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概要

エコジン06・07月号

 東京に上京してきた頃の黒谷さんは、初めてのひとり暮らしということで、ウキウキしながら、部屋のベランダにハーブなどの鉢植えを並べたそう。 「特にガーデニングに興味があったわけではないんです。でも、部屋にグリーンがあると、“生き物がいる”って感じがして、なんかいいなぁと、漠然と憧れていたんでしょうね。レンガと板を買ってきて、自分で台を作ったりもしました」 20歳の頃、友人に誘われて千葉で乗馬を体験したことが、黒谷さんのその後の人生を大きく変えるきっかけに。馬に乗ること、自然の中で時間を過ごすこと。その魅力に目覚め、それ以来千葉に通い、自然とたわむれる時間を過ごすようになった。小さなベランダから始まった黒谷さんの自然と触れ合うライフスタイルは、今は友人たちと乗馬を楽しんだり、畑で野菜を作ったりガーデニングをしたり…といった規模に拡大した。 「今夢中なのは、季節の花をたくさん植えること。春はこれが咲いて、夏になったらこっちが咲いて…と、まさにいつでも花盛りを目指しています。東京で仕事をしていると、土に触れたり、五感で風を感じたり、季節の変わり目を空気の匂いから感じるような時間、なかなか持てませんよね。都会で暮らす私にとっては、千葉を訪れることで、自分をリセットしてるのかもしれません」 近所には、有機野菜を作っている農家もたくさん。その中の一軒とは、黒谷さんが飼っている馬から出る馬糞を、畑の肥料として提供するというやりとりをしているのだとか。 「馬の糞って、処理するのにお金がかかったり、実は結構大変なんです。ところがひょんなことから、その馬糞を引き取ってくださるという農家さんと出会えまして。それを肥料にして、有機野菜を作ってらっしゃるそうです。こちらは必要ないものですが、農家さんは有効活用してくださる。できた野菜の中から、形が悪かったりして市場に出せないものを、たまに頂いたりもするんです。お互いのニーズが一致している、すごく有意義なサイクルですよね」 今年の春は、友人や子どもたちを招き、近くの里山でタケノコ掘りをした。次世代の子どもたちのためにも、できることから、少しずつ。04