採用・キャリア形成支援情報

北海道から見えてくる、政策のタネ

2013/2/12 ~環境省の現場~

【写真:事務所職員が撮影したキタキツネの写真。道内は自然もいっぱいです。】

皆さん、こんにちは。入省4年目(H21年入省、法律職)の細貝拓也です。

実は私、2年前に採用担当の下っ端をしていまして、採用マイページにブログを書いていました。...

それが今や、Facebookですよ。時代は進んでいますね...。

そんなこんなで、現在私は、環境省の地方支分部局である、北海道地方環境事務所というところで働いています。主に地球温暖化対策の担当ですが、好きなことに首を突っ込みすぎて、もはや何でも屋状態です。

ということで、まずは、事務所のご紹介をしたいと思います。

採用担当をしていたときを振り返ると、説明会などで、「環境省は現場があるのですか?」というご質問をよく頂きました。今なら胸を張って言えますが、環境省には現場があります。


地方環境事務所は、北海道、東北など全国に7つ設置されており、それぞれの地方全体を統括しています。さらに、四国を管轄する高松事務所や、特定のエリアに特化した3か所の自然環境事務所(釧路、長野、那覇)、主に福島県での除染を推進する福島環境再生事務所、加えて、現場で国立公園等の管理をしている自然保護官事務所が数多く置かれています。


事務所の仕事は様々ですが、温暖化対策だけで言っても、地元の自治体、他省庁、民間企業、大学、NPO、市民、マスメディアなどなど、様々な主体と連携しながらプロジェクトを進めています。地域によって、その特性や周辺環境、抱える課題は様々で、北海道に限っても、人口約190万人の札幌市から数千人の町まで、都市型、農漁村型、工業型、離島......。その中にも市街地エリア、密集/低密住宅エリア、農業エリア、工業エリア...と、考慮すべき要素が多く、地域の実情に応じたきめ細やかな施策展開が必要です。


特に北海道に来て思うのは、地域の主要課題への解決策と温暖化対策をセットで考える視点が大切だなということです。私の肌感覚として、温暖化対策は、他の地域課題に比べ優先順位がそれほど高くはない、というのが多くの地域における実態なのではないかと感じています。ですが、優先順位が低いのでやらないということではなく、セットで考えることで、付加価値の高い、先進的な地域になる可能性を秘めていると考えています。


例えば、東日本大震災以降、「災害に強い地域づくり」は、北海道でも非常に関心が高まりました。こうした地域では、再生可能エネルギーや未利用エネルギーを積極的に導入し、緊急時には自前でエネルギーを賄えるようにすることで、災害に強い×環境に優しい地域にすることが可能です。また、「少子高齢化」という課題を抱える地域も多く存在します。この場合は、集住化を進めるとともに、その街区丸ごと、断熱性能の高い住宅街にしたり、バイオマスによるコジェネレーション(蒸気で発電しつつ、排熱も有効利用する仕組み)で地域熱供給をすることにより、高齢者の方も安心して住める、環境に配慮された街に繋がっていきます。副次的な効果としても、こうした取組を進めていくことで、地元雇用の増加や域外に流出するエネルギーコストが押さえられるなど、様々な面で、より持続可能な地域を形成していくことができると感じています。

こうした地域の取組みは決して絵空事ではなく、今まさに動いている施策です。現場の第一線で働かれている方々との議論は、とても刺激的で、ワクワクしっぱなしな毎日ですが、また一方で、地域ミクロな取組みを国レベルでマクロに広げていくためにはどうしたら良いか、というのも常に頭に置きながら、仕事をしています。


やや抽象的な話になってしまいましたが、初回ということでお許しを頂いて...、次回から数回にわたって、より具体的なお話をしていきたいと思います。お楽しみに。

2013/2/18 ~道内は今、再エネが熱い!でも...~

【写真:道内にあるウィンドファーム】

こんにちは。北海道事務所の細貝拓也です。

今回からは、より具体的に、今抱えている仕事のお話をご紹介していきたいと思います。

...2回目となる今回は、再生可能エネルギーについてです。


突然ですが、皆さん、北海道ではどのくらい再エネのプロジェクトが計画されていると思いますか?とある地元紙の記事(1月1日付)によると、いわゆるメガソーラーが51件、風力が5件、地熱が6件とのことです。イメージ湧きませんよね...。では、お金に換算してみましょうか。計算を単純にするためにメガソーラーに限りますが、出力規模で積み上げてみると約28万2千kWだそうですので、固定価格買取制度において試算されたメガソーラーの建設費は32.5万円/kWですから、ざっと917億円くらいでしょうか。100円のコーヒー缶で、約9億本分です。どうでしょう、イメージ湧きましたか?(笑)あくまで計画段階とのことですので、どこまで実現されるかは定かではありませんが、恐らく、これ以上のお金が、今まさに北海道に投下されようとしているのです。


素晴らしいですね。固定価格買取制度により、我が国の再エネの発電割合も高まり、CO2も大きく削減されていくのでしょう。万々歳です。


本当にそうでしょうか?


もうやるべきことは何もないのでしょうか?


もう少し細かく、個々のプロジェクトを見てみると、首都圏の大手企業が計画しているものから、地元企業が進めているものもあり、様々です。固定価格買取制度が始まり、補助金のような旧来型のイニシャル支援から、ランニングへの支援へとドラスティックに状況が変わって、再エネに付き物だった中期的なリスクはかなりカバーされるようになりました。このことから、このように多様な主体が参加し計画しやすい状況が生まれているのだと思いますが、逆に今度は、イニシャルのお金をどこから調達するか、という次の段階の課題が持ち上がっていると感じています。特に、中小の地元企業が携わる地域主導型の再エネプロジェクトは、資本力が相対的に弱いところもあり、私が直接お話を聞く中でも、資金調達フェーズでの難しさがよく言われています。


このまま何も手を打たないでいるとどうなるか、想像してみましょう。上記の通り、イニシャルを負担できる資金面での企業体力が一つのキーになりますが、そうすると、プロジェクトを現実化していけるのは、首都圏の大手企業でしかないものになってしまうかもしれません。もちろん、再エネの推進やCO2削減という観点からは大規模な再エネ事業が進んでいくことは非常に重要です。だけれども、そもそも再エネという資源は、地域にあったものではないでしょうか。福島の原発事故があり、多くの日本人がエネルギーのあり方について、自分事として捉えるように世の中が変わっていく大きな流れを私は感じています。地域で生み出されたエネルギーやお金を、自分たちで大切に使う、こうした地産地消、自立分散型の社会が、環境省が目指すべき持続可能な社会の将来像ではないかと私は思うわけです。


ということで、資金調達やノウハウ面で課題を持つ地域事業者の取組み『も』支援する施策が大事だと思っており、その一助として、地方金融機関が地域主導型の再エネプロジェクトへ融資・投資を更に加速してもらうためにどのような課題があるか、をテーマにした調査事業の設計を今まさに考えているところです。具体的な成果が出てくるのは少し後になると思いますが、世の中の再エネの動きはもっと早く、スピード感を持って仕事をしていかなければと感じています。


さて、再エネを含め、エネルギーのあり方に関しては、様々なお考えがあるものと思いますので、前述した将来像や施策の方向性については皆さんと大いに議論したいところですが、今回のエントリーで皆さんにお伝えしたかったことは、「自分で考える」という姿勢の大切さです。周りの大勢に流されるだけでなく、常に批判的、あるいは前向きに、現実を自分で消化し直し、現場の方のお話を聞いて、次の一手を模索していくことが、環境省のみならず、クリエイティブな仕事に携わる際に大事なことだと感じています。


長くなりましたので、今回はここまでにしたいと思います。次回もお楽しみに。

2013/2/26 ~省エネこそ、現場百回~

【写真:エネルギー計測の様子。機械室にて、ボイラーの流量を測っています。】

こんにちは。北海道事務所の細貝拓也です。

連載も3回目となりました。今回は、省エネルギーについてのお仕事をご紹介したいと思います。

...前回の再エネの取組もとても重要ですが、クリーンなエネルギーだからと言って、湯水のようにジャブジャブと使っては元も子もありません。まずは、我々の社会が使うエネルギーを最小限に抑えて、その上で、必要なエネルギーを再エネ等に代替していく、といった順序が大事ですよね。


というわけで、温暖化対策上、省エネも非常に重要なわけですが、日本企業はよく「乾いた雑巾」であるということが、いわば定説的に言われています。どういうことかというと、石油ショックなどを経験した日本企業では、省エネへの投資が進んできたという過去があり、既にトップレベルの省エネに取り組まれているので削減の余地は小さい、ということですね。


確かに、さらなる省エネが難しい企業もある程度いるのだと思いますが、環境省が平成22年から続けている事業の結果、投資回収年数3年以内の費用対効果が高い対策が意外と行われていない、ということが分かってきました(※)。


(※)http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=16240

だいぶ前置きが長くなりましたが...、現場から見た実態はどうなっているのか、というのが今回のお話です。この事業は、省エネサービスを提供しているコンサルタント等を専門家として民間企業の施設に派遣し、CO2削減のポテンシャルや具体的な対策を提案するというものなのですが、今年度から、自治体さんにもご協力いただく個別メニューが出来まして、道内からは札幌市さんに手を挙げていただくことが出来ました。事務所も自治体さんのフォローを若干させていただいているのですが、この事業に携わっている札幌市のご担当は、長年、市有施設の省エネに取り組んできた方で、非常に高い専門知識をお持ちです。この方を師匠と仰いで、事業の対象となった民間施設のうち、いくつかの現場に同行させていただきました。


結論から言うと、私が現場を回らせていただいた感触では、確かに、削減の余地はまだあると思いました。ひとつ分かりやすい例を挙げると、商品管理用の冷却機器の設定温度が、推奨されている温度よりもかなり低めになっていた、という事例がありました。この事例であれば、商品にダメージを与えない範囲で設置値を調整していけば、省エネ・省CO2に繋がっていきます。非常に単純な事例で、たまたまじゃないの?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、師匠曰く、施設の建設当時に想定していた利用人数などをもとに設定を組んだままで実際の必要エネルギーと齟齬が出ているところや、清掃が行き届いておらずエネルギーロスが生じてしまっているところも意外とあるとのこと。


であれば、この事業のように、プロの目から見てみて、対策提案をする施策を今後も続けていけばいいのだなと単純に考えていたところ、さらに、師匠から金の一言が・・・。


「金のかかる設備更新など、皆やれるならとっくにやっている。狙いは運用改善やメンテナンスで、余地はたくさんある。ただ、それはトライ&エラーが必要で、最適解を見つけるまでが面倒なんだよ。」


「だから、省エネの成否は、現場との信頼関係。何度も現場に足を運び、仲良くなって、現場が自ら省エネに取り組んでもらうようにしなきゃ。対策提案だけで満足しちゃダメ。」


「信頼関係が出来てくると、勝手に現場が回り出す。最後には、自分が想像もしていなかった取組が出てきて、自分は教えてもらう立場になる。それが面白い。」


このように、施策のエンドユーザーを常に意識する視点は、現場を大切にするからこそ、培われるものだと思います。職場に籠っているだけでなく、自分で現場を見ることで、施策がどう使われているのか、使いにくい点、足りない点が分かる。さらには、新たな発見があり、次の一手の芽を見つけることが出来る。こういった現場重視の姿勢は、私が仕事をする上で、大切な根幹の一つになっています。


さて、今回はここまでです。

エネルギーの話が続きましたが、次回は、少し視点の違うお話をしたいと思います。お楽しみに。

2013/3/11 ~地域での合意形成の難しさ~

【写真:フォーラムの様子。100名を超える皆様に参加申込を頂きました。】

こんにちは。北海道事務所の細貝拓也です。

4回目の連載となる今回は、今までと少し違うお話を。

...私が携わっているお仕事の中で、環境アセスメント(環境影響評価)という分野があります。

環境アセスメントとは何か?環境問題に関心のある皆さんなら、もちろん、ご存じですよね?

(...冗談です。私が官庁訪問したときは、ほとんど分かっていませんでした(今も分かっているのか怪しいですが...)。そんな人間でも、環境省に採用されますので、ご安心を。。。)


簡単にご説明すると、道路や空港、ダム、発電所など、一定の開発事業について、その内容を決めるに当たり、環境への影響をあらかじめ事業者自らが調査・予測・評価を行い、その結果を公表して一般の方々、自治体さんなどから意見を聴き、それらを踏まえて環境の保全の観点からよりよい事業計画を作り上げていこうという制度です(※)。


(※)全然簡単に説明出来ていないので...、詳しく知りたい方は、こちらもご覧ください↓↓↓

http://www.env.go.jp/policy/assess/1-3outline/index.html


この制度は、環境影響評価法という法律に基づいているわけですが、平成23年に大きな改正があり、その一環として、風力発電事業がアセス法の対象に追加されました。連載の2回目でお話したとおり、今、道内はたくさんの風力発電事業が計画されていますが、風力とアセスというテーマも、ホットイシューのひとつになっています。


風力は、環境に良いエネルギーなのだから、どんどん推進すればいいじゃないか、と思われる方もいるかもしれません。もちろん、風力発電は発電時にCO2を排出しないクリーンなエネルギーではありますが、例えば、風車の稼働による騒音・低周波音、バードストライク、景観の問題などなど、温暖化対策に資するという長所以外の環境面への影響が懸念されています。一言で「環境」といっても、その概念は今や非常に多岐に渡っていて、様々な環境の価値があり、ときにはバッティングしてしまうということもあるのですね。


こうした風車による周辺環境への影響の程度や因果関係、対策技術は、まだ十分に知見が溜まっていないところがあります。その中で、アセスという合意形成を図る手続きをするわけですから、ある意味、必然かもしれませんが、地元で非常に議論になっている地域が現に道内にもあります。


風車建設に反対されている方は、予定地の周辺に住んでいるご高齢の方や小さな赤ちゃんがいらっしゃるご家庭、地元で大切にされている鳥を長年、観察・調査されている方など、周辺環境への影響に対する不安、懸念は切実です。世の中が再エネに大きく舵を切る中であっても、こうした少数意見や地元の声をないがしろにする社会は、あるべき姿ではないと私は思います。また逆に、再エネ推進という立場からも、地域の方の不安材料をそのままにすることは、中長期的に再エネへの信頼感を損なわせる結果にもつながりかねません。


イチかゼロかではなく、その間にある「環境と調和した風力」を進めるためには、早期に科学的な知見や対策技術を確立、普及させることが必要ですが、それとともに、もうひとつ悩ましく思っていることがあります。それは、中庸なより良い解を得るために、地元での円滑な合意形成を図ってもらうにはどうしたらよいか、という点です。


センシティブになっている地域であっても、風車に賛成をしている地域の方は潜在的にはある程度いらっしゃるのではないかと思います。ただ、住民説明会などでは、賛成派が必ずしも参加者としては多いわけではなく、逆にそういった方々の声が拾えているのだろうか、と感じます。また、事業者側からの説明も偏りがち、一方的になりがちで、対立構造に陥りやすく、建設的な議論が行われているようには、私からは見えません。もちろん、環境への深刻な影響が懸念される場合は、建設しないというゼロ・オプションも含めて、地域の方と慎重に検討すべきものと思いますが、そもそものプロセスの部分で、要らぬ対立を生んでいるのではと感じるわけです。

これはミクロな事例かもしれませんが、広くは世論調査やパブリックコメント、最近では討論型世論調査など、民意をいかに把握し、合意形成に繋げていくかという問題と根本的には同じであり、非常に難しいテーマである反面、何か工夫の仕方があるのではと頭を捻っているところです。


今年度は、まずは現状の科学的な知見を広く知ってもらおうと、「風力発電の環境影響評価と海ワシ保護に関するフォーラム」なるものを企画しました。おかげさまで、募集からわずか1週間足らずで、定員を超える参加申込を頂き、道内の関心の高さを感じましたが、まだまだこの程度しか出来ていないというのが正直な反省です。


社会の様々な利害の調整者としての役割も、行政官の大切な仕事の一つだと思います。地域の方の声に真摯に向き合いつつ、一方でバランス感を逸しないように。スポットライトが当たるようなものではないかもしれませんが、意義のある仕事だと感じています。

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