環境省
VOLUME.65
2018年7月号

課題解決ストーリー エコ・サクセス

エコに取り組み、目標を達成した
サクセスストーリーを紹介します

Vol.01 八王子市立弐分方(にぶがた)小学校

4年生が、段ボールコンポストでたい肥作りに取り組む八王子市立弐分方小学校。
作ったたい肥で野菜を育て、生ごみが資源として役立つことを体験から学んでいる。

【課題】“ごみ=捨てる”という考えを変えたい…

START!
ごみを活かす視点を育てる

 「段ボールコンポスト」とは、段ボールの中におがくずなどの基材と生ごみを入れてかき混ぜ、微生物の力でたい肥を作る生ごみ処理機のこと。4年生は毎年、社会科で生活ごみの多くが焼却処分されていることを学んでいた。その中で、ごみをただ捨てるのではなく、資源として活かす視点を身に付けてほしいと、同校は2013年から授業に導入した。

START!

生ごみからたい肥ができるコンポストの仕組みを子どもたちに教える

PROCESS
ごみがなくなった! 驚きが興味に

 子どもたちは1カ月間、週1回のペースで自宅から生ごみを持参。初めはごみが汚いと嫌がった子どもたちが、生ごみが微生物に分解されてなくなり、発酵で段ボール内の温度が上がったのが分かると、「どうして?」と驚き、どんどん引き込まれていった。昨年度4年生を担任した田中悠之先生は「近づくのも嫌がっていた子が、最後には直接触って温度を確かめていました」と語る。

PROCESS

キャベツの葉など大きな生ごみは、はさみで小さく切って入れるのが、分解のスピードを上げるコツ

GOAL!!!
一人ひとりの行動が、環境や社会のためになる

 できたたい肥を使って、学区内の農家の指導を受けながら、学校の畑で大根と小松菜を栽培。獲れた大根は学校でおでんにして味わい、残りは4年生全員が自宅に持ち帰った。

 自分の家から出た生ごみが、たい肥になり、おいしい野菜になって、また家に環ってくる。資源の循環を日々の体験から学んだ子どもたちは、ごみを減らそうという意識が高まり、「家でも、汚れたらティッシュペーパーを使わずにぞうきんで拭くようになったよ」と話す子も。1カ月間で集まった生ごみは計約100kg。「家庭から出るごみを減らすことも目的の一つ。食事からもたくさんのごみが出ていたことに気づき、残さず食べようという意識にも繋がりました」と田中先生。

 段ボールコンポストの体験から、自分の行動が環境や社会のためになる、という意識が芽ばえた子どもたち。学校では、今後も活動を通じて、環境に対して主体的に取り組む大切さを子どもたちに教えていく。

GOAL!!! 生ごみが役に立って野菜ができました!!

大きな大根が獲れてにっこり。青首大根と聖護院(しょうごいん)大根合わせて100本以上を収穫できた。「家では、お味噌汁や大根おろしにして食べました。おいしかった!」と子どもたちも大満足

SUCCESS HINT!

保護者の理解と協力が欠かせない

子どもが持って行くまで、生ごみをためておくことに戸惑う保護者もいる。また、食事に惣菜が多いと生ごみが出にくいなど、家庭ごとの事情も。保護者会で丁寧に説明した上で、活動への参加を呼び掛け、保護者が活動を知る機会を設けている。

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