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概要

エコジン06・07月号

文/さくらい伸写真提供:(株)天水研究所そのストーリーを紐解きます。海外へ羽ばたいていったのか、どのように開発が進められ、世界を変える日本発の技術は、大きな功績を残す例が増えています。技術が、海外でも活用され、日本で生まれたエコのノウハウや■都市化がもたらした水害をきっかけに第1回水資源を有効活用する雨水タンク開発株式会社天水研究所技術のポイント○東京スカイツリーでは、屋根に降った雨を地下の2,635トンのタンクに溜めて洪水を防止し、溜めた雨を沈殿・ろ過した後、屋上緑化のための散水や太陽電池の冷却に使用している。○雨水利用は、上から重力で落ちてくる雨をただ受け止めるだけなので、水を浄化して水圧をかけて送水する水道水と比べて20 0分の1程度のエネルギーで済み、環境にやさしい。雨は生命を育む天からの恵みであり、一方で人命を奪う災いにもなる。(株)天水研究所代表の村瀬がそのことを実感したのは、東京・墨田区で保健所の衛生監視員として働いていた頃だ。入所5年目にあたる1981年、墨田区をはじめ、都内では大雨による河川の氾濫が多発していた。下水が逆流し、マンホールの蓋からあふれ出た汚水は建物地下の飲料水タンクを直撃した。「これまでこんな災害はなかった。一体、東京で何が起きているのか」。村瀬は都の土木や建築に関わる職員と研究会を起ち上げた。そこで分かったのは、下水道は降った雨の5割が地面に染み込むことを前提とした設計になっていることだった。急激な都市化によって街がアスファルトで覆われた結果、地面に染み込まない雨が下水道に一気に押し寄せ、河川氾濫が相次いだのだ。「墨田区だけで年間2,000万トンの降水量がある。これは区で使う水道水とほぼ同じ量。この雨水を溜めて使えば、洪水の解消と同時に水道水の節約になる32