環境省
VOLUME.76
2020年4月・5月号

エコをヒモ解くKEYポイント! エコの鍵

今回のKEY WORD/人と動物が共生する社会

動物の虐待や遺棄を減らすための新ルールが誕生

可愛いペットたちは私たちの生活に癒やしを与えてくれる大切な存在です。しかしペットを飼い始めたものの、虐待したり世話が面倒になり飼育を放棄してしまう人がいます。こうした不幸な事態を減らすため、2019年6月に「動物愛護管理法」が一部改正され、飼育や販売等に新たなルールが課せられることになりました。

KEY POINT 1 - これから動物を飼う人は要注意! 知っておきたい新ルール

 今回の改正の目玉といえるのが、犬猫の繁殖業者などに対する規制の強化。今後は生後8週に満たない犬猫の販売が禁止となり、販売の際はマイクロチップの装着が義務化されます。また、自治体の権限が拡充され、業者、一般の飼い主に関わらず、飼育によって周辺の生活環境が損なわれていると認められる場合は、立入検査や指導、助言などを行うことが可能となります。飼い主に対してもみだりな殺傷・虐待や遺棄の罰則が強化され、これまでは犬猫を虐待・遺棄した場合は罰金刑のみでしたが、今後は1年以下の懲役または100万円以下の罰金が課せられることになります。さらに愛玩目的での特定動物(人の生命・身体などに害を加えるおそれのある動物)の飼育も禁止に。こうした新ルールはマイクロチップの装着などの一部規定をのぞき、2020年6月1日から施行される予定です。

※専用の注射器で動物の皮下に埋め込む小さなカプセル状の電子標識器具

愛玩目的での飼養が禁止となる特定動物(一例)

ソウゲンワシ
サーバルキャット
ワニガメ

KEY POINT 2 - 年間4万頭近くの犬猫が殺処分に 犬猫を取り巻く現状

 自治体(保健所や動物管理センターなど)に引き取られる犬猫の数は年々減少しています。とはいえ、迷子や逸走などで所有者不明となったり、飼いきれなくなって遺棄されたりと、今も年間約9.2万頭(2018年度)の犬猫が自治体に引き取られています。引き取り数の内訳を見ると、犬が約3.6万頭、猫が約5.6万頭。犬の場合は所有者不明の成犬、猫の場合は所有者不明の子猫が多くの割合を占めています。引き取られた犬猫のうちの約58%は飼い主に返還されるか、新たな飼い主へと譲渡されますが、引き取り手が見つからなかった残りの約42%(約3.8万頭)は、やむなく殺処分となっているのが現状です。

犬猫の引き取り数の内訳(2018年度)

KEY POINT 3 - 命を預かるという意識を持つ 共生のために不可欠な「愛護」と「管理」

 殺処分を減らすには、行政側が厳しいルールを定めることも必要ですが、それ以上に大切なのは、すべての飼い主たちがそれぞれのペットの命に責任を持ち、適切な管理を行うことです。例えば逸走した時のことを考えてマイクロチップを装着しておくだけでも、ペットの命を救うことになります。今回の法改正では、飼い主に対してはチップの装着は努力義務となっていますが、まだチップを装着していないのなら、この機会に装着を考えてみてはいかがでしょうか。また不妊去勢手術も、不幸な命を生み出さないようにするという面で命を守ることにつながっています。人と動物が共生する社会を実現するには、ただ可愛がるだけでなく、正しく飼育するという姿勢が大切なのです。

マイクロチップを読み取ると逸走時でも身元がわかるため、飼い主への返還率が高い

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