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概要

エコジン04・05月号

「地球に戻った時、そよ風の気配、緑の香り、花の色、陽の光、土の感触、そのすべてがありがたいと感じました。もちろん宇宙から見た地球は美しかったのですが、地上で見る日常の景色のなんと尊いことか。水も空気も、当たり前と思っていたものが当たり前ではないことが、地球を離れたことで実感できた気がします」 山崎さんは2015年、第21回気候変動枠組条約締約国会議(COP21)に合わせて環境保護を訴えるビデオメッセージを公開するなど、地球環境にも高い関心をもつ。「国や国籍を超えて、地球に住む一人ひとりが“宇宙船地球号”の乗組員として協力し合いながら、この星のありようを考えていくことが大切ではないでしょうか」やまざき・なおこ 宇宙飛行士。1970 年千葉県生まれ。東京大学大学院航空宇宙工学専攻修士課程修了。2001年、宇宙航空研究開発機構(JAXA)で宇宙飛行士としての認定を受ける。2010年、スペースシャトル・ディスカバリー号に搭乗し国際宇宙ステーションへ。ロボットアームの操作など15 日間にわたるミッションを行う。現在は内閣府宇宙政策委員会委員、女子美術大学・立命館大学客員教授などで幅広く活躍。て、宇宙ごみがあることで不利益を被ってしまう。途上国は『ごみを出した国が環境を良くするための負担をすべき』と主張しますが、宇宙開発の先進国からすれば、『受益国みんなで解決するのが筋』という話になって、議論がまとまらないのが現状です。まさに地球上の環境問題と同じようなことが、宇宙でも起きています。そこで調停役を期待されているのが、宇宙開発の先進国でありながら、環境に対する意識も高い日本です。スペースデブリは、これから日本が世界でリーダーシップを発揮できる分野だと思います」 一度地球から離れ、ふたたび地上に戻った山崎さんは、それまで以上に、地球上の何気ない光景や自然に愛おしさを感じるようになったという。05