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概要

エコジン02・03月号

2014年9月、ニューヨークで開かれた「国連気候サミット」に取材で訪れた井田さんは、世界各国の気象キャスターとワークショップを行いながら、温暖化の危機を改めて実感したという。「気象キャスターとしては、日々の気象情報を正しく伝えることが第一です。でも、ここ数年の自然災害の多さに対して、その背景にある温暖化の話をきちんと伝えなければ、もはや説明のしようがないということを痛感しました」昨年12月にパリで開かれたCOP21も取材する予定だったが、残念ながらテロで断念。ただし、その前に東京で世界13カ国の気象キャスターや記者が集結して開かれたワークショップには参加し、気候変動の専門家とのパネルディスカッションに登壇し、各国の気象キャスターとも様々な意見交換を行った。「今回はアジア地域の気象キャスターが多かったのですが、クック諸島やサモア独立国では温暖化の影響による海面上昇で島が削られ、既に一部住民の移住が始まっていたり、インドではモンスーンの影響で雨が降らずに農作物に深刻な打撃があったという話を聞き、世界各地で温暖化の影響が広がっていると感じました」取材を断念せざるを得なかったCOP21だが、もちろん日本からその動向に熱いまなざしを向けていた。「京都議定書がうまくいかなくなってから、ここ数年、多くの人たちが温暖化の話題にちょっと疲れてしまった気がします。『途上国も先進国もお互いに違うことを言っているし、いろいろ考えてもどうにもならないんじゃないか』、そう思って冷めてしまっていた人も多かったのではないでしょうか。そんな中、今回のCOP21は温暖化の問題についてもう一度きちんと考えるきっかけを与えてくれました。交渉のプロセスや何℃未満の目標という数字は政治や外交もからむ話だとは思いますが、各国の首脳陣が集まり、先進国と途上国がギリギリのところで歩み寄りながらパリ協定が結ばれたことは、歴史に残る一幕だったと思います」気候変動の取材や情報収集を通して、気象キャスターとして「伝えること」の難しさにも直面している。「どうしても気候変動の専門家のお話は一般04エコジン