環境省
VOLUME.69
2019年2・3月号

INTRODUCTION これまでのCOP、これからのCOP

気候変動対策について各国の代表が話し合う、国連の気候変動枠組条約における締結国会議(COP)。
2018年に第24回目が開催されたCOPですが、
これまでどのような成果が出ているのでしょうか。近年の経緯や最新の動向を紹介します。

脱炭素化に向けて世界の足並みが揃った「COP21」

2015年のCOP21で採択されたパリ協定は、気候変動対策における転換点と言える。歴史上初めて全ての国が参加したこの協定で、世界全体の平均気温の上昇を産業革命前から比べて2℃よりも十分低く保つ事と、1.5℃に抑える努力を継続する目標(⇒詳しくはこちら)が採択された。さらに、21世紀の後半に世界全体で人間の活動による排出量を実質ゼロにする目標を立てるなど、多くの課題がある気候変動問題に対して、世界中で取り組みを強化していくことが決定した。なお、パリ協定の本格的な運用に向け、実際にどのように進めていくかは、2018年のCOP24で決定することとなった。一方、パリ協定を実施するまでの取り組みとして開催されたのが「タラノア対話」だ。各国のあらゆる主体による優れた取り組みを共有し、各国間の対話を促進して排出削減の強化を目指していくもので、COP24ではタラノア対話の成果がまとめられた。

各国が長期的な排出量削減目標を提出

パリ協定が実行され、各国の長期目標が提出されるなど、2020年は重要な節目の年になる。なお、COP21では、各国が2020年までに「長期的な削減目標」と、そのための戦略を提示することも決められた

パリ目標を実現させる大きな一歩の「COP24」

2018年にポーランドで行われたCOP24は、パリ協定を実施する上での「ルールブック」が無事にまとめられ、近年で特に重要な位置付けのCOPとなった。パリ協定にはたくさんの国が関わるだけに、各国の達成状況や排出量をどのように報告・検証していくのか、といった統一ルールは今後の鍵を握る。今回、各国間の信頼を損なうことない「透明性」のある、詳細な統一ルールが作成されたことで、パリ協定の本格的な運用の準備が整った。なおこのルールは、途上国など能力が不足する国には、ある程度柔軟性を持っての実施が許される。次回となるCOP25に持ち越された議題があるものの、大枠の実施システムは今回完成した。各国はCOP24の結果を受けて、今後一層対策を加速させていくことになる。

日本の最新エコ技術をキャッチ! JAPANパビリオン

COPの会場には各国のイベントスペース「パビリオン」が設置される。COP24で設けられた日本のパビリオンには、ビジネス主導のエコな技術革新が展示されていた。一部を見てみよう。

COPの会場には各国のイベントスペース「パビリオン」が設置される。COP24で設けられた日本のパビリオンには、ビジネス主導のエコな技術革新が展示されていた。一部を見てみよう。

パナソニック株式会社
ーCO2フリー社会を目指して

パナソニック株式会社 CO2フリー社会を目指して

創エネルギー、省エネルギー、畜エネルギーを活用した「CO2フリー社会」の実現を、環境技術を開発して目指す様を、プロジェクションマッピングで展示した。

株式会社東芝/東芝ESS社
ー水素で目指す低炭素社会

(株)東芝/東芝ESS社 水素で目指す低炭素社会

各地域で再生可能エネルギーから水素を生み出し、貯めて、運ぶ。現在国内で始まりつつある新しいエネルギーの流れを、3分間のVR映像を用いて紹介した。

株式会社チャレナジー
ー垂直軸型マグナス式風力発電

株式会社チャレナジー 垂直軸型マグナス式風力発電

既存の風力発電機に比べてより強い風速に耐え、気候変動の影響で巨大化する台風にも対応でき、発電が可能な風力発電機。会場内には模型が設置された。

イラスト/水谷慶大

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