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概要

エコジン08・09月号

C O L U M N日本の経験を生かして、海外都市を“エコ化”するイスカンダル地域(マレーシア)先進国入りを目指し、経済発展も著しいマレーシア。同国のイスカンダル地域を“エコ化”するために、いま日本の知見が多いに活用されています。マレーシアでは、マレー半島の最南端に位置し人口1 4 0万人を擁する「イスカンダル地域」を経済特区に指定して、総合的な地域開発事業を展開してきた。しかしその一方で、開発に伴う温室効果ガスの増大も危惧されている。そこで国立環境研究所は、マレーシア工科大学、イスカンダル開発庁、京都大学、岡山大学等と協力して、科学技術振興機構(JST)と国際協力機構(JICA)の支援により、2011年から、同地域を「低炭素社会」化するためのシナリオづくりに協力している。その名も「イスカンダル・マレーシア開発地域における2025年に向けた低炭素社会ブループリント」。いわば、地域をエコ化するための“実行計画”だ。2025年までに、現状のまま温室効果ガスを出し続けた場合よりも、4 0%排出を削減するという目標が掲げられている。環境に配慮した交通や産業への転換を促すほか、再生可能エネルギーの導入日本の協力によって完成したブループリント。今年開かれた国際シンポジウム「ジョホールバル市:2020年世界都市に向けて」で発表する藤野氏。イスカンダル地域のジョホールバル市中心部。や、低炭素ライフスタイルの普及も盛り込まれている。「日本で進んでいる『環境未来都市』づくりなどの経験も生かすことができました。また、現地の関係者に北九州市エコタウンなどの実例を見てもらったこともあり、予想以上に“低炭素社会”という言葉が浸透したのには驚きました」と、国立環境研究所の藤野純一・主任研究員は話す。「今後は、ブループリントという“設計図”をもとに、日本の自治体やN P O、企業などが協力しながら、まちづくりを実際に動かしていく段階に移っていく」と藤野氏。パナソニックの「Fujisawaサスティナブル・スマートタウン」をモデルとして現地にスマートタウンを展開するプランもその一環だといえる。低炭素社会というムーブメントは、いま、海を越え、アジア地域へと広がりつつあるのだ。14