環境省
VOLUME.69
2019年2・3月号

FOCUS on COP24 SPECIAL INTERVIEW 環境省・NIES・JAXA共同プロジェクト「いぶき2号」

COP23で日本が打ち上げを表明した温室効果ガス観測技術衛星2号「いぶき2号」が、
2018年10月29日、宇宙へと旅立った。2号機は一体何が進化したのか、
いぶき初号機・2号機のミッションに関わった、JAXAのミッションマネージャ、中島正勝さんに話を聞いた。

一酸化炭素の濃度が測定可能に

 いぶき2号は、地球の温室効果ガスの濃度を観測する目的で開発された人工衛星だ。地球の大気を調べる際、これまでは地上から測定するのが一般的だったが、なぜ近年、宇宙からの観測が必要とされるようになったのだろう? その理由を中島さんはこう語る。
「温暖化に対する危機感が高まるにつれて、各国が排出する温室効果ガスの量を比較する必要が出てきたのがきっかけです。地上から測定する従来の方法では測定場所によって観測手段が異なるため、データを比較する際の統一性に欠けていました。それで一つの測定器で地球上のあらゆる場所を測定することが可能な観測衛星の開発に、注目が集まるようになったのです」
 2009年に打ち上げられた“いぶき”の後継機にあたる2号機は、さまざまな部分が進化しているが、特に注目したいのは初号機が二酸化炭素とメタンのみ測定可能だったのに対し、2号機は一酸化炭素も測れるようになった点だ。
「些細な違いのように感じるかもしれませんが、実はこれには重要な意味があります。ガソリンや石炭などの化石燃料を燃やすと不完全燃焼による一酸化炭素が発生します。つまり一酸化炭素濃度を測定することで、温室効果ガスの増加に人間がどの程度関係しているのかが明らかになる可能性があるのです」
 中島さんはさらに衛星の活用にこんな期待を寄せる。「現在、日本のほかにアメリカ・中国・欧州が衛星を使った温室効果ガスの測定を行っていますが、各国が得た情報(地上から観測した情報含む)をすべてデータベース化し、誰もがそこにアクセスできるようになれば、より正確な温暖化予想が可能となるはずです。すでにアメリカや欧州、日本では情報共有が始まっていますが、こうした連携がさらに世界中に広がっていくことを期待しています」

いぶき2号には自動的に雲のある領域を避けて観測する機能が新たに搭載され、さらにPM2.5がどのように分布しているのかを推定できる機能も追加された

いぶき2号には自動的に雲のある領域を避けて観測する機能が新たに搭載され、さらにPM2.5がどのように分布しているのかを推定できる機能も追加された

いぶき2号には自動的に雲のある領域を避けて観測する機能が新たに搭載され、さらにPM2.5がどのように分布しているのかを推定できる機能も追加された

種子島宇宙センターから、いぶき2号を搭載したH2Aロケットが打ち上げられた時の様子

2018年10月29日 打ち上げ成功!!

INFORMATION

INFORMATION JAXA(宇宙航空研究開発機構)GOSAT-2プロジェクトチームミッションマネージャ 中島 正勝さん

JAXA「いぶき2号」
(GOSAT-2)

http://www.satnavi.jaxa.jp/project/gosat2

写真提供/JAXA

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