ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play
  • Available on the Windows Store

概要

エコジン12・01月号

応用編特別講義今回の講師橋本淳司先生水ジャーナリスト、アクア・コミュニケーター世界では気候変動の影響で干ばつや洪水が増え続けています。人口増加にともなう水不足や水汚染もあり、水の足りない地域では国際河川( 2つ以上の国を流れる河川)をめぐる紛争の危機もあります。そして比較的水に恵まれ、水リスクが低いと思われがちな日本にも、実は同様のリスクがあるのです。食品や衣料品の原材料を海外に依存している日本は、生産地の洪水や干ばつで大きな被害を受けます。欧米ではこのような水リスクを重要課題とし、企業が水量削減や水源保全などに取り組んでいます。さらに1つの製品の生産から廃棄までにかかる水量を計算したウォーターフットプリントが表示されている製品のみと契約を行うなど、水の新ルールも確立しつつあります。日本でも、少しずつ企業が節水や水の再利用、水源保全などの取り組みをはじめています。また、1日1人当たりの生活用水使用量もピーク時の322Lから289Lへ減っています。これは、節水家電や節水トイレが普及したことが大きいですが、個人でも水との向き合い方で、水の利用量を減らすことができます。例えば、雨水の活用。庭の水撒きや車の洗車にバケツ一杯の雨水を使うと10Lの節水になります。ハンバーガーには2,400Lの水、Tシャツには2,900Lの水が使われています。その水を無駄にしないために食べ残しをなくす、洋服を大事に着る。これも立派な節水です。また、健やかな森の育成ために切り出した間伐材製品の利用や、雨水を浸透させる田んぼのお米を食べることは、水を増やすことに繋がります。いろんな視点で自分なりに楽しく水と向き合う。これが日本の水リスクの回避へと繋がっていくのです。今回のおさらい日本の地域性と水の循環を知り、新しい視点から水との関わりを考えよう。橋本淳司(はしもと・じゅんじ)アクアスフィア代表。水課題を抱える現場の様子やその解決法の専門家。武蔵野大学非常勤講師のほか、国や自治体の水政策の提言や普及啓発も行う。『いちばんわかる企業の水リスク』など、水に関する著書も多数。また、独自にメールマガジン、週刊「水」ニュース・レポートを発行中。アクアスフィアHP http://www.aqua-sphere.net/19