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平成14年度の環境政策の企画立案に向けて*PDF:46KB

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〔平成14年度の環境政策の企画立案に向けて〕 全体評価へ戻る

平成13年8月
環境省大臣官房政策評価広報課

I 基本的な考え方

今日の環境をめぐる状況を概観すると、廃棄物問題や自動車に起因する大気汚染問題、健全な生態系の喪失といった従来から解決が求められている課題から、温暖化を始めとする地球環境問題や内分泌かく乱化学物質などの化学物質問題など人類の生存基盤に大きな影響を与えかねない問題にまで、私たちが取り組むべき環境問題の範囲が広がっています。
これらの環境問題は大量生産・大量消費・大量廃棄を繰り返し、生態系のバランスに十分配慮しない社会のあり方、人間活動の規模の拡大や広がりや質の変化による環境の改変に根ざしたものです。このような社会のあり方を根本から見直し、変革することは容易なことではありませんが、私たちはそれを成し遂げ、持続可能な社会経済システムの下、自然との共生を図る新たな社会を創造していかなければなりません。

新しい社会の創造には、その社会を構成する各主体がその行動様式やライフスタイルを見直すなど、自ら行動し、また互いに協力しながら取り組むことが必要です。既に社会における環境問題に関する問題意識は高まっており、多くの方々がそれぞれの立場で環境問題に取り組んでいます。環境省は本年1月の発足以来、大臣と市民とが直接対話するタウンミーティングや自治体や企業の環境担当者と意見を交換する懇談会の開催、広く要望や政策提言を受け付けるMOEメールの設置等により、多くの方々の意見の把握に努めてきました。
政府は平成12年12月新環境基本計画を決定し21世紀初頭における環境政策の展開の方向を明らかにしています。
平成13年4月に発足した小泉内閣は構造改革の一環として、自然との共生が可能となる社会の実現を強調し、廃棄物を大幅に低減するためのゴミゼロ作戦を提言するなど、環境関連の問題に積極的に取り組んでいます。
経済財政諮問会議においても、「環境」を経済の再生、社会資本整備において重点的に取り組むべき分野として取り上げ、平成14年度に重点的に推進すべき分野の第一として「循環型経済社会の構築など環境問題への対応」を検討しています。
また、「21世紀「環の国」づくり会議」において、地球の環、物質循環の環、生態系の環等の実現を訴える報告書がまとめられています。
さらに、都市再生本部や産業構造改革・雇用対策本部、総合規制改革会議においても環境問題が重要な検討課題となっており、総合科学技術会議でも、環境が重点分野として議論されているところです。

このように、環境問題は21世紀の新しい社会の構築に向けてわが国が真っ先に取り組むべき重要な課題となっています。 
環境問題のグローバルな側面を考えるとき、国内での取組のみならず、国際協力、貢献の視点も欠かせません。
環境省は、政府全体の先頭に立って環境政策をリードし、市民、企業、自治体、さらには諸外国等とのパートナーシップの下、様々な壁に挑戦する行動官庁として「簡素」で「質」の高い活力ある持続可能な社会、すなわち、「地球と共生する『環の国』日本」の実現を目指して百年先を見通した構造改革を進めていきます。 
このため、組織体制の充実を含め、環境省の政策推進基盤の強化に努めます。
お寄せいただいたご意見や、社会経済の情勢等を踏まえ、環境省は、「環の国」の実現に向けた第1歩として、平成14年度は特に次の7つの分野について、それぞれ次のような方向で具体的な企画立案作業に取り組んでいきます。

  1.  グリーン経済社会への構造改革
     〜社会経済の発展方向を持続可能なものに変える〜
  2. 地球環境保全の推進
     〜地球環境問題への取組により日本を世界のリーダーに変える〜
  3. 循環型社会の積極的形成
     〜社会をゴミゼロ型に変える〜
  4. 自然と共生する社会の実現
     〜社会の在り方を自然共生型に変える〜
  5. 総合的環境管理による安全と安心の確保
     〜環境管理の在り方を変える〜
  6. 環境研究・環境技術開発の促進
     〜研究・技術開発の進展の速度を変える〜
  7. 環境パートナーシップの推進
     〜政策形成と実行の在り方を変える〜

II 重点的に取り組むべき分野とその方向

1.グリーン経済社会への構造改革 
 〜社会経済の発展方向を持続可能なものに変える〜

(1)背 景 

○ 環境問題が深刻化している中で、持続可能な社会を実現するためには、各人が環境に配慮し、持続可能な方向に沿った活動様式・生活様式を選択するような社会経済システムへの転換を図ることが必要です。

  • 近年、環境配慮を事業活動等に組み込む企業や自治体が増加しています。例えば、平成12年度の「環境にやさしい企業行動調査」では、ISO取得企業は約1000社(約6000件)、環境報告書を公表している企業は約400社、環境会計を採用している企業数は約300社です。上場企業の67.0%が環境に関する経営方針を策定しています。
  • 消費行動においても、環境に配慮する動きが広がっています。例えば、平成11年度の経済企画庁物価モニター調査では、56.6%の人が日用品の購入時に環境に配慮した商品を購入(グリーン購入)すると答えています。

○ 一方、各種の事業・政策の立案・実施に当たり環境配慮を組み込んでいくことも重要です。国際的には、政策立案段階から環境配慮を組み込む戦略的環境アセスメントの検討が進んでいます。

(2)これまでの進展と課題

経済的手法については、従来から各種の助成措置が実施されていますが、負担措置の実施事例は少なく、取組が遅れています。平成13年度の税制改正では排出ガス・燃費の性能によって税率に差を設け、自動車税のグリーン化を実現しましたが、今後とも、様々な分野において税・課徴金等の経済的手法の活用の可能性を検討し、これを具体化していくことが必要です。 
環境保全に自主的・積極的に取り組む企業が高く評価されるような市場の構築を進めるため、「環境会計」や「環境報告書」の活用を促すことを目的に、平成12年度に「環境会計システムの導入のためのガイドライン」、「環境報告書ガイドライン」を公表しました。しかし、環境報告書作成企業は上場企業の23.4%程度にとどまるなど、一層の普及・活用のための何らかの枠組みの検討が必要です。 
平成12年5月の「国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律(グリーン購入法)」制定を受け、平成13年2月「環境物品等の調達の推進に関する基本方針」が策定されました。国民全体によるグリーン購入を推進するためには、より分かりやすい情報の提供などにより、環境物品等の選択を可能とし、より環境負荷の少ない物品等への需要の転換を促進することが必要です。 
事業における環境配慮の組み込みについては、平成11年6月に環境影響評価法が全面施行され、その適切な推進が必要です。戦略的環境アセスメント(SEA)については、平成12年に基本的考え方を取りまとめました。SEAの実績づくりの支援等が今後の課題となっています。

(3)平成14年度の方向

企業や個人がより環境負荷の少ない製品・サービスの供給・消費を選択しやすくなるような経済システムへの移行を積極的に進めます。
また、戦略的環境アセスメントの導入や環境影響評価制度の充実により、政策立案から事業実施に至る各段階での環境配慮を進めます。 

2.地球環境保全の推進 
〜地球環境問題への取組により日本を世界のリーダーに変える〜

(1)背景 
○ 地球温暖化は人類の生存基盤に関わる最も重要な環境問題の一つです。

  • 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)による予測結果によると21世紀中には、地球の平均気温が1.4〜5.8℃上昇、海面水位が0.09〜0.88m上昇するとされています。(1995年の前回報告書と比べて気温上昇予測が上方に修正されました)これに伴い、人の生活や生態系に大きな影響が予想されています。 

○ オゾン層の破壊、砂漠化、生物多様性の減少等の地球環境問題は、先進国を中心とする高水準の経済活動、開発途上国を中心とした経済活動の目覚ましい高度化、開発途上国を中心とした貧困と人口の都市集中、また、国際的な相互依存関係の拡大等を背景として深刻化しています。 

  • オゾン層は、熱帯地域を除き、ほぼ全地球的に減少傾向にあり、2000年(平成12年)には南極域上空で過去最大のオゾンホールが観測されました。 

○ アジェンダ21実施の包括的レビューとその取組強化を目的として2002年(平成14年)にヨハネスブルク(南ア)で持続可能な開発に関する世界サミット(WSSD)が開催されます。

(2)これまでの展開と課題

○ 1997年(平成9年)(「気候変動枠組条約」の実施に向けて「京都議定書」が採択され、温室効果ガスの削減目標(2008年〜2012年)を決定されました。我が国は90年比6%削減に合意しました。 

  • 2001年(平成13年)7月のCOP6再開会合において京都議定書の実施に関する中核的要素に関して、閣僚レベルでの合意が得られました。この合意を踏まえ、京都議定書を発効させるための細目についても合意を得て、2002年までの京都議定書を発効させることができるよう全力を尽くします。
  • 国内対策を進めるため、1998年(平成10年)に、「地球温暖化対策推進大綱」「地球温暖化対策の推進に関する法律」を制定しました。今後は、京都議定書における我が国の目標達成を確実にするための国内制度を構築することが必要です。

○ モントリオール議定書等により、国際的取組としてオゾン層破壊物質の生産量等の削減が行われています。

我が国ではオゾン層保護法に基づきオゾン層破壊物質の製造等の規制や排出抑制等に取り組んでいます。

  • 平成13年4月に施行された「特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法)」及び平成13年6月に成立した「特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する法律(フロン回収破壊法)に基づき、廃機器からのフロン回収・破壊の徹底を図ることが必要です。 

○ 残留性有機汚染物質(POPs)対策や生物多様性の保全等についても国際的な枠組みの中で取組を進めていくことが必要です。

○ エコアジア、環日本海環境協力会議、日中韓三ヶ国環境大臣会合、東アジア酸性雨モニタリングネットワーク(EANET)等を通じてアジア太平洋地域における地域協力を推進しています。

  •  「アジア太平洋環境開発有識者会議(仮称)」への貢献をはじめ、我が国がリーダーシップをとって2002年の持続可能な開発に関する世界サミット(WSSD)に向け、アジア太平洋地域から具体的な提言を行っていくことが必要です。

(3)平成14年度の方向

京都議定書の目標を達成するための国内制度を整備するなど「脱温暖化社会」に向けた地球温暖化対策を抜本的に強化するとともに、とオゾン層保護のためのフロン回収・破壊の着実な実施等を図り、地球環境保全を強力に進めます。
また、持続可能な開発に関する世界サミット(WSSD)の機会を活かしつつ一層の国際協力・貢献を行います。

3.循環型社会の積極的形成 
〜社会をゴミゼロ型に変える〜

(1)背景 

○ 大量生産・大量消費・大量廃棄型の社会経済活動により環境への負荷が増大しています。特に廃棄物の発生量は、一般廃棄物が年間約5千万t、産業廃棄物が年間約4億tという高い水準で推移しています。

○ また、廃棄物の処理施設の不足が深刻な問題となっており、特に最終処分場の残余年数については、平成10年度において、一般廃棄物が12.3年、産業廃棄物が3.3年とひっ迫しています。

○ 産業廃棄物の不法投棄は、平成11年度の件数が1,049件、投棄量が43.3万t依然として多発しており、産業廃棄物処理全体に対する国民の信頼を失わせる大きな要因となっています。また、大都市圏の廃棄物の地方への流出や不適正処理の頻発による大都市・地方の対立が問題となっています。

○ 一方、リサイクル率は、平成10年度現在、一般廃棄物が12.1%、産業廃棄物が42.1%となっており、その向上が課題となっています。

○ 全国の生活排水処理施設の整備率は69%で、人口5万人未満の都市では41%にとどまっています。未処理の生活排水の放流が要因の一つとなって、有機汚濁に関する環境基準(BOD・COD)の達成率は、河川82%、湖沼45%、海域75%と近年横ばい状態で、改善が進まない状況です。

(2)これまでの進展と課題

○ 平成3年から平成12年までの数次の廃棄物処理法の改正により、排出抑制・再生利用の促進、不適正処理の防止、産業廃棄物について排出事業者責任の徹底とこれらを補完するための公共関与による廃棄物処理施設の整備の促進等を図っています。

○ 平成7年の容器包装リサイクル法を始め、各種個別リサイクル法を着実に整備しています。

○ 廃棄物・リサイクル関連法に基づく施策の円滑な実施等により、最終処分量を平成22年度までに平成9年度比の半分にすること等を目標に、廃棄物の減量に取り組んでいます。

○ 平成9年に、廃棄物処理法に基づき廃棄物焼却施設に対するダイオキシン規制を実施し、国庫補助等の支援により、その排出削減に取り組んでいます。

○ 平成12年には、循環型社会形成推進基本法が成立し、目指すべき循環型社会の姿と、必要な施策やその優先順位(発生抑制、再使用、再生利用等)、各主体の責務等を明らかにしました。今後、同法に基づき、具体的な数値目標など実効性のある循環型社会形成推進基本計画を策定することが課題です。

○ 平成13年4月より浄化槽法に基づき水環境への負荷が大きい単独処理浄化槽の新設原則禁止の措置を実施しています。今後とも、下水道等の生活排水処理施設の整備と連携を図りつつ合併処理浄化槽の整備を促進することが必要です。

○ 負の遺産であるPCB廃棄物については、平成13年6月に成立したPCB廃棄物適正処理推進特別措置法及び改正環境事業団法に基づき、環境事業団を活用して拠点的処理施設を整備し、今後15年間で確実かつ適正に処理を終えることを目標としています。

○ 大都市圏の廃棄物処理体制の確保を始めとする廃棄物処理体制の再構築、排出事業者・製造事業者等の自己責任の徹底による優良な廃棄物処理・リサイクル業者の育成、発生抑制・無害化・リサイクルの推進のための技術開発・システムの整備、不法投棄対策の強化や環境修復による国民の信頼確保等が課題となっています。

○ 国民一人ひとりが、排出者としての自覚のもと、ごみの削減に取り組むことを促進することも課題です。

(3)平成14年度の方向

総理の提唱する「ゴミゼロ作戦」として、平成12年の改正廃棄物処理法等を着実に施行し、廃棄物の発生抑制、循環的利用、適正処分の確保、不法投棄の撲滅、不法投棄地の環境修復、PCB廃棄物の処理等を進めるとともに、排出事業者・製造事業者等の自己責任を徹底することにより、「ゴミゼロ型社会」の実現に取組みます。また、生活排水対策として、合併処理浄化槽の整備を促進します。 

4.自然と共生する社会の実現 
〜社会の在り方を自然共生型に変える〜

(1)背景

○ 自然環境の改変が進み、自然林や二次林、藻場・干潟、自然海岸が減少しています。

○ 絶滅のおそれのある野生生物の状況をまとめたレッドデータブックによれば、メダカなど身近な種を含む動物の669種、植物の1994種が絶滅の危険にさらされています。

○ 自然公園の利用者数は年間のべ9億5千万人に上り、特に山岳地域等において自然環境への圧力が増大しています。

○ 里山の価値の見直しが進み、身近な自然とのふれあいの場への要求が高まっています。

○ 一方、鳥獣による農作物被害等も増加傾向にあります。

(2)これまでの進展と課題

  • 平成7年に国土全体の生物多様性保全とその持続可能な利用にかかる中長期的な国の方針「生物多様性国家戦略」を決定。現在見直しを行っているところです。
  • 自然性の高い地域については、自然環境保全法、自然公園法等に基づき保護地域の設定、各種開発行為の規制によりその保全を図っています。
  • 自然との豊かなふれあいの確保のために、自然公園等事業によりビジターセンター、登山歩道などの施設を整備するとともに、自然解説指導者の育成等のソフト事業を展開しています。
  • 野生生物の保護のため、種の保存法、鳥獣保護法に基づき、動植物の譲渡規制、各種開発行為の規制などを着実に実施するとともに、シマフクロウ、トキなどの希少野生動植物について保護増殖事業を展開しています。
  • 鳥獣被害の増大や野生鳥獣の急激な減少に対処するため、平成11年に鳥獣保護法を改正し、科学的かつ計画的な野生鳥獣の保護管理を実施する特定鳥獣保護管理制度を創設しています。
  • 生物多様性条約、ラムサール条約、渡り鳥保護のための国際協定等を通じて国際協力を積極的に推進し世界的な生物多様性の保全に取り組んでいます。 
  • これら各種の施策について、生物多様性保全の観点から見直し・強化を図っていくことが必要です。
  • 現にある自然の保護・活用に加え、里山地域や都市において積極的に自然を再生していくことも重要な課題です。
  • マングースやアライグマ等の移入生物による地域生態系のかく乱に適切に対処すること、平成12年に施行された改正動物愛護管理法に基づき、動物の適正な飼養を推進することも新たな課題として取り組む必要があります。 
  •  「生物多様性条約」の実施のため、先進諸国と協力するとともに、開発途上国に対する支援を進めることが必要です。特に、アジア太平洋地域における植生、渡り鳥の移動ルート等の基礎的情報を把握し、これを各国で共有するための取り組みを進めることが必要です。

(3)平成14年度の方向

平成13年度中に見直し予定の生物多様性国家戦略を踏まえ、自然環境保全の各分野に生物多様性保全の観点をより強く組み込んでいくとともに、劣化した自然の再生等を図り、自然と共生する社会の実現をめざします。 

5.総合的環境管理による安全と安心の確保 
〜環境管理の在り方を変える * 〜

(1)背景

○ 我が国では約5万種の人工の化学物質が流通していると推定され、その中には人の健康や生態系に有害な影響を及ぼすおそれがあるものも少なくありません。

  • 1990年代半ばから、化学物質による環境影響、特にダイオキシン問題、内分泌かく乱化学物質への国民の関心と懸念が急速に高まっています。

○ 大気環境については、大都市圏において二酸化窒素や浮遊粒子状物質等の環境基準の達成率が低い状況で推移しているほか、有害大気汚染物質の一つであるベンゼンの高濃度の汚染が見られています。これについては、いずれも、自動車排ガスが主要な汚染源の一つと考えられています。

  • 水環境については、公共用水域の環境基準(健康項目)の達成率はほぼ100%に近いものの、地下水については揮発性有機化合物や硝酸性窒素などによる汚染が見られます。
  • 土壌については、近年、工場跡地等の再開発や、事業者による自主的な汚染調査が進められた結果、土壌汚染の判明件数が増加傾向を示しています。環境省の調査結果では、平成11年度に都道府県等が把握した土壌汚染の調査事例183件のうち、土壌環境基準に適合していないことが判明した事例は117件となっています。

(2)これまでの進展と課題

○ 従来より、大気・水・土壌などの環境汚染に対しては、各媒体ごとに汚染物質の排出規制等の対策を実施してきました。 

  • 平成8年の大気汚染防止法の改正により、健康被害の未然防止を目的に有害大気汚染物質対策が導入されています。 
  • 自動車排出ガス単体規制については、逐次規制強化を実施しています。特に、ディーゼル車については、平成14年から16年にかけて規制強化し、さらに、昨年11月の中央環境審議会答申を踏まえ、平成17年までに大幅に規制強化し、また、16年末までに軽油中の硫黄分の現行を1/10に低減することとしています。 
  • 平成13年6月、自動車NOx法を改正し、規制対象物質として粒子状物質を追加、事業者対策強化等自動車排ガス対策の強化を行いました。今後、対策地域の拡大、車種規制の強化等を行う予定です。 
  • ダイオキシン類については、平成11年に成立した「ダイオキシン類対策特別措置法」等により、大気、水等への総合的な排出規制等を実施しており、排出量は減少しています。 
  • 粒子状物質については、移動発生源対策のほか、固定発生源対策を含めた総合的な対策が重要であり、検討を急ぐことが必要です。 
  • 自動車排出ガス対策については、燃料の品質改善が課題となっており、特に軽油の超低硫黄化の技術評価が求められています。 
  • 工業的に生産される化学物質や農薬等についてはそれぞれ個別の法律により有害性の審査や製造・取扱の規制が実施されていますが、今後さらにこれらの枠組みを充実させていくことが必要です。 
  • 化学物質の中には安全性の評価が行われていないものも多く、また様々な物質が多様な汚染経路から環境に排出され人や野生生物に取り込まれることを視野にいれて、人の健康や生態系に対するリスクを総合的に評価し管理していくことが求められています。 
  • 平成11年に「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律(PRTR法)」が成立し、14年度から多くの化学物質について環境への排出量が分かるようになります。これにより得られた情報を総合的な化学物質の評価・管理に結び付けていくことが必要です。 
  • さらに、環境負荷を最小化し、環境リスクを総合的に管理していくための基礎となる包括的な環境管理技術基盤の整備を計画的に進めていくことが必要です。

○ 環境汚染の未然防止に加え、既に汚染された環境の浄化、特に土壌汚染への対策が大きな課題となっています。 

○ 国際的には、平成13年に、POPs(残留性有機汚染物質)による地球環境汚染の防止を目的としたストックホルム条約が採択され、我が国は条約の締結に向け、国内体制の整備が求められています。

(3)平成14年度の方向

様々な汚染物質が各種の環境媒体を経由して人や生態系に悪影響を及ぼすおそれ(環境リスク)の低減・最小化、環境保全上の支障の未然防止を図ります。このため、環境リスクの把握・評価から管理に至る各段階において、対策の強化を図ります。
特に土壌汚染対策、粒子状物質対策、化学物質対策について強力に取り組んでいきます。 

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* ここでいう「環境管理」は、国、自治体、事業者、国民等各主体が協力して、 
[1] 大気、水、土壌など環境の状況やリスクの状況を常にあまねく監視・把握する(環境状況等の把握) 
[2] 規制措置に加え、多様な手段により予防的措置、迅速な対応措置を講じ、国民の健康や生態系を守る(安全性の確保) 
[3] 「環境状況等」や「予防・対応措置の実施状況」についての情報の共有(安心の確保)を通じて、大気、水、土壌環境の健全な状態を維持し、国民の安全と安心の確保を図ること。 

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6.環境研究・環境技術開発の促進 
〜研究・技術開発の進展の速度を変える〜

(1)背景 

  • 一時的・局地的な問題から時間的空間的にも拡大しつつある環境問題に効果的に対応していくために、従来の環境研究に加えて環境保全の観点からの基盤技術、対策・測定技術の開発が必要となっています。 
  • 第2期科学技術基本計画において、科学技術の研究開発の重点化を図るべき4分野の一つに「環境」が指定され、総合科学技術会議においては環境分野の(研究開発の)推進戦略の策定作業が行われるなど、環境研究や環境技術開発は21世紀における我が国の最も重要な知的資産の一つを構成するものとして、認識されつつあります。

(2)これまでの進展と課題

  • 国立環境研究所、国立水俣病総合研究センターにより、現状把握、現象解明、影響評価、予測、政策研究といった研究開発が行われてきましたが、環境省が主体となった技術開発は一部の分野に限られていました。 
  • 関係省庁の試験研究機関の環境保全に関する試験研究費を配分することにより、国の環境保全に関する試験研究の調整を実施するとともに、地球環境研究総合推進費等の競争的資金により、環境分野の研究開発を推進しています。 
  • 現在、中央環境審議会の下に環境研究技術専門委員会を設け、環境研究・環境技術開発の推進を重点的・戦略的に行うための方策について検討しています。 
  • 環境分野の研究開発の現状の評価に基づき明確な研究開発目標を定め、研究開発課題の優先順位付けを行うことにより、研究資金を適切に配分することや、競争的資金等の研究資金の拡充、研究開発の評価の充実、環境技術の評価体制の整備、「地球温暖化研究」「循環型社会構築研究」「化学物質環境リスク評価・管理」「自然共生型社会構築研究」などの分野について重点的に研究開発を進めることが必要です。 
  • 環境モニタリングデータ、生態系に関するデータ等の情報、「タイムカプセル」としての環境試料、生物標本など、環境分野の研究開発を支える知的基盤・情報基盤の整備が必要です。 
  • 環境分野の研究開発について、人材の確保・組織の整備や研究開発成果の普及・環境政策への反映などに取り組むことも重要です。

(3)平成14年度の方向

環境研究・環境技術開発について、環境保全の観点から課題の優先順位付けをするとともに、体系的な現状の評価を行うことにより、効率的、戦略的推進を目指します。また、環境研究・環境技術開発に関する競争的資金等を拡充して研究開発を支援します。さらに、環境技術については、直接の効果はもちろん副次的な他への影響、環境への総負荷量などを含んだ観点から評価を行う体制の整備について検討します。
更に、これらを推進するために不可欠な知的基盤・情報基盤の整備、推進体制の強化を行います。 

7.環境パートナーシップの推進 
〜政策形成と実行の在り方を変える〜

(1)背景

  • 持続可能な社会を創造していくためには、複数の主体が環境保全のための共通の目標に向かって協力し合うパートナーシップが形成されることが不可欠です。
  • パートナーシップの形成には環境に関する情報が広く流通することが重要ですが、メディア(情報伝達媒体)の変化により、情報の伝達範囲が広がり、伝達スピードが格段に向上しました。環境省のホームページも発足以降の5ヶ月のアクセス件数が13,692,070件となっています。
  • また、公平性、透明性の高い行政の推進と、行政への国民参加が求められるようになり、行政や企業と並ぶ第三の主体としてNGO/NPOの活動が活発となりました。我が国の環境NGO/NPOの数は約4000団体、環境省が政策提言や要望を受け付けるために設置したMOEメールの受信件数は1255通(平成13年1月から5月末まで)、国民との直接対話を目的に開催しているタウンミーティングへの来場者数が5回で2200人となっており、国民が積極的に行政に関わろうとしていることが分かります。

(2)これまでの進展と課題

  • 環境省は平成8年に東京・青山に「地球環境パートナーシッププラザ」を国連大学と共同で開設し、NGO/NPO、企業、政府機関等約1400団体の環境保全に取り組む団体のネットワークの形成や活動の場の提供等を行ったり、地球環境基金を活用したりしてNGO/NPO等の取組を支援しています。 
  • また、環境カウンセラーの登録等や国立公園におけるパークボランティアの導入により、地域における環境への取組の中核となるべき人材の育成やこどもエコクラブ事業や子どもパークレンジャー事業、自然ふれあい施設の整備等による環境教育・環境学習の推進に取り組んでいるほか、グリーンワーカー制度の活用等を通じて地方自治体、土地所有者及び利用者の連携による自然の保全・管理の充実に取り組んでいます。 
  • 更に、環境省発足以来、タウンミーティング等を通じて国民との対話を促進したり、NGO環境政策提言フォーラムにより、NGO/NPOからの政策提言を受けるなど、幅広い主体の意見を政策に反映する方向で努力しています。 
  • 今後とも、各主体の環境保全にむけた取組を支援するとともに、各主体間のより効果的なパートナーシップの事例を増やしていくことが課題です。 
  • 情報の提供については、e-Japan重点計画に沿って環境の状況や環境政策の進捗状況等に係る総合的なデーターベースを構築し、をインターネット等を通じて分かりやすく行うこと等が必要です。 
  • また、多様な価値観を持つ人々からの要請や政策提言を的確に受け止め、政策に反映していくことが課題となっています。

(3)平成14年度の方向

自治体、企業、NGO/NPO等各主体の政策立案機能の強化の支援、環境情報総合データベースの構築、インターネット等を通じた分かりやすい環境情報の提供、中核となる人材の育成等により、環境パートナーシップの一層の推進、各主体の自主的取組の推進、環境教育・環境学習の拡充に取り組みます。 



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