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概要

エコジン04・05月号

続がしやすいこと」と説明する。大型の装置は多くのごみを必要とし、運転も難しい。しかし「エネカフェメタン」の場合、必要な管理は、簡単なpH値の測定と1日1回タンク内を撹拌する装置を作動することだけ。管理の負担が少なく、長く使い続けやすいのだ。「ごみはエネルギーの原料になり、さらにカフェのような、人と人とのコミュニケーションを生む力にもなり得ます。汚いと思っていたものが実は宝」と多田准教授。例えば都市部の集合住宅に設置すれば、普段はカフェなど住民の交流の場にバイオガスを使い、災害時には非常用エネルギーとして利用できる。今後、設置場所を増やす働きかけや、低コスト化を進めていく考えだ。「エネカフェメタン」の小型メタン発酵装置は、内部に複数のタンクやガスバルーンがあり、温泉の熱と、酸素がないところに生きる嫌気性微生物の働きで生ごみを発酵させ、メタンガスを生成する。利用者は家庭などで出た生ごみを持参し、装置に自ら投入。その後、隣接するカフェスペースで、メタンガスを燃料にして沸かした湯を使ったコーヒーや、温泉熱でエノキを乾燥し、バイオガスで沸かした湯で作ったエノキ茶を楽しむ。各家庭や学校給食から出る生ごみが毎日持ち込まれ、中には月に数回、遠方から訪れる常連客もいる。「ごみが温かい飲み物に変わる、という喜びが、多くの方に広がっていると感じます」と多田准教授は語る。「ごみは宝」と考える社会を目指して メタン発酵装置は、車1台分の駐車スペースに収まるサイズ。1日最大12kgの生ごみを投入でき、飲み物約100人分のエネルギーに相当する約1,300Lのバイオガスを発生させる。発酵後に残る消化液も液体肥料として無償で提供。温泉の廃熱利用、生ごみの焼却代替などによるCO2削減効果に加え、生ごみからできた液体肥料で農作物を生産するため、資源循環も生まれる。 小型であるメリットを、多田准教授は「導入と継地域活性化のツールとしての活用に期待使用している小型メタン発酵装置は、従来のものと比較して小型かつ安価であるのが特徴。今後は、教育現場での活用や地域活性化のツールとしての利用も期待されている。わたしたちの東京五輪の聖火台の燃料にバイオガスを利用しようという活動に取り組んでいる。東日本大震災の被災地に対する支援への感謝を世界に伝え、未来の循環型社会に向けた希望の光として発信したいという願いから生まれた活動。実現すれば、世界初の再生可能エネルギーで燃える聖火となる。「2 0 2 0 年東京五輪の聖火をバイオガスで燃やそう」プチけん  き  せいかく  はん25