環境省
VOLUME.65
2018年7月号

第2特集 ECO SEARCH【今月の検索ワード】熱中症

体温が急激に上昇し、死に至ることもある症状

年間約5万人もの患者が発生している熱中症。高温環境下で体温が上昇して重要な臓器が高温にさらされたりすることにより発症します。死に至ることもある危険な症状ですが、正しい知識を持っていれば予防することができます。

STRUCTURE

熱中症の仕組み

 人の体温は、37℃前後。暑くても寒くても、私たちの体にはこの平熱を一定に保つための仕組みが備わっています。たとえば暑いときに顔や肌が赤くなるのは、皮膚表面から外気への放熱をするため皮膚に血液が集まるから。また、汗をたくさんかくことによっても体温が下がります。しかし、外気温が上がり、こうした体の働きで熱を逃がしきれなくなると、熱中症の諸症状を発症します。近年、救急搬送される熱中症患者数が増え、とくに2010年以降は大きく増加。年齢層別では65歳以上の高齢者が約半数を占めています。

熱中症による救急搬送数(5月~9月)

(総務省消防庁データより作図)2008~2009年は7~9月、2010~2014年は6~9月

熱中症の起こり方

平常時

自律神経の働きで末梢血管が拡張し、体表近くに血液を集中させることで、体にこもった熱を外気に逃がします。また、汗が蒸発する際にも熱が奪われ、体温を下げます。

平常時

異常時

皮膚表面に血液が集中して循環血液が減少したり、大量の汗によって体内の水分や塩分が減少すると、体温調節がうまくできず体温が急激に上昇。重要な臓器が高温にさらされ、熱中症を発症します。

異常時

日本で熱中症が多いワケ

 暖かく湿った空気を持つ太平洋高気圧に支配されている日本の夏は、欧米に比べてとても蒸し暑く、とくに近年は夏季の気温上昇が進むとともに熱中症患者が急増しています。日本の夏季(6月から8月)の平均気温は、100年で約1.5℃上昇。とくに都心部ではヒートアイランドの影響などによって上昇率が高く、東京は同じ期間で約3℃上昇しています。熱中症を引き起こす条件は気温だけではなく、湿度なども大きく影響します。そこでぜひチェックしてほしいのが、人体と外気との熱のやりとりに注目した熱中症予防のための指標「暑さ指数」(WBGT:Wet Bulb Globe Temperature)です。この指数に応じて、無理のない運動や生活を心がけてください。

暑さ指数によって注意すべき行動

31℃ 以上

外出はなるべく避け、涼しい室内に移動を。運動は原則中止。高齢者は安静状態でも熱中症を発症する危険がある。

28~31℃

炎天下の外出を避け、室内でも気温の上昇に注意。激しい運動や持久走は避ける。体力が低い人は運動中止。

25~28℃

激しい運動や重労働をする際は、30 分おきくらいに十分な休息をとり、水分、塩分を補給。

21~25℃

危険性は少ないが、激しい運動や重労働は注意。熱中症の兆候に注意し、運動の合間に水分、塩分を補給。

「熱中症予防サイト」をぜひご利用ください

「熱中症予防サイト」をぜひご利用ください

「環境省熱中症予防情報サイト」
http://www.wbgt.env.go.jp/

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