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概要

エコジン12・01月号

「生物多様性の宝庫」と言われる、熱帯雨林。しかし毎年600万ヘクタールもの熱帯雨林が損なわれ、その影響で、毎日100種類に及ぶ動植物が地球上から消滅していると言われています。熱帯雨林の中でも特に南米のアマゾンは、氷河期にも緑が残っていたため、多くの生物種の避難所となり、いまも地球上の遺伝子資源の約半分があると言われる場所です。その中には薬用植物も多く、現在も医療現場で使われている優れた薬の数々が、それら薬用植物を原料として開発されてきました。今後も調査・研究が進めば熱帯雨林から、がんやアルツハイマーといった、治療が困難とされる多くの病気の特効薬が生まれる可能性があります。しかし熱帯雨林が失われると、その可能性も同時に失われてしまうのです。ブラジル北部にある、ジャマンシン国有林の伐採された熱帯雨林(写真:AFP/時事)「海の熱帯林」と言われるサンゴ礁。さまざまな海の生物に居場所や産卵場所を提供し、生物多様性を育む場として大きく貢献しています。そんなサンゴ礁ですが、「天然の防波堤」という役割も果たしているのです。海岸より沖合の海に張り出しているサンゴ礁は、外洋からの高い波を受け止めて砕くため、サンゴ礁の内側の海は、常に穏やか。過去には、大きな津波の際に波砕効果を発揮して、人的被害をくい止めたという事例もあり、その防災機能はかなり高いことが証明されています。しかし海水温の上昇などによる環境の悪化によって、多くのサンゴが白化し死んでしまっています。人工物で防波堤をつくるよりも、サンゴ礁による天然の防波堤の方が経済的な効果も高いため、改めてサンゴを守る意義が深まっています。沖縄県水納島近海における、サンゴの白化現象(写真:時事通信フォト)12