環境省
VOLUME.70
2019年4・5月号

第4回大会の結果

2019年2月9~10日、国連大学ウ・タント国際会議場で第4回全国大会が開催されました。選抜チームだけあって、どの発表も甲乙つけがたいハイレベルな内容でしたが、その中から環境大臣賞をはじめとする、6つの賞を受賞したチームの活動をご紹介します。

1長崎県立五島高等学校(五島環境部)
環境大臣賞

ゴミで制作したアートで、海ゴミ問題を発信

海流に乗って五島列島の海岸にはさまざまなゴミが漂着する。学生たちが7時間かけて海岸線一周調査を実施したところ、ほぼ全域に海ゴミの漂着が見られた。そんな現状を学校外の人々にも知ってもらうために海ゴミでアートを制作している。持続可能な活動をするためには、人を巻き込むことが重要ポイントと考え、活動を続けていく。

ゴミで制作したアートで、海ゴミ問題を発信

2岐阜県立恵那(えな)農業高等学校(花咲かみつばち倶楽部)
環境再生保全機構 理事長賞

蜜源植物を増やすことでミツバチを守る

里山の植物にとって必要不可欠なミツバチを守りたいという思いから、耕作放棄地を再生利用して蜜源植物(レンゲ、エゴマ)を育てるとともに、蜂蜜、エゴマ油、エゴマみそ等の商品開発を行い、収穫物の販路を創出。さらに売り上げの一部でレンゲの種を購入し、地域の農家さんたちに蜜源増殖への協力を呼びかけた。

蜜源植物を増やすことでミツバチを守る

3東筑紫学園高等学校広谷(ひろたに)湿原保全プロジェクト)
国連大学サスティナビリティ高等研究所 所長賞

広谷湿原のラムサール条約登録を目指す

日本で唯一の、カルスト台地に存在する貴重な湿原である「広谷湿原」をラムサール条約に登録すべく活動中。「人間がずらしてしまった湿原の時間軸を元に戻すのは、人間の責務である」と捉え、湿原境界の数値化、水質の分析等の研究を続けながら、福岡県と地元の苅田市へ「里山的手法」を使った湿原再生への提案を行っている。

広谷湿原のラムサール条約登録を目指す

4名古屋市立名古屋商業高等学校(商品開発研究班)
読売新聞社賞

環境保全活動をビジネスに結びつける

川辺や干潟に群生する「(あし)」が持つ「水質浄化作用」と「生物多様性維持」に着目し、環境保全活動とビジネスを連動させた活動を展開。企業や団体と交渉を重ねた結果、葦を原材料としたポーチやうちわなど5種類の商品化が実現した。葦の持つ役割と重要性を商品開発を通じて普及させ、葦の保全につなげて水質浄化を目指したいと考えている。

環境保全活動をビジネスに結びつける

5愛媛県立上浮穴(かみうけな)高等学校(カホン※プロジェクトチーム)
高校生が選ぶ特別賞

環境教育の一環として地元のスギで楽器を製作

森林面積が9割以上を占める久万高原町(くまこうげんちょう)を拠点に、持続可能な森林管理技術の確立、木材利用の推進と啓発、SDGs(持続可能な開発目標)達成等に向けた取り組みを行っている。町産スギを使った「カホン制作ワークショップ」も開催し、過去1年間に355個のカホンを制作した。主催企画した森フェスなど、様々なイベントで活用されている。

※ペルーの民族楽器

環境教育の一環として地元のスギで楽器を製作

6青森県立名久井農業高等学校
(TEAM FLORA PHOTONICS&BUBBLE BOYS)

先生が選ぶ特別賞

発展途上国に安全な水と食糧を届けたい

発展途上国の多くは食料不足、富栄養化によって大量発生した藻類や、農薬散布による水源汚染に苦しんでいる。そこでトウモロコシとインゲンマメを池沼で栽培し、水質浄化と食糧生産を同時に実現できないか、農薬を霧状散布ではなく、泡状にしたら飛散しにくいのではないかと考えた。今後も本活動を定着させるため、後輩たちへと受け継いでいく。

発展途上国に安全な水と食糧を届けたい

環境活動を、継続へ。
願いのこもった「ホップ和紙賞状」

今回賞を受賞したうちの3チームに、昨年度「環境大臣賞」を受賞した岩手県立遠野緑峰高等学校によるホップ藁から作られた和紙を使った賞状が贈られました。この取り組みは現在も継続し、地元の農業や観光の活性化に貢献しています。

環境活動を、継続へ。願いのこもった「ホップ和紙賞状」

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