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概要

エコジン04・05月号

上面部分便槽入口使用時はふたを外す灰下部側面断面図↑エコサントイレから作られた「エコサン肥料」の説明を受けるマラウイ共和国の農家尿回収タンク便槽便槽↑高床式のエコサントイレの構造。便槽は2つを交互に使う。右側は、たい肥化中の便水環境問題を中心とした環境工学の教授をされていた松井三郎先生、生物学・医学研究を行うフランスの非営利民間研究機関パスツール研究所の方たちからもアドバイスをいただき、2002年にベトナムの農村でエコサントイレを試験的に導入しました」とNICCO理事長の小野了代は経緯を振り返る。■水質や農作物の収穫量も向上そのメリットについて懐疑的だったというが、「尿と便を肥料にすると、収穫量が従来の1.5~2.5倍に増える。実際にその効果を目の当たりにすると、意識が変わる」と小野はいう。これまで化学肥料に頼ることで土壌が痩せてしまった地域も自然の肥料で息を吹き返した。川や井戸水の汚染も無くなったとのことだ。現在、エコサントイレは、アフリカのマラウイで1,052基、ケニアでも60基が建設されている。内閣官房・「暮らしの質」向上検討会の「日本トイレ大賞」や、毎日新聞の「毎日地球未来賞」なども受賞。途上国の環境と暮らしを改善するエコサントイレの普及活動は、さらに広がりを見せそうだ。エコサントイレは、NICCOのスタッフと日本から派遣された建築の専門家が現地の住人たちに作り方を指導し、協同で建設していく。一方的に提供するのではなく、あくまでも住民たちの自立を促すのがNICCOの支援方針だ。トイレの床部分は鉄骨を組み、小石や砂などを混ぜたセメントを流し込んで頑丈に作る。壁はレンガ造り、屋根はトタン。材料はすべて現地で調達する。トイレを使用する習慣のない村人たちは、当初明日への展望(公社)日本国際民間協力会理事長小野了代さんエコサントイレは、地域の衛生改善、良質な土壌づくり、化学肥料の抑制を実現する「一石三鳥」のトイレ。人口が増大するインドでの普及にも着手していきますが、ゆくゆくはアフリカ最大の湖・ビクトリア湖の集水域全5カ国にエコサントイレを設置して湖の水質改善を図るのが目標です。モノよりも知恵を世界に広めたいと思います。29