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概要

エコジン12・01月号

今年6月に発表されたI U C Nレッドリスト(絶滅の危機に瀕した生物をまとめたリスト)に、私たちの食卓にも馴染みの深い「ニホンウナギ」が絶滅危惧種として登録されました。絶滅危惧種に選定されるほどまで、ウナギが減少してしまった原因はどこにあるのでしょうか。ウナギの生態に詳しい、中央大学の海部健三助教に解説していただきました。海部健三先生中央大学法学部助教。専門は保全生態学。河川や沿岸での、ニホンウナギの生態などを研究している。ニホンウナギはマリアナ海溝付近で産卵し、孵化した幼魚が海流に乗って日本沿岸に運ばれ、シラスウナギとなって河川を遡上します。私たちが普段口にするウナギの多くは養殖されたものですが、ウナギの生産量を人がコントロールすることはできません。なぜならウナギの養殖では、自然界で産まれたシラスウナギを育てているからです。このため、シラスウナギが獲れなければ養殖も不可能となります。しかし、ウナギの子どもであるシラスウナギの漁獲量、大きく育った天然ウナギの漁獲量はともに減少が著しく、ニホンウナギは国内はもとより国際的にも、レッドリストの“近い将来に絶滅の危険性が高い種”に分類される事態となってしまいました。なぜウナギはこれほどまでに減少してしまったのでしょうか。その原因としては、“環境”と“資源”という、大きく2つの問題が考えられます。08