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概要

エコジン12・01月号

小さいころ、家に図鑑がたくさんあったという枡太一さん。それを読み始めたことが、生き物や昆虫に興味を持つきっかけになったとか。「小学校がとても遠く、当時の僕の脚で片道3 0分くらいかかる場所にあったんですね。なので友達と遊びながら帰っていたんですが、その道中に自然が結構あり、“図鑑に載ってる虫がいた!”という経験をよくしていました。それだけでも、子どもってテンションが上がるじゃないですか。そんなことから、徐々に生き物に惹かれていった気がします。でも実はそれは、ゲームの攻略本を見て“このモンスターに会いたい”と思い、ゲームの中でそのモンスターが出てきたときの興奮と同じなんですよ。僕はゲームと生き物、両方とも同じくらい好きだったんです」中学受験を経て入学した男子校で、桝さんは生物部に入部。この学校自体が、“生物多様性”を絵に描いたような環境だったのだとか。「生物多様性とは、生物はいろんな種類がいて、それが鎖のように繋がっていることで、それぞれの種が存在している、ということだと思います。別の言い方をすると、お互いを尊重しているからこそ、その環境が保たれている。僕の通っていた中学高校はまさにそんな環境で、全国レベルで将棋が強いヤツに、金髪にピアスの“リア充”、そしてという中高時代、そして大学と大学院ではアサリの生体を研究。そこまで夢中になる生き物の魅力って、いったい何?「想像を超えてくるところですね。特に昆虫と魚に多いんですが、“なんであなた、そんなふうに進化しちゃったの?!”という不思議な生態を持つ生き物がいるんです。例えばドウケツエビっていうエビ。そのエビは海綿の中にじーっとしたまま、ほぼ一生を終わるんですよ。いったい何のためにそんなところで生涯を終わらせる必要があるのか。あとチョウチンアンコウは、メスの体長は4 0 c m近くあるのに、オスは4cm程度しかない、とか…。いまだに驚くことが多くて、興味が尽きません。彼らは自分が得意なこと、その1点だけに特化して、進化をしてきたんだと生き物の世界は不条理ばかり。それを見ていて、物事に動じない人になりました。僕みたいなシャツをズボンにインにしている生物オタクなどが、それぞれの楽しみを追求しながら、共存している空間でした。学校の先生も個性的で、出る杭を打つどころか出っぱなしにしておくような先生ばかり。己の好きなことを突き詰めている感じが強かった。それを見て、人間も多様でいいんだ、という気持ちが生まれた気がします。ただ僕はそれを突き詰めすぎたので、集団の中で何かをするのが苦手な大人になってしまいましたが(笑)」蝶に興味を持った小学生時代、生物部の活動に没頭し、「女の子となんてたぶん5回くらいしか喋らなかった」04