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概要

エコジン04・05月号

「あなた方はモンゴルの文化を守ってくれた」とお礼を述べたという。消費電力の少ないLEDは、小型太陽光発電パネルと蓄電装置を組み合わせれば、送電設備が整っていない土地でも明るい照明を得ることができるからだ。「モンゴルは放牧の文化を大切にしていて、今でも80%以上の方が放牧生活をされているそうです。放牧生活をしていても、L E D照明によって子どもたちが夜間に本を読んだり、勉強したりできるようになったというのです」と天野教授はうれしそうに語った。天野教授は現在、環境省の進める新しい省エネ技術のプロジェクトを進めている。青色LEDを生みだした技術を応用して、パワー半導体をつくろうというのだ。パワー半導体とは、電気を思い通り制御するために必要なもので、変電設備、鉄道などの大がかりなものから、小型の電化製品まで、電気で動く製品にはすべて搭載されている。現在使われているパワー半導体はエネルギー損失が大きいという難点がある。しかし、青色L E Dにも使われている窒化ガリウムでパワー半導体をつくることができれば、損失が少なくなるという。「現在のパワー半導体を窒化ガリウム主体のものに置き換えることができれば、9.8%程度の省エネ効果が見こまれ、L E D照明と合わせて1 7 %近い省エネになります。エネルギー問題は、今の日本の抱えている最大の問題です。それを解決するために一番可能性の高いものがパワー半導体だと思っています。多くの人たちにこの研究を応援していただけたら、うれしいです」天野浩1960年、静岡県浜松市生まれ。1983年名古屋大学工学部電子工学科卒。大学4年から赤﨑勇氏の研究室へ。名古屋大で博士号取得。2002年名城大教授、10年から名古屋大教授。14年のノーベル物理学賞を赤﨑勇・名城大終身教授、中村修二・米カリフォルニア大サンタバーバラ校教授とともに受賞。05