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入省4年目、自治体出向体験記!!

2012/11/7 ~えっ、総合経済対策課!?~

皆さん、こんにちは。

環境省入省4年目(H21年入省)の事務官・富田といいます。皆さんの環境省(&環境省職員?)に対する理解を深めていただく参考として、日本のとある自治体へ出向中の職員の日々を徒然なるままに書き出してみました。文章下手ですがどうかご笑覧くださいm(_ _)m

さて、私はいま熊本県にある水俣市役所の総合経済対策課というところにいます。

環境省から出向という形です。

えっ、なんで環境省の職員が「経済対策」なのか?

そもそも、なんで水俣市役所なの?

いい質問です。

ご存じの方も多いと思いますが、水俣は日本の高度経済成長期に沿岸の化学工業会社が海へと排出したメチル水銀が生態系の食物連鎖の中で濃縮され、それを食べた人間や動物に伝わって重篤な被害を与えた公害病、のちに水俣病と呼ばれることになった公害病が発症した場所です。多くの命を奪った水俣病は、しかし今でも苦しまれている患者さんたちがいらっしゃいます。

ところが、水俣でおきた公害病の影響は環境や生態系、生命だけに留まりませんでした。

今では水俣の海も再生してきており、水俣で獲れた魚や海産物を食べても問題はありません。しかしその当時は水俣病が水俣で獲れた魚を食べて発症したことから、魚だけでなく、農産物や加工品、水俣と名のつくものはすべて敬遠され、全く売れなくなってしまいました。そう、風評被害です(最近も似たような状況がありますね...)。また、水俣病の原因物質であるメチル水銀を排出していた工場が地域の中心企業であったことから、一つの地域に加害企業と被害者が同居する地域となったのです。そして公害闘争の歴史の中で、その企業城下町であった水俣は幾層にも分裂し、対立し、経済的にも停滞することになってしまったのです。

これを読まれて未だに水俣はひどい街のイメージを受ける方もいるかもしれません。確かに水俣は水俣病を発端にした差別や偏見に苦しみ、長いこと水俣病に触れずに隠そうとしてきた時代がありました。ところがある時、この苦しい歴史を逆手にとって水俣の特徴と捉えて、環境と命を大切にするまちづくりを進めてきました。おかげで海は再生してきており、魚も豊かに取れます。水と食べ物、ごみ、水俣病を引き起こした3つの要素に気を配るまちづくりを進めてきており、2001年には環境モデル都市の認定も受けました。

しかし、長い対立の歴史の中で、地域経済が疲弊し、人口や雇用が減ってきてしまっているのも事実です。

水俣病を受けての国の対応として、水俣病患者への救済・補償、医療福祉の充実は必要です。しかしそれ以外にも、患者をはじめ公害の影響を受けてきた地域の人々が安心してこの地域で暮らし続けられるよう地域をサポートしていくのも一つの支援の形になると考えています。

ということで遠回りになりましたが、こういう背景があって私はいま水俣にいます。

カッコつけて言えば、環境のまちづくりを通して地域に雇用と元気を生み出すこと、地域の元気づくりを応援すること、これが私のミッションです。

その中で見えてくるもの、感じていることについて少しでも皆さんにお伝えできればと思っています。それでは長くなりましたので、今日はこのあたりにて終わりにさせていただきます!(-ω-)ゝ

2012/11/8 ~地域でバイオマス発電所をつくろう!~

「自分たちの手で発電所をつくる!」

就活中の皆さんなら新聞等でよく見かけるでしょう。...

「再生可能エネルギーの固定価格買取制度開始!」「○○発電第1号認定」

「メガソーラー」「木質バイオマス」「洋上風力」などの文字。

そうです。

日本でもようやく固定価格買取制度が始まったことにより、再生可能エネルギー発電に対する強い後押しとなり、各地で本格的な計画が動き出しています。

水俣でも例に漏れず、再生可能エネルギー発電事業の検討を始めています。

水俣ではまず検討を開始したのが木質バイオマス発電です。

その事業でキーワードにしていることがあります。

「三方良しのプロジェクトを目指す!」

すなわち①低炭素化・卒原発への貢献、②地域雇用への貢献、③山への貢献、です。

①低炭素化・卒原発への貢献

地球温暖化防止のためには化石燃料に頼らない、再生可能エネルギーに舵取りをしていく必要があります。また、3.11以降のエネルギー問題への解決にも、少しずつ原発依存を減らしていくために代替エネルギーの比率を高めていく必要があります。

②地域雇用への貢献

去年、水俣の産業を調べたところ実に年間85億円ものお金が電気代や重油代として域外へ流れ出ていることが分かりました。これは電気や熱(=重油)が市内では買えないから需要を外で満たしているわけであって、もし市内で電気や熱をつくって売ることができればかなり大きな産業が市内に成立することになります。今は電気事業法などの壁があってすぐにはできませんが、エネルギー産業は大きなポテンシャルを持った産業ということが言えます。その中で、バイオマス発電は太陽光や小水力に比べて、発電所や燃料製造工程、山や運送工程で雇用を生み出す力が大きいといえます。

③山への貢献

今日本の林業は大変厳しい状況にあるといえます。せっかく何十年かけて木を育てても採算が取れる値段で買ってもらえない。木を間伐しても運び出すだけ赤字になるので、そのまま山で捨てている、こういう現状がいろんなところにあります。熊本県内でも毎年切られている木は200万立米であるのに対して、材として使われているのは110万立米、との話を聞いたことがあります。実に半分近い90万立米が山に捨て残されているのです。

さらには間伐もされずに荒れていく森林も多いと言われています。

もし山の現場に正当な価格を支払ってあげることができれば、これまで捨てられて、利用されずにきたものも使えるようになる可能性があります。

水俣はそんな事業を目指しています。

ということで最近は毎週毎週、既存の発電所の視察に行ったり、関係公官庁へ行って相談したり、何より一番大事なことは山の現場や製材業の方々と意見交換したりしています。現場の方々が困っている話を聞き届け、みんながハッピーになれる透明性と公平性のある制度を確立したい、そう思って毎日頑張っています。

※注:写真は木材市場とお話をしに行ったときのものです。写っている丸太は立派な材なので、こういうものは燃料にせず、しっかり木材として利用していく必要があります。

2012/11/10 ~地域資源を使い倒す!~

「熱源、エネルギー源を探せっ!!」

今水俣では、地域にある再生可能エネルギー資源を余すところなく活用しよう、とプロジェクトを始動させています。それは地域にある再生可能エネルギー等のポテンシャル量と、地域のエネルギー需要量を調べて地図に落とす。この2つを重ねたときに新たな事業可能性が見えてくるのではないか、こういう考えで動いています。

...エネルギー源に関しては太陽光や水力、風力などお馴染みのものから工場廃熱・ボイラーの設置状況や稼働状況も調べていこうと思っています。

その調査方法を決めるために、市内にある産業団地の企業や電気工務店、大学教授などを呼んで検討会を開催しています。うまくみんなの力や特技を結集させて調査を回していきたいと思っています。乞うご期待を!

※写真の検討会はちょうどハロウィーンの夜だったので地元のお菓子とコーヒーを出してみました。少しは場が話しやすく、和んだかなぁ? +.(o´∀`o)゚+.

2012/11/12 ~ムラの生活力を生かす~

水俣にはとある名人物がいます。

一見どこかの部族長か、シャーマン的な風貌を持ったその人は(すみません、このあたりは私の勝手な解釈です、笑)、実は数年前まで水俣市役所で務めた公務員で、「地元学」の提唱者であり、日本全国はおろか世界中に呼ばれて飛び回り、「地元学」の実践をお手伝いしています。名前は吉本哲郎といいます。

...この方の言われることは至ってシンプルですが、とても大胆です。

一例として彼の話が発端となって、一見何の変哲もない集落が博物館に生まれ変わっていったのです!

博物館と言っても特別な建物も屋根もありません。集落そのものが生活の博物館なのです。

そこに行けば、例えば、そこになぜ集落が成立したのか(川の流れ、風の流れ、太陽の動きを読んだ昔の人の知恵が残されている)、狭い土地をどのようにして利用したのか、水をどのようにとって、どうように捨てていたのか、昔の人が何を敬って生活していたのか(山の神、川の神がどこにいるのか)などが学べるのです。

そして何と言っても一番の楽しみはやっぱり食!

花より団子!?

う~ん、恥ずかしながら、やっぱり一番の魅力は食べ物でしょう(笑)。

集落の方々が土地に植えたもの、山に育つもの、川に育つものを使っていかに四季折々を豊かに彩って過ごしているのかを学べるのです。

その集落に住む方々にとっては普通の生活ですが、私のような若い世代、都会の人間にとってはこれほど興味深くて(美味しい!)博物館はないでしょう!

その博物館をつくるときに吉本さんが始めたことがあります。

「あるもの探し」です。

というのも、集落の方々はこうした生活も、当たり前過ぎて何も不思議には感じないのです。だから外から来た人に「ここには何がありますか?」と聞かれると、「うにゃ、なんもなか」と答えてしまうのです。

そこで吉本さんが取り入れたのが「あるもの探し」です。

地元の人間が、よその人間と一緒に地元を歩く。

すると自分たちにとっては何の変哲もない風景が、実は他人にとっては珍しいもの、興味深いものだ、ということに気づかされる、というのです。

さて、地元学についてはここで全部を説明するのは無理なので、興味を持った方は是非吉本さんの著書を読んでみてください。

今の業務とは直接にはつながりませんが、水俣を形作ってきた一つの手法とその考え方を勉強しよう、と新しく地元学を取り入れてみようとしている自治体での「あるもの探し」をお手伝いしに行ってみました。地元の方と外の方と一緒にチームを作って集落を歩きました。まだまだ勉強中の身ですが、地域のじぃ・ばぁから地域を元気にする、楽しくする、そんな本当の意味でgrass roots的な地域活性化の現場をしかと見て学びたいと思っています。

2012/11/14 ~安全安心を売る~

【写真:11月3~4日「ムラの収穫祭」での出展写真】

「果汁滴る無農薬のレモンはいかがですか?」

第1回目の投稿の際に書かせていただいたとおり、水俣では公害の教訓を受け止め、「水、食べ物、ごみ」に気をつけるまちづくりを進めてきました。水、は水俣病の原因が海の水を汚してしまったことにあった反省から。食べ物、は水銀に汚染された魚を食べたことが発症の引き金となったことの反省から。ごみ、は人間が自然界で浄化しきれないものを出してしまったことの反省から。

...その一環で、水俣では無農薬(減農薬)・有機の農業が盛んです。

始めは水俣病患者の家族らが農薬を減らした甘夏栽培に取り組み出したことにあると言われています。いまでは減農薬の柑橘系を始め、減農薬のお米、完全無農薬の紅茶・お茶、無添加のじゃこ・ちりめんなど幅広いバリエーションのものが生産されています。

そんな水俣では、水俣だからこその安全安心という地域ブランドに育てていけないかと試行錯誤が続いています。

今回はダイレクトに役所の仕事ではありませんが、声をかけていただき、市内の若手生産者グループと一緒に福岡で開かれた物産マーケット(マルシェ)への出展お手伝いに行ってまいりました。秋の土日とあってイベント会場はたくさんの家族やカップルで大賑わいでした。

出展してみて受けた印象や想いには強烈なものがありました。商品の良さを一般の方へ伝えることの難しさや、こう書くと怒られてしまいそうですが、その日の売り上げがその日のコストをカバーできるかという経営のシビアな感覚など。また横のつながりで動ける若者のグループが水俣にいることの素晴らしさ、彼らの一回一回のイベントから学び取ろうとする貪欲さ、いろんなことが刺激的で新鮮でした。こうした場に立ち会えたことを感謝する、そんな土日でした。

2012/11/15 ~地方自治体はイベント盛り沢山!~

【写真:競り舟大会写真】

地方自治体に出て一番びっくりしたのはそのイベントの多さです。

夏祭りや花火大会は当たり前のこと、各地区ごとの氏神らのお祭り、商店街のお祭り・夜市、近くのバラ園のローズフェスタ(年2回)に桜祭り、コスモス祭り、紅葉祭。市民体育祭に市民駅伝、しし鍋マラソン・・・...

数えれば切りがありません(笑)

東京の新興住宅街出身の私からしてみると、こんなに大小沢山のイベントがあり(そして各イベントの裏には物語と伝統がある)、地域自治会などが息づいている地域は新鮮であり、驚きでもありました。こうした地域コミュニティの層の厚さ、ネットワークの密さこそ水俣の宝なのかな、と感じています。

新しい変化には最初は警戒もあるかもしれませんが、このコミュニティが本気になって動けばこれほど地域に根付いて力強いものもないと思っています。

もっともっと水俣の地域について理解を深めて行きながら、これからも頑張っていきたいと思っています。

※ちなみに写真は水俣の夏の風物詩、"競り舟大会"です。地区ごと・会社ごとなどに組織される屈強のチームが水俣川を力強く漕いで進む姿はなかなかの圧巻です。あまり戦力にはなりませんでしたが、今年は私も参加させていただきました!(笑)

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