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概要

エコジン10・11月号

■ コンクリートとアミノ酸の幸福な出会い 1964年、東京・新宿に創業した日建工学㈱は、堤防や護岸に用いる消波ブロックをはじめ、土木・環境資材の製造・販売を手掛け、その歴史は50年の節目を迎えた。しかし一方、人工物の消波ブロックが自然景観を損ねるとの指摘や、生態系への影響を懸念する声にいかに応えるかが長年の課題でもあった。 「消波ブロックは、自然界と人間界の境界に立ち、両者の間の壁のような存在です。防災・安全面の機能はそのままに、お互いの親和性を高めるために、構造や素材を見直す必要がありました」。代表取締役社長の行本卓生は、そう語る。 そんな中、2008 年に味の素㈱の技術者から、「アミノ酸の用途を広げるためにコンクリートとアミノ酸を混ぜた製品をつくれないか」との打診があった。コンクリートに不純物を入れると凝固しないというのは専門家の間では常識である。味の素の技術者は、多くの企業から一笑に付された。ところが、行防災と環境を両立させる新コンクリート素材日建工学株式会社第2回技術のポイント日本で生まれたエコのノウハウや技術が、海外でも活用され、大きな功績を残す例が増えてきています。世界を変える日本発の技術は、どのように開発が進められ、海外へ羽ばたいていったのか、そのストーリーを紐解きます。日建工学㈱、味の素㈱、徳島大学の共同開発による「環境活性コンクリート」は、コンクリートにアミノ酸の一種アルギニンを混ぜた新素材。河川や港湾の消波ブロックなどに使用すると、アルギニンが水中に染み出し藻類の成長を普通のコンクリートの5~10倍も促す。藻類は海ではアワビやサザエ、ナマコ、川ではアユの餌となり、新たな食物連鎖を育む。28