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概要

エコジン10・11月号

11生産者も、栽培時に塩化カリウム肥料を多めに与えるなどの努力を行っている。セシウムはカリウムと似た性質を持つため、カリウム肥料を多めに与えると、稲のセシウム吸収を抑制できる。2014 年まで「特A」を19 回以上獲得した米は、コシヒカリでは新潟県の2 地区と会津のみ。まさに会津は“コシヒカリの聖地”だ。国の基準値(1キロあたり100 ベクレル)をクリアすると、パネル画面に「○」印が現れ、米袋に「放射性物質検査済」のシールが貼られていく。 取材に訪れた9月24日、喜多方市の「JA 会津いいで」では、2015 年産米の「放射性セシウム濃度全量全袋検査」が始まった。JA 会津いいで営農企画課の菊地善一郎課長は「すべての米を検査しており、安全が担保されています」と安全性をアピールする。 米どころ福島県の中でも、その品質において全国的にも有名な産地が会津地方。毎年、日本穀物検定協会が発表している「米の食味ランキング」では、平成元年以降、会津コシヒカリは通算19 回、会津ひとめぼれは6 年連続で最高ランクの「特A」評価を獲得し、変わらぬ食味の高さを証明している。しかし、価格や出荷量は震災以前のレベルには戻っていないのが現状だ。「現在、卸業者や量販店バイヤーの間では、福島の米は安全が確認されたものしか流通していないことは理解されています。しかし消費者にはそのことが正しく伝達されておらず、理解をしている人が少ないようです」。 こうした傾向を受けてJAでは、首都圏・関西圏などの外食チェーン従業員を対象とした田植え・収穫体験会のほか、スーパーの店頭で消費者に試食してもらう販売促進キャンペーンなどの取組を行っている。「おかげさまで、店頭で試食して『おいしい』と言ってくれたお客様がリピーターになるケースも増えてきました。全国トップクラスの会津米ブランドを、もう一度取り戻したいですね」。安全・安心な「会津米」を全国へ全国有数の米どころでありながら、長引く風評被害に苦しんできた福島県会津地方。土壌の測定、吸収抑制対策、農産物の測定、消費者への情報提供など、地道な取組が実を結び、少しずつ明るい兆しが見えてきました。福島県会津地方