率法に加え、新たに紫外線蛍光法を用いることができることとしたこと。また、緊急時の措置に係る測定方法として、溶液導電率法による硫黄酸化物測定器に加え、新たに紫外線蛍光法による二酸化硫黄測定器を用いることができることとしたこと。
    2.  (2) 二酸化窒素
         環境基準に係る測定方法として、ザルツマン試薬を用いる吸光光度法に加え、新たにオゾンを用いる化学発光法を用いることができることとしたこと。また、緊急時の措置に係る測定法として、ザルツマン試薬を用いた吸光光度法による二酸化窒素測定器に加え、新たにオゾンを用いた化学発光法による二酸化窒素測定器を用いることができることとしたこと。
    3.  (3) 光化学オキシダント
         環境基準に係る測定方法として、中性ヨウ化カリウム溶液を用いる吸光光度法又は電量法に加え、新たに紫外線吸収法又はエチレンを用いた化学発光法を用いることができることとしたこと。また、緊急時の措置に係る測定法として、中性ヨウ化カリウム溶液を用いた吸光光度法又は電量法によるオキシダント測定器に加え、新たに紫外線吸収法又はエチレンを用いた化学発光法によるオゾン測定器を用いることができることとしたこと。
  3. 3 今回追加された測定方法の概要
    1.  (1) 二酸化硫黄に係る紫外線蛍光法
         試料大気に比較的波長の短い紫外線を照射すると、これを吸収して励起した二酸化硫黄分子が基底状態に戻るときに蛍光を発する。この蛍光の強度を測定することにより、試料大気中の二酸化硫黄の濃度を求めることができる。蛍光の波長はそれを発する分子に固有のものであるので、測定波長を適切に選ぶことにより極めて選択性の高い測定を行うことができる。
    2.  (2) 二酸化窒素に係る化学発光法
         試料大気にオゾンを反応させると、一酸化窒素から励起状態の二酸化窒素が生じ、これが基底状態に戻るときに光を発する(化学発光)。この化学発光の強度を測定することにより、試料大気中の一酸化窒素の濃度が測定できる。一方、試料大気をコンバータと呼ばれる変換器に通じて二酸化窒素を一酸化窒素に変換したうえで化学発光の強度を測定すると、試料大気中の窒素酸化物(一酸化窒素+二酸化窒素)の濃度が測定できる。これらの測定値の差をとることによって、試料大気中の二酸化窒素の濃度を求めることができる。
    3.  (3) 光化学オキシダントに係る紫外線吸収法
         オゾンは波長254nm付近の紫外線を強く吸収する性質があることから、波長254nm付近の紫外線を試料大気に照射し、試料大気によって吸収される紫外線の量を測定することにより、試料大気中のオゾンの濃度を求めることができる。
    4.  (4) 光化学オキシダントに係る化学発光法
         試料大気にエチレンを反応させると、エチレンがオゾンにより酸化され、励起状態のホルムアルデヒドを生じ、これが基底状態に戻るときに光を発する(化学発光)。この化学発光の強度を測定することにより、試料大気中のオゾンの濃度を求めることができる。
  4. 4 留意事項
      今回追加された光化学オキシダントに係る紫外線吸収法及び化学発光法の測定対象物質はいずれもオゾンであるが、次の(1)及び(2)に示した事実を踏まえれば、中性ヨウ化カリウムを用いる従来の測定方法による光化学オキシダントの測定値に対するオゾン以外の成分の寄与は極めて小さいと考えられ、1年間のフィールド試験によっても従来の測定方法による測定値と紫外線吸収法又は化学発光法による測定値はよく一致していることから、大気汚染の常時監視においては、紫外線吸収法又は化学発光法により得られたオゾンの測定値をもって光化学オキシダントの値として差し支えないこと。
    1.  (1) 光化学オキシダントにおける主成分のオゾン以外のPAN(ペルオキシアセチルナイトラート)の大気中濃度は、1976から85年の平均で0.0008ppmであり、高濃度時でも0.01ppm前後と低いこと(早福ら「東京都環境科学研究所年報1988年」)
    2.  (2) 中性ヨウ化カリウムを用いる吸光光度法はPANに対して感度が低いこと(坂東ら「第37回大気環境学会講演要旨」)
  5. 5 その他
    1.  (1) 測定値の取り扱い
         測定値の整理及びその評価等の測定値の取り扱いについては従来どおりであり、今回の測定方法の追加によって変更されるものではないこと。
    2.  (2) 測定マニュアル等
         今回追加された方法を用いて大気汚染の常時監視を行う場合に必要となる測定マニュアル等については、別途通知することとしていること。
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