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概要

エコジン04・05月号

エコジン 千葉県で生まれた山崎直子さんは、幼少の一時期を過ごした北海道の満天の星空に魅せられた。『宇宙戦艦ヤマト』などのSFアニメの影響もあり宇宙に漠然とした憧れを抱いていた少女は、15歳の時、スペースシャトル「チャレンジャー」の爆発事故をテレビで見て、「亡くなった宇宙飛行士の夢を受け継ぎたい」と思うようになる。それから24年、山崎さんはその夢のバトンを受け取り、念願の宇宙へと旅立つ。宇宙から見た地球は、地上にいた時とは異なる意味をもって山崎さんの目に映った。「地球の表面を覆う空気の層が、太陽に青く照らされる様はとても美しいのですが、同時にこのぜい弱な大気層によって地上の空気が守られているんだ、ということもよく分かります。そして、“水の惑星”と呼ばれる地球ですが、実は海や川などの水をすべて集めると、地球の体積と比べて非常に少ない量であることもわかってきました。しかも、そのほとんどが海水で、日常的に使える淡水は全体の3%程度。日本は海に囲まれているので水が豊富に思えますが、地球全体を見れば決して多くはない。地球も一つの宇宙船のように、みんなで貴重な資源を分け合っているんですね」“地球という名の宇宙船”の資源も限られているが、実際の宇宙船ではさらに物資は貴重なものとなる。アメリカ、ロシア、日本、カナダ、欧州宇宙機関が協力して運用する宇宙空間の実験施設・国際宇宙ステーション(ISS)では、極力無駄を出さない工夫がなされ、水や空気は可能な限りリサイクルされているという。「地球から1㎏の物を運ぶと、100万円前後のコストがかかるといわれているため、なるべく地球からの補給には頼らず、国際宇宙ステーション内での自給自足が求められます。地上では、日本などの先進国では、1人が1日で300Lの水を使うとされていますが、宇宙では1人3Lが目安です。そのうち2Lが飲み水で、残りは宇宙食を戻したり体を拭くのに使う。さらに、尿や汗はリサイクルし、呼吸から排出された二酸化炭素地球上に住む一人ひとりが“ 宇宙船地球号” の乗組員として協力し合うことが大切NAOKO YAMAZAKIはゼオライトという鉱物に吸着させ、加熱して酸素にします。国際宇宙ステーションの水や空気のリサイクル率は90%近くに達していますが、唯一リサイクルが難しいのは食料。現在、宇宙農業の実験も進められているので、いずれは食料も含めて、完全な自給自足が可能になると期待しています」 一方、役目を終えた人工衛星や、その破片などが宇宙空間にスペースデブリ(宇宙ごみ)として増え続けていることも問題視されている。「いま宇宙空間にあるごみの大半は、宇宙開発の初期から携わってきたアメリカとロシア、及び最近急進している中国によるものです。アジアやアフリカなど、これから人工衛星を打ち上げようとする途上国にとっ04