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概要

エコジン04・05月号

酸化炭素は高度によって濃度差があるため、地上に設けた観測地点のデータでは、大気全体の濃度を知ることが困難です。「いぶき」が宇宙から観測することで、地表面から大気の上端までの大気中の二酸化炭素総量や、大気全体の二酸化炭素濃度の把握が可能になりました。2時間目 「いぶき」の観測でどんなことがわかったの?二 また、地球全域をくまなく観測できるため、途上国など地上観測点の少ない地域のデータも調べることができます。 観測によって、地球全体の月別平均二酸化炭素濃度が、季節変動をしながら年々上昇を続けていることがわかりました。2015年12月には、初めて月別平均濃度が400ppmを超え、400.2ppmを記録しました。さらに、世界の大都市では周囲の地域に比べて二酸化炭素濃度が高い傾向にあるなど、地域差も明らかになっています。3時間目 「いぶき」の後継機には何が期待されているの?018年度中に、現在の「いぶき」のミッションを引き継ぐ2号機の打ち上げが予定されています。より高度なセンサーを搭載して観測精度の更なる向上を図り、特定地点を重点的に観測する機能も強化されます。 2号機では、新たに一酸化炭素が観測対象に加わります。二酸化炭素は、人間の活動だけでなく、生物や森林の活動でも排出されます。一方、一酸化炭素は主に人間の活動から排出されるため、二つを合わせて観測、解析することで、人間の活動による二酸化炭素排出量の推定を目指しています。また、近年健康被害が問題になっているPM2.5の濃度の推計に必要なデータも観測します。 さらに、2022年度の打ち上げを目指して、2017年度から3号機の検討にも着手する計画です。 海外でも、2014年にアメリカが衛星「OCO-2」を打ち上げ、欧州では今後、2019年に衛星「CarbonSat」の打ち上げも検討されています。こうした衛星とデータの相互利用や相互検証などを行い、より有効な温暖化対策に向けた国際的連携を図っていきます。22号機の観測イメージ(左:通常の観測 右:特定点観測)2009 2010405400月別二酸化炭素の全大気平均濃度二酸化炭素の全大気平均濃度(ppm)推定経年平均濃度3953903853802011 2012 2013 2014 2015 2016 年年々右肩上がりで上昇を続ける二酸化炭素の全大気平均濃度。2014年12月~2015年1月の間は、ポインティングミラーと呼ばれる観測装置の切替に伴い、一時観測を停止した「いぶき」2 号機では、より高度なセンサーを搭載し、右図のように特定地点を重点的に観測することが可能に17