ブックタイトルエコジン１２・０１月号

概要

エコジン１２・０１月号

思うんですが、そのニッチさこそが、ここまで生き残ってきたポイントなんでしょうね」生き物を好きになり、いろいろと知っていくと、生物界には理不尽が多いことに気づかされるという。「豪雨でアリの巣が流されたり、蝶がサナギから羽化した途端にカマキリに食べられたり。昆虫を観察していると、そういうことをよく目撃するんですが、自分の思い通りにならないことが起こるのは普通なんだな、と思えるようになりますね。僕自身の経験で言えば、大学院のとき海岸であさりを育てる研究をしていたんですが、それが台風で全部飛ばされてパーになっちゃったりもしましたし。でも、それも自然の摂理だから仕方がない。自然を相手にしていると、懐が深くなると思います。僕もよく、諦めがいいとか物事に動じないとか言われますが、それは生物好きなところとつながっているような気がします」現在はアナウンサーとして活躍している桝さん。テレビを通じ、生き物のおもしろさを伝えたい、と語ります。「日テレでは今、自然や生き物のことをよくテーマにしている『ザ!鉄腕!DASH!!』という番組が非常に好調なんですね。去年N H Kのダイオウイカの番組も人気を博した。そういう状況から考えても、“生き物っておもしろい”と思う気持ちは、皆さん持っているような気がします。やっぱり、見たことのないものを見たいし、見ればみんな興奮する。そういうおもしろさや好奇心を伝えていくのが、“生物好きアナウンサー”である僕の仕事かな、と思っています」桝太一日本テレビアナウンサー。1981年生まれ、千葉県出身。東京大学大学院農学生命科学研究科卒。現在人気番組『ZIP!』(毎週月~金曜5:55~)に出演しており、現在水曜に『な~るほどマスカレッジ』という生物にまつわるコーナーを担当している。著書に『理系アナ桝太一の生物部な毎日』(岩波ジュニア新書)。05