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概要

エコジン08・09月号

FILE 01 FILE 02 FILE 03「水俣条約」誕生の経緯2 013年10月に熊本市で開催された水俣条約採択・署名のための外交会議の様子。出典:環境省2 0 1 0年、国連環境計画( U N E P )理事会において、国際的な水銀規制に関する条約制定のための政府間交渉委員会(INC)の設置が決定された。日本政府は、水俣病の経験を踏まえ、この条約制定に積極的に貢献するともに、条約の採択・署名のための外交会議を日本に招致し、「水俣条約」と名付けたい旨を表明。2013年1月に開催されたI N Cの会合において、条文案が合意され、条約名が「水銀に関する水俣条約」に決定した。そして同年10月に条約の採択・署名のための外交会議及び関連会合が熊本市及び水俣市で開催された。「水俣条約」とは水俣条約には、水銀及び水銀化合物による人為的な排出から人の健康と環境を保護することを目的に、鉱山開発の禁止、貿易の制限、一定量以上の水銀を含む電池や照明器具など製品の製造・輸出入の原則禁止、製造プロセスへの水銀の使用の禁止・削減、環境中への排出の削減、環境上適正な保管や廃棄などの規定が盛り込まれている。水銀の産出から使用、廃棄にいたるまでの、水銀のライフサイクル全体にわたって規制をかける条約は、「水俣条約」が初めてである。←ASGMの様子Ronald de Hommel出典:UNEP Global Mercury Assessment 2013 (2013)国内担保法が可決今年、水俣条約を担保するため、「水銀による環境の汚染の防止に関する法律」及び「大気汚染防止法の一部を改正する法律」が国会で可決された。条約担保のために求められる「特定の水銀使用製品の製造の原則禁止」といった事項が前者に盛り込まれるとともに、水銀の大気への排出の規制も、後者の改正により導入された。両法律等に基づき、今後は条約の求める措置以上の国内措置が講じられることとされており、日本は世界をリードする水銀対策国として、一層そのプレゼンスを高めていくだろう。19