環境省
VOLUME.69
2019年2・3月号

温暖化対策の未来を拓く “対話の精神” タラノア対話 What’s TALANOA DIALOGUE?

パリ協定の目標を達成するため、2018年に1年間かけて行われたタラノア対話。
COP24ではタラノア対話の集大成となる、閣僚級による対話のテーブルが設けられ、
成果の目玉の一つとなりました。一体どのような取り組みなのでしょうか。

誰もが参加できる、オープンな対話

 パリ協定の目標を達成するためには、各国がそれぞれの取組意欲の向上を目指す必要がある。そこで生まれたのが「タラノア対話」だ。タラノアとは、COP23の議長国フィジーの言葉で、「包摂的、参加型、透明な対話プロセス」という意味。この精神に則って、政府だけでなく自治体や研究機関、NGOなど、各国のあらゆる主体が相手の話に耳を傾け、優良事例やアイディアを共有して互いを高め合う試みだ。各事例は、3つの質問「我々はどこにいるのか?」「どこへ行きたいのか?」「どうやって行くのか?」を論点に取りまとめる。タラノア対話の開始からCOP24までの期間「準備フェーズ」に取りまとめた情報は、ポータルサイトを通じて世界中に発信。サイト内にアーカイブされた情報には、IPCCによる1.5℃の温暖化に関連する報告書も含まれる。続くCOP24の「政治的フェーズ」では、集大成として各国の閣僚級が対話を行った。COP24で終幕を迎えたタラノア対話だが、今後はその成果を受けて、各国が削減目標を強化していくことが期待されている。

タラノア対話のプロセス

3つの質問を論点に対話を行い、上記の3つの行動を確認する。
それに対するあらゆる意見・情報を受け付け、最後にまとめた情報がアーカイブされる

お互いのストーリーを共有しよう!

共有された「タラノア対話」事例

1 フィジー/FIJI

地球温暖化による
リスクの回避を目指すべき

気温上昇によって、南アジアやサハラ、アフリカなどで約1億人もの人に影響が生まれると予想し、人道的支援の必要を呼びかける。また、1.5℃特別報告書についても歓迎を表明した。

2 アメリカ合衆国/UNITED STATES

「We are still in」を掲げた
民間によるアクション

政府がパリ協定の離脱を表明したが、Googleをはじめとする企業や自治体などが積極的に活動。政府の方針に関わらず、非国家のグループによるパリ協定を支持する動きが盛んに起こっている。

3 EU/EUROPEAN UNION

まずは各国が
「法的枠組み」を導入しよう

気候変動対策は長期的な視点に立った投資が必要であるため、まずは各国が短期的な政治サイクルに左右されない法的枠組みを導入することが効果的との考え方を示した。

4 中国/CHINA

再生可能エネルギーへの
移行を進めよう

2017年には世界の再エネ投資の45%を占め、「グリーン国債」の発行も世界の39%を占める2300億元に達している中国。再エネ活用への積極的な姿勢を表明した。

5 南アフリカ/SOUTH AFRICA

世界各国が連帯感をもって
対策に取り組もう

タラノア対話では国の大きさよりも経験の共有が重要であり、国の大小にかかわらず、経験に基づいた貢献ができるとして、各国が連帯感をもって取り組むことを呼びかけた。

用語解説 IPCC1.5℃報告書とは?

最新の科学的知見を評価・提供する国際的な組織「IPCC(気候変動に関する政府間パネル)」が2018年10月に公表した特別報告書。世界の平均気温が1.5℃上昇した場合の影響や、必要となる排出削減量などを報告している。COP24でも、現在の気候変動対策への問題提起として、この報告書の議論が行われた。

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[ タラノアJAPAN ]

http://copjapan.env.go.jp/talanoa/

イラスト/水谷慶大

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