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概要

エコジン06・07月号

エコジン 東京の下町に育った、脳科学者の澤口俊之さん。子どもの頃から爬虫類が大好きで、ご本人曰く「佃煮にできるほど」たくさんのカナヘビをつかまえて、親を驚かせていたのだとか。 「採集が高じてくると、だんだん珍しいものが欲しくなってくるんですよ。だから子どもながらに、いつどこにいけば目当ての生物を獲ることができるのか、いろいろ調べて綿密に計画を立てるようになりました。子どもにとって、好奇心を持つのはとても重要なこと。好奇心から主体性や独創性、やる気が生まれるということは、研究によっても明らかにされています」 子どもが学校の勉強をしないからといって、好奇心に突き動かされて夢中になっていることをやめさせるなんて、もってのほかというわけだ。もちろんこれは子どもだけでなく、大人に対しても言えること。澤口さんは今でも、子どもの頃の目標だった2m超のアオダイショウを獲ることを夢見ているのだそう。 脳科学に関して世界中から報告されるさまざまな研究成果や論文などに、精力的に目を通している澤口さんに、自然が人の脳に与える影響について、どのような研究結果が出ているのか聞いてみた。「木々から発散されるフィトンチッドという物質がストレスを緩和させるなど、森林浴による効果は昔からよくうたわれていますよね」と前置きした上で、最近の研究で明らかにされたことの一つとして挙げたのが、「緑の多い自然の中を歩くと、脳の前頭眼窩皮質という部分の活性化がおさまる」ということ。人はネガティブ思考に陥ると、同じことをずっと考え、悩みにとらわれてしまいがちだ。こうした反復思考は、脳の中の前頭眼窩皮質が活性化しすぎて起きるのだが、自然の中を歩くと、その働きが落ち着くのだそう。緑あふれる道を歩くだけで、悩みなんてなくなります。TOSHIYUKI SAWAGUCHIかひしつおちいぜん とう がん04